生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

ビジネス・実用
935円 (税込)

4pt

助けを求めることは、「無責任」ではない!

気鋭の哲学者が、日本社会に跋扈する「自己責任」という名の怪物を退治し、
新たな「責任」の哲学を立ち上げる。

頼ることが、後ろめたくない社会へ!

新自由主義を下支えする思想として、日本に導入された「自己責任」論。
しかし、これは人々を分断し、孤立させる。
誰かに責任を押し付けるのではなく、
別の誰かに頼ったり、引き継いだりすることで、
責任が全うされる社会へ。

ハンス・ヨナス、エヴァ・フェダー・キテイ、ジュディス・バトラー、
3人の独創的な哲学者を手がかりに、
「利他」の礎となる、
「弱い責任」の理論を構築する!

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生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    哲学・倫理学が専門である戸谷洋志さんの著書。戸谷さんは、2015年に第31回暁鳥敏賞を受賞されています。
    本著を通じて、「人を頼る」という行為についての疑問を解きほぐすことができました。社会福祉にも親和性がある一冊です。

    本著は人を頼るということについて、「責任」という観点から分析しています。
    「SOSを出していいんだけど、でも出せない」。多くの人は、困っていることを言えないことに困っていると思います。

    なぜ、SOSを出せないか。それは、他者を頼りづらくする自己責任の風土があるからとあり、
    目から鱗だったのは、戸谷さんは自己責任論における責任を『強い責任』と定義し

    「強い責任は、むしろ責任を引き受けた人を壊してしまうことになりかねない」

    と述べていることです。
    責任感が社会を保っていると思い(込まされていた)続けていたので、この考え方には興味をそそられます。
    責任の在り方を工夫することで、社会福祉においては当事者、そして関わりに悩んでいた支援者も救われる社会が作れるのではないかと、重要な視点を知ることができました。

    福祉業界では、どこか「本人を育てるために、あえて手を差し伸べない」ということが、環境や状況、本人のことを考慮せずあらゆる場面で正しいとしているような思考不足があるように感じています。「SOSを出す力をつけてほしい」という支援者の突き放した関りや、社会性を強制する関りによって、たとえば本人の病状を悪化させる要因になってしまうことは、あってはならないことです。
    ただ、こうした支援手法がいかなる場合でも有害無益とは限らず、一部でうまくいってしまうことが、支援者が自身の行いを失敗と捉えることができない要因になっていると思います。当事者に寄り添えない人でも、対人支援はできるんです。一部の成功事例の陰に、こうした支援手法に被害を受けている人がいることは問題です。さながら『支援という名の暴力』です(精神科医-斎藤環さんの言葉)。

    共生社会を推進することが日本社会の一つの方向性ですが、現場で推進を図る主体が、例えば「人を頼る」ということについて、深く検討することができていないかもしれません。

    社会を良くするための根本的な課題を見出し、思索したいという気持ちの芽生えを満たすことができ、社会が目指すべき確かな将来の材料となる書物は、価値があると感じます。
    おすすめです。

    2
    2025年09月07日

    Posted by ブクログ

    現在の社会には「自己責任」論が深く根付いている。しかし本来、人は弱く、ひとりでは生きていけない。私たちは誰かに依存し、頼りながら、傷つきやすさを抱えて暮らしている。

    それでもなお、他者を頼ることを肯定することには抵抗が残る。だからこそ「甘えるな」「自分が悪い」といった批判的な声は絶えず、助けを求めることが難しくなるのではないかと思う。その結果、生活そのものが成り立たなくなってしまうこともあるのだろう。人は追い詰められるほど孤立し、少しずつつながりが細り、やがて途絶えていく。

    自己責任論は、弱さを抱える人だけの問題ではなく、誰もが苦しみから完全には逃れられず、ある瞬間には支えを必要とする側に回る。

    本書で著者は、この状況を変えるために、責任をひとりに背負わせるのではなく分散させ、一人ひとりが「弱い責任」を引き受けることが必要だと述べている。弱さを前提にした責任のあり方へ視点を移すことが、孤立を止め、社会を持ちこたえさせる条件になるのだと感じた。

