中山可穂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最愛の人と出会い、愛を育み、失い、そして逝ってしまった彼女には、幼い一人息子がいる。その子を巡る周囲との確執。そして、ある青年との新たな出会い・・・──。
愛した人の子供を引き取って育てたいという思いと、周囲の無理解や法律との間で苦悩する主人公。そんな中でぶち当たる、感情だけではどうしようも出来ない育児という現実問題。自分が産んだわけでもない子供の世話。自らの母性というものの欠落の自覚。
生涯独身で過ごすものだと思っていたのに、家族を持つことになるとは。まさか自分が母親(の役目)のようなものをすることになるとは。主人公にとっても考えてもみない結果だったと思います。
けれども、どんな形であ -
Posted by ブクログ
切なくてもどかしくて温かくてやるせなくて「ぅあー!もぉー!」ってなる感じ。
丁寧に描かれた、人間臭い心理描写はやっぱすごい。
弱法師:鷹之の気持ちのやり場のなさ、朔也の容赦のなさにうすら寒いものを感じた。
卒塔婆小町:想い続けて、諦めないがゆえに、壊れていくというか。どうしようもないのに、そうせざるをえずに突っ走っていって、行くところまでいく壮絶さ。ああいうエネルギーはすごいと思う。
浮舟:薫子的な女性像は好き。オヤジはもうちょっとしっかりしてくれ。3人が同じ思いを持って、感情が繋がっているように見えながら号泣して、違う行動を取る結果に。感情の複雑さを思い知った。
中山可穂の小説は2冊目だ -
Posted by ブクログ
恋愛には、自分と相手の持つ、もっともやわらかい場所にゆっくりと爪を立てるような感触がある。
いたがゆく、もどかしく、いとおしい。
すべらかな肌は元のままのようで少しだけ盛り上がり、微かに熱を帯びている。
こういう傷はなかなか治らないものだ。
なかなか治らないからついつい弄ってしまって悪化させてしまって、なお一層のこと傷が深まってしまう。
傷のないまっさらな身体であれば飛び込んでいけるけど、お互い脛に傷を持つ身だからついつい尻ごんでしまうね。
だから今はこの花伽藍に抱かれて眠ろう。
最初のお話が最期のお話に見事にリンクする、すばらしい構成。