【感想・ネタバレ】遺言 絶望の日本を生き抜くためにのレビュー

あらすじ

霞が関での宮仕え、退官してからの経済評論家や学者としての活動のさなか、がんが判明、余命宣告……そんな森永卓郎氏と岸博幸氏の2人による日本社会へのメッセージ。

死と向き合うことでどう人生観や生き方が変わったのか。その他「霞が関を去った理由」「がん治療」「ザイム真理教」「失われた30年と経済産業省」「原発」「防衛政策」「対米従属」「小泉構造改革」「今の株式市場はバブルか?」など、多岐のテーマで語る本音トークが満載の一冊です。

【著者について】
森永卓郎(もりなが たくろう)
経済アナリスト。獨協大学経済学部教授。1957年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、経済企画庁、UFJ総合研究所などを経て現職。執筆をはじめ、テレビやラジオ、講演など多方面で活躍。2023年末に原発不明がんを公表し、現在、闘病生活を送る。著書に『森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ』(農文協)、『ザイム真理教』『書いてはいけない』『がん闘病日記』(いずれも三五館シンシャ)、『マンガ 日本を破滅に導くザイム真理教の大罪』『マンガ 誰も書かない「真実」 日航123便はなぜ墜落したのか』(ともに宝島社)など多数。

岸 博幸(きし ひろゆき)
経済評論家。慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。1962年、東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業後、通商産業省(現・経済産業省)入省。同省在籍時にコロンビア大学経営大学院に留学し、MBA取得。資源エネルギー庁長官官房国際資源課等を経て、2001年、小泉純一郎内閣の経済財政政策担当大臣だった竹中平蔵氏の大臣補佐官を務める。経産省退官後、テレビや講演など多方面で活躍。2023年1月に多発性骨髄腫の告知を受ける。著書に『余命10年多発性骨髄腫になって、やめたこと・始めたこと。』(幻冬舎)などがある。

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Posted by ブクログ

同時期に霞が関で働き、癌で余命宣告を受けている2人の対談。
過激な余命4か月の森永さんに対し、穏やかに受け止める余命9年の岸さん。
岸さんの本はこれまで1冊読んだだけだが、その時の本より岸さんがわかった気がした。
あの森永さんと相いれないこともありながら、基本は一緒、という感じ。
もっと政府寄りの人と思ってた。
竹中大臣に仕えていたこともあり、彼が批判を浴びることについて、
世間で言われているのと事実が違う、と語る部分と、
世間の評価にゆだねる部分を使い分けしているのは興味深かった。
森永さんはもうさんざ文化放送やらで聴いているので、新しい話はない。
この本が出されたのは去年の9月だから、余命4か月ならもうこの世にはいないはずだった。
自ら死ぬ死ぬ詐欺と言っているが、言いたいことを言うことが生命力につながっているのか、
まだ元気だ。

1章 さらば「霞が関」
2章 「がん」と向き合う
3章 「失われた30年」と経済産業省
4章 ザイム真理教
5章 防衛政策
6章 小泉構造改革
7章 株式市場はバブルか?
8章 森永流「これからの生き方」

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2025年01月24日

Posted by ブクログ

森永さんの命をかけた、魂をかけた、日本国民が知るべき、興味を持つべき情報が載っている。
自分自身の出世や利益だけを考えた、政府や経済省官僚には憤りと怒りを覚える。(勿論信念を持って国のために働いている方々も居ることは承知だが)
国や報道は必ずしも真実を国民に伝えているわけではない。国民に隠蔽していることも多々ある様だし、公平な報道ではないのかもしれない。私たちに開示されている情報は操作されているかもしれない。全てを鵜呑みにしない。情報を取捨選択する。興味を持つ。知見を持つ。この国に飲まれてしまわぬように。

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

立場や意見が似ているようで違うところもあるお二人の興味深い対談。

<以下、抜粋>
現場の力はまだ健在。
この「失われた30年」においても個々のお店の創意工夫によって進化を遂げて、日本独自の文化に成長している。これこそ「個人の力」
それだけ強い現場の力、個人の力があるのだから、企業に頼ることがなくても日本人は十分、幸せに生きていけるということ。

