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もっと裕福な家庭に、魅力的な容姿に生まれたかった、いっそのこと生まれてこないほうがよかった……近年、若者の間で瞬く間に広がった「親ガチャ」という言葉。人は生まれてくる時代も場所も、家庭環境も選ぶことはできない。そうした出生の偶然性に始まる人生を、私たちはどう引き受けるのか。運命論と自己責任論とが交錯するなか、人気漫画からハイデガーやアーレントまで、社会と哲学の両面から読み解く。
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Posted by ブクログ
今まで、わたしの嫌いな言葉ランキング1位は「親ガチャ」だった。それは、「生まれる環境によって不利益を被ることはたくさんある、だが、それでもなお自分の人生を投げ捨てずに戦い抜くことにこそ意味がある」という私の価値観を揺るがす言葉だと思っていたからだ。 そのように思うのは、親ガチャという言葉が流布する...続きを読む前に、わたしも同じようなことを考えていたからだ。 過去の自分が抱き、自分の人生から逃げる言い訳にしていた概念に、「ガチャ」という比喩ではっきりとした輪郭が与えられた。 この言葉を初めて聞いたときは、絶対にこれを拒絶しなくてはいけない、これについて語る人がいたら耳を閉じなくてはいけない、と本気で思っていた。 もし、この概念がわたしの中に入り込んできたら、今の自分がガラガラと音を立てて崩れ落ちてしまうから。 そういった点については、著者の戸谷洋志も「親ガチャ的厭世観の本質」とは、「『自分がこの人生を歩んでいるのは、自分のせいではないんだ』という、自分自身からの逃避」であると指摘している。 しかし、だからこそ戸谷は、「親ガチャ的厭世観を引き起こす苦しみと、親ガチャ的厭世観が引き起こす苦しみは、区別されるべき」どと強調している。 わたしにとって、こういった視点を得られただけでもこの本を読んだ価値があったと思えた一節だった。
責任を親や出生の偶然生に委ねる考えを否定的に考えているが、私は偶然のせいにするという考えも必要なのではないかと考える。もちろん全てを他人や偶然のせいにしてしまえば責任が成り立たなくなってしまう。しかし自分の力では変えられないものはどんな人生を生きていても必ずあるので、そういう時に偶然のせいにしてしま...続きを読むえば気が楽になると思う。全てを自分のものとして引き受ける訳ではなく、一部では偶然のせいにしてしまうのもありじゃないかなと思った。もちろん最終的には全て自分の人生を自分で引き受けることが求められるのでバランスが重要だと思う。 また、責任の話で決定論について触れられており、その考え方に興味をそそられた。全ての物事はあらかじめ決定されており、人間の自由な意思というものは存在しない。今この瞬間の私の行動も宇宙が誕生した瞬間から決められていた出来事であると考えたら不思議な気持ちになった。本当に自分に自由な意思など存在していないのだろうか。決定論についてもっと詳しく知りたい思った。
とても面白かった。 序盤では、親ガチャという言葉の本質的な問題と著者の提案。(本書の一貫したテーマである”自分の人生を引き受ける”の提示) 中盤では、関連する幾つかの引用で、問題を多角的に捉えられるようになっている。 終盤では、親ガチャの問題(出生の偶然性)を否定せずに、肯定的に捉えることで結...続きを読む論を導く。 一冊を通して論理の組み立てが丁寧で、最後に導かれる結論が鮮やかだし納得感がある。親ガチャというと、家庭環境に問題があった人がターゲットかと思うが、出生の偶然性という点で見れば、人間が誰しも関係があることだし、本書の主張も普遍的なものだと思う。
親ガチャの厭世観と、責任や自己肯定感、対話などを哲学の視点から検討するという内容。 さらりと書いてあるが、それぞれが深い
対話すること、話を聴いてもらう、話を聴く、簡単なようで難しい。だけど、自分の人生を引き受けるためには、自己肯定感を高めるためには、とても重要なこと。
ここ数年よく聞く言葉だなと思って手に取りました。言葉の意味から現在の社会問題まで、非常に身近に感じ考えさせられました。実際の事件や人気の漫画、アニメが例としてあげられ、分かりやすいです。
