奥野克巳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ難しい部分は飛ばし飛ばしで読んだけど、おもしろい本だった〜。
マレーシア、インドネシア、ブルネイの3つの国からなるボルネオ島のプナン人の暮らしが舞台。
(※プナン人→狩猟採集民)
⚫︎現代社会→高次で巨大な外臓システムを構築し、所有を広げてきた。格差社会、所有の奴隷。
⚫︎プナン社会→今を生きる。個人占有の否定。
共有主義。全体的給付体系。所有欲の芽を潰す教育。
現代社会とプナン社会のどちらがいいとは一概には言えないけど、
"私"の範囲を集団にまで広げ共同で生きる、誰も置いていかないプナン社会の豊かさを想像して
少し羨ましい気持ちになった。
そういう社会がある、と -
Posted by ブクログ
自分の当たり前の価値観が、当たり前ではない人たちがいる。
向上心は誰にでも備わっているものだと思っていたけれど、それも国や人によって異なる。
最近ではコロナの影響で、各個人への良心や常識に訴えかけられて「自粛が当たり前」という主体性に任されて行動することを余儀なくされているが、国民や首相の「当たり前」の行動が、一部の人には伝わっていなかったり意図が汲み取られていないとも感じる。また置かれている状況により、それぞれの最善は異なる。
この本を通して、改めて自分の価値観を見直す機会になったし、一方的に相手のことを決めつけるのではなく、相手の状況や考えを受け入れることも大切だと思った。
また、自分 -
Posted by ブクログ
小中学生の頃に愛読していた「ポケットムー」シリーズの「世界謎の10大事件」という巻に、確か"秘境に消えたロックフェラー"というサブタイトルで収蔵されていたと記憶している。
以来、これまでにこの失踪事件を扱った記事や書籍は何度か読んだが、当時のオランダ政府やインドネシア政府にアメリカ政府、そしてもちろん現場となったパプアニューギニアの政治的関係や立場を分析し、さらにはロックフェラー家と美術品収集の因縁にまで踏み込んで詳細に報告したものに接するのは初めてだ。
マイケル・ロックフェラーが辿った命運については、本書の序盤でいきなり結論めいた描写が生々しく綴られるが、そのショッキング -
Posted by ブクログ
ジャレド・ダイアモンド氏のいう「昨日までの世界」=狩猟採集民の実態というのは、いろいろなパターンがあるようですが、本書はその内のひとつであるボルネオのプナンの人たちのパターン。
彼らとともに一年以上一緒に生活した文化人類学者が、プナンの価値観というか世界像とわれわれ現代人との違いを浮き彫りにするなど、人間の価値観とは何か?を考えさせられる本です。
ニーチェの「絶対的な価値観はない」という哲学を引用していますが、今の哲学は現代現象学として、だいぶアップデートされてて、世の中は無価値なんじゃなくて、プナンにはプナンの、現代人には現代人の共通了解に基づく価値観があって、それが違うということです。 -
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Posted by ブクログ
マイケル・ロックフェラー失踪事件の事すら知らなかったが、未解決事件には興味がある。軽い気持ちで読んでみた。
著者がたどり着いた真相はいきなり冒頭で明かされる。それは丹念に当時の記録や関係者の証言を辿れば、「事実」としては浮かび上がる。しかし、この本の本質はそれが「なぜ」行われたかであり、そもそも我々が「プリミティブ」「未開」と呼ぶ人びとをどう捉えていたのか、分かろうとしていたのかという問いに繋がる。
殺人、ましてカニバリズムはこの現代社会、この文明に生まれた我々にとっては常識を超えた行為であり、犯罪である。しかし、その思考とは全く異なる思考、文化、文明で生きてきた人びとが確実に存在する。
そう -
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Posted by ブクログ
哲学や思想などリベラルアーツ系の本を読み進めていると、いつのまにか「文化人類学」と呼ばれる分野に手を出していることに気づきました。
レヴィ=ストロース、マルセル・モース、グレゴリー・ベイトソンなど、思想界にその名を残す文化人類学者は数多く存在します。
なぜ私たちは人類学を学ぶのか。
本書はそのヒントを教えてくれます。
本書では、マリノフスキ、レヴィ=ストロース、ボアズ、インゴルドの4名を取り上げて人類学の系譜を辿ります。
彼らの偉大な功績は、未開の部族の中に入り込んで、外部に学び、西洋を中心とする社会を批判的に見つめたこと。
日本の柳田國男も近代社会を憂いて、民俗学を創始したと伝え