戸谷洋志のレビュー一覧

  • ハンス・ヨナスの哲学

    Posted by ブクログ

    昨年『生きるとは頼ること』を読んで気になっていたハンス・ヨナスについて著者の戸谷さんが解説書を出しているということで読んでみた。誰が責任を取るのかという責任の主体に焦点を置く通常の責任論に対して、ヨナスの責任論は誰に対して責任を果たすべきかという責任の対象から考えるという視点の転換がある。(目の前で泣いている乳飲み子を放っておくべきではないのは対象の存在に対して責任を感じるから)
    なぜ対象に対して責任を果たすべきなのかという点についても、存在そのものへの価値、善を見出すという点から、未来世代への責任についても未来の世代が存在し果たすべき責任が継続すること自体に基礎を置いて考える。
    気候変動、そ

    0
    2026年05月22日
  • 原子力の哲学

    Posted by ブクログ

    哲学的に考える事は容易ではない。しかし、原子力を考える事は、科学を超えた思考が必要であり哲学的でもあると、うっすら思っていた。戸谷氏の事を100分で名著のヤスパースで知り、本書に辿り着いた事に感謝。いや、これが必然で偶然ということか。原子力の捉え方に一条の光が見えた気がするのは気のせいか。これからも対峙していく。

    第三章 想像力の拡張 ギュンター・アンダース

    アンダースは、このように、人間が自ら製造するものとそれに対する人間の能力の不均衛を、「プロメテウス的落差」と呼んでいる。こうした落差のために、人間は、核兵器に対して正常な判断を下すことができなくなるのである。
    もっとも、プロメテウス的

    0
    2026年05月14日
  • すごい古典入門 アーレント『人間の条件』 なぜ働かなきゃいけないの?

    Posted by ブクログ

    ゼミで幾度となく聞いた「ハンナ・アーレント」

    教授からきく彼女の「公共性」の話はずっと心にあって、また映画で彼女の一生をみて、その逞しさに憧れた。

    「人間の条件」は、読んだことがなく、また話を聞いても「???」だったので入門書から!
    めちゃくちゃ読みやすくて、!これまで分かりたくても分からなかった政治思想家たちの話、このくらい薄っぺらい入門書なら読める気がする。。。

    「人間の条件」の内容について、
    人間の活動、その視点から分ける?みたいなのがあって面白い。労働について考える学者の礎になるのも頷ける(気がする)。
    あとアレントの定義する「労働」はアレントからかなり悪く評価されており、それは

    0
    2026年04月27日
  • 恋愛の哲学

    Posted by ブクログ

    この本はあくまで私たちがこれから生きていく新たな知見を得るにすぎない。
    本書の冒頭にもあったように批判的な思考を持ち、あらゆる哲学者の思考を踏まえて自ら新たに考えることを筆者は求めているんだと思う。

    0
    2026年04月21日
  • 哲学のはじまり

    Posted by ブクログ

    哲学をもとに、"当たり前"を問い直すことの意味が述べられていた。
    また、哲学の三大テーマとされる存在・認識・価値について簡潔に整理されており、全体像を把握しやすい。
    一息つくことができる良書

    0
    2026年03月15日
  • 別冊NHK100分de名著 集中講義 三大哲学書 カント『純粋理性批判』ヘーゲル『精神現象学』ハイデガー『存在と時間』

    Posted by ブクログ

    ヘーゲルの弁証法とかアウフヘーベンはなんとなく知ってたけど、目的とか本のタイトルの『精神現象学』っていうものと結びついてなかったから知れてよかった。

    0
    2026年03月12日
  • すごい古典入門 アーレント『人間の条件』 なぜ働かなきゃいけないの?

    Posted by ブクログ

    とても「入門書」って感じの本だった。5年前に2年弱かけてちくま学芸文庫の『人間の条件』を読んで覚えていたところを、より知識同士の連関を説明してもらった。忘れかけていたが、少し思い出すことができた。

    0
    2026年03月11日
  • すごい古典入門 アーレント『人間の条件』 なぜ働かなきゃいけないの?

