カート・ヴォネガットのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
さー、久々にハードSFでも読んでみるか!と手に取ってみたら全然違った、という本。
むかしSFはよく読んだけど、この著者は初めて読む。
なぜハードSFだと思ったかというと、別件で調べものをしていて「アイス・ナイン」という物理学方面の単語に出合ったからだ。
9番目の氷? なんか素敵じゃん。と。
ところが、開いてみたらこれはそういった科学的興味の本ではなく、著者自身が冒頭で示唆している通り虚妄の大伽藍で、平たく言えば偉大なるホラ話だったのである。
さて、作中でいうアイス・ナインは、常温・常圧で水を凍りつかせる「種」なのである。
たとえばコップの水にそれを落としたら、その水はたちまち凍って -
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Posted by ブクログ
過去、ヴォネガットは3作品を読んでいる
『プレーヤー・ピアノ』
『猫のゆりかご』
『スローターハウス5』
いま、このブログにある自分の感想を見てみると、どれも好もしくよろしい感触
さもありなん、このもう最後の作品になるのかという、作者73歳か74歳発表の
『タイムクエイク』
やはり、なかなかの作物なり
創作あり、随筆風あり、思い出あり、文学紹介あり
幾層にも複雑化した構成の中に、いい年輪を感じさせる、その気持ち
わたしたち年寄り(この本では「古手」といっている 笑)にはよくわかるのである
タイムクエイク(時空連続体)によってある時、詳しくは2001年2月23日 -
Posted by ブクログ
彼は「芸術家の社会的機能は、人々が以前にも増して人生を好きになるようにすることだ」と書いている。たとえばと訊かれて、「ビートルズがやったことだね」と答えた。
ミルクよりクリームが高価なわけを知っているかね? 聴衆:いいえ。 牛はちっちゃいボトルにまたがるのが嫌だからさ。
本を読むことをやめてはいけない。本はいいものだ──ちょうどいい感じの重さがある。指先でやさしくページをめくるときのためらい。わたしたちの脳の大部分は手が触れているものが自分にとっていいものなのか悪いものなのかを見定めるのに使われている。どんなちっちゃな脳でも、本はいいものだとわかるんだ。
彼は他にもおそらく正しいこと -
Posted by ブクログ
面白かった! カート・ヴォネガットの大学での講演集。
最初はちょっとわかりづらいな…と感じたのだけど、だんだん何を言わんとしているかがわかってきて、そうするとものすごく面白くてのめり込んでしまい、電車にカバンを忘れて下車……
という悲しい事件まで発生したいわくつきの本。
いろいろなことが語られているけど(別の大学で同じことが語られる)、日常のささやかなことを愛して生きるということに尽きるのかなと思った。
カートのある叔父は、男は戦争に行ってこそ一人前という考えだったが、ある叔父は人生がうまくいっているとき――木陰でレモネードを飲んでいるようなとき――、「これで駄目ならどうしろって?」と言う -
Posted by ブクログ
ネタバレ吉野朔実が子どものときに読みたかった本として挙げていたため、興味を持って読むことにした。どうしてこれを子どものときに読みたいと思ったのだろう、と疑問に思ったが、確かに小さな頃に見ていれば、価値観というか見方がひっくり返ったかもしれない(?)。
最初はただの普通の話だと思っていたが、空想の島「サン・ロレンゾ」が出てくるにつれ、段々と不思議な世界に突入していく。一般人がアイス・ナインという一歩間違えば大量殺戮兵器にもなり得るようなものを持っていて、この道具を個人の好きに使ってしまって、きな臭くなっていく。ハニカーの子どもたちに対しては、良心もある程度の分別もあるけれど、私欲も勿論持っている人間