戸谷洋志のレビュー一覧
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スマートな悪
voicy 荒木博行のbook cafeでマスターが熱弁していたので読みました。
私もかつてはsociety5.0の中にいて、スマートな未来を作ろうとしていましたが、それが本当に善なのかはあまり疑わなかったですね。
インフラコストを下げるのは疑うことのない善だった。
スマートになることによる世界への不感症、システムに組み込まれる人、そしてアイヒマンへ。
選択肢が多いとつかれる。楽な方へ流れてしまう自然人としての力学を理解して、複数に所属すること、いつでも変われる自分でいることが大事だと思わせてくれる本でした。
人はシステムの中でしか生きていけない -
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有名なJポップ15曲の歌詞を、恋愛や時間、死、人生などのテーマで哲学するという面白そうな試みに惹かれた。しかし、15曲中脳内再生できるのはせいぜい5曲ほどで、今も好きでよく聴くのは「天体観測」と「閃光少女」だけ。他の曲もよく知っているとより楽しめただろうな。「閃光少女」の今現在この瞬間をテーマに据えるって、なかなか難しいと思う。軽い、ありきたりな歌詞と思っていたが、解きほぐすと読み応えがあった。
それだけ人間はずっと同じことで悩み、普遍的な真理に到達しているということか。
Jポップは特に、曲の構成や各楽器の美味しいフレーズ、歌い方などを重視して聴くため、歌詞はユニゾンのようにまったく意味が -
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ドイツの現代思想が専門の若い哲学の先生と、今年から大学1年生の麻衣さんが対話をしながら、自分らしさとか、現在は何のためにあるのか、人生はどう意味づけられるのか、といったことについてJポップの歌詞を題材にしながら思索していくという本。取り上げられているJポップは14曲で、ミスチルの「名もなき詩」からバンプの「天体観測」という、おれの中高時代?らへんの曲とか、おれがカラオケで歌う嵐の「Believe」とかいきものがかりの「yell」とか、あとは全然知らない乃木坂の曲とか。基本的には2000一桁年代の曲が多い。それぞれのテーマで、過去の西洋の哲学者が引用されている。
全体的にはなんか簡単なこと -
Posted by ブクログ
哲学に精通した著者がJPOPのヒット曲の歌詞から5つのテーマについて哲学の観点からの考察を対話形式で書いた一冊。
自分、恋愛、時間、死、人生という5つのテーマについてJPOPの曲から考えるという斬新なものでありながらも内容は深く各楽曲の深い世界観を味わいながらも哲学の概念も学べて勉強になりました。
相互承認や至高性といった哲学者たちの概念や恋愛における癒合性、星の友情など言葉にできない人間の心理的な描写を哲学で表現することによってより歌詞の意味を感じることができると感じました。
また、歌詞における主人公の置かれた立場や状況を考察することでより曲の世界観や作詞家の意図なども読み取るきっかけに