戸谷洋志のレビュー一覧
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恋愛という不確かなものを
色んな角度から分解した見方を知りたくて読んだ一冊。
恋愛哲学というタイトルでこそあるけど、
親しい間柄の人間関係に対しても応用出来ることが多く書かれてて、思いもよらない所で
(うわ〜こうする人ってこういう心理なのかな?)(自分もこれやってたかもな〜)とか
思い返すきっかけになったし、結構腑に落ちる部分も多かった。
この本は7人の哲学者が提唱した恋愛論?を軸に進むんだけど、そのおかげでより多角的に立体的にイメージが膨らんだし、
答えのない題だからこそ、現象で満足して受け身になるんじゃなくて、考え続けることって大事だよなって痛感。
自分の中では結構ヒット。 -
Posted by ブクログ
親ガチャ的厭世観が現代日本社会で流行したのは、苦境に陥った人々が、自らの苦しみへの対処として選び取られたからではないか、というところから考察が始まる。
一時の安らぎはあるだろう。しかしどんなに努力しても希望はない、という絶望から救われることがない。
▶︎子どもが親に「生んでくれなんて頼んでない」「生まれたくて生まれたのではない」と言う時、子どもは傷つき、自分の力ではどうにもならない苦しみを抱えている
このことに思い至らなかった。自分の力ではどうにもならない苦しみに自暴自棄になっていたのか。
私は今までも、今でも反出生主義に魅力を感じてしまう。
でもそれは、生まれてしまったからには、こう生きねばならない、こうあらねばならない、というmust思考と、現実との乖離が自分の力ではどうにもならなかったからだろうと思う。
筆者は自己責任論を否定しながらも、個人が幸福に生きるためには自分を引き受けることも必要だと説く。
「私」が「私」であることの責任を引き受けられるようになるにはどうしたらよいか、ハイデガーから展開する「自由意志を前提としない責任」を理解すること、アーレントの「現れの空間」の必要性を論じる。
私も反出生主義に魅力を感じながらも、自分を引き受けたくて、でも引き受け方が分からなかった。
すべては偶然と説いた九鬼に立ち返りたい。
対話の場がもっとあればいいのに。 -
Posted by ブクログ
恋愛を考えることは人について考えることと同義。有名な哲学者らが恋愛をどう捉えていたのか、具体的でとても面白かった。
恋愛から結婚し子供を育てて幸せな家庭を育むという現代のイメージはロマンティックラブ。古代から語られた恋愛はロマンティックラブだけでなくいろんな形があったとのことで、7種類の恋愛のあり方が紹介されている。
1番印象的だったのは、ヘーゲルの「なぜ人は愛されたいのか」の章で、互いの自己意識が衝突し承認を巡る戦いが勃発した時、一方が自身のアイデンティティを失うことを恐れて敗北を認めてやっと戦いが終わるというところ。「恋人を失いたくないから負けてあげる」という感情をどちらかが持てば、主従関係つまり負けた側が尻に敷かれる形で恋愛関係が存続していく。歪だが、こういうカップルが世の中には多いし、俗に美女と野獣と言われるカップルは大体このパターンなんだろうな、と。 -
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恋愛・結婚と聞いて思い浮かぶのは、白馬の王子とお姫様の物語のように見目麗しくエレガントな異性とドキドキするような恋愛をして結婚するという、いわゆるロマンティックラブ。
しかしながら現実世界ではむしろそのような「完璧」な人はごく少数で(見目麗しき人も人格まで優れている事は多くない)、ロマティックラブが出来ない人も多い。
また恋愛初期にはロマンティックラブでうまくいってもすぐに別れるような事はいくらでもある。
と、現実基準で恋愛を考えるとロマンティックラブだけを切り口に語る事は限界がある。では他にどんな見方があるだろうか?
恋愛を欲求による熱情と捉えるのでなく、人と人との関りであると捉えなおして、過去の偉大な哲学者に聞いてみた。
というお話。
思ったより様々な視点が平易な言葉で語られ、わかりやすく面白かった。
登場した哲学者
・プラトン
決して相手を道具扱いせず、互いを大切なパートナーとして尊重する
・デカルト
恋人を第二の自己として理解する
・ヘーゲル
相互承認の帰結として愛を捉えた
・キルケゴール
愛は選択の連続である
・サルトル
愛は必ず挫折する
・ボーヴォワール
女性は客体である
・レヴィナス
理解しつくせない他者を求めることが愛である -
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ネタバレ他者から承認されようとすることは、「他者から承認されるような自分」になろうとすることで、必然的に頑張ることを強要されてしまう。
SNSで他者から承認を得ようとすると、
①私の生きやすさが他者に依存する
②絶え間ない承認を求めることで、常に不安を喚起する
③承認を求めるほど自分自身を見失う(疎外)
ことにつながる。
SNSネイティブにとって、人間関係の開始はインスタの相互フォローなどを指し、リアルとSNS上の関係性の区別はできない。
自律性は他者に頼らないでいられることで、他律性は他者に頼らないではいられないことである。一般的に自律ばかり求められるが、アイデンティティの形成には他律(他者)も必要で、かつ自立は他律の中からしか生まれない。
ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」によると、問題に直面した時、「問題が難しい」のではなく、「問題を考えるために適した言葉を使えていない」だけ。この考えによると、相手のルールや文脈が読めないSNSは、ベリーハードな言語ゲームである。
アルゴリズムは偶然性を排除し、それはすなわち「賭け」(はずれ)と選択による「責任」の排除である。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ・相手が自由ではない承認行為は自分の承認欲求を満たす事象ではなくなる
・SNSには時間の流れは起こっていない。液晶に表示されたときが閲覧者にとってそれが起こったとき
・投稿は劣化しないが紙で書き残した物理的なものは劣化する
・バズるは時間という概念がないからこそ生まれる現象
・SNSに投稿する際に炎上しないかと気をつけている行為は未来の視点
・ストーリーズは時間という概念がなかったSNSに人生特有の一回性を与えた
・Twitterは建前ではなく本音を表向きは演出できる場
・Twitterは生の声をアピールする道具にも使われる
・リツイートされることで言語ゲームのルールが変わる、それは炎上の要因 -
Posted by ブクログ
「哲学を学ぶ」というとかなりハードルが高いように思えるが、本書はそれを身近な自分ごととして捉えられるようにSNSを題材としているため、具体的なイメージが湧きやすくとっつきやすい。
筆者もまたSNSを利用しているということで、決してそれに否定的ではなく、寧ろ新しい思考の場として歓迎しているように思える。よく言われているSNSの問題点を無視するわけではなく、問題点の本質はどこにあるのか、そしてどう変わっていくのかを考えることを求めている。
個人的には「第2章 SNSにはどんな時間が流れているのか?」が、興味深かったが難解だった。頭をフル回転させないとうまく飲み込むことができなかったし、まだ喉に突っかかっている気もする。継続的に考えていきたい。