中山可穂のレビュー一覧

  • 猫背の王子

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    女たらしの女性の物語。過激な舞台の演出家でもある彼女が、主演女優の脱退やら、腹心の裏切りやら、憧れ女性との接近と離別やら、目まぐるしい日常を駆け抜けていく。イベントてんこ盛りで見どころ満載。キャラの魅力も手伝って、一気読みしちゃいました。以降続くシリーズ続編にも期待。

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    2018年08月14日
  • ジゴロ

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    カイというレズビアンのジゴロをめぐる連作短編。あまり重くなくさらっと読めました。「ダブツ」の話がなんだかとても好きです。がんばる女子高生がほほ笑ましかったです。

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    2018年04月05日
  • 深爪

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    人妻と恋愛をするビアンのおんなと、不倫をするおんな、その旦那の目線で書かれた連作短編。描く目線によってテーマが変わっておもしろかった。各々の目線が描くすれ違いが切ないし、人生はこんなものだと思う。一番感情移入したのは旦那。かわいそうで愛おしくて、一番しあわせになってほしいと思いました。おんなの強さと弱さが共存するところが存分に描かれていました。激しく嵐のような恋愛に胸がえぐられました。

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    2016年10月09日
  • 白い薔薇の淵まで

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    ネタバレ

    小説家の塁とOLクーチの女性同士の恋愛話。
    愛しすぎて、好きすぎて求めすぎて傷ついて消耗する恋愛。愛しているからこその独占欲やら支配欲、嫉妬がリアルで生々しい。でもこれほどまでに人を愛せたらいいなって、人生変わるだろうなって思う。性描写も多いが、美しくて品がある。

    「誰に認められようとも、愛する人に認めてもらえなければ仕方がない。私はそういう人を愛することはできない。」

    「一本の電話線を通して、同じひとつの夜の淵と淵で、わたしたちは一緒に泣いた」

    「日曜日ごとに家族連れの波に揉まれていると、塁からどんどん遠く離れて、自分だけがすぐ変えるような安っぽい幸福を抱きしめていると感じることがあっ

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    2017年01月17日
  • 白い薔薇の淵まで

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    読んでいてとても胸が痛かった。たくさんの愛にあふれていてとてもしあわせなのに比例するように切なかったです。セックスの話がバンバン出るのに全然汚くない。むしろうつくしかったです。阿修羅のような恋は胸がひりつくけれど、憧れずにはいれませんでした。同性愛の作品ですが、不快感はないです。とくに自分が偏見を持たないからかもしれないけれど。すごく勢いのある文章でした。

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    2016年02月07日
  • サグラダ・ファミリア[聖家族]

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    恋愛小説は苦手だし、ピアニストとジャーナリストとの女性同士の恋愛なんて、どこからとっかかったらよいのやら…。

    恋愛パートが苦手なのは、世界はふたりだけのものだから。
    あー、はいはい。ようござんしたね。
    とか思って、そそそ…と気持ちが後ずさる。

    2歳になる桐人を残して透子が死んでから、子ども嫌いな響子が不器用ながらも桐人のことを気にかけるようになり、行方不明になっている桐人の父親の元恋人・母性本能の塊のような照ちゃん(♂)や、面倒見の良い透子の従弟・弘くんと出会い、響子の心が周囲に開かれていく辺りから、響子の心の動きにつれて物語が動き出す。

    響子のパトロンである梅ばあ。
    金がある時もない時

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    2015年11月16日
  • サグラダ・ファミリア[聖家族]

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    この本はレズが題材だと聞いてちょっと身構えて読んだのですが、そんなことは杞憂でした。恋愛小説でもあり家族の小説でもありました。とても悲しい話なのに、胸が熱くなってあたたかくなりました。梅ばあがコンサート見にくるところでは、思わず涙ぐみました。梅ばあの惜しみない愛が重くてけれどとても幸福なことで、かっこよすぎました。みなしごの桐人くんのおかげで、響子は立ち直ることができ、いい意味で音楽も変わって、そういう変化は悲しいけれど、うれしいことだろうなぁと思いました。中山先生の言葉遣いがとても好きです。あと、名言がたくさん出て、同じく励まされました。

