戸谷洋志のレビュー一覧

  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    本書の要点をまとめれば「弱い主体が連帯し、他者を気遣うこと」となる。

    新自由主義が蔓延し、人々の心の中までつかんでしまった現代において、そしてその集大成ともいえるトランプ復権が現実になってしまった時代にあって、強さとか責任という高所からのマジックワードを根本から見つめ直さないといけない。そのためには本書が重要な手掛かりになる。

    「強い責任」が称揚される社会とは、ナチスドイツにみられるように、実はシステムに好都合で、実は無責任で無思考な、危ない社会だ。だから「弱い責任」へと目を向けるべきだ。

    それは、目の前の傷つきやすい他者に対して、守る力を持つ者が引き受ける気遣い(ヨナスの思想)であり、

    0
    2024年11月18日
  • メタバースの哲学

    Posted by ブクログ

    リアルとバーチャルにおいて個人という定義の違いって何?って感じの本。バーチャルでも十分にパーソナルだし、触覚など感じることもあるというところは興味がでた。確かにメタバースではある意味個人個人との関わりなのでリアル同等になってくると思う。

    0
    2024年11月01日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    SNSの使い方指南書ではなく、SNSを使っている私たちとは一体何者なのか?を考える本。有名な哲学者の考え方を引用しながら、SNSと私達について考えるのが楽しかった。

    0
    2024年10月30日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    「親ガチャ」を、与えられる環境だけに限定して語っている。
    「親ガチャ」の最も、大きな影響は、主体の全てが、意思の主体が、所与のものであること。
    肉体が神経が頭脳が、それらが生み出す思考が、与えられたものであり、主体が自ら選び、論理的には責任を負いうるものではないものと言えることに、充分に配慮していると思えない書き出しに違和感。

    デザイナーズベイビー、の説明では、遺伝子操作においては、出生前の意思を認めるが、そうでない場合は偶然、となんの留保もなく語る。
    結婚、子供を持つこと、遺伝的形質に無関心な親がいるだろうか。

    決定論と責任。
    やはり決定論について語り始めた。
    ハイデガーの議論を用いて説

    0
    2024年10月02日
  • 未来倫理

    Posted by ブクログ

    現代の若者にも共感が得られるようなシングルイシューから哲学史を参照していくといった戸谷氏の近著に比べると、記述自体は淡々としている。
    思考実験的に、未来の存在への責任を考究することには意義も興趣も感じられるが、ある程度の折り合い自体は大凡の人々のなかでも確立されているような気もする。

    0
    2024年09月15日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    SNSを、ひとつ、承認欲求の問題として考えています。
    自分が何者か知りたい、自分とは、を断言できる確信を得たい、そんな側面が、SNSにはある、と。

    とくに、そこで有害にもなってくる3点として、
    依存、不安、疎外。

    依存は、自分が満たされるために、外部の行為に依存しているということ。SNSでいいねをもらったり、注目を得たりすることは、フォロワーや他者の選択によるので、自分ではどうしようもない。けれど気にさせるのがSNS。

    不安は、絶え間ない、終わりのない、欲求であること。そう、SNSを続ける限り、投稿をし続ける限り、満たされることはない。毎回、気になるし、期待を抱えて使用する。

    疎外は、

    0
    2024年09月01日
  • 生きることは頼ること 「自己責任」から「弱い責任」へ

    Posted by ブクログ

    感想
    すべて自分で抱え込まない。最初は周りに助けを求めるのは難しいかもしれない。だけど私は周りを助けている。そう思えば少しは頼りやすくなる。

    0
    2024年08月27日
  • 悪いことはなぜ楽しいのか

    Posted by ブクログ

    分かりやすいタイトルを入り口に、ホッブス、カントからアーレントまで紹介していく。
    これがけっこう分かりやすい。っていうか分かった気にさせてくれる。ボクみたいな素人にはありがたい。
    でも、分かった気になるだけで分かってる訳じゃないことには自覚的でありたいね。

    0
    2024年08月24日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    SNSとは何か、ヘーゲルやハイデカー、アーレントを持ち出し、深く考察する。
    何気なく使っているInstagram やX の裏に潜む意味がわかる気がする。

    0
    2024年08月12日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    プラトン、デカルト、ヘーゲルなど7人の哲学者の恋愛論が解りやすく書かれている。なかなかに興味深い。カエル化は決して特別なことでない。