    0
    2026年03月02日

    Posted by ブクログ

    自己責任という言葉の構造や浸透の経緯を確認し、ハンス・ヨナスの哲学から「誰が責任を取るのか」よりもむしろ「誰に対する責任があるのか」へと責任の捉え方をリフレーミングし、キテイの議論からケアの倫理に参照しつつ社会における相互依存のあり方を検討し、バトラーでまとめて自己責任論につながる「強い責任」に対する「弱い責任」のあり方を論じる。
    関連するテーマの中でも自分が考えていたこと、考えたかったことにに近い話がバンバン出てきて最高だった。
    参照されていたヨナス、キテイ、バトラーも読んでみたいなと思ったし、戸谷さんの他の著作も読んでみたい

    0
    2025年09月17日

    Posted by ブクログ

    無駄なことばがない。美しいと思って読んでしまった。固く書かれているように見えるが、とても噛み砕いていており哲学を知らない人にも読める。(それでもわからないところはあったが、それは私の理解が不足しているからであろう)「責任」について哲学的思考をめぐらすことができて楽しい時間でした。年齢が近いのにここまで深いことを考えることができるものかと、自分を反省した。

    0
    2025年01月11日

    Posted by ブクログ

    哲学書だった。
    タイトルから、現代の「自己責任」の風潮に抗うものであることは当然想像できたが、
    そのアプローチが哲学からくるとは予想外だった。
    哲学者の言葉が次々出てくる。
    ハンナ・アーレント、中動態の國分功一郎、ハンス・ヨナス、エヴァ・フェダー・キティ。。

    テーマもナチ、中動態、「駅で一人泣く子供に遭遇したら」等々、わかりやすい。
    哀悼可能性、、は難しい。あいとう、、

    結論はそのまま引用しよう

    弱い責任とは、自分自身も傷つきやすさを抱えた「弱い」住大河、
    連帯しながら、他社の傷つきやすさを想像し、それらを気遣うことである。
    そうした責任を果たすために、私たちは誰かを、何かを頼らざるを得ない。
    責任を果たすことと、頼ることは、完全に両立

    0
    2024年12月27日

    Posted by ブクログ

    責任ってなんだろう。
    自由意思とセットで考えるべきものなんだろうか。

    東京電力福島原子力発電所事故なんかだと、一体何処にその責任というものはあるのだろう。

    一人の人間に負わせることが、適当なのだろうか。
    組織?構成員にグラデーションをつけて負わせる?
    規制していた組織には責任はないの?
    設置や稼働に対して理解を示していた地元には責任はないの?
    地元に発電所があることで、生計が立っていた人には…

    加えて、その「責任」は誰に対して果たされるべきなの?
    経済性を犠牲にしてまで、高台に原子炉を設置していたことで、数百年に一度の災害にも関わらず被害にあわずに済んだのに、言葉にならない迷惑を被った東北電力さん?
    他電力のみなさん?
    羹に懲りて膾を吹くが如き規制、バックフィットという法治国家にあってはならない規制で、途方もない経済的負担を負った国民?
    じゃあその規制を是認した政治や行政は、誰が支持してその力を持ってるの…


    そもそも、大体、自由意思って存在するのか。
    受精卵から始まった人というものに、そんなものを本当に想定することはできるんだろうか。
    考えても分からないことだらけで、あまり突き詰めてこなかった。

    でも気になって、この本を手に取った。

    筆者は、「弱い責任」という言葉で、いわゆる責任といわれるものを、他の概念に広げようとしているように感じた。

    端的に言えば「愛」のことを「弱い責任」と言っているのではないだろうか。
    少し言葉を柔らかくすると「関心」とか。

    他者に依存する存在として発生して、依存する存在として終わる人間に、昨今使用されている意味では、自由意志も存在しなければ、責任も負えるものではない。

    と言っているなら、よく聞く哲学の一つの命題でしかない。

    そこに、「愛」を持ち込んだのかなぁ。
    分かるようで、分からない。少しズレた話のような気もするけど、考えさせられる、よい本でした。

    0
    2024年12月25日

    Posted by ブクログ

    現代哲学を非常に実学として使った本。新自由主義を正当化する理論として使われる自己責任論。そこから導き出される個人主義、差別、思考停止の全体主義化。まさに、欧米の右傾化や日本の自己責任論に潜む危うさをわかりやすく、日々の思考にも活用できるレベルで説明してくれている。

