中山可穂のレビュー一覧

  • 猫背の王子

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    ミチルがあなたに似ている、と言われて読み始めた“猫背の王子”。まったくそのとおりだ。たらしで自己愛主義者で、そのくせ仲間を失うことを恐れる。一度は身を引いた舞台へ、あの静かな熱気の真中へもう一度立ってみたいと思わせてくれる、鮮烈で魅惑的な作品だった。

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    2013年03月13日
  • 悲歌

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    隅田川、定家、どっちもよかったけど、なんといっても蝉丸です。本人たちの口から言葉にされない感情が行間から、字間から、印刷のない余白からも伝わってくるようで読み終えるまで本をおけませんでした。
    蝉丸くんがあんまりに高潔で純真で、蝉丸から目を逸らした博雅をぶん殴りたくなりました。今すぐ結婚なんか破談しろボケー!って憤りました。できないからこそ、憤りました。やるせなさをあふれるくらいに詰め込んだ小説です。
    ラストは「天使の骨」を彷彿とさせる馴染み深いもので、ああきっと会えるんだろうな、とほっとしました。どうか再会できますように。
    中山さんの小説、呼吸にも、また紙の本の上で再会したい。あとがきを、何度

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    2013年03月09日
  • ケッヘル 下

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    身を削って、魂を注いでいる小説って 珍しい。だから、ページをめくる手が止まらないんだ。 読後はいつも、喜びに満ち溢れる。 素敵な時間をありがとう。

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    2013年03月08日
  • ケッヘル 上

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    ページを捲ったら、もういつのまにか最後のページでした。 上巻の終わりが近づいていることに、気づかない程 一気に読んでしまいました。

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    2013年03月01日
  • 弱法師

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    ネタバレ

    中山先生の文体はとても綺麗で読みやすい。
    いつもなら、絶対濡れ場が入っていたところを、この短篇集は、そういった描写は一切ない。それでも、心くすぐられるえろさは何なんだろう。

    以下の短篇3つが収録されています。
    「弱法師」
    「卒塔婆小町」
    「浮舟」

    「浮舟」はとにかく泣いた。
    愛する人を譲らなければならなくなった薫子おばさんのやるせなさ。
    愛する人との板ばさみの中、自分は幸せだ、という姿勢を、絶対に崩さなかった文音さん。
    愛する人を奪ったことで得た幸せに、微かな罪悪感を抱きながらも、愛する人を守るため、健気に生きてきた香丞。
    自分の恋心にも似た独占欲を抑えられずに、母と交わした最期のやり取り

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    2013年01月11日
  • 弱法師

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    すごーーーーくよかった!!中山さんは「猫背の王子」がだんとつだ!と思ってるのと同じくらいよかった。どの話も登場人物がせいいっぱい毎日暮らしてて寂しくてもの悲しくてきれいな世界でした。引き込まれた。
    「弱法師」が一番好きです。噛み合わないようでいて噛み合っていて、交錯して、消失してしまうかなしさ。最後のほうの愛してる、がつらい……
    二番目の話も好き。

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    2013年01月10日
  • ジゴロ

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    「猫背の王子」「天使の骨」「サクラダ・ファミリア」と読んできたので、この本の溌剌とした雰囲気にちょっとびっくりしました。哀愁、さびしさのただよう中に確かに明るさがあって、出てくる人がかわいくて、あとがきにあるみたいに肩の力を抜いて読めそうな気がします。
    「ダブツ」がすごく好きです。こんなにかわいい話を書くんだ!ってにまにましながら読みました。高校生かわいいです……
    恋路すすむも好き。

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    2012年11月29日
  • 猫背の王子

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    溺れるように読んだ。破滅していきながらもまだ自分の足で立っているミチルがすごく好きです。
    女の子に優しいたらしの王子さま、舞台では毅然とした女王さま、ひとりになると寂しさを抱えたお姫さまのようで、見ていて胸がざわつきます。作中でミチルは少女のなんたるかを語っていますが、王子さまで女王さまでお姫さまなミチルこそ、本物の少女な気がします。
    由紀さんへの独白と、トオルの告白の台詞が重なるようで切ない。決断せざるを得なかった、ぎりぎりに立っていたトオルも好きです。
    続きがあるそうで、早くミチルに会いたい

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    2012年11月09日
  • 猫背の王子

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    矛盾し傲慢で淫乱などうしようもない人間「ミチル」
    なのに何故魅力的なのか。
    主人公をこんなに好きになる本も珍しい。

    自分を見失いそうになる時、思い切れない時、
    ミチルが私に力をくれる本です。

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    2012年09月15日
  • 猫背の王子

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    最近気になっている作家、中山可穂さんのデビュー作。

    衝撃的ながらもミチルの奔放でどこか一途な性格に強く惹かれ、またその同性愛の切なさに胸が痛い作品。ここまで描くのってすごく神経をすり減らすだろうし、こういう作品はなかなか人に理解されないけれど、私はとにかく良かったと思った。いや、分かる人にはぜひ薦めたい本だと思う。

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    2012年08月12日
  • 白い薔薇の淵まで

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    ネタバレ

    予想以上に描写過激でした・・・
    思いっきり同性愛要素が詰まっている作品で、苦手な人には絶対にすすめられないような内容です。
    内容もけして明るくないです。
    けれど、破滅的な感じが、とても魅力的でした。引き込まれます。

