ネレ・ノイハウスのレビュー一覧

  • 白雪姫には死んでもらう

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    ドイツのどこにでもある村が、サスペンスの劇場となっている。TVドラマにしても、シリーズ物(『ダーク』など)にしてもよくある舞台設定。ドイツの田舎は身近なため、物語に入り込んで読んでしまった。というか、かつて領邦国家だったドイツは一大都市国家の日本とは異なるので、こちらでは誰もが没入して読めるのではないだろうか。

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    2025年08月31日
  • 深い疵

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    ネタバレ

    オリヴァー(主席警部)とピア(警部)のバディー。事件捜査の中で関係が進展し親密感が増していくのがいい。事件現場に残された「16145」は何を意味しているのだろうか。
    1945年から2007年というスパンの壮大な推理小説。
    登場人物の名前、関係性、家系、何度も何度も前に戻って確認した。沢山の登場人物の作品、読みこなすのに努力が必要だったが、それを上回るわくわく感があった。満足だ。

    小説のキモはこのあたり。
    P.443
    「聖書に「汝殺すなかれ」と書いてあることは知っています」アウグステがまた口を開いた。
    彼女の声は今にも酒え入りそうだった。「でもその聖書には「目には目を、歯には歯を」とも書かれて

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    2025年01月02日
  • 友情よここで終われ

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    ネレノイハウス禁断症が出かかっていたので読めて良かった!
    過去No.1の圧巻感と丁寧な伏線回収がダイナミックだった。筆者とヘニングの世界が現実と虚構のラインでつながって、ピアとオリバーと読者で物語に参加している感覚になった。
    著者もキャラクターたちも、1番油が乗っている作品ではないだろうか。
    ネレノイハウスは毎回500ページまでが本当に読んでいて楽しい。500ページを超えた先がもっと楽しいことをファンなら知っている。今回も大満足の1冊だった!
    禁断症状が出るまでに、早く自作を読みたい。

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    2024年07月19日
  • 母の日に死んだ

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    最初はその分厚さに圧倒されたけど(文庫本で700ページ弱って!)読み始めたら物語に引き込まれてすいすい読めるし読むのを止められない。とはいえ、馴染みがない名前や地名でその辺りはちょっと読み難いけど。

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    2024年05月15日
  • 友情よここで終われ

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    オリヴァーとピアシリーズ10作目のドイツミステリー。事件解決と並行して二人の私生活も深く語られるので、もはや私にとって二人は正月に近況を知らせてくれる親戚の様な親近感を抱かせてくれる。とは言え、今回の事件は登場人物も多く関係性も複雑、さらに過去の事件の影響が多大で、嘘に嘘を重ねる容疑者が常に入れ替わる。
    解決に繋がるチームのメンバーの地道な仕事も描かれているので600ページ超えもあっと言う間によめた。

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    2024年04月16日
  • 友情よここで終われ

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    ネタバレ

    登場人物が多い上に人間会計が複雑、更にそれぞれがあだ名で呼びあったり、作中作小説は仮名処理されてて、誰が誰だかわからなくなる。
    しかも、みんな嘘ついてて、ルービックキューブかってくらい事件の構図が目まぐるしく入れ替わり、その度に容疑者候補順位が次々シャッフルされる。
    これを最後に収束させられる技量半端ない。
    ピアがため息混じりに「これは最低の事件よ。嘘と巻き添え被害だらけ」というのも頷ける。
    そんな中、ゼヴェリン・フェルテンのキャラが最高。未だかつてここまで強烈な噛ませ犬がいただろうか。
    終盤で特殊応力を発揮するし、ニコラのお気に入りになってるし、レギュラ入りを予感させますね。

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    2024年03月17日
  • 友情よここで終われ

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    ネタバレ

    オリヴァ―とピアシリーズの第10作。

    オリヴァーの私生活はこんな酷いことになってたんだっけ?
    上手く行っていたような気がしたのだが、
    ピアに言わせれば、いつも同じタイプ、
    不安定さを抱えるキャリアウーマンタイプに惹かれるオリヴァーが悪いのだが。
    元妻のコージマが癌になり末娘と一緒に住んでいるが、
    妻の娘が悲惨な事件を目撃したトラウマからか意地悪三昧。
    オリヴァーひとりなら、自業自得で終わりだが、
    娘を巻き込むのは親としてどうかと思う。
    別居すると聞いて「ようやく?」と言いたくなるピアの気持ちがよくわかる。
    さらには、家を出た後に元実家のお城を改装したホテルに泊まり込み、
    敷地内の家に安い家賃

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    2024年03月11日
  • 生者と死者に告ぐ

