カート・ヴォネガットのレビュー一覧

  • 読者に憐れみを

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    ネタバレ

    単なるテクニックというよりは考え方が書かれていると思う。
    教え子のことを金塊と呼んでいたというのは好きなエピソードだった。

    「読者の時間を無駄にさせない」という考え方はとても好きだ。
    「たった一人の人間のために書け」というのも印象に残った。

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    2026年03月18日
  • ジェイルバード

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    どんな状況に置かれようともユーモアがある限り大丈夫。絶望していても仕方ない。ユーモアを忘れずにろくでもない世の中をわたっていこうと自ら手本を示してくれたヴォネガット。だから時々読みたくなるんだよなあ。

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    2026年02月22日
  • 猫のゆりかご

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    ネタバレ

    「キャット・クレイドル」の名は、宇宙船の名として知った。『宇宙英雄物語』の最終話にぽっと出てきたキャラの愛機だ。ぽっと出のキャラだが紅龍を逮捕するなどの活躍をしており、もっと活躍する予定のキャラだったらしいことがおまけページに書かれている。
    別の機会に同名の小説作品が存在することを知った。

    本を手に取るまで『タイタンの妖女』の著者の作品であることを知らなかった。知ってしまえば期待は爆上がり。クールに虚無を積み重ねていく語り口調はパラニュークや『パルプ・フィクション』を思わせるもので、発表順からすれば影響を与えたかもしれない側となる。

    短いエピソードの連なりで物語は構成されている。外堀が少しずつ埋められていくような、完成図が見えないジグソーパズルが全体像を想像させないまま次第に出来上がっていくような。読んでいる最中はとても幸せだった。

    しかし、どうにも期待をかけすぎたようだ。美しいクライマックスであるとは思える。しかし、完璧な結末とは思えない。

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    2025年07月31日
  • これで駄目なら

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    カートヴォネガットのタイタンの妖女が好きで、彼が学生にどんな言葉を語ったのか知りたくて読みました。彼らしい、皮肉のこもった例えやジョーク。でも、愛と親しみと知性が彼にはある。
    いくつかの演説で繰り返し投げかけるのは、自分の世界を広げて、未来の可能性を感じ、生きる指針を与えてくれた先生はいるか(個人的意訳です)?ということ。手を上げさせて、その先生の名前と、何を教わったかを伝えるように話す。それがいかに貴重な体験なのかを教えてくれる。

    それから叔父さんの話で、何でもない日に木陰でレモネードを飲みながら、これでダメならどうしろと?と言う。それは、何気ない幸せを感じ取ることの大切さを表している。普通の日々に感謝する。ガンジーの映画を見た後だから、余計にこの言葉が刺さる。そう、特別なことがなくたって、普通の毎日があることが幸せなんだ。

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    2023年02月27日
  • パームサンデー―自伝的コラージュ―

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    氏の講演やエッセイを収めたものだが、驚くほど身辺のことを率直に語ったりしており、まさに「自伝的コラージュ」。しかし、仕事の種類が雑多でこんなに色んな講演の仕事受けてたのね、と。(その理由も後半で語られるのだけど)。
    前作のエッセー集が氏のユーモアやペーソスを滲ませながらも氏のフィクションより(個人的には)すごく率直に同時代を語られていたと感じて感銘を受けたんだけど、今作はより氏自身のことが語られているような気がして、貴重だな、と思いつつ、前作の方が好みかな。

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    2022年01月31日
  • 猫のゆりかご

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    マッドサイエンティストが生み出した世界を破滅させる物質をめぐる物語ですが、舞台となる南の島の独裁国家での主人公達のやりとりが面白いです。あやとりもやってみたくなりました。ゆりかごなら簡単にできそうですね。

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    2021年11月18日
  • はい、チーズ

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    ネタバレ

    一つのジャンルに限定できない短編集。好きなものをいくつか。

    「FUBAR」…「かわいそうな自分が大好きで、それを変えるようなことはしたくないなら」プールに飛び込もう!