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    2015年09月20日
  • ケッヘル 下

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    とてもスケールの大きな話で、自然に物語の中に引き込まれました。
    下巻の中盤で主な登場人物が出そろって、あの人達はここで繋がっているのだと予想が当たった部分もあれば、こんなところまで繋がっちゃったの?といった人達もいたりして。
    文章も綺麗だし、この作者さんの他の作品にも俄然興味が出てきたのですが、女性同士の恋愛の話が多いのですね(この話にも出てきますが)。
    柴田よしきさんの『聖なる黒夜』の麻生と山内の関係は好きで、男性同士というのは苦手意識はなくなったけど、女性同士はやはり苦手で、他の作品を読むかどうか悩みどころです。

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    2015年09月04日
  • ジゴロ

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    【本の内容】
    新宿二丁目でギターを奏でるストリート・ミュージシャンのカイ。

    彼女の美しく切ない歌声に魅せられて、多くの女たちが立ち止まる。

    そうした女たちの中から、カイは夜な夜な新しい恋人を求め続ける。

    まるでジゴロのように―。

    人妻との禁断の逢瀬、年若い少女への恋の手ほどき、命をかけた悦び…。

    カイをめぐる、女を愛する女たちの激しく狂おしい官能と恋を鮮烈に描く連作短編集。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    女性同士の恋と官能の物語。

    主人公はそれこそ「ジゴロ」のように様々な女性と関係を持つが、彼女の行動は一見男性のようでありながら、それでいてひどく女性的だ。

    特に、恋を知り始

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    2014年08月28日
  • 白い薔薇の淵まで

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    【本の内容】
    ジャン・ジュネの再来とまで呼ばれる新人女性作家・塁と、平凡なOLの「わたし」はある雨の夜、書店で出会い、恋に落ちた。

    彼女との甘美で破滅的な性愛に溺れていく「わたし」。

    幾度も修羅場を繰り返し、別れてはまた求め合う二人だったが…。

    すべてを賭けた極限の愛の行き着く果ては?

    第14回山本周五郎賞受賞の傑作恋愛小説。

    発表時に話題を呼んだ受賞記念エッセイも特別収録。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    突然始まる恋ってのはドラマティックな恋愛の定番であり王道。

    ありそうもない偶然も必然としか思えなくなってくる。

    離れ難い人に出会ってしまったのがすべての始まりで終わりであ

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    2014年08月26日
  • 猫背の王子

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    【本の内容】
    自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた―。

    女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家・王寺ミチル。

    彼女が主宰する小劇団は熱狂的なファンに支えられていた。

    だが、信頼していた仲間の裏切りがミチルからすべてを奪っていく。

    そして、最後の公演の幕が上がった…。

    スキャンダラスで切ない青春恋愛小説の傑作。

    俊英の幻のデビュー作、ついに文庫化。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    主人公の王寺ミチルは潔く、どこかはかなくて、危険だ。

    この物語はその女の子にヒビが入り、パリンと美しい音を立てて、割れる。

    そんな物語だ。

    しかし破滅に向かっ

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    2014年08月26日
  • 天使の骨

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    【本の内容】
    ぼろぼろの守護天使たちがわたしにつきまとう…。

    人生のすべてをかけた劇団を失い、世捨て人のように暮らす劇作家ミチル。

    絶望の果てに、彼女は天使の幻覚を見るようになる。

    この天使たちを葬るために―。

    イスタンブールからリスボンへ、そしてパリへ。

    ヨーロッパを彷徨うミチル。

    再生の光は果たして見つかるのか?