    Posted by ブクログ

    入門書としては、費用対効果抜群の本である。
    アーレントはなぜマルクスを「誤読」したのか?
    そこにどのような意図があったのか?

    0
    2026年03月01日
  • 詭弁と論破 対立を生みだす仕組みを哲学する

    Posted by ブクログ

    「論破」といえば、やはりひろゆき氏。
    本書では、この人の論のスタイルにしばしば批判的に言及する。
    しかし、本書は単にひろゆき氏をモンスター扱いせず、彼のような存在がなぜ社会で喝采を浴びるのかから分析する。

    本書の論旨は「おわりに」にまとめられている。
    こういうところは、お若い研究者らしい、読者にやさしい配慮でうれしい。

    4章までの前半は、おおざっぱに言ってしまえば背景としてのポストモダニズム。
    権威が失われ、あらゆる価値が流動化して、社会の共通基盤が失われる。
    ポスト・トゥルースの話も出てくるが、「真実」の価値も顧みられなくなる。
    人々は「集団分極化」(キャス・サンスティーンによる概念)し

    0
    2026年02月28日
  • 詭弁と論破 対立を生みだす仕組みを哲学する

    Posted by ブクログ

     論破王から論を起こし、最終的には現代において求められているコミュニケーション能力は社交的に対話する能力だと結論している。

     クーンのパラダイム論やハーバーマスの『公共性の構造転換』などを援用しながら、わかりやすく、説得的に論を展開している。

     「おわりに」に各章の結論がまとめられており、まずはそこだけを読んでも良いだろう。

     章末の註に参考文献が示されているが、巻末に参考文献表と読書案内を付けて欲しかった。

     個人的には、ハーバーマスの高名な著には、そんなことが書かれていたのかとたいへん勉強になった。

    0
    2026年02月23日
  • 詭弁と論破 対立を生みだす仕組みを哲学する

    Posted by ブクログ

    ひろゆきのような相手を詭弁によって論破するような議論は人々を啓蒙することは難しい上にある種の嘘が蔓延してしまう恐れがあると思う。したがってこれはあくまでエンターテイメントとして楽しむべきであり、議論によって本当に大事なことは相手を敵としてではなく議論を進めていく仲間としてみて、自分たちの意見や見解を深めていくことだと思う。

    0
    2026年02月09日
  • 悪いことはなぜ楽しいのか

    Posted by ブクログ

    「倫理思想を勝手口から解説した」との事で面白かった。
    元々倫理はある程度目を通していたので、ああそうと言えるかと言った感じですぐ読み終わってしまったけど、ショーペンハウアーのエゴイズム、悪意、同情を先に触れて、カント、お得意のアレント、ハイデガーも参照する構成は上手いなあと思った。

    本人が言うように「結局何が言いたいんだよ」感は残るけど。

    0
    2026年01月15日
  • メタバースの哲学

    Posted by ブクログ

    面白かった〜。メタバース上の恋愛とか、バ美肉が多い理由とか、そもそもメタバースに人が集まるのはなんでだろとか、疑問に思ってた事を紐解くヒントが知れた。考え甲斐があって良い。

    0
    2025年12月08日
  • 友情を哲学する~七人の哲学者たちの友情観~

    Posted by ブクログ

    「友だち地獄」、「伝統的な友情観」といったものを打破するために複数の哲学者の友情観を紹介していく本。有名マンガも例として出されてて分かりやすくはしてくれている。個人的にはあっても無くてもくらいの感じだった。

    カント、ヴェイユの友情観に登場する「自律性」が俺の中ではかなり大事なんだと認識できた。というかどこまでいっても自分に矢印が向いてるのが俺の個性で、長所でもあり短所でもあるんだろうなと。なんなら読み進めていくと最後マッキンタイアのところで、「自律はケアとセットで考えられなければならない」と、自分にフォーカスを当て過ぎなことを諌められた気分。恵まれていることが当たり前になり過ぎて、今の環境に

