戸谷洋志のレビュー一覧

  • 友情を哲学する~七人の哲学者たちの友情観~

    Posted by ブクログ

    読みやすい、それぞれの哲学者から引用して友情の形を推定、定義していく

    一番しっくりきたのは、ニーチェとマッキンタイアで、
    ニーチェは、人間は友人を理解しきれずむしろ理解していると誤解することは友人の未知な部分を既知なものに置き換えてしまう失礼なこと、理想なのはそれぞれが苦悩に打ち克てるようになる関係にあること(支え合うイメージでもいいしライバルでもいい)

    マッキンタイアは、自律性を大事にする他哲学者と異なり、障碍者を例に、人は少なからず依存しあっており、依存でも善を開花させるような依存は問題ないと。

    筆者の言うとおり色んな形があるため厳密な定義は必要ないと思うが、理想的な人間関係を言語化

    0
    2025年11月27日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    今まで、わたしの嫌いな言葉ランキング1位は「親ガチャ」だった。それは、「生まれる環境によって不利益を被ることはたくさんある、だが、それでもなお自分の人生を投げ捨てずに戦い抜くことにこそ意味がある」という私の価値観を揺るがす言葉だと思っていたからだ。

    そのように思うのは、親ガチャという言葉が流布する前に、わたしも同じようなことを考えていたからだ。
    過去の自分が抱き、自分の人生から逃げる言い訳にしていた概念に、「ガチャ」という比喩ではっきりとした輪郭が与えられた。
    この言葉を初めて聞いたときは、絶対にこれを拒絶しなくてはいけない、これについて語る人がいたら耳を閉じなくてはいけない、と本気で思って

    0
    2025年11月04日
  • 悪いことはなぜ楽しいのか

    Posted by ブクログ

    なぜ楽しいんだろうねぇ。
    『こころ』の先生も、意地悪だし。

    なぜ楽しいんだろう、という問いのきっかけになる本。

    0
    2025年10月19日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    自己責任という言葉の構造や浸透の経緯を確認し、ハンス・ヨナスの哲学から「誰が責任を取るのか」よりもむしろ「誰に対する責任があるのか」へと責任の捉え方をリフレーミングし、キテイの議論からケアの倫理に参照しつつ社会における相互依存のあり方を検討し、バトラーでまとめて自己責任論につながる「強い責任」に対する「弱い責任」のあり方を論じる。
    関連するテーマの中でも自分が考えていたこと、考えたかったことにに近い話がバンバン出てきて最高だった。
    参照されていたヨナス、キテイ、バトラーも読んでみたいなと思ったし、戸谷さんの他の著作も読んでみたい

    0
    2025年09月17日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    哲学・倫理学が専門である戸谷洋志さんの著書。戸谷さんは、2015年に第31回暁鳥敏賞を受賞されています。
    本著を通じて、「人を頼る」という行為についての疑問を解きほぐすことができました。社会福祉にも親和性がある一冊です。

    本著は人を頼るということについて、「責任」という観点から分析しています。
    「SOSを出していいんだけど、でも出せない」。多くの人は、困っていることを言えないことに困っていると思います。

    なぜ、SOSを出せないか。それは、他者を頼りづらくする自己責任の風土があるからとあり、
    目から鱗だったのは、戸谷さんは自己責任論における責任を『強い責任』と定義し

    「強い責任は、むしろ責

    1
    2025年09月07日
  • メタバースの哲学

    Posted by ブクログ

    世の中の変化にともなって、感覚を変えていく必要があると思った。
    「リアルで会う」って考えがもはや旧時代のものになる日も近いかもしれない。

    0
    2025年08月08日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    SNSにおける特徴を哲学で当てはめるとこのような説明ができる、ということを教えてくれる。
    それが答えというわけではないが、今自分が陥っている状況や他のユーザーの行動について、こういうことだったのかと客観視したり、理解する手助けになるだろう。
    「10代以上すべての人のための人文書のシリーズ」でもあるので、非常に読みやすい内容になっている。個人的には物足りなさも感じなくないが、丁寧な参考文献ガイドもついているので、より深めたいならこちらを参照するのがよいと思う。

    0
    2025年07月23日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    非常に興味深く読んだ。恋愛の哲学はあるようで読んだことがなかったかもしれない。誰もが直面するテーマだからこそ哲学の威力が発揮される。

    なかでも惹かれたのはキルケゴールとレヴィナスだ。キルケゴールに誠意、レヴィナスに他者の絶対性を見た。どちらも恋愛に限らず、広く人間関係全般に応用できる。

    切れ味としてはボーヴォワールがすごかった。ジェンダーというのは、根強い規範だから、解体も相応の努力が必要だ。

    本には書いてなかったけど、サルトルとボーヴォワールって恋人同士だったんだよね。そういう視点で見ると互いの恋愛の哲学が隔たっているのも面白い。

    0
    2025年07月02日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    責任を親や出生の偶然生に委ねる考えを否定的に考えているが、私は偶然のせいにするという考えも必要なのではないかと考える。もちろん全てを他人や偶然のせいにしてしまえば責任が成り立たなくなってしまう。しかし自分の力では変えられないものはどんな人生を生きていても必ずあるので、そういう時に偶然のせいにしてしまえば気が楽になると思う。全てを自分のものとして引き受ける訳ではなく、一部では偶然のせいにしてしまうのもありじゃないかなと思った。もちろん最終的には全て自分の人生を自分で引き受けることが求められるのでバランスが重要だと思う。
    また、責任の話で決定論について触れられており、その考え方に興味をそそられた。

    0
    2025年06月16日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    自分の考えに近いのは、ボーヴァアール。
    だから、『第二の性』を読んでみよう。

    哲学の一部分でも入るきっかけになる。

    0
    2025年06月05日
  • 哲学のはじまり

    Posted by ブクログ

    短く分かりやすい形で哲学を紹介してくれる本で、「もっと哲学の世界を知りたい!」と思わせてくれた。

    最後の裏表紙にあった読書案内を頼りに、哲学の門を少したたいてみようと思った。




    個人的に興味があるのが倫理学の分野。

    0
    2025年05月26日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    キルケゴール、ボーヴォワール、レヴィナス
    3名の章は何度も読み返したくなるものだった
    (フランスの哲学者ばかりだったのは何故なんだろう?)

