夏海公司のレビュー一覧
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夏海公司のなれる!SE 4を読みました。誰でもできる?プロジェクト管理という副題のついた、なれる!SEシリーズの4冊目です。期限もリソースも考えずにダボハゼのように仕事を取ってきて、担当者に無茶振りする社長のいる最悪なIT会社に就職した桜坂工兵のSE残酷物語の4冊目でした。まだ入社して4ヶ月の工兵はあるプロジェクトのメンバとしてキックオフミーティングに参加するのですが、そのプロジェクトは管理がめちゃくちゃで期間内に完了する見込みもなく、雇われPMは逃亡してしまいます。工兵の会社の社長は、うちには優秀なPMがいますから、と仕事を請け負ってしまい、工兵に無茶振りしてくるのでした。プロジェクト管理とは何か、ということも知らない工兵はプロジェクト管理の参考書を読み始めるのでした。まあ、ラノベなので、工兵の努力は報われ、いろいろな偶然も重なってめでたしめでたしとなるのでした。この作者は、桜坂工兵をSEというよりは、理想的な管理者の卵として描いているような気がします。いままでにやったことのない仕事が振られてもどん欲に仕事の仕方を学んでいく、仕事の達成のシステムに興味があって学ぶことが楽しい、同僚やお客様と人間関係を良好に築くことができる、ステークフォルダーに理を説いて説得することができる、いざとなったら目的を達成するために自分や同僚に負荷をかけることができる。私の周りにもこういう人はいて順調に出世していますね。konnok自身はそうじゃないのが困りものですが。
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夏海公司のなれる!SE 3を読みました。失敗しない?提案活動という副題のついた、なれる!SEシリーズの3冊目です。設立5年目の弱小IT会社に就職した桜坂工兵のSE残酷物語の続編でした。まだ入社して3ヶ月の工兵はひょんなことから大企業の提案活動をしなければならなくなります。ノウハウも経験もない提案活動、大規模な機器調達やネットワーク構築の提案書を作ることができるのか。そして、受注を勝ち取ることができるのか。まあ、ラノベなので、立華や梢やカモメさんが活躍してめでたしめでたしとなるのでした。今作でもカモメさんの隠された姿が現れて、正体は何者なのかどんどんわからなくなってきます。自分が休みの日に自分の席に監視カメラをかけておくなんてのは、常軌を逸しています。それにひっかかる工兵も工兵なのですが。工兵が就職したのはブラック企業という設定なので、読む前はマル暴のシノギ管理システムのような反社会的な開発を請け負う会社かと思っていました。でも小説を読んでみると、かなり誇張されてはいるものの、会社としては普通の会社で、社員の作業管理がメチャクチャなだけなんですよね。まあ、そんな感想を持つこと自体が、この業界に毒されているということなのかもしれませんが。
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ネタバレ2011年33冊目。
282頁。
書店で購入。
≪本文引用≫
p.82
瞬間、工兵は理解した。
梅林が大人しくJT&Wの非を認めた理由、工兵に頭を下げてきた理由。
そうすることが一番効率よくトラブルを収束させられるからだ。
p.113
「細かい技術論なんてお客さんにはどうでもいいんです。そうではなくて価格とかサポートレベルとか、あるいは新しいワークスタイルの提供とか。・・・・・・要はお客さんのビジネスにどういうメリットが生まれるか具体的・定量的に説明できますかって訊いてるんです」
p.143