    0
    2025年12月05日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    ここ数年よく聞く言葉だなと思って手に取りました。言葉の意味から現在の社会問題まで、非常に身近に感じ考えさせられました。実際の事件や人気の漫画、アニメが例としてあげられ、分かりやすいです。

    0
    2025年12月01日
  • 悪いことはなぜ楽しいのか

    Posted by ブクログ

    読売こども新聞で、中学入試の問題として出題されていて、興味を持った。


    ドフトエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」
    ユゴーの「レミゼラブル」
    フィッツジェラルドの「グレートギャッツビー」、
    あらすじはなんとなく知っているけど、実はよくわかっていない古典を、
    すごくわかりやすく哲学を交えて解説してくれていて、解像度があがった。

    一番印象的だったのは、宮沢賢治の「よだかの星」の解説で、
    「私たちは、見かけの上では他者と協力しているように見えても、
    実際には、目の前にいない人を搾取しています」という一文。

    日々、生きているだけで、誰に対するともいえない、なんとも言えない罪悪感の正体はこれだったの

    0
    2025年12月22日
  • ハンス・ヨナスの哲学

    Posted by ブクログ

    「ヨナスは海外では極めて有名な哲学者です。ヨナスほど、世界と日本とで認知度に差がある哲学者は少ないかも知れません。」と戸谷さんは述べている。
    しかし、戸谷さんは、ヨナスの名が日本に広まらなかった理由については言及していない。
    その理由、原因、は何かというと「日本には、すでに、ヨナスの思想と同等のものが存在していた」からだと私は思う。

    GoogleのAI検索で「ハンス・ヨナスの思想」と「華厳思想」の共通点、と検索すると以下のようになる。
    「両思想は、共に個々の存在の背後にある大きな連関性や全体性に着目し、その認識から人間や自然に対する深い配慮や責任を導き出そうとしている点で共通しています。ヨナ

    0
    2025年11月09日
  • シリーズ「あいだで考える」 SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ

    Posted by ブクログ

    哲学・倫理学を専攻する准教授による、SNSの付き合い方の本。

    SNSとの付き合い方は、ネットの世界に飲まれすぎないことだと思った。SNSは基本的に情報が少ない。だから、SNSの発信からは相手の意図を感じとりにくいし、こちらからも伝えきれない。
    どうしても情報不足になりがちな点は頭に入れておき、少し距離をとった見方ができると良いのではないか。

    0
    2025年11月03日
  • 悪いことはなぜ楽しいのか

    Posted by ブクログ

    悪いこととは何か、なぜ意地悪するのか、などの普段疑問に思わないけど明確に答えられない問いに対して、過去の哲学者がどう考えてきたのか非常にわかりやすくまとめられている。

    哲学的な内容を簡易な言葉や事例で紹介していて、グイグイ引き込まれた。面白い!

    0
    2025年10月19日
  • 親ガチャの哲学(新潮新書)

    Posted by ブクログ

    「親ガチャ」は少なからず意識する人生でした。
    市場経済における自己責任論とか自己啓発ムキムキの雰囲気とかほんと胃もたれしていて、幾度となく共同体から爪弾きにされている私である。

    他責で自暴自棄な思考から解き放たれるためには、以外にも「他者」の存在が必要不可欠。他者がただ聴いてくれるという信頼の上で、自己の人生に責任を持つという態度を取ることができる。なるほど、確かに自分の殻に引きこもっている時代はその引っ込み思案で人とうまくコミュニケーションが取れない自分を、ある一面では家庭環境のせいにしていた青い時代を思い出す。

    でも、「親ガチャ」的厭世観に陥っている人に「他者」を信頼しろというだけでは

    0
    2025年09月11日