中山可穂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【本の内容】
将来を嘱望されながら、ある事件をきっかけに落ちぶれてしまったピアニスト響子。
酒に溺れながら孤独に生きる彼女のもとに、かつて恋人だった透子が戻ってきた。
ある日突然、赤ん坊を抱いて。
しかし、女同士のカップルと赤ん坊の不思議な関係は、突然の透子の死によって壊れてしまう。
希望を失いかけた響子の前に一人の青年が現れた―。
切ない愛と新しい家族のかたちを描く、恋愛小説の傑作。
[ 目次 ]
[ POP ]
真赤な血を連想させる毒々しいバラの花束、土を掘って埋めた死んだ猫の骨…この小説にはそんな不吉な表現が山ほど出てくるけれど、でもなぜかシャガールの絵のように、使われる色は濃い原色なのに全体には透き通るような透明感がある。
大人も子どもも残酷さとともに、ガラス細工みたいな繊細で美しく光るものを持っている。
赤でも白でもないロゼのワイン。
あのかわいくて上品なロゼの芳しい色が、すうっと降りてきて物語の終幕を飾る。
カーテンコールは深い宇宙の真空で、一波も打たぬ平静な心で聞きたい。
その想いの純粋さに切ないため息が落ちる。
終わらせるのがもったいない物語だった。
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
二人の女性の至上の愛を描いている作品。エッセイやあとがきまで読んで、いかにこの作品が計算されて書かれているかが確信できた。
良いところは、生々しい女の性が的確に書かれているところと、下品じゃないところ。そして、繊細で、痛みに必死で耐えてる塁に惹かれる。
イマイチなところは、クーチが「陽のあたる場所にいる女性」すぎて、時々共感できないところ。話の終わり方も…少しポカンとしてしまったけど、納得はできる。
一気に読みきってしまった。
深見真さんが著者の中山可穂さんの本を絶賛していたのが、この本を読んだきっかけだが、本当に読んでよかった。
女同士の恋愛に抵抗がなく、切実な思いのこもった恋愛小説を読みたい方々におすすめ。 -
Posted by ブクログ
「報われない恋」というテーマの中編を三編収めた作品集、今回はレズビアン的要素を抑えているのが特徴というか。
表題作(弱法師と書いて「よろぼし」と読む)も悪くないが何と言っても白眉は「卒塔婆小町」。
自暴自棄になった主人公が捨てた原稿をホームレスの老婆が拾うシーンから始まり人の業というものを凝縮したような終わりを迎える編集者と作家の壮絶な物語は圧巻としか言いようがないのだった。
ラストの鎌倉を舞台にした「浮船」がまた良いんだ。
財布の一番奥にしまわれていたぼろぼろになった写真――……切ないよなあ。
それはそれとして結局最後まで明かされなかったけど、薫子おばさんの職業はいったい何だったんだろかね。
ほんとにスパイだったらそう簡単にやめられないだろうし……気になるやのう。 -
Posted by ブクログ
隅田川、定家、どっちもよかったけど、なんといっても蝉丸です。本人たちの口から言葉にされない感情が行間から、字間から、印刷のない余白からも伝わってくるようで読み終えるまで本をおけませんでした。
蝉丸くんがあんまりに高潔で純真で、蝉丸から目を逸らした博雅をぶん殴りたくなりました。今すぐ結婚なんか破談しろボケー!って憤りました。できないからこそ、憤りました。やるせなさをあふれるくらいに詰め込んだ小説です。
ラストは「天使の骨」を彷彿とさせる馴染み深いもので、ああきっと会えるんだろうな、とほっとしました。どうか再会できますように。
中山さんの小説、呼吸にも、また紙の本の上で再会したい。あとがきを、何度も読み返してしまう本になりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中山先生の文体はとても綺麗で読みやすい。
いつもなら、絶対濡れ場が入っていたところを、この短篇集は、そういった描写は一切ない。それでも、心くすぐられるえろさは何なんだろう。
以下の短篇3つが収録されています。
「弱法師」
「卒塔婆小町」
「浮舟」
「浮舟」はとにかく泣いた。
愛する人を譲らなければならなくなった薫子おばさんのやるせなさ。
愛する人との板ばさみの中、自分は幸せだ、という姿勢を、絶対に崩さなかった文音さん。
愛する人を奪ったことで得た幸せに、微かな罪悪感を抱きながらも、愛する人を守るため、健気に生きてきた香丞。
自分の恋心にも似た独占欲を抑えられずに、母と交わした最期のやり取りが、とても悲しいものになってしまった碧生。
切ない、もあるけど、本当に、やりきれない。
それでも、前に進んでいく人間の強さがしっかり描かれている。
この作品、大好きだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ予想以上に描写過激でした・・・
思いっきり同性愛要素が詰まっている作品で、苦手な人には絶対にすすめられないような内容です。
内容もけして明るくないです。
けれど、破滅的な感じが、とても魅力的でした。引き込まれます。
作者さん自身が同性愛者だと言うこともあってか、心理描写もリアルでよかったです。
特に、最後の部分が心を打たれました。
それまでの描写による苦手とか、そう言う印象がすべて吹き飛ぶくらい、素敵なラストだったと思います。
読んでいて、心が痛むような、切なくなるような、不思議な感じがしました。この人の本を、もっと他にも読んでみたいです。