戸谷洋志のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
付録にあるハンナ・アーレントの略年譜を見て若い時に戦争、強制収容所を体験し、労働とは一体なんなのかと強く問わざるを得ないようなご経験をされた上で『人間の条件』を書き上げたのかもしれないと、感じた。
地獄を体現したような強制収容所で、報われることなく殺される人々働かざるをえない人々をハンナ・アーレントは目撃しているはずだから。
彼らの無念さという沈黙と、戦争の冷徹な時代の沈黙を、ハンナ・アーレントは赤子が誕生した時一息吸って大声で力強く泣き叫ぶように、突き破るために『人間の条件』を書いて世界へ生み出したのではないかとわたしは想像する。
強制収容所の言葉で“働く”という意味と、ハンナ・アーレント -
Posted by ブクログ
「人間の条件」は私にとって、何度もチャレンジしたけれども途中で挫折する難解な著作でした。岡本太郎が、この本を激賞していて、夢中で読んだということだが、自分の頭では少しも面白く思えなかった。そこで2時間あれば読めるこのすごい古典入門を読んだわけですが、やっぱりよくわかりませんでした。結局のところ、アンナ・アーレントが人間の活動を労働と仕事と活動の3つに分ける考え方そのものに同意できないのです。そして労働は自然に強制されて行う毎日の生命活動を維持するための活動でそこには自由はないのだという。そして人と連携しなければできない活動こそが、個人の複雑性は生かされるので価値があるのだという。
なんのこっ -
Posted by ブクログ
うーん なんか思ってたのと違ったかも
子供向けに「概念」っていうのがあるよってわかりやすく書いただけの本だった
ところどころ出てくる「AはBだからCである」みたいな話が、結構本当にそうかな?みたいな弱さを感じてしまい 全体的に何が言いたいのかもよくわからなかった
最後のAIのくだりも「AIはすでにあるデータのアウトプットしかできない=概念思考はできない」って話だけど、実際AIと話してると嘘やバグみたいなのめちゃめちゃあるし、AIが概念で思考してると言えなくても人間からみたら概念思考(新しい概念で考える)してるって言えること絶対あると思うんだけど
人間も結局すでにあるデータから思考をしてるし、そ -
Posted by ブクログ
ネタバレ表題が面白そうで読んでみた。
自己中、意地悪、復讐、自傷行為、空気を読まないこと、反逆はなぜ楽しいのか?楽しさの原因はあまり書かれていなかったように感じた。
ただ人間は、以下のような欲求があるということを再認識できた。
エゴイズム=自分の快楽を求めること
悪意=他人の苦痛を求めること
同情=他人の快楽を求めること(苦痛を減らす)
通常悪意は良いものとされないし、自分はそんな酷い考えはしないと思っていたりする。
だけど、ゲームや物語では悪役がぐぬぬとなることを求めてたりするよね?と。
悪役や犯罪者がスッと死のうが苦しんで死のうが私にはなんの影響もないのに、被害者と同じ痛みを味わって欲しいと、 -
Posted by ブクログ
ハンナ・アーレントは知ってはいるもののその思想や主張といわれると全く知らない…という訳で購入してみました。
薄くて字が大きくて読みやすいです。
『人間の条件』というアーレントの著書を中心としてアーレントの思想を解説した本です。
アーレントは全体主義を強く批判しました。それはなぜかというと、人間を画一化し複数性を奪うからです。また、資本主義社会も人間を画一的する点や無限の勢力拡大志向において全体主義とよく似ているといいます。では、いつから複数性は失われたのか…ということを古代ギリシャまで遡って考えていきます。
現代では、労働こそがもっとも重要な活動だと考えられていますが、それは歴史的に形成され -
Posted by ブクログ
「論破王」と呼ばているらしい西村ひろゆき氏や「ポスト・トゥルース(事実より感情を大切にする概念)」を象徴するトランプ大統領を念頭に、議論において「論破しようとする」態度ではなく会話を成立させる心がけを啓蒙するという本。哲学の領域なので面倒くさくなる話をなるべく分かりやすく描いている。
時代の風潮に対する危機感から本書を書いたと思われる。ひろゆき氏の手法に対する言及が多い。私自身はその手法は「眉をひそめたくなる」もので、本書で述べられる通り論破自体が目的化しており、会話とは別の種類のものとしか受け止められない。
トランプ氏の言説も同様で「支持する人は支持する」のであって、支持する人の声が大き -
Posted by ブクログ
アーレントの主著『人間の条件』を題材に彼女の「労働」に対する思想を古代ギリシャでの考え方にまで遡って分かりやすく解説された入門書。
彼女は人間の活動を、労働、仕事、活動の3つに分類し、「労働」は生命維持のために必須であるが、それ以上に人々が関わり合い新しいものをうみだす「活動」を重要視した。
それが近代では重商主義の誕生などに端を発し、そのヒエラルキーが逆転してしまったと主張している。
しかし、この逆転現象は長い歴史の中で、ごく最近になって出てきたものに過ぎず、労働が絶対的に重要であると考える必要はない。
アーレントの『人間の条件』は「労働」に対する考え方に答えを提示するものではなく、一思 -
Posted by ブクログ
詭弁も論破も、あまり印象のよい言葉ではない。詭弁を弄して相手を論破することは、本人は爽快かもしれないが、相手は納得いくものでないだろう。
その意味で、ひろゆきの論破芸は相手が理屈に合わないことを認めさせるというよりは、第三者に相手を論破したと認めさせるという要素がある、という著者の見立てには納得感がある。国会の議論もそんなものだろうし、SNSに至っては論破もへちまもなく、議論の体もなさずに主張や中傷が繰り広げられているようなことが多いようにも思う。
では、建設的な議論をするにはどうしたらよいか。著者は近代民主主義の成立過程において各自が読書体験などを自由に論じ合う公共的体験=社交に焦点を当て、 -
Posted by ブクログ
論破ではなく、緩やかな対話をする姿勢を。
ひろゆき氏の論破に端を発して、彼はなぜ論破ができるのか、その問題点から、ポストトルース時代の議論へと話は発展していく。
自分として特定の主張は持たず、第三者を納得させることを意識するから論破できるというのは、納得感があった。エビデンスの捉え方について、理系的に考えようとする自分でも最近そのエビデンスがそもそも正しいか?それはエビデンスになるのかという事例に触れるにつけ、使うことの難しさを感じている。
哲学的な議論も踏まえて、最後のまとめの中でひろゆき氏と論破(を前提とした討論)ではなく、対話を目指していこうというのは、そう来たかという感じで新鮮だ