中山可穂のレビュー一覧
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ネタバレ小説家の塁とOLクーチの女性同士の恋愛話。
愛しすぎて、好きすぎて求めすぎて傷ついて消耗する恋愛。愛しているからこその独占欲やら支配欲、嫉妬がリアルで生々しい。でもこれほどまでに人を愛せたらいいなって、人生変わるだろうなって思う。性描写も多いが、美しくて品がある。
「誰に認められようとも、愛する人に認めてもらえなければ仕方がない。私はそういう人を愛することはできない。」
「一本の電話線を通して、同じひとつの夜の淵と淵で、わたしたちは一緒に泣いた」
「日曜日ごとに家族連れの波に揉まれていると、塁からどんどん遠く離れて、自分だけがすぐ変えるような安っぽい幸福を抱きしめていると感じることがあっ -
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恋愛小説は苦手だし、ピアニストとジャーナリストとの女性同士の恋愛なんて、どこからとっかかったらよいのやら…。
恋愛パートが苦手なのは、世界はふたりだけのものだから。
あー、はいはい。ようござんしたね。
とか思って、そそそ…と気持ちが後ずさる。
2歳になる桐人を残して透子が死んでから、子ども嫌いな響子が不器用ながらも桐人のことを気にかけるようになり、行方不明になっている桐人の父親の元恋人・母性本能の塊のような照ちゃん(♂)や、面倒見の良い透子の従弟・弘くんと出会い、響子の心が周囲に開かれていく辺りから、響子の心の動きにつれて物語が動き出す。
響子のパトロンである梅ばあ。
金がある時もない時 -
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この本はレズが題材だと聞いてちょっと身構えて読んだのですが、そんなことは杞憂でした。恋愛小説でもあり家族の小説でもありました。とても悲しい話なのに、胸が熱くなってあたたかくなりました。梅ばあがコンサート見にくるところでは、思わず涙ぐみました。梅ばあの惜しみない愛が重くてけれどとても幸福なことで、かっこよすぎました。みなしごの桐人くんのおかげで、響子は立ち直ることができ、いい意味で音楽も変わって、そういう変化は悲しいけれど、うれしいことだろうなぁと思いました。中山先生の言葉遣いがとても好きです。あと、名言がたくさん出て、同じく励まされました。
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【本の内容】
新宿二丁目でギターを奏でるストリート・ミュージシャンのカイ。
彼女の美しく切ない歌声に魅せられて、多くの女たちが立ち止まる。
そうした女たちの中から、カイは夜な夜な新しい恋人を求め続ける。
まるでジゴロのように―。
人妻との禁断の逢瀬、年若い少女への恋の手ほどき、命をかけた悦び…。
カイをめぐる、女を愛する女たちの激しく狂おしい官能と恋を鮮烈に描く連作短編集。
[ 目次 ]
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女性同士の恋と官能の物語。
主人公はそれこそ「ジゴロ」のように様々な女性と関係を持つが、彼女の行動は一見男性のようでありながら、それでいてひどく女性的だ。
特に、恋を知り始 -
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【本の内容】
ジャン・ジュネの再来とまで呼ばれる新人女性作家・塁と、平凡なOLの「わたし」はある雨の夜、書店で出会い、恋に落ちた。
彼女との甘美で破滅的な性愛に溺れていく「わたし」。
幾度も修羅場を繰り返し、別れてはまた求め合う二人だったが…。
すべてを賭けた極限の愛の行き着く果ては?
第14回山本周五郎賞受賞の傑作恋愛小説。
発表時に話題を呼んだ受賞記念エッセイも特別収録。
[ 目次 ]
[ POP ]
突然始まる恋ってのはドラマティックな恋愛の定番であり王道。
ありそうもない偶然も必然としか思えなくなってくる。
離れ難い人に出会ってしまったのがすべての始まりで終わりであ -
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【本の内容】
自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた―。
女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家・王寺ミチル。
彼女が主宰する小劇団は熱狂的なファンに支えられていた。
だが、信頼していた仲間の裏切りがミチルからすべてを奪っていく。
そして、最後の公演の幕が上がった…。
スキャンダラスで切ない青春恋愛小説の傑作。
俊英の幻のデビュー作、ついに文庫化。
[ 目次 ]
[ POP ]
主人公の王寺ミチルは潔く、どこかはかなくて、危険だ。
この物語はその女の子にヒビが入り、パリンと美しい音を立てて、割れる。
そんな物語だ。
しかし破滅に向かっ -
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【本の内容】
ぼろぼろの守護天使たちがわたしにつきまとう…。
人生のすべてをかけた劇団を失い、世捨て人のように暮らす劇作家ミチル。
絶望の果てに、彼女は天使の幻覚を見るようになる。
この天使たちを葬るために―。
イスタンブールからリスボンへ、そしてパリへ。
ヨーロッパを彷徨うミチル。
再生の光は果たして見つかるのか?
魂の巡礼を鮮烈に描く青春小説の傑作。
第6回朝日新人文学賞受賞作品。
[ 目次 ]
[ POP ]
よごれた血のつく羽を縮ませて、地面を歩く天使たち。
その姿は薄汚く、どうしようもなく穢れてみじめで憐れさと悲しみを漂わせている。
それは旅に出た頃のミチル -
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再読。それも何度目か分からないほど。
中学の頃に今でもどうしようもない気持ちを湧かせる友人に薦められた一冊。山本文緒さんが嫉妬したという作品。
王寺ミチルはカイロプラクティックという劇団を主催する。レズビアンであり、女たらしの、永遠の少年を魂の双子に持つ。横暴と傲慢と純粋と絶望の甘さに酔うナルシスト。
彼女を支えた人々は彼女を愛し、憎み、守り、叩き潰し、演劇の神様のもとへ引き摺り出す。
栄光は一瞬で彼女を焼いて影にしてしまう。こびりついた影のなかで彼女の心臓はやはり演劇の神のもとで一脈を生み出す。
血で濡れたような文章。坂を転げる身は炎に巻かれている。中山さんの処女作はまるで生まれたての赤