    シンプルに 責任とは誰が負うべきかでなく、誰に対して何に対して負うべきかといえるもので、対象に目線を移さねばならない というメッセージは響く。

    自分もヒヤリとすることがあり、また辟易とさせられる政治や経団連、組織の論理などにも当てはまる。

    この本を読むかどうかは 終わりに を読んでみて、より深く知りたいと思うかで決められると良いだろう。

    そしてここでも中動態。このテーマで責任を述べた國分巧一郎さんはまさに引用される数半端ないな。

    0
    2024年11月10日

    Posted by ブクログ

    自己責任の名のもと「誰に」責任があるのかを探すのではなく、「誰に対して」責任があるのかを見つめること。弱い存在に対し、複数人で責任を持ち合うことが持続可能性があるということ。責任を在処を探して押し付けあう世界にウンザリしていたので、すごくロジカルにそれを批判するこの本にうんうんと頷いた。

    0
    2025年05月01日

    Posted by ブクログ

    ☆☆☆2025年3月☆☆☆

    『生きることは頼ること』―このタイトルに惹かれて手に取った。誰かに迷惑をかけることは悪徳であり、他人を頼るのは恥ずべき事、すべては自己責任でという風潮は根強い。その事に違和感を感じているところで出会った本書は実に参考になる部分が多かった。

    本書では「強い責任」「弱い責任」「守られるべき他者に対する責任」「能動的責任」「受動的責任」「中道的責任」など、様々に責任が定義されており、それぞれに興味深いが、僕がまず重視したいのは「強い責任」=「自己責任」だ。

    「自己責任」という響きからは、何となく自分でしっかり責任をもって・・・というニュアンスが感じられるが、「自己責任、自己責任」と世の中が言い始めると、他人に対して「お前の自己責任だろ」と、誰かに責任を押し付けるための言葉として動き出す。2004年のイラク日本人人質事件では、政府や社会の責任を回避するため、人質となった人を「自己責任」といって切り捨てるような風潮が現れた。このような状況は現在も続いており、精神科医の片田氏の著作より「一億総他責社会」である、と論じる。

    一方で「弱い責任」論によれば、なんでも自己責任で片づける、というのは逆に無責任だと論じる。例えば親一人、子一人の家庭で心身ともに疲弊しているときに、「自己責任」だからとすべてを一人で片づけようとするのは結果として子供のためにならず、無責任だと論じる。僕はこの論に賛成だ。

    「生きることは頼ること」
    というタイトルは正にこの本にふさわしい。「自己責任」と困っている人、他人を切り捨てる風潮に一石を投じる内容だと思う。

    0
    2025年03月12日

    Posted by ブクログ

    自己責任と言う言葉に対する違和感がもやもやとあったのですが、もやもやの正体は自己責任と言う言葉が、『それは私の責任です』と言う文脈ではなく、『それはお前の責任だろう』と言う文脈で使われているからと言う事が分かりました。

    政府が国民に自己責任を言う時には政府が国民に対する責任を放棄しているのでは?と言う考えは、自分が家族や友人や同僚に対して無責任にならないための意味でも忘れずにいたい考えです。

    筆者の言う弱い責任や人々の連帯など、頭では何となく分かりますが、常にその考えでいられるかと言われると自信がありません。

    赤の他人同士で連帯するべきと言われても、やっぱり損得勘定が働いてしまいますし、家族や友人や同僚と言った手の届く範囲の人が、困っていたら出来る範囲で助けてあげて、自分がしてもらって嬉しいことはしてあげて、自分が嫌な事はしない、くらいではダメでしょうか。

    0
    2025年01月31日

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