中山可穂のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【自分とセックスしている夢を見て、目が覚めた―。女から女へと渡り歩く淫蕩なレズビアンにして、芝居に全生命を賭ける演出家・王寺ミチル。彼女が主宰する小劇団は熱狂的なファンに支えられていた。だが、信頼していた仲間の裏切りがミチルからすべてを奪っていく。そして、最後の公演の幕が上がった…】
ミチルは自分勝手で、「こんな人が身近に居たら嫌だな〜」と思っていたのに、
劇団への強い思いが分かっていくにつれて
何でも許してあげたくなる気持ちも出てきて、
愛おしくさえなってしまったのが不思議。
実は不器用なだけなんですよね、きっと。
たぶん最後まで付いてきてくれた他の劇団員も
同じ気持ちだったんじゃないかな -
Posted by ブクログ
ミチルは劇作家だが、現在は世捨て人同然の暮らしをしている。
彼女にだけ見える天使の幻覚。
それを追うためにはイスタンブール、アテネ、ミラノ・・・と長旅に出るのだが、占い師に「西に行くとロクなことがない」と言われたのがひっかかる。
何が起こるのか。
「猫背の王子」の続編とのことだけど、前作を読まなくても普通に楽しめる。
ミチルは心底演劇を愛しているらしいのだが、その様子があまり伝わらず、もっと詳しく書いて欲しい。
と思ったら、前作に詳しく書かれているそうですね、はい。
全体的に特に印象に残る話ではないけど、独特の雰囲気が好き。部分部分の印象が強いかな。
ミチルがそれぞれの土 -
Posted by ブクログ
ダブツというあだ名の男の子から好かれている女子高生がカイに惚れる話の "ダブツ"。この章を、僕が思っている彼女のレズビアン小説という先入観で読むと軽く裏切られるのだが、それは気持ちの良い違和感だった。読後感は爽やかだったりする。死に至る病気でありながらも相手が求めるセックスに応え続け、そして最期を迎える "恋路すすむ"。これは壮絶な話なのだが、その内容の割にラストシーンは感動的だったりする。この二つの話に代表されるように、過去に読んだ中山作品の中では比較的軽い気持ちで読めた作品だった。と思ったら、本人が文庫本あとがきで「肩の力を抜いて楽しみながら書いた」