奥野克巳のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
対談相手の奥野さんが言うように、「宮台思想の核心と射程」を掴みきれていいないのではないかと自問した。元宮台ファンとして。広大な学問領域を参照しながら、かなり圧縮した宮台語で、ざっくりと解説していく。圧巻だ。
本書の内容をざっくりまとめるのは到底無理だけれども、あえて強引にポイントをおさえておくなら
「近代という特殊に抗い、人類史的な普遍を回復する実践」(p455)ということだろう。
宮台語の「新住民化」が指し示すように、近代化が進んでシステム世界(市場と行政)に覆われてしまうと、人間は言葉の自動機械・法の奴隷・損得マシン化してしまう。そこに落ちる前に、「内から沸く力」にこだわるべし。
そして「火遊びバーン」に陥らず、「気分スッキリしない社会の、存続可能な作り変え」に向かえ、と(p457)。その通りだ。
そしてこの主張は、「終わりなき日常~」から続く宮台思想の通奏低音。革命なき時代を生きるわれわれの、最低限のリテラシーだったはずだ。最近では、國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』と共鳴する。
ただ、道筋は正しくとも、いざそのルートを進むのはとても難しい。いとも簡単にかき消される道なんだろう。
とはいえ、毎日新聞書評で橋爪大三郎さんが「社会学のオータニになりなさい」と絶賛したのも納得の内容だな。 -
Posted by ブクログ
毎度のことだが、宮台さんの本は難解。
いったい彼の頭の中はどうなっているのか。
社会学、人類学の歴史、経緯がずらずら出てくる。
読んでいても頭には届かない。
時々届く。
特に目を引いたのが、つい先日読んだばかりの「新しい階級社会」への言及。
宮台さんはこれを、
仕事にかかわる尊厳を保てる資本家&旧中間階級(自営業者)
仕事にかかわる尊厳を保てない新中間階級&労働者階級(正規・アンダークラス)
に二分される、と喝破した。
橋本によると、、、と宮台さんは言ってるけど、
そんなこと書いてあったかなあ。
そして私はこれに激しく同意。
父は旧中間階級、しかしこれは今の世の中ではほぼ死滅、
私はかろうじて新中間階級に生きているが、サラリーマンになった当初から今に至るまで、
居心地の悪さを感じてきた。
娘たちの独立、定年でやっと抜け出せる、旧中間階級・自営業者を目指そうとしている。
などなど、分かるところは読んでて楽しい。
それ以外でも男女のことなど、多少はわかるところもあったような。
あとは修行。
とりあえず目を通す。
五日分かる日が来るだろうか。494ページの分厚い新書。
Ⅰ 「等根源」であった社会学と人類学
第1講 社会学と人類学のオリジネータたちの時代
第2講 交差する社会学と人類学
第3講 アメリカ社会学が忘却した「前提」への問い
第4講 原的贈与を忘失した近代ヨーロッパ
Ⅱ 生態学的思考へ回帰する人類学的存在論
第5講 宮台思想の前提にある人類学的視座
第6講 前提を探る思考から宮台式存在論へ
第7講 認識論を超えて前提を問う存在論的思考
Ⅲ 人類史の根本まで遡ると見えてくる〈世界〉
第8講 社会の誕生から劣化まで
第9講 法生活の開始と没人格化の進行
第10講 古代ギリシア思想でとらえる社会と自然
第11講 これからの平等と自由を考える -
Posted by ブクログ
・ヨーロッパが世界大戦の反省、再発防止を模索する一環として、自らの理の外側に解を求めた事が、人類学の発端(西洋→西洋以外)
・「参与観察」現地で参加して観察する手法
・「教える」「教わる」という概念が存在しない
・「シェアリングエコノミー」エモノを独り占めしない、という生存戦略(平等に貧しい)。持ちつ持たれつで全員が生き残る確率を高める。日本のかつての田舎の文化にも似る。資本主義とは対極にいる。でも全体主義・社会主義と違うのは、絶対的な権力者がいない事。コミュニティがシンプルなので利権を保ち続ける事が難しいのでは。また、上下関係を生むので、「ありがとう」や「お願いします」の語彙は存在しない。当然のように相伴に預かる。 -
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所有の概念がなくなると、不安がだいぶ減りますね。
普段使っている船が壊れた時は、壊れたんだなとおもうだけで、悲しみはしないでしょう。
独占欲は生まれつき持っているが、それを削ぐことを幼い時期からしつけとして行う。限られた人にお金や物を独占させない為に、プナン社会は工夫しているのかな。
ありがとうが無い民族は、プナン以外に、シベリアの狩猟民にも無い。その理由は、みんなであらゆるものをシェアするのが当たり前なので、何かをわけあたえて、その返礼をする仕組みがない。
ありがとうは、農耕を始めてからの言葉。
熱帯のジャングルでは目の前が緑で覆われるので、目の前のことに集中しやすい。逆に、サバンナのような開けている場所では、動物などが遠くから近づいて来ることが視覚的にわかるので、時間感覚が築かれやすくなる。空間と時間感覚には繋がりがある。
大きなイノシシをとっても、小さいものしかとれなかったと言う。狩猟民社会で大きな獲物を取ってきた人が褒め称えられて階層ができてしまうことを防ぐためか? -
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150ページほどの短い文章ながら、読めば思索が深まる体験を得られる、そんな素晴らしい本に出会いました。
本書は、ティム・インゴルドの研究領域である「人類学」を改めて問うてみた内容となっています。
インゴルドの本は、アート・芸術・建築関係から邦訳された経緯がありますが、本書はそれらとはまた違った学問について語られています。
では、人類学とはなんなのか?そして、インゴルドのいう人類学とはどんなものなのか?