「親ガチャ」は少なからず意識する人生でした。 市場経済における自己責任論とか自己啓発ムキムキの雰囲気とかほんと胃もたれしていて、幾度となく共同体から爪弾きにされている私である。 他責で自暴自棄な思考から解き放たれるためには、以外にも「他者」の存在が必要不可欠。他者がただ聴いてくれるという信頼の上で...続きを読む、自己の人生に責任を持つという態度を取ることができる。なるほど、確かに自分の殻に引きこもっている時代はその引っ込み思案で人とうまくコミュニケーションが取れない自分を、ある一面では家庭環境のせいにしていた青い時代を思い出す。 でも、「親ガチャ」的厭世観に陥っている人に「他者」を信頼しろというだけではそこから抜け出せないのでは?そこは自己責任論に陥らず、ジョン・ロールズの「無知のヴェール」を援用し一番苦境に立つであろう立場が最低限度の自尊心と生活を送れるような社会制度設計を目指さねばならない。そういった社会は他社との連帯がある社会であり、その実現には「想像力」が必要なのだという結論。 「親ガチャ」を契機として、過去の哲学的思考を用いた論理の筋道は読み応えあり。個人的には「反出生主義」という概念も基礎的な点だけではあるが理解を深めることができ、最後には多種多様な事柄を絡め幅広い思想間の関連の気付きを得ることができた。 親しみやすい話題提供(ミュウツーの辛み・・)と本格的な哲学的思考のいい塩梅で、思想系読書の初心者におすすめできる書籍です。
親ガチャについて正面から分析した一冊。 とかく親ガチャについては努力論で否定されたり軽視されたりしがちだが、実際には格差社会の元凶となっているものなので、非常に重要なものであると感じた。
以前に著者と棋士の糸谷哲郎八段の対談本を読んだことがあり、名前を知っていたので手に取ってみた。当時は糸谷八段が目当てだったんですけどね。 親ガチャという言葉の流行から現在の社会問題を哲学的な視点を交えて紐解いていくといった内容。 親ガチャという言葉は知っていたけれど、あまり深く考えたことはなかっ...続きを読むたので新鮮だった。今まで日常から哲学を考えようといった本をいくつか読んできた。それぞれが工夫を凝らして書いてあるので身近に感じる部分もあったが、それでも想定している事象が「そんなことある?」と感じるようなものだったり「そこまで細かく考えなくともよくない?」となるような展開が多かった。やはり私にとっては哲学というとトロッコ問題だったりなんだか崇高で雲の上の話というイメージだった。本著はネットスラングや漫画(ワンピースやポケモン)から話が展開されており、それが流行する理由を社会問題や哲学の視点から考えていく。哲学を身近に感じるという意味では頭一つ抜けて良かったと思う。 自己肯定感という言葉の意味に関しても気づきがあった。最近よく聞く言葉だが、詰まるところどういった意味なのかいまいちわかっていなかった。肯定するとはAがBであると認識する(イエスと言える)という意味だと私は理解した。つまり良い部分も悪い部分もすべてを自分であると認めることが自己肯定感である。自己肯定感が本著でメインテーマのひとつである自分の人生を引き受けることに繋がるというのがよくわかった。 追記: 他の方の感想で親ガチャ的厭世観で苦しんでいる人=社会的格差で苦しんでいるという決めつけが過ぎるのではないかとあった。この等式は概ね事実なのかもしれないが、明確な根拠が本著では提示されていないことも併せて、鋭い指摘だと感じた。確かに私の中にもそういった決めつけがあった。本を読んでいるとそこに書かれていることはすべて正しいと思ってしまいがちだ。ある程度の批判的な視点の必要性を改めて感じた。
親ガチャというある意味ネットスラングとして用いられている言葉をキーワードとして様々な近代的な事象を紐解いていく、かなり易しい哲学書だと思いました。 人には思想や価値観が人それぞれに有していて、それを否定することは許されない。 自分の価値観が絶対に正しい、別の価値観は間違っているから否定してよいという...続きを読む態度を「残酷さ」という。 もちろん間違ってる価値観はあるかもしれないがこの態度という言葉に着目すると、揺るぎない確信さえあれば何を否定しても構わないと読み取りました。 自身の価値観も他人の価値観と同じように揺らぐものだと認識し、対話をするということが親ガチャ的厭世観を持つ彼らを救う唯一の方法ではないのでしょうか。 対話とは私が私であるという感覚、つまり自己肯定感を意識できる方法だと紹介していたと思います。 自己を肯定するとは何か、例えてみるとすれば「計算が苦手な自分」「身長が低い自分」「足が速い自分」など自分という存在を認識して受け入れることと私は理解しました。 自己肯定感感というものは何か他人と比べて優れていたり、劣っていたりするものだと我々は勘違いしていましたが、それはただの優越感や劣等感であり、自己肯定感とは異なるものでした。 私が私であるためには他者と対話をし、自己肯定感を高め、対話によってさまざまな価値観と向き合うこと。 我々が求める生活を続ける方法だと私は思います。
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