中山可穂のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
評判を見て購入
評判を見て購入しました。絶望的に性格の相性が悪いふたりが肉体的に相性が良いとこうなってしまうという
例を延々と読んでいた感じがしました。
BLではよくある話で、特に片割れが闇のような過去を持っていて、ノンケがそれを受け止めようとも受け止めきれず
終わりや破滅に向かうような。
ただこれは「一般文芸」で「2001年に」「山本周五郎賞受賞」をしているのがやはり一線を画す要因なのかなと。
時代を経ようとも色あせない文学もあるけど、これはその時代に読んでこそのタイミングや共有感があってこその受賞作なんだろうなあ。
文学にまで「昇華」させた筆力と経験あってこそだと思った。
内容について。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ能の演目『弱法師』『卒塔婆小町』『浮舟』を現代風にアレンジした短編集。
それぞれ独特の雰囲気に圧倒され、厳かで静かに進む文章に引き込まれる。
特に『卒塔婆小町』は破滅の道へ追い込まれていく二人の様子に目が離せなくなる。
一昔前の文豪の多くが自らの命を断つ理由が少し分かった気がする。
他人からは決して理解してもらうことのない愛だったけれど、二人の愛は叶えられたのだと思う。
そして源氏物語をモチーフにした『浮舟』。
あの話をこの設定にするとは驚いた。
「男が本気で女に惚れたら、奪うもんだ」
「女が本気で女に惚れたら、引くもんだ」
姉弟のセリフは実に奥が深い。
死をも辞さない究極の愛に圧倒され -
Posted by ブクログ
ネタバレ「弱法師」「卒塔婆小町」「浮舟」という、能楽をモチーフにした3編からなる作品。
私にとって初の中山作品で、彼女が主に女性同士の恋愛を描く作品を書いている作家さんだと知らずに読んだ。
標題作はふ~んという感じで終わったが、卒塔婆小町を読み始めてからは周りの音が耳に入らないくらい完全に作品に引き込まれた。
今は墓地に住むホームレスとなったある敏腕編集者と、ある夭逝した天才作家との激しい関係を描いた作品。
女性にしか恋愛感情を持たない女性編集者を愛し、彼女に愛を受け入れてもらうためだけに自らの命を削り100冊の作品を書き上げていく作家。
その狂気ともいえる創作活動をたどるうち、作家の編集者への狂おし -
Posted by ブクログ
作者の中山さんは、苦しいシーンは本当に苦しそうに書き、ほんわかするシーンはくすぐられているように書き、情熱的なシーンはノリノリで書いているように感じられる。文章に作者の気持ちが色濃く反映されてしまうあたりが本作でも表れていて、楽しめた。
鍵人の過去話や、濡れた獣のようなアンナのエピソードは楽しく読めたが、本筋の殺人事件の解決編が長々とした会話で説明されているあたりは、着地点を誤ったような気がしてしまう。周囲の人間に翻弄され続けた鍵人の人生を思うと悲しくなってしまう。
過去に卑劣な罪を犯した人間が罰されるのには心底スッキリした。ただ、千秋と篤之を不幸のドン底に突き落としたのは伽耶にも責任があるは