戸谷洋志のレビュー一覧
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友情は多様な形があるという前提のもと、7人の哲学者がそれぞれ思う「友情」について説明がされている。その中で共感できるものとできないものがあった。共感できたものを書いておく。
⭐︎カント
カントは、友情は、引力としての愛と斥力としての尊敬が均衡することによって成立すると考える。愛とは、「他者の目的を自分の目的とする感情、一つになろうとする感情」で、尊敬とは「他者が思い通りにならないということを認識し、自分の目的のために利用せず、自律性を尊重すること」。この均衡を保つことに関しては、友情だけでなく、家族や恋人との関係においても重要だと思う。
友情には、秘密を打ち明けられることが1つの条件として考 -
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読みやすい、それぞれの哲学者から引用して友情の形を推定、定義していく
一番しっくりきたのは、ニーチェとマッキンタイアで、
ニーチェは、人間は友人を理解しきれずむしろ理解していると誤解することは友人の未知な部分を既知なものに置き換えてしまう失礼なこと、理想なのはそれぞれが苦悩に打ち克てるようになる関係にあること(支え合うイメージでもいいしライバルでもいい)
マッキンタイアは、自律性を大事にする他哲学者と異なり、障碍者を例に、人は少なからず依存しあっており、依存でも善を開花させるような依存は問題ないと。
筆者の言うとおり色んな形があるため厳密な定義は必要ないと思うが、理想的な人間関係を言語化 -
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今まで、わたしの嫌いな言葉ランキング1位は「親ガチャ」だった。それは、「生まれる環境によって不利益を被ることはたくさんある、だが、それでもなお自分の人生を投げ捨てずに戦い抜くことにこそ意味がある」という私の価値観を揺るがす言葉だと思っていたからだ。
そのように思うのは、親ガチャという言葉が流布する前に、わたしも同じようなことを考えていたからだ。
過去の自分が抱き、自分の人生から逃げる言い訳にしていた概念に、「ガチャ」という比喩ではっきりとした輪郭が与えられた。
この言葉を初めて聞いたときは、絶対にこれを拒絶しなくてはいけない、これについて語る人がいたら耳を閉じなくてはいけない、と本気で思って -
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哲学・倫理学が専門である戸谷洋志さんの著書。戸谷さんは、2015年に第31回暁鳥敏賞を受賞されています。
本著を通じて、「人を頼る」という行為についての疑問を解きほぐすことができました。社会福祉にも親和性がある一冊です。
本著は人を頼るということについて、「責任」という観点から分析しています。
「SOSを出していいんだけど、でも出せない」。多くの人は、困っていることを言えないことに困っていると思います。
なぜ、SOSを出せないか。それは、他者を頼りづらくする自己責任の風土があるからとあり、
目から鱗だったのは、戸谷さんは自己責任論における責任を『強い責任』と定義し
「強い責任は、むしろ責 -
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責任を親や出生の偶然生に委ねる考えを否定的に考えているが、私は偶然のせいにするという考えも必要なのではないかと考える。もちろん全てを他人や偶然のせいにしてしまえば責任が成り立たなくなってしまう。しかし自分の力では変えられないものはどんな人生を生きていても必ずあるので、そういう時に偶然のせいにしてしまえば気が楽になると思う。全てを自分のものとして引き受ける訳ではなく、一部では偶然のせいにしてしまうのもありじゃないかなと思った。もちろん最終的には全て自分の人生を自分で引き受けることが求められるのでバランスが重要だと思う。
また、責任の話で決定論について触れられており、その考え方に興味をそそられた。 -
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とても面白かった。
序盤では、親ガチャという言葉の本質的な問題と著者の提案。(本書の一貫したテーマである”自分の人生を引き受ける”の提示)
中盤では、関連する幾つかの引用で、問題を多角的に捉えられるようになっている。
終盤では、親ガチャの問題(出生の偶然性)を否定せずに、肯定的に捉えることで結論を導く。
一冊を通して論理の組み立てが丁寧で、最後に導かれる結論が鮮やかだし納得感がある。親ガチャというと、家庭環境に問題があった人がターゲットかと思うが、出生の偶然性という点で見れば、人間が誰しも関係があることだし、本書の主張も普遍的なものだと思う。 -
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ネタバレ■概要
「責任」という言葉に厚みを持たせる本。
■問いかけ
通勤途中、駅のホームで泣いている子ども。あなたはどうする?
①その子の親を自分が探す(自己責任で責任を果たす。見つからない場合は②へ)
②放っておく(自己責任で責任を果たさない。ちょっと後味わるいなら③へ)
③駅員を探す(弱い責任を果たす。これができると嬉しいと思う方は、本書を手に取ってくれ)
■感想
2025/02/09現在時点、「ケガしたのはそいつの自己責任でしょ」「家族を養うのはハードモードだから結婚しない」「責任を持って育てられないなら子どもなんか生むな」という言葉を、Youtubeのコメント欄やXのポストで私はよく見かけ -
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ネタバレずっと責任ということばが嫌いだった。連帯責任も嫌い。その理由がわかった。誰が責任を取るかというイメージしかなかったからだと思う。まず考えるべきは、誰に対して責任を取らなければいけないのかということ。大学生の頃から自己責任論に興味があって、それに関する本を少しずつ読んできたけど、なんだか初めて救われた気がした。この視点が大事だと思うし、こう考えられる大人でありたい。
依存労働というワード、初めて知った。自分の母に対して思っていたことだった。家庭に入っている人は、一度は思ったことがあるんじゃないかと思う。子どもと親の愛着関係に関しても興味があるけど、依存労働はこのあたりとも関わっていそうだと思った