    自分の恋愛観が社会規範、大衆的な価値観に基づいて作られたモノであることにドキッとした。
    愛の永遠性、ロマンティックラブに凝り固まった思考を少しずつ解いていく作業の一助となる良書。
    中表紙も凝っていて、装丁も良き。

    電子ではなく紙で手元に置いておきたい一冊

    0
    2025年05月18日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自己責任の問題点を様々な考えから指摘した本である。コールバーグとギリガンの道徳性の発達の違いを指摘しているので、生成AIの問題点の指摘にあうかもしれない。
     教育の自己責任の問題点も指摘しているので、教員養成系大学の学生にも役立つであろう。

    0
    2025年04月22日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    面白かった!何回でも読みたい一冊。特に恋愛中に読まないとなと沢山の気付きがあった一曲だった。そして哲学面白い!
    特に今の自分に響いたのはヘーゲルとキルケゴールだった。
    恋愛って結局は感情だし、本に書かれているみたいに上手な恋愛との向き合い方はできないかもしれない。私にはまだこの本の内容をしっかり落としこめているほど理解もできていないと思う。ても自分が恋愛に悩んだ時に考え方のヒントにしたい一冊。

    0
    2025年04月05日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    とても面白かった。

    序盤では、親ガチャという言葉の本質的な問題と著者の提案。(本書の一貫したテーマである”自分の人生を引き受ける”の提示)

    中盤では、関連する幾つかの引用で、問題を多角的に捉えられるようになっている。

    終盤では、親ガチャの問題(出生の偶然性)を否定せずに、肯定的に捉えることで結論を導く。

    一冊を通して論理の組み立てが丁寧で、最後に導かれる結論が鮮やかだし納得感がある。親ガチャというと、家庭環境に問題があった人がターゲットかと思うが、出生の偶然性という点で見れば、人間が誰しも関係があることだし、本書の主張も普遍的なものだと思う。

    0
    2025年03月22日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ■概要
    「責任」という言葉に厚みを持たせる本。

    ■問いかけ
    通勤途中、駅のホームで泣いている子ども。あなたはどうする?
    ①その子の親を自分が探す(自己責任で責任を果たす。見つからない場合は②へ)
    ②放っておく(自己責任で責任を果たさない。ちょっと後味わるいなら③へ)
    ③駅員を探す(弱い責任を果たす。これができると嬉しいと思う方は、本書を手に取ってくれ)

    ■感想
    2025/02/09現在時点、「ケガしたのはそいつの自己責任でしょ」「家族を養うのはハードモードだから結婚しない」「責任を持って育てられないなら子どもなんか生むな」という言葉を、Youtubeのコメント欄やXのポストで私はよく見かけ

    0
    2025年02月09日
  • まんが!100分de名著 ハイデガー 存在と時間

    Posted by ブクログ

    漫画を通してなんとなく「存在と時間」の概要を知るための本
    当然その全貌を知ることはできないし、「存在と時間」に出てくる言葉を使うためにかなり簡素な物語になっているのでこの本で「存在と時間」を知った気になるのは危険だと思う
    しかし、これから「存在と時間」やハイデガーの哲学に触れていこうとするときの第1歩としては有効ではないかと思う

    0
    2025年02月09日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ずっと責任ということばが嫌いだった。連帯責任も嫌い。その理由がわかった。誰が責任を取るかというイメージしかなかったからだと思う。まず考えるべきは、誰に対して責任を取らなければいけないのかということ。大学生の頃から自己責任論に興味があって、それに関する本を少しずつ読んできたけど、なんだか初めて救われた気がした。この視点が大事だと思うし、こう考えられる大人でありたい。
    依存労働というワード、初めて知った。自分の母に対して思っていたことだった。家庭に入っている人は、一度は思ったことがあるんじゃないかと思う。子どもと親の愛着関係に関しても興味があるけど、依存労働はこのあたりとも関わっていそうだと思った

    0
    2025年02月02日
  • Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲

    Posted by ブクログ

    学生と先生の掛け合いがあることでサクサク読める。若干コメディ調な掛け合いも哲学に対するとっつきにくさを和らげてくれているように感じる。読者の代弁者としての学生がいて読みやすい。
    難しい解説が始まりそうなタイミングで曲の参照が入るおかげですんなり思想を理解できる気がする。具体例としてのJポップ?

    1つ1つの思想の説明がかなり短く(言い方を変えると端的に)示されているのは読みやすかったが、かなり削ぎ落としている部分があるのだろうなと思った。原著にあたってみたい。

    哲学の大きな流れを知らず、個別の哲学者について触れるのがもったいないと感じた。大きな思想の流れをまずは捉えたい。

    0
    2025年01月26日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    無駄なことばがない。美しいと思って読んでしまった。固く書かれているように見えるが、とても噛み砕いていており哲学を知らない人にも読める。(それでもわからないところはあったが、それは私の理解が不足しているからであろう)「責任」について哲学的思考をめぐらすことができて楽しい時間でした。年齢が近いのにここまで深いことを考えることができるものかと、自分を反省した。

    0
    2025年01月11日