    「エド・ルービーの会員制クラブ」…この短編集の中では長めの話。悪者退治は手術室で。気持ちよく読み終えられる。

    「この宇宙の王と女王」…世間知らずの青年と少女が現実の一面を見て大人になる話。二人が宇宙の王と女王なら、カルピンスキーは宇宙の救世主。

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    2020年11月08日
  • ホーカス・ポーカス

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    坦々と読み進める。
    感想はとくになし。

    ヴォガットがなくなったのは2007年で、それから6年たって、自分のブログにこんなことを書いたことがある。

    「カート・ヴォネガットが亡くなってもう六年経つ。
    かれの作品は好きだが、困るのは、読んだ後、元気がなくなるという点だ。

    ヴォネガットといえば、「心優しきニヒリスト」という肩書が有名で、かなり早い時期からそう言われていた。作品はたしかにそんなふうだ。

    かれの主人公は、巨大な歯車の中でモルモットのように扱われ、無慈悲な運命に翻弄される。誰が悪いというわけでもない。巨大な歯車、巨大なシステム、宇宙的な構造そのものの結果としてそうなるのであって、仕組みそのものにも悪意があるわけではない。だから、人間の存在や営みは結局のところ無駄であり、傍から見ているとコミカルなだけである。それを愛情深く描いたのがヴォネガットの作品である。

    (同じことがらを叙事詩的に描くと、小松左京の「果しなき流れの果に」になるのかもしれない。)

    だからヴォネガットの作品を読んでもちっとも元気にならない。意気消沈してしまう。元気を奪われてしまう。
    ファンではあるが、ときどきしか読まないのは、そういうわけだからである。

    ヴォネガットは明らかに共産主義へのシンパシーを表明しているが、アメリカのメジャー作家の中では珍しいと思う。」

    しかし後期の作品になると、上に書いたヴォネガット的な特徴に変化が生じてきたのではないかと思う。
    だから、少なくともわたしにとっては、その作品が退屈に感じられるようになったのではないか。

    その変化とは、どういう変化なのだろう。
    まだ読んでいないのは最後の長編「タイムクウェイク」だけだが、もし読む機会があったら、その点を考えながら読もうと思う。

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    2020年07月21日
  • 青ひげ

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    読み終わっての印象が薄いのだが、それはこちらの読み方が悪いせいなのかもしれない。

    ヴォネガットの小説はこんなものだという先入観があって、期待通りにならないので、アレレという状態のまま最後までいってしまった。

    こちらの読み方が雑で急ぎすぎということもあるけれど、それだけ前期の作品群のインパクトが強かったのだ。

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    2020年07月20日
  • ガラパゴスの箱舟

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    その日に死亡する人の頭に印をつけるアイディアはとても興味深い。
    時間をかけて、とても工夫した作品であることはわかる。

    けれども、もっともっとと思ってしまいますね。
    作者も大変です。

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    2020年07月20日
  • デッドアイ・ディック

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    内容はテンコ盛りだが、あまり記憶に残っていないのは、ヴォネガットに独特の奇想天外な展開がないせいではないか。

    サマセット・モームがたしか「要約するとの」の中でプロット(物語の筋立て)の重要性を説いていて、フローベールの「感情教育」はすぐれた作品だけれども、それがないのでひどく読みにくいと言っていた。スティーブン・キングも「スタンド」の前書きで、「ヘンゼルとグレーテル」を例に挙げてその重要性を語っていた。

    この作品では、米国の現状を告発する個々のエピソードが積み重ねられていて、それはそれでウィットに富んでいて面白く読めるものの、これまでの目のくらむような展開がなくなった分、読後の印象がモヤつつまれた漠然としたものになってしまったのではないか。

    料理のレシピにも興味が湧かないし……。

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    2020年07月20日
  • これで駄目なら

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    ヴォネガットの大学卒業生にむけた講演集。

    そこまで面白い内容ではありませんが、有名作家が卒業式に来て、これからの人生への励ましの言葉を述べてくれたら、やっぱり印象深いでしょうね。そんな場面でシニカルなことばかり言っておられないので、ヴォネガットの言葉も、基本、前向きで暖かいです。

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    2020年07月12日
  • ヴォネガット、大いに語る

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    スローターハウス5が1969年だから、それから5年後に出された本書は、もっとも初期のころのエッセイを集めたことになる。

    ヴォネガットは小説は面白いけれども、エッセイ集は面白くなかった。
    真面目さが前面に出過ぎているからだろうか。

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    2020年07月12日
  • はい、チーズ

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    カート・ヴォネガットの初期の短編集。着想はどれも面白いものの、大きな物語が始まる前に終わったという印象が強く、インパクトはやや薄めである。一番よかったのは冒頭の「耳の中の親友」で、補聴器が人間の内面を暴き、語りかけてくるという、siriやSNS時代を予見させるかのような一遍でアイディアは面白かったのだが、そこから何かが起こるわけでなく、日常の異分子で片付けられたのが個人的には乗り切れなかった。あとがきでスケールよりも寓意性を取った短編であると書かれていて、それには納得したものの、その機械が蔓延る未来への恐怖感とそれを見たい願望のほうが勝ってしまったので肩透かしというのが正直な感想である。基本的にはヒューマニズムに溢れており、バッドエンドは少なく、ハッピーエンドが多かったのもそれに拍車をかけたのかもしれない。悪くはないしクオリティも高いが好みではなかった。

