中山可穂のレビュー一覧
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【かなわぬ恋こそ、美しい―雨の気配を滲ませた母子に宿命的に惹かれ、人生設計を投げ捨てたエリート医師(「弱法師」)。編集者の愛を得るために小説を捧げ続けた若き作家(「卒塔婆小町」)。父と母、伯母の不可思議な関係に胸をふるわせる少女(「浮舟」)。能のモチーフをちりばめ、身を滅ぼすほどの激しい恋情が燃えたつ珠玉の三篇】
深くて叶わぬ愛。
それがこの3作品で共通に感じたことでした。
人が人を好きになるには性別も年齢も何も関係ないんだということがとても伝わり、
どれも泣きたくなるような作品でした。
そしてどれも苦しいほどの恋を描いているのに、
文章が綺麗なのですーっと心に染み渡っていきます。
3作品とも良かったですが、特に心に響いたのは【卒塔婆小町】。
最後の数行で涙がぼろぼろこぼれました。
最後は救われたような救われなかったような・・・
でもこれで2人がまた出会えたんだと思うと、
「長かったね。でも良かったね」と声をかけてあげたくなりました。 -
Posted by ブクログ
この人の描く恋愛は、いつも命懸けというか、全身全霊というか。
愛するがゆえに疲弊し、深く傷ついていく気がする。
能なんて碌すっぽ知りゃせんので、能の曲目を下敷きにされてもピンと来んのですが。
唯一「浮舟」は源氏モノなので、予備知識無くともすんなりと設定の意味がわかった。
・・・いや、もしかしたら大学で源氏関連の曲目に触れてたのに全然思い出せてないのかも・・・。
謡曲とか見せられても、どうにも眠たくなってしまうんよね。。。
3篇のうち、一番良かったのは「卒塔婆小町」。
叶わぬ恋に身を焦がして焦がして焦がしつくした繊細な作家の狂気が、胸に迫る。
絶望するほどに想い続けた理由は不明にしても。
理由なんて、本人にもわかるわけない、か。 -
Posted by ブクログ
著者があとがきでも書いているとおり、この人の本は息苦しくなるほど濃密な文章のものが多いけれど、これは明るくて読みやすい。新宿二丁目で路上で歌を歌って愛を振りまくレズビアンのカイ。1人の女を愛するために100人と寝るのだという彼女の我儘な論理は、どうしようもないけれど愛嬌がある。レビューのなかには「自分にもわかりやすい男女の話にはならなかったのか」というものがあったけれど、「レズビアンとは女であり同性愛者であるという二重に不可視の存在として扱われているのだ」(堀江有里『「レズビアン」という生き方 キリスト教の異性愛主義を問う』)という言葉を思い出すと、多分この女同士の関係とは必然なのだろうと思う。息苦しくなるような関係を求めて読むと少し物足りないですが、気持ちよく読み終えられる一冊。
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Posted by ブクログ
彼女の作品は既に「マラケシュ心中」を読んでいたので、この処女作を読む前には心の準備はできていた。何といってもレズビアン小説である。偏見は無いが知らない世界だし、これまではそれをテーマにした小説を読もうとも思わなかったし。適切な例えでは無いと思うが、「マラケシュ心中」はビートルズで言えば「サージェント・ペパーズ」を何の情報も先入観も無しで聴いたようなものだった。そしてそれを気に入ったので、じゃぁ1stアルバムから聴いてみよう…ということだ。「マラケシュ心中」はかなり重かったが、どことなく洗練された完成品という雰囲気だった。しかし、このデビュー作は違う。まさに1stアルバム。荒々しいラフな魅力が全開である。ほぼ一日で読みきってしまった。レズビアンのセックス描写も激しくエロティックであるが、不思議とドロドロとした感じにならない(僕は、だ)。そういった面も含めて、芝居に命をかけるミチルが生き生きと描かれており、読み終わった後は爽やかな感想さえ持ってしまった程である。