あらすじ
狂うのが、愛。憎むのが、恋。
哲学は「恋愛」を語ることから始まった。
クズへの愛はなぜ成立するのか? なぜ私は愛されたいのか? 永遠の愛はどこまで続くのか?
――すべて哲学が答えます。
現代に流れる「ロマンティック・ラブ」の幻想を解体する驚愕の哲学入門!!!
紹介するのは、プラトン、デカルト、ヘーゲル、キルケゴール、
サルトル、ボーヴォワール、レヴィナスの七人。
彼らはそれぞれが違った仕方で人間と世界の関係を捉え、
その人間観の中で恋愛(哲学)を論じている。恋愛とは何かを
考えることは、そもそも人間とは何かを問い直すことを要求する。
本書ではそれらを全体として再構成することで<恋愛>を広い
視野の元で捉え直していく。
【目次】
・はじめに
・第1章:なぜ誰かを愛するのか?――プラトン
・第2章:なぜ恋愛に執着するのか?――デカルト
・第3章:なぜ恋人に愛されたいのか?――ヘーゲル
・第4章:永遠の愛とは何か?――キルケゴール
・第5章:なぜ恋愛は挫折するのか?――サルトル
・第6章:女性にとって恋愛とは何か?――ボーヴォワール
・第7章:なぜ恋人と分かり合えないのか?――レヴィナス
・おわりに
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
非常に興味深く読んだ。恋愛の哲学はあるようで読んだことがなかったかもしれない。誰もが直面するテーマだからこそ哲学の威力が発揮される。
なかでも惹かれたのはキルケゴールとレヴィナスだ。キルケゴールに誠意、レヴィナスに他者の絶対性を見た。どちらも恋愛に限らず、広く人間関係全般に応用できる。
切れ味としてはボーヴォワールがすごかった。ジェンダーというのは、根強い規範だから、解体も相応の努力が必要だ。
本には書いてなかったけど、サルトルとボーヴォワールって恋人同士だったんだよね。そういう視点で見ると互いの恋愛の哲学が隔たっているのも面白い。
Posted by ブクログ
キルケゴール、ボーヴォワール、レヴィナス
3名の章は何度も読み返したくなるものだった
(フランスの哲学者ばかりだったのは何故なんだろう?)
自分の恋愛観が社会規範、大衆的な価値観に基づいて作られたモノであることにドキッとした。
愛の永遠性、ロマンティックラブに凝り固まった思考を少しずつ解いていく作業の一助となる良書。
中表紙も凝っていて、装丁も良き。
電子ではなく紙で手元に置いておきたい一冊
Posted by ブクログ
面白かった!何回でも読みたい一冊。特に恋愛中に読まないとなと沢山の気付きがあった一曲だった。そして哲学面白い!
特に今の自分に響いたのはヘーゲルとキルケゴールだった。
恋愛って結局は感情だし、本に書かれているみたいに上手な恋愛との向き合い方はできないかもしれない。私にはまだこの本の内容をしっかり落としこめているほど理解もできていないと思う。ても自分が恋愛に悩んだ時に考え方のヒントにしたい一冊。
Posted by ブクログ
愛について考えたいのに普通に哲学者多すぎて何から読めばいいかわからない!ときに出会いました。助かるー
めちゃくちゃ最近の本なので(2024年)、古い本特有の読みにくさもないし、例も容易く頭に入る。
解説している哲学者の引用文(翻訳文)は全然理解できないんだけど、そのあとちゃんとわかりやすく言い直してくれるので有難きことこの上なし
前にフロムの「愛するということ」を読んで自省したりしてたけど、なんかこれは哲学者を比較するという点で、本から自分へダイレクトに矢が刺さってギク!痛い!みたいなことがなかった。愛は一体化するものだし相互的なものだと思っていたのに、レヴィナスは反対だったのでレヴィナスの入門書でも読もうかなと思います。
恋愛を炎に例え、その炎を操る術が哲学だというのも素敵です。炎使いになりたい
Posted by ブクログ
私が常には「奢られる側」でいたくなかったのは、「守られるべき対象」として見られることに対して、強烈な違和感があったからかなと思いました。主体性を返してくれよ、みたいな。
