あらすじ
「やられたらやりかえす」「ルールは破るためにある」「空気なんて知らない」「意地悪したい」「自分が楽しければいい」 これに共感する私って「ふつう」ですよね? ちょっといけないことをしたとき、ドキドキして心が躍る。意地悪、自己中、復讐にも絶妙な快楽がつきまとう。なぜ、私たちはそんな気持ちになってしまうのか? 私たちのよくない部分から、悪と善を考える。
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■自己中は生物の本能。
■ショーペンハウアーはエゴイズム、悪意、同情という三つを、人間がもつ根本的な衝動として説明。人間が何らかの衝動に駆られて行為するとき、それは必ずこの三つのうちのどれかである。この中で道徳的だと言える衝動は、同情しかない。
なぜ人は他者に同情するのか。ショーペンハウアーは「同情は「私」と他者の区別そのものをかき消してしまう」という。
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悪いこと、いいことにはどんな違いがあるのか。
それは、どう判断されるのか。
社会には様々なルールがあり、それに適合するか否かでジャッジされる悪いこと、良いこと。
タメになる。
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版元からして比較的平明な文章になっているが、題材選びが筆者の他作品の中でもとっつきやすく優れているように思う。
文芸作品からの例示が多く、自分の関心領野としても適っていた。
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自己チューはなぜ楽しいのか、いじわるはなぜ楽しいのかという、こどもでもとっつきやすいテーマから始まり、それぞれの章の中でカントやハイデガーなどの哲学・倫理学でよく扱われる思想家を紹介するという流れが、とてもよかった。それらに興味を持つきっかけになりうる本だと思う。
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悪いこととは何か、なぜ意地悪するのか、などの普段疑問に思わないけど明確に答えられない問いに対して、過去の哲学者がどう考えてきたのか非常にわかりやすくまとめられている。
哲学的な内容を簡易な言葉や事例で紹介していて、グイグイ引き込まれた。面白い!
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いけない理由をキチンと説明できるようになるために読んでみました。結構楽しく、文量的な負荷もなく半日で読み終えられました。
同情の考え方、結構好きかも。
良い意味でも、悪い意味でも
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タイトルに惹かれて読み始めた。
目次を見ると、
1 自己チューはなぜ楽しいのか
2 意地悪(以下同じ)
3 復讐すること(同)
4 自傷行為(同)
5 空気を読まない(同)
6 反逆する(同)
となる。一見するとどれも悪いことだし、基本的に筆者も悪いこととする立場ではある。だが、筆者のガイドによって古今東西の哲学者のもとに連れて行かれ、その考えを簡潔に伝えられて、読んでいくうちに「これは悪いことではないのかも」とも思えてくる。
ルールを守るのは、他の人もルールを守るから。
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タイトルから、不道徳な行いをする際の快楽的な要素について心理学の視点からアプローチする本かと思っていましたが、実際には「いわゆる不道徳とされる行為を行う人の思考回路や、それらの行為がなぜ不道徳とされるのか」というところを倫理学・哲学の視点から解説した本でした。
よくある哲学書のように「かくあるべき」という切り口てはなく、「自己中」「意地悪」「嫉妬」「自傷行為」といったネガティブな側面を哲学的にどう説明するか、ということをカントやルソー、アーレントなど主要な哲学思想家の論を用いて丁寧に解析しています。
読み物、としては(テーマ的にも)やや硬い印象がありますか、西洋哲学史の入門書としては手に取りやすい思います。
Posted by ブクログ
全体的にもう一歩踏み込んで説明してほしいな、という感じで、倫理学に関する本を曲がりなりにも色々と読んだことがある人には、少し物足りない感じがあると思う。が、最後の第六章「反逆することはなぜ楽しいのか」の最後の最後、ハンナ・アーレントの話は、ものすごく印象的で、ちょっと唸ってしまった。
「一つのルールですべての人間を納得させることなんてできない。もしもそれができたら、人間は一つのルールでカバーできてしまうような、単一の存在になってしまう。それに対して、人間には複数性が備わっていて、誰もが他者と異なる存在であり、今まで考えられなかったような新しいことを始めることができる。私たちには、どんなときでも、既存のルールに異を唱え、それを刷新することができる。だから、人間は反逆するーアーレントはそのように考えました。」(p149)
人間の「複数性」を大切にするアーレントは、人間を単一の一塊のような人間と捉えることを批判した。だからこそ、個別の人間の違いに根差したルールの変更が絶えず行われることが大切だとした。
その後の反逆が起きたときの秩序の部分が面白かった。そういった絶えず行われる反逆のたび、どのようなルールにも正当化されない、ある種の無秩序になる。そういった無秩序状態のときに、秩序を保つものを、アーレントは「約束」だとしている。
拍子抜けするような単純な答えだけれども、いやに納得した。ルールも一つの約束である。とすれば、逆に言うと害を成すルールは、もはや一つの約束だったことを忘れ去られた約束である。誰が作ったのか、何のために作られたのか。伝統のまま、放置されたブラックルールは、そういった作られた経緯を誰も知らないまま残り続けて、誰かに不都合を生む。
そこにいる人たちと、再び約束を結び直す。悪しき慣習を変えていくことは、そういうことなのだという結論に、すごく心動かされた。
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時代とともに、善も悪のニュアンスが変わってきてる気がします。
悪いことをしてるつもりはないけれど、迎合できないとき、自己中や空気を読まないの悪に分類されてしまうと思いました。
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悪いことがなぜ楽しいかという逆説的に考えることで結果的に良いことを考えることになり、悪いことをしなくなるという論理で話が展開される。自己中、意地悪、自傷行為などについて論理的に考える点が新しい。
Posted by ブクログ
「悪いことは楽しい」(場合が多くある)という前提を認めた上で、善悪とは何か?を考える本。
小中高生向きな内容でわかりやすかった。
「自己中はなぜ楽しいのか」「意地悪はなぜ楽しいのか」など、
お題はとても興味をそそられるものの、中身が哲学者の論の紹介で終わっている箇所もあり、もう少し深堀って考えたかった。
自己中が楽しいのは本能に従っているから。現在は皆が社会生活を安心して送れるようルールが至るところにあるが、「自己中」は一人だけそれを無視している状態。まぁそれは楽しいよなと思う。大事な人との暗黙ルールは守った方が良いが、その辺の人とかもう会わない人達の顔色気にするなら自己中に生きた方が良いなと思った。
革命等、これまでの当たり前とされていたルール(善悪)が変わる時は無秩序になる。
円滑に進めるには、そのコミュニティにおける善悪のルールを決めておく必要あるよなと思った。
Posted by ブクログ
分かりやすいタイトルを入り口に、ホッブス、カントからアーレントまで紹介していく。
これがけっこう分かりやすい。っていうか分かった気にさせてくれる。ボクみたいな素人にはありがたい。
でも、分かった気になるだけで分かってる訳じゃないことには自覚的でありたいね。