【書名と著者】
新NISAという名の洗脳
森永卓郎
【目的】
新NISA、ようは年金の将来が怪しいから、国民は資産形成をせよという文脈で資産運用を奨励する制度との認識である。
この制度を活用すべき、S&P500やオールカントリーのインデックス投資をしましょうと、マネー系インフルエンサーが各所で発信していたのは記憶に新しい。
この投資しろしろと風が吹く中で、経済アナリストの目線で新NISAに異を唱える意見を知り、自分の投資行動を具体ではなく抽象論で大所高所から考えるべく手に取った。
【読後感】
ちょっと極端な論が混じっている。ファクトも交えているが、森永卓郎によるライフスタイル提案のような印象を持った。
すぐできることとして、物価連動国債ファンドの購入はアリと感じた。
ソーラーパネルで電気代を浮かせ、は現実論としてはありなのだが、これって割高な電気を売って、電気を買ってる人たちの負担を増やす政策に乗っかっているものなので抵抗感がある。
【印象に残ったポイント】
・森永卓郎は経済アナリストではなく、金を稼げている仕事が経済アナリスト
・売れるかどうかは時の運(売れなかったゴッホ、売れた小坂大魔王)、だから好きなことをやれ
【ふりかえり・気づき】
・カネやモノや人間関係に縛られず好きなことをやれ、は心理と思う。ライフオブイノベーションでもクリステンセンが語っていたのが記憶に新しい。
・好きなこと、ずっと継続できるか?を考えてしまう。見つけるためには、考えないことも大事。
【要点】
序論としては、貯蓄から投資へ、という号令がかかったものの本質的にコレは国家ぐるみのSNS投資詐欺みたいなものである。
ある日、このバブルは崩壊する。政府など権威のある実体する分、SNS投資詐欺に比べ、みんなが引っかかってしまうので悪質。
1.否定される6つの投資神話
・公的年金の不足には投資?
日本経済が低成長の場合にはハイリスクな投資が必要。
・分散投資なら安心か?
バブル崩壊したら株価は一斉に下がる。
・長期投資で預金より利回りいい?
そもそもCAPEレシオ(実質物価を加味した10年間のPER移動平均)で分析すると理論的に2.5倍の割高状態。
・米国株に投資をすべきか?
好調なのは為替投機で振れた円安と米国株のバブル起因だからやめとけ。
・専門家におまかせすべき?
専門家の9割はパッシブファンド以下のポンコツ。
・株価が下がったら?
買いではない。バブル崩壊に備えて早期撤退せよ。
2.否定される6つのライフスタイル神話
・大都市は魅力にあふれてる?
金がかかるし、暮らしの維持に投資詐欺のカモになるのがオチ。
・都会で電気を買うのはどうか?
地方にインフラ負担を強いるべきではない。
・食料は買えばいい?
日本の食料自給率は38%、金で買えなくなる時代が来る。
・東京は安全安心?
今まで幸運だっただけ。今後30年のうちに7割の確率で発生する首都直下型地震と大量の神流により感染症が高い。
・老後も働き健康と生きがいの一石二鳥?
現実的には生活費のために働く人が多い。だから、生活コストを下げればよいのだ。
・都落ちは難しい?
身の丈に合った暮らしと自由を味わったほうがいい。
3.豊かな老後を築くマネー戦略
・収入増よりも、生活コスト減による医療費負担の削減。トカイナカで暮らすべし。
・バブルがはじけるから投資から手を引き、預貯金。またはインフレ備えで物価連動国債を買うべし。ただし一般国民が買うのは難しいので、MHAM物価連動国債ファンドを買えばよい。
・金のためにいやな仕事をしない。公的年金で基礎消費をまかなって好きなことをすればいい。
・太陽光パネルで電気代をタダにせよ。「タイナビ」用い試算すると、ざっくり6年ライフ70万円で売電してトントン。
・食料自給せよ。農業すればメシウマだし支出も減るし楽しい。
・住民税非課税世帯となれ。年収をうまく下げれば何かと行政支援が手厚い。
4.豊かな老後を築くライフスタイル
・生きがいのために好きなことを、とにかく色々やってみよ。できれば目指せ世界No.1。
・教養を身につけよ。知識と興味がないと、楽しめるものも楽しめない。
・Die with Zero、お金は生前整理せよ。死ぬ直前まで金をためるのは金に依存した生活をしてるからだ。Goトカイナカ。
・モノの断捨離。まずは、、仕事を辞めたらスーツを捨てるところから。
・教養をインプットし、アートをアウトプットせよ。本人の創造性が発揮されれば、なんでもアート。
・目指すは一億総アーティスト社会。
・オープンな人間関係≒コミュニケーションの有料化により、自分の時間を守る。コストもリスクも負わない人や、事象友人からは距離をとるべし。
・何も持たず生まれ死ぬのが人生。だからカネやモノや人間関係に縛られず、自分の幸福を追求すべし。