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2025年08月20日

Posted by ブクログ

わたしたちがいかに、何も知らずにいるかということを思い知った気がする。政治に関心がないではすまされない。わたしたちの生活そのものが、わたしたちの知らないところで取り決められているのだ。自給自足、地産地消が実現できれば、幸せ度はぐんとあがるだろうと思う。農業に対してもっと関心をもちそこへの援助なども高くなっていけばいいと思う。日本航空の件は、恥ずかしながらあまり、知らなかった。このことをはじめに、メディアもいっしょになって無視をする姿勢に怖くなる。私たちの知らない巨大な力が動いていることがわかる。都合の悪いことは、本当にテレビなどでは、いっさい流れない。ネット世界になり、少しは情報も得られるようになったけれど、森永さんが最後に命をかけて伝えようとしたことは、テレビなどでは一切知ることはできない。たくさんの本を残してくれたことに感謝する。

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2025年06月11日

Posted by ブクログ

経済アナリストと元竹中平蔵大臣補佐官、病魔に冒され余命を宣告された二人の対談。アンチ財務省は共通するが意見は異なる。森永さんがつっこみ岸さんが返して対談が進む。何が正しいかはわからないけれど、自分は次世代に負担を秋送りしたくないので財政再建をしてほしいと思っている。少なくとも現在国会で議論が進んでいる財源論を無視したポピュリズム政策はごめんだ。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

死ぬまでどう生きるか。余命の長さで発言の仕方が違うのもあるが、その人のもともとの感性の違い、バックグラウンドの違いなどもあると感じた。良い対談だったと思う。

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2024年12月14日

Posted by ブクログ

正直難しい経済の話や過去の政策の是非については私の理解力が低くよくは分からなかった。ただ、日本の国や経済がうまく進んでいるわけではないことはわかった。また、原発をどうするのかということに関しても、賛成と反対側からの意見が書かれており、大変興味深かった。

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2024年11月20日

Posted by ブクログ

森永氏と岸氏による対談本です、岸氏の書いた本は初めてですが、長く官僚を経験された後に今に至るとのこと、両氏の共通点は、癌で余命宣告を受けていて、それを公表した点にあります、違いは森永氏は半年と宣告されたのに対して、岸氏は余命10年とのことです。

森永氏は本の中でも述べられている通り「失うものはない」という覚悟で、公表してはタブーとされている内容も多くかたらています、それに対して岸氏は違う意見を持ちながらも、オブラートに上手に包んで品のある解説をされています、どちらが良いという訳ではなく、二人とも素晴らしいと感じました。こうした本を読める私は幸せです。

以下は気になったポイントです。

・日本経済がグローバル資本主義に巻き込まれ、高度経済成長期に上手く機能していた仕組みが続けられなくなったことが背景として存在していると考えている、その最大の原因がこの40年間にわたって強まってきた対米全面服従路線にあるという点についても、岸さん(共著)と認識を共有できた(p5)

・役所の中途採用の場合、それまでのキャリアの年数は2分の1でカウントするという妙なルールがあった(p24)

・ベストセラー「書いてはいけない」を出してみて、予想が綺麗に当たった、テレビの報道・情報番組のレギュラーは全て干され、唯一「ガッチリマンデー(TBS)日曜日730」のみが残っている(p41)

・GDP全体の物価を示す指標(GDPデフレータ=国内で作られた付加価値(賃金+利益)の物価で、輸入原材料の値上がりの影響を受けない純粋に国内要員だけの物価)は、昨年度(2023)は 4.1%上昇したが、そのうち賃金に回ったのは0.3%(全体の7%)であり、残りの93%は企業利益の拡大に回ったので、国民は豊かに慣れなかった(p45)

・最終処分地の立地は、地盤が安定していることが絶対条件になるので、昨年10月に地球科学の専門家300人が「日本に最終処分場の適地は存在しない」と声明を公表している、つまり地層処分は、そもそも不可能である、このことを小泉元総理は退任後に理解した(p67)

・太陽光や風力発電は発電効率の問題もあるが、発電できる時間が限定されるので、その電力を貯める蓄電池の重要性が大きい、大容量でしっかりしたものにならないと再生可能エネルギーばかりに頼れない、1)CO2削減、2)電力価格を下げる、3)火力発電用の輸入燃料を減らす、の3要素を満たす観点から、ある程度は原発が必要になる(p70)

・人事面で増税するとポイントがつく、というシステムがある。タバコ税は何度増税しているか分からないが、増税して「タバコ税」の税収全体が増えたことは一度もない、喫煙者は減るので(p78)

