この本に書かれていることは恐らく真実だと思いますが、昨年(2024)に定年退職して良い時代を過ごしてきたような私には、娘たちも含めた若い人達には大変申し訳なく思っています。この本に書かれていることを理解した上で、新しい時代を生き抜く力を養えるように、私としては微力ながらサポートしていきたいです。
以下は気になったポイントです。
・日航機123便墜落事件は、事件から40年が経過してもなお新事実が明らかになっています、厳しい状況を真相究明のために熱心に取り組んで、実名証言を引き出した青山透子氏の情熱は、もっと評価されるべきである(p37)
・日銀の窓口指導自体は1950年代から日銀が大手の都市銀行や地銀に対して、銀行から支柱への貸出量を規制する目的で始まったが、貸出枠よりも融資実績が下回った場合、その翌年には日銀の指導により企業への貸出枠が削減されてしまうことから各銀行は、日銀の貸し出し枠を消化しなければならなくなった(p45)
・竹中氏は雇用流動化の旗振り役として、2004年にはこれまで御法度とされてきた製造業の派遣労働を解禁するなど、正社員中心の雇用から首を切りやすい派遣社員中心への流れを作り、終身雇用の正社員が主流だった日本の雇用環境に、経営者にとって都合の良い非正規雇用を大量に供給することで、日本企業の競争力を上げようとしたが、会社にとっては使い捨て人材が大量に生み出されただけであった(p82)
・日本政府のバランスシートは単体では、15,7兆円@2020の赤字であるが、子会社である日銀を加えた統合政府では、純資産が9兆円である(p92)発行した国債は日銀に買って貰えば政府は返済を免れる、元本は借り換えを繰り返せば良い、政府が日銀に支払った利息は、国庫納付金の形で全額が戻ってくる(p97)
・2012年12月に発足した第二次安倍政権のアベノミクス(財政出動、金融緩和、成長戦略)は、緊縮予算から財政緩和へと路線変更した(p106)インフレ2%の実現は、就任後わずか1年で達成された、デフレからの脱却による景気回復に大きな貢献をした、ところがデフレ脱却に失敗したのは、デフレ脱却直後に焼夷税率を8%に引き上げたから(p108)
・2022年度のプライマリーバランスは、コロナ禍もあり80.4兆円の赤字を記録した(翌年は31兆円の赤字)財務省の主張に従えば、ハイパーインフレが起きてもおかしくなかったが、全く起きなかった。つまり、財政均衡主義は、机上の空論であった(p109)
・日本だけが、財務省という歳出を決定する期間と、国税庁という税金を徴収する役所が一体化している、財務省に逆らおうとすると財務調査がくるのは常識である、税金と経費がどこまでかを決めるのは国税調査官による自由裁量である(p122)
・5年に一度公表される「財政検証」では、過去30年間の平均的な成長率(マイナス0.1%成長)でも、所得代替率は50.1%であり年金制度は維持できるとしているが、報道にはない、「マイナス0.7%」のシミュレーションでは、2059年度に国民年金の積立が枯渇するので、保険料と税金のみでの運用となり、所得代替率は「33-37%」に落ち込む、つまり年金の給付水準が大幅に減少されることが予想される(p132)夫婦2人の年金収入が現在22.6万円が、将来的には13万円前後になる(p133)
・マルクスは今から150年前に「資本主義が行き詰まる4つの要因」を挙げている、1)地球環境の破壊、2)格差の拡大、3)少子化が止まらなくなる、4)ブルシット・ジョブ(どうでもいい仕事)が増えすぎること(p137)なぜ少子化が止まらなくなるかというと、労働者に対して、帰宅してから翌日に労働力を回復し、会社に出社できる程度の最低限の賃金しか支払わないことで利潤を最大化するから、子供を産み育てるまでの賃金を払わない(p138)
・現在は人類史上最大のバブルが世界中で起きている、日本の株式市場がバブル後の最高値を記録した2024年夏に、「日経平均が2000円になるかもしれない」と言ったところ、袋叩きに合っている(p150)経済学者ガルブレイスの分析によれば、バブルが起きるのは、画期的な製品によるものではなく、既存の製品を「さも新しい製品」であるかのように見せつけて売りつけた結果がバブルにつながると指摘している(p157)これから訪れる本当の大暴落は、暴落した株が値を戻してきたかと思えば、忘れた頃に暴落を引き起こす(p164)
・日銀が利上げをすれば、日本とアメリカの金利差は縮まり、円安から円高に進む、緊縮財政によるプライマリーバランス黒字化を目指しているので、日本経済はますます失速する(p206)2024年のIMF推定の購買力平価では「1ドル=91円」が妥当とされているので、米国発の株価の大暴落が起きれば、株価や指数の下落のみならず、円高による為替差損も覚悟する必要がある(米国の株式、投資信託は購入時より円高が進むと資産価値が目減りする)日本発の「令和恐慌」により一気に円高が進むと想定する。大暴落と円高のダブルショックが襲えば、「9割の大暴落」もまったく不思議ではない(p202)追加関税でも円高となる、プラザ合意後の円高不況の再来となる(p203)
・グローバル資本主義が行き詰まり、ガラガラと音を立てて崩壊し、新しい経済社会が誕生すると期待している、グローバルとは真逆の「ローカルな経済社会」が世界の潮流となる、大都市一極集中から地方分散へ、中央集権から地方分権へ、イメージ的には、小さな集落がクラスターのように複数できて、その中で経済循環が起きるような社会である(p207)
2025年4月28日読破
2025年4月29日作成