中山可穂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
切なくてもどかしくて温かくてやるせなくて「ぅあー!もぉー!」ってなる感じ。
丁寧に描かれた、人間臭い心理描写はやっぱすごい。
弱法師:鷹之の気持ちのやり場のなさ、朔也の容赦のなさにうすら寒いものを感じた。
卒塔婆小町:想い続けて、諦めないがゆえに、壊れていくというか。どうしようもないのに、そうせざるをえずに突っ走っていって、行くところまでいく壮絶さ。ああいうエネルギーはすごいと思う。
浮舟:薫子的な女性像は好き。オヤジはもうちょっとしっかりしてくれ。3人が同じ思いを持って、感情が繋がっているように見えながら号泣して、違う行動を取る結果に。感情の複雑さを思い知った。
中山可穂の小説は2冊目だ -
Posted by ブクログ
恋愛には、自分と相手の持つ、もっともやわらかい場所にゆっくりと爪を立てるような感触がある。
いたがゆく、もどかしく、いとおしい。
すべらかな肌は元のままのようで少しだけ盛り上がり、微かに熱を帯びている。
こういう傷はなかなか治らないものだ。
なかなか治らないからついつい弄ってしまって悪化させてしまって、なお一層のこと傷が深まってしまう。
傷のないまっさらな身体であれば飛び込んでいけるけど、お互い脛に傷を持つ身だからついつい尻ごんでしまうね。
だから今はこの花伽藍に抱かれて眠ろう。
最初のお話が最期のお話に見事にリンクする、すばらしい構成。 -
Posted by ブクログ
いやぁ〜読み応えのある小説でした。
愛憎渦巻くドロドロとした、割と湿り気の強い話でした。色んな意味で。
主人公達にぐーっと感情移入できたから、読んでるときの集中度が高かった。
みっちりと隙間無くストーリーを(湿り気のあるモノで)積み上げていった感じ。
と思ったら、最後の方にご都合主義的なところがあったのと、オチのインパクトの弱さが引っかかった。
最後まで怪しいと思ってたヒトが結局犯人でした・・・と・・・・・うーん・・・・・。
「殺人事件が起る→犯人は誰だ」というのはもちろんのこと、ただストーリーを追うだけじゃなくて+αがある小説は読んでて飽きない。
この小説は全体がモーツァルトと密接に関係し