カート・ヴォネガットのレビュー一覧
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長老たちが地球人に目を付けたもうひとつの理由は、彼らが自分と異なった外見を持ち、異なったしゃべりかたをする地球人を恐れ、憎むことだった。彼らは、いわゆる”下等動物”の生活だけでなく、おたがいの生活をも地獄に変えていた。彼らはよそものを見れば下等動物と思うたちだった。だから、長老たちが細菌にこの世の辛酸をなめさせたければ、地球人に物理学と化学を勉強すればもっと効率のいい武器が作れると教えるだけでよいわけだ。長老たちはさっそくその実行にとりかかった。
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長老たちは、アイザック・ニュートンの頭の上にリンゴを落とした。
長老たちは、母親のヤカンが鳴り出す度に、ジェイムズ・ワット少年に聴き -
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読み終わるのに何日もかかってしまった
長かった
ヒロシマツモトが出てきたあたりからは面白くて一気に読めた
ヴォネガットお得意の話の寄り道が多過ぎて本に慣れるまで時間がかかる
そのせいで序盤はちょっと読むのが辛かった
あと、登場人物が多過ぎて頭悪い僕にはわけわかんなくなることが多かった笑
翻訳の問題でなく、文化や言語の違いによる問題だと思うんだけど、よく分からない言い回しもいくつか
それでも、ヴォネガット好きかつ日本人なら読んで欲しい本
少し日本人贔屓に描かれてる
ヴォネガットの小説を読むたびにアメリカひでぇな、日本良い国だなと思うんだけど、
それは日本人が歴史的敗北によって植え付けられた劣等 -
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もしかすると人生の辻褄は合うのではないのか。
そんな考えが入り込んできているようだった。
『スローターハウス5』に登場した、あらゆる悲惨な出来事に対しただ淡々と「そういうものだ」と呟き続けるビリー・ピルグリムと対になったかのような人物は今作にも存在する。しかしそれは単に脇役としてだ。
主人公は、出来事に対して、ときおり神の存在を信じてもよいような気がしていて、それは「そういうものだ」の認識との間で揺れ動く。あらゆる悲惨な出来事も、単に「そういうもの」であり、そこにはどこか超越した地点からの意味付け(=神)などなく、すべては無意味。人生に辻褄が合うなんて発想はあり得ない。
今までこんな風に語ら -
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ネタバレ今度は画家の話
楽しみにしている作家の(けっこう)最新作。1987年である。戦争体験を持つ画家が自らの人生を振り返るというスタイルで書かれる。細切れに小さなセンテンスが区切られていて、あっちこっちへと時間がいったり来たりするものの、絶妙のタッチで読者が混乱することがない。多少冗長とも思える350ページの長編もスムーズに読むことができた。
本来自分の死後にのみ公開する予定だったジャガイモ小屋に残した最後の作品とはどんなものなのか? このテーマを最後まで引っ張りながら、ラストで一気にその作品を見せる。主人公である画家がそれを公開する気になる部分といい、公開したときにとかれる自らに課した呪縛 -
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短い章の連続なので読みやすいかと思います。スケールの大きなSF作品。
いやぁ、カート・ボネガット・ジュニアの本を読むのは二度目です。
「タイタンの妖女」以来です。
「タイタン」はなかなか、良い意味でキテレツな感じだったけど、
今作もそんな感がありながら、2頁とか3頁だとかで一章が構成されている
からなのか、テンポが良いです。グターっとした感じがない。
それでいて、内容がある。いや、ないのかな。ボコノン教っていう
オリジナルな宗教が出てきて、その専門用語みたいなのが
小学生が作ったような言葉のように思えてくるようなおかしさがあります。
まぁ、かいつまむと、面白かったってことです。しょうゆうこと -
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爆笑問題太田光が大絶賛するSF小説家カート・ヴォネガットが1985年に発表した長編作品です。
太田光によれば、「世の中で起こっている事実を彼が言うだけで悲劇ですらコメディーになる」とか。そして、「生きていることなんてたいしたことない。たいしたことないことは悲しむべきじゃないという考えを知って気が楽になった」。天才は「今、この時点が幸福」と表現できる人。などと、べたぼめです。
ヴォネガットは昨年7月に亡くなりましたが、作者自身、この「ガラパゴスの箱舟」は自信作だったらしく、エッセイ集でも「これまでに書いた最高の本」と語っているそうです。
すべては冒頭の、アンネ・フランクが遺した「いろんなこ -
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廃墟と化したNY。最後の奇形大統領が述懐するこの世の終わりと自伝。ヴォネガッド一流の省略と分割、累積で物語が綴られる。あっけないほど空虚で、乾いたユーモアがそこかしこにばら撒かれ、断片と変人のエピソードの重層に惹かれ、なんとなく最後まで読んでしまう。プロローグのリアルなぼやきから物語へ滑り込むあたり、何も考えて無さそうだが、細かい計算づくだろうか。最後もあまりに唐突。しかも物語の続きを匂わせる。自伝は長い時間の一片であり、さらに別の視点で先へ続くと示すがごとく。舞台仕立ては瑣末なこと。拡大家族システムこそがテーマか。孤独じゃない。ハイホー。