「提案書を章立ての観点で検討するメリットはいくつかあります。まず提出物の確認でお話ししたのと同じ、全体の作業ボリュームを見積もれるということ。次に提案書のページ数を事前に決められること。-今回はともかく、案件によっては提案書のページ数に制限をかけてくるところもありますから。そういう場合、全体で何ページ使えるかあらかじめ分かっている方が望ましいわけです。そして最後に一個、これが重要なんですけど、章立てを決めておけば複数の担当者がパラレルで作業を進められる。各章を分担してあとで一つにまとめあげられるでしょう?事前に全体構成が決まってなかったらこんなことできません。提案書の規模が大きくなればなるほど章立ての事前検討は必須になっていくわけです」
p.178
『坊ちゃん、坊ちゃん。お客さんはね。自分の欲しいものが何か、意外と説明できないものなんですよ』
p.289
「提案は企業がするんじゃない、人がするんです」
p.295
ある業界に就職してよいかを判断する方法は一つ「その仕事、年中無休でやってても楽しめる?」と自問自答してみることかもしれません。 -
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あれですな、同じ電撃文庫の「彼女は帰星子女」に近いものを感じます。コメディタッチの「彼女は~」と比べるとだいぶシリアス分多めですけれど。
《選考委員奨励賞》だったのは上記にあるように「異文化交流モノ」で既に似たモノがあったのがネックだったのかもしれませんが、正直第14回大賞の中では1,2を争う出来だったように思います。(私的対抗馬は「君のための物語」。)
あえてケチをつけるならややボリューム不足なところでしょうか。もう少し長い時間読みたかった、とは贅沢な話ですが。
読みきりっぽい終わり方でしたし、第1巻とも銘打っておらず続編が出るのかどうかはわかりませんが、続きが出るならぜひ買いたいと思える良作でした。
挿し絵の雰囲気もあいまって非常に爽やかな印象のボーイ・ミーツ・ガール。
あれほど鬱くはないですが「イリヤの空、UFOの夏」あたりが好きなら結構いけるかも? -
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1巻。『なれる!SE』のスピンオフという書き込み見て読みました。が立華達に逢えることを期待すると残念な気持ちになるかも。
主人公の勤務先は『なれる』に出てきた日本有数のIT企業で、ここでもスルガシステム並みに上司の無責任な要求に振り回される社畜の様子が描かれています。ただ本作の主人公は自ら二足のわらじを選んで自分で自分の首を絞めているところはありますが、そんな過酷な状況で逆に闘志を燃やすタイプでした。どん底を見た人は強い?
作品内作品と本作の主人公と編集者の関係が重なって見えました。『なれる』がIT業界の指南書にも例えられるように本作も小説の書き方を観念論ではないsystematicに示しています。
立華達は出てこないけど『なれる』のように"理不尽な要求"、"重なる障害"、"孤立無援"を"目から鱗の対応"、"意外な援軍"、"24時間戦えますか"で強行突破していく所がスピンオフと呼ぶに相応し作品と思いました。 -
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★舞踏会に呼ばれたらデスマッチでした!(p.240)
・結婚の準備に入っていたら相手に去られやけっぱちになっていたところで過去の夢、小説を書くことを始めてみた累さん。ただし、バリバリのキャリアウーマンである自分は捨てないまま。
・阿鼻叫喚の両立が始まる。無理難題を押しつけてくる会社の上司たち。そして、地獄の獄卒のような凶相の編集者、愛宕の次から次へのダメ出しとの板挟みにくじけそうになりつつも辛うじて踏みとどまりつづける累。はたしてデビュー作出版にたどり続けるのか?
・兼業作家の皆さんはすごいもんやなあといつも思ってます。いや、兼業だからこそすごいエネルギーが出てくるのかもしれませんね?
