戸谷洋志のレビュー一覧
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スマートなデバイス、サービスが生み出すスマートなシステム、スマートな社会。スマートさがもたらす悪の可能性を探求する本。
そこで登場するのが、アイヒマンというわけで、アーレントの議論を軸にしながら展開していく哲学的な技術・社会論、という感じかな?
一つひとつのスマートなサービスは、便利で、使い始めるとそれなしには生きていけないのだが、全体して、それが人の幸福、社会の幸福につながっているのかは心配な気持ちになる。
著者は、スマートの語源にある痛みといったところを確認しつつ、スマートが目指す一人一人への最適化という概念をロジスティックスの問題と関連づける。で、ロジといえばということで、ユダヤ人 -
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「スマート」という言葉は非常に聞こえの良い言葉であるが、本書では主にネガティブな側面に注目している。テクノロジーの発達により生活は最適化され「スマートな社会」へ進歩すると考えられているが、一方で最適化が悪への加担を引き起こしうるということを認識しなければならない。最適化には暴力性を孕んでいることを本書では「スマートな悪」と呼んでいる。
「スマートな悪」が暴走したらどうなるのか?ここではナチズムとアイヒマンを事例に出しながらその末路を論じている。まさに全体主義は最適化の負の側面であり、アーレントやアンダースによる全体主義の起源の考察は現代においても、とりわけ超スマート社会化おいては通ずる点が少 -
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ネタバレ<目次>
第1章 自分
第2章 恋愛
第3章 時間
第4章 死
第5章 人生
<内容>
文庫書下ろし。学生による出版コンペティション「出版甲子園」での企画が原案(2015年の第11回)。大阪大助教によるもの。先生と助手の女子大生の会話形式で、目次の5つのテーマを、それぞれ3つのJ-POP(計15曲)の歌詞から読み解いていく。セカオワ・RADからいきものがかり・ミスチル・東京事変・AIKO・宇多田ヒカルまで多彩。軽い感じで読み通せるが、言っていることは深い。ニーチェやパスカル、キルケゴールまで出てくるが、そのあたりの扱いは軽い。高校生から大学生を読者層に想定しているのではないか?高校 -
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本書のタイトル「原子力の哲学」とあるように、代表的な哲学者の原子力に対する哲学を書籍である。
筆者は哲学の専門であるが原子力の専門ではない。というか解説されている哲学者も原子力の専門家ではない(哲学の専門家だ!)。
ということを念頭に置いて本書は読むべきである。
筆者の解説は分かりやすいので、登場している哲学者の論旨は理解することができる。この部分は本書の良いところである。
一方で、哲学者の原子力の哲学のほうであるが、哲学者よろしく難解な表現を使用して読者を混乱させてわかったようでわからない論法である。というか、原子力という言葉は原子爆弾と原子力発電で全く違うだろう。
哲学者さん、ここは間違 -
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ネタバレ個人的に哲学は近寄りがたい&自分には縁のない学問だと思っていたが、非常に身近なJ-POPの歌詞から哲学を考えていくスタイルは自分に合っていた。
非常にはっとさせられたのは、宇多田ヒカルの「誰かの願いが叶うころ」の考察で出てきた「共同性の暴力」である。いくら恋人同士だとしても、「私」と「他人」の関係性からは抜け出せないし、恋人の他社性を否定することは暴力的なことであるとのことだったが、過去の恋人とうまくいかなかったのはコレだわ…と大反省した(笑)
ちなみに私の場合は、恋人なんだから私が考えていること分かるよね?と期待しては勝手に落ち込む、ということを繰り返し、もういい!別れる!みたいな感じのパタ -
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先生と麻衣さんの対談形式で、Jポップの歌詞を引用しながら、哲学のテーマである「自分」「恋愛」「時間」「死」「人生」について考えていくという本。各テーマについて3つの小テーマを考えるので、全部で15曲が引用されています。
Jポップは90年代後半の頃から好きで聴いていましたが、どっちかというとメロディーにばかり意識がいってしまって、歌詞にはほとんど注意を払っていませんでした。こうして改めて歌詞について考える機会があると、存外深い意味をもったものなんだなと気づかされました。特に、一番最後に出てくる、いきものがかりのYELLはすごいですね。
肝心の哲学について言うと、まあ正直ふわふわした理解しか得られ -
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ネタバレ【きっかけ】
本屋で見つけた。中高生には難しいか。
【内容】取り上げられた歌と歌手と哲学者
①ミスチル『名もなき詩』カント
②ゲスの極み『私以外私じゃないの』フィヒテ
③乃木坂46『君の名は希望』ヘーゲル
④AI『STORY』ブーバー
⑤西野カナ『会いたくて会いたくて』メルロ・ポンティ
⑥宇多田ヒカル『誰かの願いが叶うころ』レヴィナス
⑦バンプ『天体観測』ベルクソン
⑧Aiko『キラキラ』ヴェーユ
⑨東京事変『閃光少女』バタイユ
⑩ラッド『おしゃかしゃま』キルケゴール
⑪浜崎あゆみ『dearest』ハイデガー
⑫ワンオク『a new one for all,All for the new o -
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詭弁も論破も、あまり印象のよい言葉ではない。詭弁を弄して相手を論破することは、本人は爽快かもしれないが、相手は納得いくものでないだろう。
その意味で、ひろゆきの論破芸は相手が理屈に合わないことを認めさせるというよりは、第三者に相手を論破したと認めさせるという要素がある、という著者の見立てには納得感がある。国会の議論もそんなものだろうし、SNSに至っては論破もへちまもなく、議論の体もなさずに主張や中傷が繰り広げられているようなことが多いようにも思う。
では、建設的な議論をするにはどうしたらよいか。著者は近代民主主義の成立過程において各自が読書体験などを自由に論じ合う公共的体験=社交に焦点を当て、 -
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論破ではなく、緩やかな対話をする姿勢を。
ひろゆき氏の論破に端を発して、彼はなぜ論破ができるのか、その問題点から、ポストトルース時代の議論へと話は発展していく。
自分として特定の主張は持たず、第三者を納得させることを意識するから論破できるというのは、納得感があった。エビデンスの捉え方について、理系的に考えようとする自分でも最近そのエビデンスがそもそも正しいか?それはエビデンスになるのかという事例に触れるにつけ、使うことの難しさを感じている。
哲学的な議論も踏まえて、最後のまとめの中でひろゆき氏と論破(を前提とした討論)ではなく、対話を目指していこうというのは、そう来たかという感じで新鮮だ -
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この本では、「なぜ未来世代に対して責任を負わなければならないのか」という問いに対して、さまざまな倫理理論からの答えが紹介されていて、倫理の多様な考え方を知ることができた。中でも印象に残ったのはロールズの契約説の考え方だった。私たちは生まれてくる時代を選べないのだから、自分がどの時代に生まれても納得できるように資源を残すべきだという、公正さを重視した考え方がとても納得できた。
福島の原発事故については、ハンス・ヨナスの責任原理の考え方が深く関わっていると感じた。津波の予見可能性があったにも関わらず、リスクを軽視して十分な対策を行わなかったことは、未来世代に取り返しのつかない被害を与える可能性があ