・三菱重工の子会社が開発していた「三菱スペースジェット」という国産ジェット機は1兆円規模のお金がかかったのではないかと言われているが、昨年事業が撤退に追い込まれた(国内で製造しようとした)、アメリカが型式証明を出さなかったから、資金も人材も全てが無駄になった、日米同盟と言いながら、日本にはジェットを飛ばさせない、みたいな話である、ホンダジェットが世界中で評判良く飛んでいるのは、アメリカで製造しているから(p97)

・不良債権というと、バブル期に誰も来ないような場所にいい加減なテーマパークを造って、結局ペンペン草が生えてしまうというイメージを持つ国民が多いようですが、実態はバブル崩壊で都心の地価が3分の1に下落して、不動産担保の価値が融資額を大きく下回ってしまった、その担保割れの部分が不良債権の大部分を占めた(p102)

・外国人労働者の増加でメリットを受けるのは、それを雇用する企業だけで、そのツケは中長期的に国民全体に回ってくる、この結論は私(森永氏)が担当したシミュレーションで一度も揺るがなかった事実である(p115)産業界の要望にのみ基づいて、無節操に低技能の外国人労働者の受け入れを増やすことを決めた岸田政権こそ問題である(p116)

・新NISAに踊らされて「オールカントリー」とか「S&P500』に投資している人は、1つは株価の暴落、もう1つは3割以上の急激な円高、そのダブルパンチによって資産額が「7%=93%減少」にまで減ることになる(p122)

・AIが活躍できるのは、ポケモンのようなキャラクターを盗用するビジネス、もう1つは、フェイク動画である(p127)

・マルクスは資本主義が行き詰まる要因として、1)地球環境が破壊される、2)許容できないほどの格差が広がる、3)少子化が止まらなくなる、4)どうでも良い仕事が蔓延する、の4点を挙げた、今の日本社会は限界値を超えるほど深刻な問題になっている(p133)日本社会の問題として「東京一極集中」と加えるべき(p134)

・日本人の平均寿命は2022年まで2年連続で短くなっている(女:87.71→87.09、男:81.56→81.05)少子化も国が滅亡するほどのペースで進んでいる、大都市の高コストの中では子育てができないどころか、非正社員の場合は、結婚することさえできない、大都市生活への警告はすでに発せられている(p139)

・1992年12月24日に「国会等の移転に関する法律」が公布、施行された。この法律に基づいて国会等移転審議会が設置され、1999年12月20日に新議会は答申をまとめた、この中で移転先候補地に関する総合評価を行い、その移転席候補として、北東地域の「栃木・福島地域」と東海地域の「岐阜・愛知県地域」の2箇所に絞り込んだ。これを受けて2000年5月18日に再び決議を行い、それから2年を目処に候補地を一本化することを求めたが、これを最後に国会は動きを止めている。国会が東京一極集中を問題にした1990年の1188万人から、2020年には1400万人と17.8%も増えてしまった(p142)

・日本では表面上は若者の活躍を求める声が多いが、いざ現実に若者が新しいことを始めると、支配層である年寄りが自分達の価値観でそれを否定する(p148)

2024年11月1日読破
2024年11月2日作成

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2024年11月02日

Posted by ブクログ

自分に経済の知識が無いので、判断ができない部分は多いけれど、一国民は粛々と自分のできることをして暮らしていくしかないのかな…と思う。

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2025年08月15日

Posted by ブクログ

経済に詳しい森永さんと岸さんの対談をまとめた本です。とにかく日本の未来は暗い。30年以上前から終わっていたのかも。日本がひどい格差社会であり、世界から見ても微妙な国であるかを再確認。

国や会社は助けてくれない。だから個人の幸せを第一優先して生きていこうと思いましたね。特に森永さんが言っていた通り、田舎や郊外に住み、野菜や電気を自給していく生活スタイルは共感。自分のできる範囲で個人の幸せを掴んでいきたいです。

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2025年07月24日

Posted by ブクログ

感想
森永氏は死ぬ前に言いたいこと言うと言って、財務省の話までは良いにしても日本の株価が2000円になるとか、なんでもかんでも国の政策に反対すれば良ってもんじゃ無いと最近思い始めてきた。


悲観的すぎるんだよ。良い大人が将来に良い未来を見せないで批判ばかりしてどうすんの?とも思ってしまう。


らすじ
二人の病気のことから、日本経済をダメにした犯人、最近の国策である半導体事業、通産省の凋落、竹中平蔵の功罪、これからの日本がすべきこと。

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2024年12月21日

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