    魂の巡礼を鮮烈に描く青春小説の傑作。

    第6回朝日新人文学賞受賞作品。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    よごれた血のつく羽を縮ませて、地面を歩く天使たち。

    その姿は薄汚く、どうしようもなく穢れてみじめで憐れさと悲しみを漂わせている。

    それは旅に出た頃のミチル

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    2014年08月25日
  • 天使の骨

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    猫背の王子続編。劇団を失ったミチルが海外を旅する。そこで出会う人々、できごと。ミチルはどのような選択をするのか。
    面白かった。じんわりといたい。ロマンティック・ペイン。

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    2014年08月03日
  • 天使の骨

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    前作からは大分マイルドになったと感じるのは旅のせいかな。様々な出逢いを繰り返していくから連作短編集を読んでいるようにも感じる。
    前作よりも本作の方が好みです。

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    2014年07月05日
  • 天使の骨

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    お終いからの始まり。
    再読。

    王寺みちるの感傷旅行は傷だらけの天使に囲まれてはじまり、その数を少しずつ減らしながら、彼女の生きる糧を探し当てる物語。天使のような久美子と出会うためのひたむきな歩み。

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    2014年06月30日
  • 猫背の王子

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    再読。それも何度目か分からないほど。
    中学の頃に今でもどうしようもない気持ちを湧かせる友人に薦められた一冊。山本文緒さんが嫉妬したという作品。

    王寺ミチルはカイロプラクティックという劇団を主催する。レズビアンであり、女たらしの、永遠の少年を魂の双子に持つ。横暴と傲慢と純粋と絶望の甘さに酔うナルシスト。
    彼女を支えた人々は彼女を愛し、憎み、守り、叩き潰し、演劇の神様のもとへ引き摺り出す。
    栄光は一瞬で彼女を焼いて影にしてしまう。こびりついた影のなかで彼女の心臓はやはり演劇の神のもとで一脈を生み出す。

    血で濡れたような文章。坂を転げる身は炎に巻かれている。中山さんの処女作はまるで生まれたての赤

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    2014年03月20日
  • サグラダ・ファミリア[聖家族]

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    初のレズビアン小説に挑戦しました。というか、知らずに読んでしまいました(裏表紙見ろよ)。主人公響子がピアニストの自分を取り戻していく話として読んでも良し、熱く切ない恋愛小説として読んでも良し。関係性は変遷しても固く繋がり合える人がいたり、響子のピアノをずっと覚えてくれる人がいたり、新しい家族として加わる人々や、それらをとりまく人々とのやりとりが興味深いです。ビアンの実態??みたいなものが読めて、秘密を覗いたようなドキドキ感がありました。
    とてもいい出会いが出来たので、他の本も是非読んでみたいと思います。

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    2014年02月14日
  • 白い薔薇の淵まで

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    この著者の作品を読むのは2作目だ。
    初めて読んだ「深爪」は、作品への先入観もなく、
    作者のことも全く知らずに読み、
    あとからレズビアンが題材で、作者もレズビアンであるということを知った。
    今回は、それを踏まえて、身構えてからの読書。(苦笑)
    引き込まれる文章が多くて一気読み。
    切なくも狂おしい性愛の描写が、容易に映像となって降りかかるようだった。
    私は同性愛への偏見はないものの共感は出来ない。
    しかし、この読み物に対する嫌悪感は全くない。
    むしろ、好きな部類だと思えた。

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    2013年10月31日
  • サイゴン・タンゴ・カフェ

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    タンゴにまつわる短編集。不思議な雰囲気で引き込まれるように読み進めてしまった。
    どの話も好きだけどやはり表題作かな。そんな小説みたいな話あるわけない!

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    2013年10月27日
  • サイゴン・タンゴ・カフェ

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    何度目かの再読。お気に入り。
    同性愛という題材、というよりは(中山作品に出会った当初は専らそこに惹かれていたけど)、中山さんの使う言い回しや文章が好き。
    他の作品よりは狂気を感じないと思っていたけど、実は
    「現実との三分間」(読んでいていたたまれないけど)と「ドブレAの悲しみ」が特に好き。
    BGMはピアソラの「Tanguedia」、カエターノ・ヴェローゾの「Chuva,Suor E Cerveja」、「Coucouroucou Paloma」。
    (感想書きかけ)

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    2013年03月26日