カート・ヴォネガットのレビュー一覧
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「これで駄目なら、どうしろって?」
読み終えて最高の気分になる本。卒業式講演なんて字面だけで眠たくなるのに、こんなに愉快でジョークを飛ばす、そして熱い心を持ったおじさん(?)が喋るのならいくらでも聴いていられる。かもしれない。
世の中は暗いニュースで満ちていて、この先も明るくはなさそう。散々に苦渋をなめてきたヴォネガットがそれでも、人に親切にしなさい、幸せになることを諦めるな、と語ってくれる。その根拠はシンプル、それが大切なことだからだ。大切なことは大切にしなさい。何より自分を大切に。小細工のなさが心に響く。
これで駄目なら、ほんとうにどうしろって言うのか。 -
Posted by ブクログ
かわいいタイトルだけど、内容は相当に人を喰っている(笑)。
ジャンルは終末世界SFになるのだろうか。架空のボノコン教という宗教が出てくるのだが、その『ボノコンの書』の冒頭はこんなだそうだ。
「わたしがこれから語ろうとするさまざまな真実の事柄は、みんな真っ赤な嘘である」
すべての物事は大まじめに進んで行くが、それらは同時にとても滑稽で、それでいて哀れである。
目がまわる、目がまわる。うんざりするほどの混沌と単純さが入り混じった世界で、しかしヴォネガットさんは現実をありのままに語る。この作家さんは、そんな現実をそのままジョークにしてしまうのだ。いやはや。
現実に対してユーモアで反骨しているのだ -
Posted by ブクログ
さすがはカート ボネガット、すごく面白かった。
ガラパゴスを舞台に起こる人間の進化(あるいは衰退)。
ガラパゴスの自然環境にしろ、動物の生態にしろ、サイエンスに忠実で、科学的な裏付けがあったり、かなり練り込まれて作られたようだ。かなり読み応えあり、皮肉たっぷり、笑いあり、涙?あり。
要約すると、
箱舟に乗ってやってきた人類は、ガラパゴス諸島で、独自の進化を遂げます。巨大脳は必要なくなり、云々、、、。
物語自体はそんなにハッピーではないけれど、悲惨さの中にもどこかユーモラスな雰囲気もして、それがやっぱり読み手を飽きさせないところなのかもしれない。
登場人物はいたってまじめに悲 -
Posted by ブクログ
老年の画家ラボー・カラベキアンのもとにサーシ・バーマンという女性作家が転がり込む。カラベキアンは彼女のすすめで自伝を書き始める。自伝そのものの部分と、自伝を書いている過程でのバーマンとのやりとりなどが交互に記されている。
ヴォネガットのいつもの人をばかにしたような文章は影を潜め、比較的淡々と綴られている。物語に抑揚がなく、どこに行き着くのか分からない自伝を読み進めるのは意外ときつい。しかし、最後のシーン。ジャガイモ貯蔵庫に隠しておいたものをバーマンに公開するところに至って、話は感動的な方向に大きく舵を切る。最後まで読んで、読んでよかったと思える。 -
Posted by ブクログ
SFもあり、ちょっといい話風な短編もあり、の短編集。
序文などにもある通り、テレビが普及する前の時代、雑誌の読み物が一般的な娯楽として広く楽しまれていた頃に雑誌に掲載されていたもの。
古きよきアメリカ、的な香りもし、同時に、皮肉のきいた社会批判も織り込まれていて、まだ作家として駆け出しの頃のものでありながら、独特の個性が感じられます。
いちばん印象に残ったのは、「パッケージ The Package」かな。
ちょっと先の未来(書かれた当時はだいぶ先の未来、だったはず)の話、という設定。
苦労して事業を成功させ、念願の新型住居を購入したアールとモードのフェントン夫妻。
世界一周旅行を -
Posted by ブクログ
ヴォネガットの作品中でもこれが一番好きっていう人は、多いのか少ないのか。どうなんだろう。
わたしが思うのは、ヴォネガットの愛情深くセンチメンタルな一面がもっとも強く(あるいはもっともストレートに)出ている作品なんじゃないかなということです。
ストレートって言っても、まあ本当の意味でストレートじゃ当然ないのですが、自分の心には直球で届いた言葉がいくつもあった。
読んでいて、線を引きたい!って思う気持ちに何度かなった。これまでほとんどそういうことはなかったのだけど・・・
手元に本がないので、はっきりと引用できないけど、
勉強にしろスポーツにしろ、才能を周囲から認められている地方在住の少年少女は -
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