そして、常に「奢る側」として見られる人たちも、それはそれで、主体性が奪われているような…。
社会規範でもって、相手が喜びそうなことを推し量るって、本当に良くないなぁと感じます。それが、する側の勘違いやエゴであっても、された側は喜んでいるふりをしなきゃいけない気がしちゃうもの…。
人間関係において、「対等」とか「尊重」って、互いに簡単にはできない場合の方が多いのかもしれないですね。目指したいところですが。
Posted by ブクログ
自分の恋愛観がどこにあるのかを見直すために手にとった。
ボーボワールのジェンダー論も影響するのは意外だったが、プラトンの一見ピュアとも思える思考であったり、それに継ぐ数々の哲学者の発想を著者の視点で読み解いていくのは、自分の所在地を探すようで、とても興味深かった。
少し時間をおいて、もう一度熟読して理解を深めたい。
Posted by ブクログ
メンヘラになるのは自分のせいだけでない、これまでの社会で醸成されてきたジェンダー観が一因でもあるんだ、自責しすぎる部分があるから楽になったかも。
恋愛することで「男はこうあるべき、カップルはこういう関係性であるべき」とかいう固定観念を乗り越える
Posted by ブクログ
恋愛という不確かなものを
色んな角度から分解した見方を知りたくて読んだ一冊。
恋愛哲学というタイトルでこそあるけど、
親しい間柄の人間関係に対しても応用出来ることが多く書かれてて、思いもよらない所で
(うわ〜こうする人ってこういう心理なのかな?)(自分もこれやってたかもな〜)とか
思い返すきっかけになったし、結構腑に落ちる部分も多かった。
この本は7人の哲学者が提唱した恋愛論?を軸に進むんだけど、そのおかげでより多角的に立体的にイメージが膨らんだし、
答えのない題だからこそ、現象で満足して受け身になるんじゃなくて、考え続けることって大事だよなって痛感。
自分の中では結構ヒット。
Posted by ブクログ
恋愛を考えることは人について考えることと同義。有名な哲学者らが恋愛をどう捉えていたのか、具体的でとても面白かった。
恋愛から結婚し子供を育てて幸せな家庭を育むという現代のイメージはロマンティックラブ。古代から語られた恋愛はロマンティックラブだけでなくいろんな形があったとのことで、7種類の恋愛のあり方が紹介されている。
1番印象的だったのは、ヘーゲルの「なぜ人は愛されたいのか」の章で、互いの自己意識が衝突し承認を巡る戦いが勃発した時、一方が自身のアイデンティティを失うことを恐れて敗北を認めてやっと戦いが終わるというところ。「恋人を失いたくないから負けてあげる」という感情をどちらかが持てば、主従関係つまり負けた側が尻に敷かれる形で恋愛関係が存続していく。歪だが、こういうカップルが世の中には多いし、俗に美女と野獣と言われるカップルは大体このパターンなんだろうな、と。
Posted by ブクログ
恋愛・結婚と聞いて思い浮かぶのは、白馬の王子とお姫様の物語のように見目麗しくエレガントな異性とドキドキするような恋愛をして結婚するという、いわゆるロマンティックラブ。
しかしながら現実世界ではむしろそのような「完璧」な人はごく少数で(見目麗しき人も人格まで優れている事は多くない)、ロマティックラブが出来ない人も多い。
また恋愛初期にはロマンティックラブでうまくいってもすぐに別れるような事はいくらでもある。
と、現実基準で恋愛を考えるとロマンティックラブだけを切り口に語る事は限界がある。では他にどんな見方があるだろうか?
恋愛を欲求による熱情と捉えるのでなく、人と人との関りであると捉えなおして、過去の偉大な哲学者に聞いてみた。
というお話。
思ったより様々な視点が平易な言葉で語られ、わかりやすく面白かった。
登場した哲学者
・プラトン
決して相手を道具扱いせず、互いを大切なパートナーとして尊重する
・デカルト
恋人を第二の自己として理解する
・ヘーゲル
相互承認の帰結として愛を捉えた
・キルケゴール
愛は選択の連続である
・サルトル
愛は必ず挫折する
・ボーヴォワール
女性は客体である
・レヴィナス
理解しつくせない他者を求めることが愛である