あらすじ
インドシナ半島の片隅の吹きだまりのような廃墟のような一画にそのカフェはあった。主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老嬢。しかし彼女の正体は、もう20年も前に失踪して行方知れずとなった伝説の作家・津田穂波だった。南国のスコールの下、彼女の重い口から、長い長い恋の話が語られる……。東京、ブエノスアイレス、サイゴン。ラテンの光と哀愁に満ちた、神秘と狂熱の恋愛小説集。
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Posted by ブクログ
素晴しかった。大事に読もうと思ってたのに、一気に読んでしまった。
しばらく、まんじりともせずにいたい気分です。
「サイゴン・タンゴ・カフェ」
読者はひとりでいい。
熱烈な愛情と理解で絶対の肯定をくれて、思わぬ見方を示して意表をついてくれて、冷静な分析に納得させられる。目指すものは同じ高みだと心を沸き立たせ、肌の触れあいで情熱を挑発する恋人。
しかも、容易くは手に入れられない運命の人。
そりゃもう、作家の夢想する理想の恋物語なんだろうなと思う。
お幸せに、と思いつつ、ちょっと後退りたくなっちゃうのも本音です。(部外者は馬に蹴られる前に安全圏に退散すべきだというのは常に真理だ)
Posted by ブクログ
タンゴって、どんな踊りなんだろう。
やってみたい。
こんなに激しくなれるなんて。
タンゴの熱さが伝わってきて踊っている場面と他の場面との温度差を感じることができる。
Posted by ブクログ
◆あらすじ◆
インドシナ半島の片隅の吹きだまりのような廃墟のような一角にそのカフェはあった。
主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老嬢。
しかし彼女の正体は、もう20年も前に失踪して行方知れずとなった伝説の作家・津田穂波だった。
南国のスコールの下、彼女の重い口から、長い長い恋の話が語られる・・・・・・。
東京、ブエノスアイレス、サイゴン。
ラテンの光と哀愁に満ちた、神秘と狂熱の恋愛小説集。
Posted by ブクログ
1作目で妙な引力に囚われて、ポツポツ読み進めるつもりが一気に読んでしまった。
読みきって、すごく踊りたくなった。
といってもアルゼンチンタンゴは踊れないんだけど。
Posted by ブクログ
電子で気になって、紙の本を取り寄せたら意外と分厚くて、読み切れるかなと不安だったが、短編集だったため、読みやすかった。
文体も軽やかに進んでいくので読みやすい。
そして内容も面白いのでどんどん次の章も……と進んでしまう。
著者の他の作品も読みたくなった。
Posted by ブクログ
タンゴにまつわる短編集。不思議な雰囲気で引き込まれるように読み進めてしまった。
どの話も好きだけどやはり表題作かな。そんな小説みたいな話あるわけない!
Posted by ブクログ
何度目かの再読。お気に入り。
同性愛という題材、というよりは(中山作品に出会った当初は専らそこに惹かれていたけど)、中山さんの使う言い回しや文章が好き。
他の作品よりは狂気を感じないと思っていたけど、実は
「現実との三分間」(読んでいていたたまれないけど)と「ドブレAの悲しみ」が特に好き。
BGMはピアソラの「Tanguedia」、カエターノ・ヴェローゾの「Chuva,Suor E Cerveja」、「Coucouroucou Paloma」。
(感想書きかけ)
Posted by ブクログ
中山可穂といえば、レズビアンものだと思って読み始めたら今回の短編は全てがそうではなかったので、驚いたけれどこれはこれで新鮮だし、面白かった。
長編小説程のインパクトはないかもしれないけれど、タンゴで繋がった5つの短編は、どれも鳥肌が立つような話だった。
タイトルになっている「サイゴン・タンゴ・カフェ」はほかの4つより少し長めで、小説を書く事についての幸せや苦しみがとてもリアルに感じられた。
一人の人間をめぐるいくつもの恋物語が、ファンタジックでありながら、生々しさを感じるのは、やっぱりリアリティを感じるからなのかもしれないなと思う。
中山可穂のように同性愛ものを書く作家さんは少ないけれど、中山可穂らしい疾走感も感じられたので、読んでよかったと思える本のひとつでした。
Posted by ブクログ
中山可穂の短編集。この人はよく南米や東南アジアの話も書いてるけど、表題作「サイゴン・タンゴ・カフェ」でサイゴンとタンゴをモチーフに小説家の業と編集者との恋愛を描いてる。
全体的に軽いタッチ(中山可穂的には)でとても読みやすいと思う。
Posted by ブクログ
タンゴの調べと珠玉の短編。ピアソラのリベラタンゴが踊るためだけに作られたわけじゃない革新的な音楽だと教えられた。そして恋の物語だ。マイノリティなどとくくる必要もない恋の物語であり、情熱と哀愁のタンゴの物語だ。裏切られた女も殺し屋もピアソラを愛し猫を愛した老人も、娼婦も猫も、作家と編集者も。みなタンゴに魅せられ恋に泣く。
Posted by ブクログ
好きな作家さんの一人。
5編ともさらりと読めるかと思いきや、
最後の「サイゴン・タンゴ・カフェ」でやられました。
一番最後のシーンが素敵ですね。
Posted by ブクログ
5つの短編。舞台はブエノスアイレス、京都、横浜、ホーチミン、ハノイとさまざまだが、どの話にもタンゴが何らかの形で関わる。そして不運というか貧乏籤をひいてしまったような女の人達が登場する。それでも逆境に負けずに踏ん張る姿は好感が持てる。
しかし、最後の『サイゴン・タンゴ・カフェ』だけは趣が異なる。いろんな愛の形があっていいとは思うけど、主人公達の生き様に共感できない。
Posted by ブクログ
相変わらず微塵の狂いもない、
洗練されたコトバの数々。
綺麗過ぎて整いすぎて、
少し体温が感じられなくなってきたような気が。。。
彼女の作品はひとつひとつが重たいので、
短編集の方が楽に読めて、最近はいい。
☆☆☆ ホシ3つ