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マルティン・ハイデガー、カール・ヤスパース、ギュンター・アンダース、ハンナ・アーレント、ハンス・ヨナス、ジャック・デリダ、ジャン=ピエール・デュピュイ。本書は原子力(核兵器と原子力発電)をめぐる7人の代表的な哲学者の考えを紹介し、それぞれの人と思想の関係を整理する。技術、自然、そして人間――。原子力の脅威にさらされた世界はどのようなもので、そうした世界に生きる人間はどのように存在しているのか、その根源を問うていく。
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Posted by ブクログ
原子力は言うまでもなく科学の領域であるが、原子力の管理方法やその危険性、次世代への影響などを考えると、科学の域には収まらず、哲学の文脈から議論もなされている。本書では20世紀に思想家を中心に引き合いに出し、原子力の哲学について取り上げられている。戦後の1950年代〜60年代は東西対立が進んだことで核...続きを読む開発競争も激化し、核兵器に対する議論が多いように感じたが、現在問題になっている原発のような"平和利用"についても言及があり学べる点は多い。
哲学的に考える事は容易ではない。しかし、原子力を考える事は、科学を超えた思考が必要であり哲学的でもあると、うっすら思っていた。戸谷氏の事を100分で名著のヤスパースで知り、本書に辿り着いた事に感謝。いや、これが必然で偶然ということか。原子力の捉え方に一条の光が見えた気がするのは気のせいか。これからも...続きを読む対峙していく。 第三章 想像力の拡張 ギュンター・アンダース アンダースは、このように、人間が自ら製造するものとそれに対する人間の能力の不均衛を、「プロメテウス的落差」と呼んでいる。こうした落差のために、人間は、核兵器に対して正常な判断を下すことができなくなるのである。 もっとも、プロメテウス的落差を引き起こすのは核兵器だけではない。アンダースは原子力発電所もまた同様に人間の諸能力の不調和を引き起こすと指摘し、次のように述べている。 今日の機械を見ても、ICERN〔ヨーロッパ合同原子核研究所〕の通路が忘れられないのも、それが何も語っていなかったからだー、それを規定している力が何かはほとんど分からない。そういう事情が私たちに分からないのは、技術が非常に複雑になったために、技術に感性が追いつけなくなったからか(事実、今日の技術は「超感性的」である)、機械が眺めるに値するほどの外観を持たず、機能に合うようにしか作られておらず、いわばついでに偶然「そう見える」にすぎないからである。たとえば原子力発電所は(意図的に世間の目から隠されているのではなくても)「何であるか」が分からないような外観を備えでいる。それは、煙突つきのモスクのように見える。そして少なくとも(これもその裏の事情の一部だが)それが何を成し遂げ、何事を引き起こすか、それがどういう法外な機能を秘めているか、どういう恐ろしい危険を隠しているかを示さない。原子力発電所関係者がいつも宣伝パンフレットに牧歌的な建物の写真をつけて、いかに安全であるかを「証明」しようとするのはけっして偶然のことではない。 言うまでもなく、原子力発竜所が事故を起こせば大きな破局が起きる。その発電所が置かれていた地域が丸ごと廃墟になり、土地と結びついた人々の生活は根絶される。その脅威を低く見積もることなどけっしてできない。そうであるにもかかわらず原子力発電所は、その外観だけに注目する限り、まるで「煙突つきのモスク」のような、何の変哲もないものに見えてしまう。ここにもやはりプロメテウス的落差が作動しているのである。そしてそれは、原子力発電所に対する相応しい危機意識を希薄化させ、結果的に事故のリスクを高めてしまうのだ。
ウクライナ戦争であらためて核兵器の脅威への恐怖が蘇るなか、哲学者が核兵器、そして原子力技術をどう考えたかという観点でまとめた本。 でてくる哲学者は、ハイデガー、ヤスパース、アンダース、アーレント、ヨナス、デリダ、デュピュイと豪華。 なにか人間の力を超えたところにある原子力というもの。単純に反原子...続きを読む力といっていればいいわけでもない。哲学者ならではの見解、別の言い方をすると、形而上学的な議論が展開される。 だが、そうした極端な議論を通じて、自分の思考が大きく揺さぶられる感じがした。 原子力が人間の意思というものを超えて、独自の進化をとげていくものであることが実感できた。 そして核兵器は、憎しみ、敵意、悪意から利用されるというより、ある種の規則に準じる形で一定の条件をみたせば、淡々と使用されるようなものかもしれない。 つまり、官僚的なシステムがうみだす「悪の凡庸さ」なのだ。アーレントが全体主義のなかにみた「無思考性」が核兵器にもあって、それはいわゆる全体主義国家ではなく、民酒主義の国においても変わらないものかもしれない。 この辺りは、かなり目から鱗が落ちる感覚があった。
本書のタイトル「原子力の哲学」とあるように、代表的な哲学者の原子力に対する哲学を書籍である。 筆者は哲学の専門であるが原子力の専門ではない。というか解説されている哲学者も原子力の専門家ではない(哲学の専門家だ!)。 ということを念頭に置いて本書は読むべきである。 筆者の解説は分かりやすいので、登場...続きを読むしている哲学者の論旨は理解することができる。この部分は本書の良いところである。 一方で、哲学者の原子力の哲学のほうであるが、哲学者よろしく難解な表現を使用して読者を混乱させてわかったようでわからない論法である。というか、原子力という言葉は原子爆弾と原子力発電で全く違うだろう。 哲学者さん、ここは間違っちゃいけないよ。 カールヤスパース(Karl Jaspers)が一番まともかな。 しかしどの哲学者も(哲学の最悪なところだけれど)答えを出さない。自分の哲学を述べて、じゃあどうすんねん!がまったくない。 強いて挙げるのであれば ・世界中の人々が原子力について考える ・オープンな議論を実施し、合意形成を得る という現在やっていることと同じじゃん。 とは言いつつ、新しい観点は読めばいくつかは発見できる。この手の書籍はあまり多くないので、一読の価値はあると思う。本書がきっかけなって、原子力=怖い=なくしたほうが良いという短絡的な発想を脱却して、もう1歩先に進んでくれれば、と思う。 なお、本書に登場する哲学者は以下の通り; ハイデガー カールヤスパース ギュンターアンダース ハンナアーレント ハンスヨナス ジャックデリダ ジャンピエールデュピュイ
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原子力の哲学
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戸谷洋志
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