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    2019年05月30日
  • デッドアイ・ディック

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    SF?
    初めてのヴォネガット作品。
    『時空のゆりかご』のエラン・マスタイさんが好きということで、細かく章を区切る構成が似ている。
    内容は、中性子爆弾で滅びゆく街の様子を描いたSF…だが、全然SFらしくない。主人公一家の人生を描いたヒューマンドラマという印象が強い。
    ユーモアある文章で、クスッと笑える場面が多く、退屈せずに読めた。

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    2018年11月04日
  • デッドアイ・ディック

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    なんともけったいな物語。以前「チャンピオンたちの朝食」を読んだときにも同じような印象を受けた記憶がある。高橋源一郎「さよならギャングたち」と同じ(というか高橋がパクったんだろうけど)なんだけど、「さよなら〜」ほど詩的なわけではないなあ。一応ストーリーはあるんだけど、それよりも即興的な文章を味わうべき小説なんだろう。その意味では翻訳で読んでもダメなのかもしれない。訳者あとがきで紹介されていた書評でもそのあたりについて書かれている。以下抜粋。

    「ヴォネガットは、カウント・ベイシーがピアノの名人であるのと同じ意味で、文章の名人である−−どちらのスタイルも、簡潔で、おどけていて、リズミカルだ。そのために、多くの人びとは、この二人を平凡であると思う。だが、その真似ができると思うならやってみたまえ−−できはしない」(ネーション誌)

    「『デッドアイ・ディック』のすばらしさは、その文章、その音、その匂い、その色彩、その飛躍にある。ヴァネガットはジャズの即興演奏家に似ている。自分ではどこへ行きつくかを知らずに、神秘的なタイミングの感覚で話を進めていく。いびきのように偉大なセンテンスをかき、くしゃみのように最高の隠喩を連発する。ときにはホットに、ときにはクールに、だが、つねにメロディックで、その文章の中から風変わりなイメージの小鳥をつぎつぎに羽ばたかせる。それをホワイト・ファンクと名づけよう。」(ナショナル・レビュー誌)

    なによりも驚いたのは、
    「トゥー・ビー・イズ・トゥー・ドゥー」−−ソクラテス
    「トゥー・ドゥー・イズ・トゥー・ビー」−−ジャン・ポール・サルトル
    「ドゥー・ビー・ドゥー・ビー・ドゥー」−−フランク・シナトラ
    という落書きが最後の方にでてきたこと。これはリュック・ベッソン「SUBWAY」の冒頭で出てきたフレーズ。うまいなあと思っていたが、まさかこんなところに元ネタ?があったとは。

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    2018年10月15日
  • 猫のゆりかご

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    Cat's Cradle、揺れ揺れる宗教観。不思議な世界観だが遠回しにずっと悟りを聞いてるかのようでねむたい。これぞゆりかご。

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    2018年08月22日
  • タイムクエイク

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    小説なのかエッセイなのか?
    例によって散文の集合と言う特異な文体で綴られた作品ですが、これまで以上に奇天烈です。もはや物語のストーリーなど無く、むしろ作者自身の意見が中心にあるように思えます。
    作者の言いたい事は色々とあるのでしょう。それが、様々な風刺で描かれます。共産・社会主義的な発想、拡大家族。。。
    しかし、何か伝わってきません。言いたい事が沢山有ると言うのは判るのです。でもそれが一体何なのかが判らないのです
    しばらくヴォネガットさんから離れていたせいかもしれません。

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    2017年11月10日
  • これで駄目なら

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    狂った社会に暮らす正気な人は、狂って見える。ということは、正気な社会に暮らす狂気な人は正気に見えるってことか

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    2017年03月30日
  • これで駄目なら

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    スピーチをする側はもちろん、聞く側にも教養が求められる。スピーチ文化というのは話し手と聞き手の正のスパイラルで高め合っているのだなと分かる実例。

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    2017年01月21日