    0
    2024年08月11日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    漫画から哲学まで分かりやすく、書かれていて読みやすかった
    親ガチャ的厭世観は誰かが聴いてくれず孤立している時に生まれてくる。誰かのせいにするのは簡単だが、そのように思ってる人に寄り添わず、無視してはいけない。
    辛い気持ちを持ってる人に対してひとりではないことを話し合える機会や場所がより増えていけば、親ガチャ的厭世観はなくなっていくと思った。

    0
    2024年06月24日
  • 悪いことはなぜ楽しいのか

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトルに惹かれてろくに中身を確認せずに購入してしまった本。著者ははっきり示してくれていたのに…これが"倫理学の「勝手口」"であると。
    内容は大学の一般教養の初回の講義のようで、わかりやすく軽く読めて良い(20分程で読み切れる)。著者は何も悪くない。確認しなかった自分が悪いのだが、コスパは非常に悪い。

    0
    2024年06月09日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    親ガチャというキャッチーなところから入って自己や他者について考えられてよかった。親ガチャ的厭世観が一種の逃げというか防衛本能というか。

    0
    2024年05月09日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    7人の哲学者が語る恋愛論は多角的で興味深い。
    まるで学問のよう。
    正解が無いからこそ、どの人の考えも受け入れられる。
    それぞれ異なる部分はあるけれど、“恋愛とは何か”という問いが最終的に“人間とは何か”という問いに行き着くのは同じか。
    幻想を抱きがちな恋愛も、あくまで『社会に組み込まれたシステムの1つ』と思っておくぐらいが今の自分にはちょうど良いのかもしれないな。

    0
    2024年05月06日
  • 哲学のはじまり

    Posted by ブクログ

    歴史的に哲学を俯瞰するでなく、学問内のジャンルに基づいた概説書。となると、史家が年代順に並ぶ訳じゃなく、系統別に並べられるので、その意味で分かりやすい。

    0
    2024年05月01日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    「〇〇について考えなくてはならない」というとき、その言葉が前提として孕んでいる強制力。たしかにあるなあと思った。
    「考えたい」と「考えなくてはならない」は異なり前者のスタンスで物事に向き合えたら、それは現代人にとってとても豊かな態度なんではと想像したりした。

    表紙は子供向け本みたいな雰囲気だけれど、大人向けの書き口だった。

    0
    2024年03月07日
  • 友情を哲学する~七人の哲学者たちの友情観~

    Posted by ブクログ

    筆者は健康な男性で、それ以外の人(特に女性や同性愛者)のことはよくわからないのかなと思った。非当事者が当事者に関連することを話したり書いたりするのはやっぱり難しいのだろうなと改めて考えさせられた。

    0
    2023年10月14日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    SNSの使い方(依存しないように生活の中での使い方を考えよう/セキュリティを意識しよう)についての本ではなく、私たちの生活の中にすでに溶け込んでいる(分離して考えることが困難な)SNSという媒体と、それを利用しながら(SNSとともに)生きるとはどういうことか、ということをヘーゲルやハイデガー、アーレントなどの哲学者の思考を組み入れながら分析・考察している本です。

    「SNSについて」を主題としている書籍、というよりも現代のわれわれの生き方について改めて哲学適任考えることが主題になっているように思います。その思考のとっかかりとして、SNSを取り上げている、という印象でしょうか。
    古典的な哲学書を

    0
    2023年10月04日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    SNSと距離を置くことをまず推奨するのではなく、SNSがもたらす時間や個人のあゆみ、承認欲求などを取り上げ、自分の中のSNSの立ち位置を見直すことを推奨する本
    いわゆるZ世代よりも上のSNSに疲れている人・価値を見出したい人に読んで欲しい本だ

    0
    2023年09月12日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトル通り。これまでに読んできた本と内容的に被るところが多く、さほど目新しさは感じなかった。私自身は、アルゴリズムが類似商品を推奨してこようが、実店舗で偶然の出会いを果たそうが、最終的に購入可否の決断するのは自分なので、いずれにせよ自己責任は生じると考えており、そこは著者の意見と反する。ただデジタル情報は紙の本と違って媒体が劣化しないゆえに、時間の経過による変化がないのはそうだなと思う。

    0
    2023年09月09日