第一のポイントは、他者を真剣に受け取ること、です。そのことが本書の第一章で語られています。今までの人類学は、他者を研究の対象とすることでした。フィールドワークにおいてもそれはあり、観察する側と観察される側という線引きで、いわゆる先住民を「対象」にしてきたそうです。
でも、インゴルド人類学のポイントは、他者を対象化して観察するのではなく、他者とともに研究するそうです。このやり方を「参与観察」と呼ぶとインゴルドは語っています。
これは、例えば医療の現場などにおいても言えることだと私は思います。治療する側と治療される側というふうに、病気をもった人を「対象」にすることと近いと思ったからです。でも、そこに本当のケアはあるのでしょうか。
それはともかく、最初に私が書いたように、思索が深まる体験としては、「知識と知恵」の考察や、「知るとある」の考察や「類似と差異」の考察が、本書を読むことによってダイレクトにインゴルドの思索を流し込めるので面白い体験でした。
また、近代西洋人は空想上の生きものであった、という内容の指摘はスリリングかつドキドキしながら読み進めました。こちらも非常に面白い考察でした。
インゴルドの学究人生を辿る半自伝的な内容でもある書で、人類学の史歴や学会界隈の激震と分派などまで綴られています。
読み終えて、私は、人類学のほうが、哲学よりも哲学的で面白そうだなという感じがいまはしています。
向き不向きもあるでしょうけれど、哲学や人文科学に興味のある方や、思索を深めたい方は読まれることをオススメいたします。 -
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奥野先生を前から知っていて、面白そうな内容でもあったので読んでみた
サクッと軽めで読みやすい、後半は特に下ネタ多めでゆるく読める
まさかのポインティも登場
「幸せ」という抽象的な概念がないからこそ「幸せである」って、めちゃくちゃ納得できる
パスカルの「人間は幸福を知った時点で不幸」的な話にも似てて、興味深く読めた
あと勝手に仏教的な考え方にも通ずるなと思ったりして、自分の価値観に近しい部分も多くて、点と点がつながっていく感覚もあり
なんで「ありがとう」がないのか、幸せという概念がないのか、みたいなところまで踏み込んだ内容だったらより楽しめたかも、教授というのが先行してしまってたけどアカデミックな感じでは全然なく読み応えに物足りなさはあった
現代の人間には完全にその価値観になることは無理かもしれないけど、「あれしなきゃ幸せになれない」みたいなしがらみから解放させて、案外こんなもんでも十分かも、って思える訓練を早くからしとくことが、生きやすさに繋がるとは思う -
Posted by ブクログ
幸せってなんだろう?お金をたくさん持っていること?結婚して家族をつくること?権力を持って人の上に立つこと?
多分今挙げたものは全部正解だし、全部間違っている。つまり、これが幸せ!と決まったものはなにもないのだ。
だけど、多くの人は自分、ないしは世間一般がイメージする幸せのかたちを追い求め、他人と比較して一喜一憂する。端から見ると自分で自分の幸せがなんなのかわかっていない滑稽な人に思えてまったく幸せそうじゃない。
でもこの本を読めば、幸せってなんなんだろうと悩んでいることがバカバカしくなることは間違いない。
私自身は特に目的もなく、会社の同僚に「おもしろかったから読んでみて!」と薦められて読んだだけなのだが、お金やモノに満たされた生活イコール幸せ、というわけではないということがよく理解できた。
ただ、本の中の言葉でこれだけは間違いないと思えることが一つある。それは「不幸な人は下ネタを言わない」。バカみたいな論理だけど結構真理を突いているような気がするので、これからは会社でもバンバン下ネタを使っていこうと思う。 -
Posted by ブクログ
学ぶとは何なのか、貧富の格差や権力の集中はどうして起こるのか、心の病はどうして起きるのか、人の死にどう向き合うべきなのか、人と自然はどう関わるべきなのか.何とも捉えどころのない質問に、ある程度的確な答えを提示する内容の本だ.現代社会でよく見られる問題ばかりだが、著者は狩猟民族のプナンやその他の原始民族へのフィールドワークから答えを導き出そうと思索している.学びという概念がない、ありがとうという言葉がない、権力者が存在しない、死を忘却して関知しない、人間と自然を別のものと捉えない.これらの状況が存在することは本書を読むまで気がつかなかったが、人類の祖先に近い生活を未だに営んでいる狩猟民族にその原点があることは、考えさせられることだと感じた.
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Posted by ブクログ
人類学に学生時代ふんわりとしか触れてこなかった身からすると、とても読みやすく、面白かった!ちくまプリマー新書、やはり良い。
単純に「同じ地球上でこんなにも異なる文化が育まれているんだ」という驚きと、「いま自分が抱えているモヤモヤはこの社会に特有の文化的葛藤なのか」という気づきとそこから抜け出すきっかけを授けてくれる、そんな側面を持つ学問が人類学なんだなあと勉強になった。
当たり前を疑う、前提を見つめ直す、という行為は、当たり前や前提が異なる「なにか」をヒントにすると少し難易度が下がるというか、やりやすくなる。そのためにも、未知のものを知る、触れてみる、できるなら体験する、ということは重要なんだなー。きっと。
•サカナやトリにとっては、「自然」は抗うべき対象ではなく、一体化するものです。他方で、船や飛行機にとって「自然」環境は、克服すべき問題なのです。
•知識は私たちの心を安定させ、不安を振り払ってくれる。知恵はぐらつかせ、不安にする。知識は武装し、統制する。知恵は武装解除し、降参する。
•学ぶとは「知識」を身に付けるだけでなく、「知恵」を重んじることであり、「知識」に「知恵」を調和させることです。
大切にしていきたい言葉も沢山あった!
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