■簡単なメモ■
【一行目】ファミレスにキメラがいる。
【青葉策太郎/あおば・さくたろう】売れっ子作家。ミステリをベースにSF、ファンタジー要素が入りカテゴライズ困難。覆面作家で正体不明だが累は偶然出会いアドバイスをもらう。
【愛宕信司/あたご・しんじ】神楽坂出版第二出版部。累の担当編集者。手足が長く精悍だが凶相。異端審問が始まるかのようなプレッシャーを与える。三十一歳らしい。
【荒巻】ファイアウォールチーム髄一の石頭、ミスター・ルールブック。でもスタジオ・ミュージシャンのような副業を持っていてクビになる。ルールの方を変えさせようとしていたらしいが間に合わず露見。意外な協力者となる。
【泉崎章子/いずみざき・しょうこ】神楽坂出版第二出版部カグラ文庫編集部シニア・エディター。要するに編集者かと。当初担当編集になるはずだったが急な異動で愛宕に変わった。
【泉貴樹/いずみ・たかき】→タカキ
【貝ヶ森/かいがもり】歴史小説作家。『影武者信玄』とか『真田群雄記』などを書いた。
【会社】ここでは日本有数の通信会社JT&Wのこと。累が勤めている。
【神楽坂出版】新宿区神楽坂付近にある。カグラ文庫大賞を主宰している。
【キミ】広瀬君枝。会社の後輩でなついてくれている。
【キリコの旅路】→ストロベリーフィールズ
【黒松】本部長。
【兼業作家】《舞踏会に呼ばれたらデスマッチでした!》p.240。森博嗣さんや海堂尊さんなど兼業作家は多いけどそういう人ほど多作だったりします。どうやって時間を捻出しているのでしょう。エッセイっぽいのに書いてたりはしますがそれでも想像しにくいです。たぶん兼業作家だからこそ作品創作へのエネルギーが強くなるものなのでしょう。ぼくならクビ覚悟で余計な仕事はしない(できない)社員となって自分の時間を作りそうやけど累さんも含めデキる人はそんなマネしないようです。
【出版のレベル】愛宕《平たく言えば出版のレベルに達していないということだ》p.109。累はショックを受けているがよっぽどの人以外、新人の作品のほとんどがそんなもんだってことは、かつて文芸部に入っていてしかも作家を夢見たことのある人だったら知ってるような気はします。最初の頃はほとんど編集者が書いているんではないかというくらいのもんで自分の存在価値に疑問が生じるくらいだろうということは。
【ストロベリーフィールズ】ビートルズの曲ではなく、累が第十四回カグラ文庫大賞審査員奨励賞を受賞した作品の題名。元は『キリコの旅路』という題名だったが愛宕の発案で出版時に変更。印象的な苺畑のシーンがあるのとビートルズの曲のモデルとなったのが孤児院で登場人物たちの境遇に合致する。以前バンバンのラジオ番組でストロベリー・フィールズ・フォーエバーのあらゆるバージョンを連続して聴いたことがあって刷り込まれて愛着がわいてしまいました。
【タカキ】八乙女累が長年同棲して結婚の準備を進めていたら親の横槍で彼の腰が砕け別れることになった。小説を書こうと思ったきっかけではある。
【楽しめ】《 楽しめ。/ 人生を、世界を、そして今この瞬間を。》p.272
【できないって言うな】累のいる会社の合言葉のようなもの。作家としての累にとっても重要なワードではある。
【富沢】課長。
【ナミコ】高校時代からの友人。
【広瀬君枝/ひろせ・きみえ】→キミ
【プロット】累さんは応募作品を特にプロットも立てず書いて受賞したのだからけっこう凄い才能では? よっぽどその世界がよかったんやと思います。懸賞小説とかラノベとかでは絶対に必要なものでしょう。特に情報関係でバリバリに有能な営業員やし当然のように設計図作りそうなもんやけど。ターゲットの設定とあわせて。小説ならマインドマップとか、岩波新書みたいなタイプやったらマンダラチャートとか使えそうな気がする。社会人なら普通に使ってそうなんやけど。まあ、めちゃくちゃ文章が上手いとか味があるとかユニークとかやったらプロットなしでだらだら進んでなんとなく終わっても楽しかったりするんやけど。吉田健一さんとか石川淳さんとか深沢七郎さんとか、そういう特殊能力を持ってる人以外はちゃんとした商品にするためにはやっぱりなぁ(あ、吉田健一さんたちがのんべんだらりと書いてると言ってるわけではないです、念のため)。
【八乙女累/やおとめ・るい】→累
【累/るい】八乙女累。主人公。通信会社JT&W営業職にして小説家。二十六歳、女性。道立札幌M高校時代は文芸研究部所属。勝ち組人生だったのが不意に挫折した空白感を埋めようとしたとき小説を書く楽しみを再発見した。