    作者さん自身が同性愛者だと言うこともあってか、心理描写もリアルでよかったです。
    特に、最後の部分が心を打たれました。
    それまでの描写による苦手とか、そう言う印象がすべて吹き飛ぶくらい、素敵なラストだったと思います。

    読んでいて、心が痛むような、切なくなるような、不思議な感じがしました。この人の本を、もっと他にも読んでみたいです。

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    2012年09月22日
  • 弱法師

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    ネタバレ

    涙腺弱くなったのかな。学校で読んでいても、電車で読んでいても、どこで読んでも泣けてしまった。うん、おかしいな

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    2012年07月02日
  • 猫背の王子

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    ミチルの魅力にどハマりする。オンナたらしのオンナ。
    このミチルは、名前は違えど、中山作品によく登場する。作者自身も気に入っている人物像なんだろうか。

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    2012年05月07日
  • 白い薔薇の淵まで

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    ネタバレ

    再読。小説を書くことは自分と向き合うことでもあるのだな、と感じました。この作品は私小説という枠組みには入らないのでしょうが、それでも著者の想い、考え、経験…等々が小説の中に溢れていてそれが心を掴むのだと思います。同性同士の恋愛が描かれ、性別からくる苦悩ももちろんありましたが、自分はそのことよりも登場人物の心の傷や欠落感に心を打たれました。当事者に近いものがあるから。

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    2014年08月19日
  • 白い薔薇の淵まで

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    お互いを貪りながらどこまでも堕ちていくような女性同士の共依存を濃密に描きながらも、本筋のストーリーもしっかりと作られていて、ぞくりとするような魅力がある一冊。読むのにかなり体力を使う小説だけど、他の作品も読んでみたい。こういうのを探してた。

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    2012年03月03日
  • 白い薔薇の淵まで

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    一気読みしてしまいました。
    胸の中を抉られるような切なさとやりきれなさでした。

    そりゃ、賞取るわ。。。

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    2012年03月03日
  • 弱法師

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    日本の能をモチーフにした3編の物語。激しい恋心、届かない想いを、絶妙の文章で描いています。
    その中でも私は「浮舟」が一番好きです。全てを投げ出してしまうくらいの恋も良いですが、身を引き好きな相手を守る愛というのも、切ないけど美しいと思いました。

    単行本が発売した時に一度読んだんですが、文庫本も買ったのにそのままにしていたのを思い出し再読しました。
    初めてこの作品を手にした5年前、息を止めていたのかと錯覚するくらい苦しい気持ちで読んだのを思い出しました。
    とても苦しくて、先が気になってても一編ずつしか読めなかった。

    読者の呼吸まで止めてしまうなんて!!と衝撃を受け、それと同時に今までの作品と

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    2011年07月23日
  • サイゴン・タンゴ・カフェ

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    ネタバレ

    素晴しかった。大事に読もうと思ってたのに、一気に読んでしまった。
    しばらく、まんじりともせずにいたい気分です。

    「サイゴン・タンゴ・カフェ」
    読者はひとりでいい。
    熱烈な愛情と理解で絶対の肯定をくれて、思わぬ見方を示して意表をついてくれて、冷静な分析に納得させられる。目指すものは同じ高みだと心を沸き立たせ、肌の触れあいで情熱を挑発する恋人。
    しかも、容易くは手に入れられない運命の人。
    そりゃもう、作家の夢想する理想の恋物語なんだろうなと思う。
    お幸せに、と思いつつ、ちょっと後退りたくなっちゃうのも本音です。(部外者は馬に蹴られる前に安全圏に退散すべきだというのは常に真理だ)

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    2011年05月28日
  • ケッヘル 上

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    麻薬みたいだ!

    モーツァルト ケッヘル番号 フランス ドイツ オーストリア チェコ
    殺人 秘密結社 宗教

    そういえばダヴィンチコードもそんなかんじやって一気に読んだし 宗教 芸術 暗号 がすきなんやなあとおもいました


    とにかくケッヘル番号やべえ!モーツァルトしらんてゆうかクラシック全くしらんぼくでしたがちょっと勉強したいと思った!
    オーケストラ聴きに行ったりしたい!ピアノひきたい!単純!



    素晴らしい作品でした 中山可穂の女性的な透明感とか強さとか繊細なかんじめっちゃすきや!

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    2011年05月02日
  • 弱法師

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    能のお話を根底にすえた3篇。
    「恋とは死に至る病である。」という帯のキャッチに惹かれて購入しましたが、個人的にすごく満足です。
    弱法師だけ、知らなかったのですが知らなくても楽しめる、小説として一本ぴん、と通っている印象です。
    一番すきなのは「浮舟」、でも同じくらい「卒塔婆小町」も好きです。
    卒塔婆小町、有名な深草少将の百夜通いを百本の小説に代えたところが素敵。小町が男を避け続けたのも、ここでは同性愛というリアルで補う。ほんとうにそうだったかも、と考え込んでしまいます。そうやって、比較して読むものじゃないかもしれませんが、、
    「浮舟」の、二人の男からの求婚に耐えかねて身投げ、という場面

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    2011年01月27日