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    初めて読みました。
    デンポよく話が進んで、本の厚さを感じさせないくらい、あっと言うまに間に読み終わりました。

    街の雰囲気を想像できるような描写でよかった!
    酒寄さんの翻訳に感謝。

    他の作品も楽しみ❣️

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    2023年09月27日
  • 悪女は自殺しない

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    ドイツ人の名前に馴染みがないので、登場人物の名前は覚えにくいし、間柄や話題によって呼び方が変わるので、ちょっと前のページに戻って確認したりしながら読みました。

    元貴族の名前には、フルネームの中にそれと分かる呼称が入っているとか、ドイツ社会の中の警官の立ち位置がちょっと分からない(例えば、取り調べにきた刑事に侮蔑、見下すような眼差しを向けるといった表現があるけれど、日本では警官に対してそういった感情は起きにくいと考える)といったこともあるけど、物欲や見栄や嫉妬というたぶん全世界共通の、ドロドロな人間模様の中でおこる殺人。
    面白かったです。

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    2023年01月07日
  • 深い疵

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    日本語訳にされたのは、これが一冊めのようですが、シリーズとしては三作目。

    基本的に読み切りなので、これ一作だけでも十分楽しめますが、ちょこちょこ過去の話題が出てくるので、やっぱり一作目も読んでみよう!と思うほど、面白かった。

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    2022年12月16日
  • 母の日に死んだ

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    刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、9作目。
    ドイツの警察小説です。

    前作でオリヴァーの子供時代からの人間関係に絡む事件が起き、疲れ果てたオリヴァーは制度にある長期休暇を取りました。
    オリヴァーは警察ではリーダーで人柄も見た目もなかなかいい男だが、やや女運が悪く振り回されがち。
    とはいえ、ここへ来て落ち着いたよう(笑)
    ピアは(何年も前になりますが)元夫と別居してこの地で農場を買い、警察の仕事に復帰、今では資格も先輩のオリヴァーと同等の主席警部に。お似合いの相手クリストフと再婚もしています。

    さて、オリヴァーが復帰しての新たな事件。
    とある邸宅の主人が亡くなっているのが見つかった。
    さらに、犬

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    2022年09月16日
  • 悪しき狼

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    このシリーズの6冊目。相変わらず面白い。事件が虐待ということで少し陰惨な感じがしたがオリバーとピアのコンビによる事件解決のテンポがいい。まだ少なくとも3冊は翻訳されているので読むぞ。

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    2022年03月05日
  • 母の日に死んだ

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    シリーズベスト級。孤児を受け入れていたラインフェラート家の年老いたテオが死んだ。調べると犬のケージからラップフィルムに包まれた遺体が3体。テオが連続殺人鬼なのか?

    すごく時間がかかった。しかしその甲斐あり。

    登場人物の多さ、被疑者の多さ。それを正当化するどんでん返しアンドどんでん返し。素晴らしい。


    ※自分用ネタバレ

    犯人は、孤児院で育ち、子供を捨てた母親を憎み、テレビで子供を捨てたことを話した母親を連続して殺した。刑事ピアの妹キムも実はレイプされた子を、親友の産婦人科医を通して、不妊のカップルにあげてしまっていた。そのため犯人に狙われた。

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    2021年12月30日
  • 母の日に死んだ

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    始めの翻訳シリーズからの大ファン。読み続けていてオリヴァーもピアも家族の様に感じるし、今回は特に年齢を重ねた二人を思うと、大切な友達と共にここに至ったと感慨深い。今回はピアがびっくりひっくり返るのが主題。

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    2021年12月20日
  • 母の日に死んだ

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    ネタバレ

    オリヴァ―とピアシリーズの第9作。

    新聞配達人が発見した老人の遺体。
    大きなお屋敷は、以前里子を多く引き取っていた。
    死にかけていた犬のゲージの中から白骨が発見され、
    母の日に起こっていた連続殺人へと広がっていく。

    もう一つのお話として、実の母親を捜している女性の話が
    重なってくるが、まさかそれがピアの妹のことだとは思わなかった。
    二人とも無事助かって良かった。

    ショックだったのは、ピアが白樺農場を売ったこと。
    あんなに楽しそうに馬の世話をしていたのに、
    馬も犬も亡くなってしまったのもショックだった。
    五十歳を目前にして、夫が住んでいた家を買い戻し、
    街に戻ってきた。
    新しい生活になじん

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    2021年12月08日
  • 母の日に死んだ

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    待ちに待ったネレ・ノイハウスの新作。
    事件の原因などの陰湿な導入は、作者らしさに磨きがかかり、綿密だった!
    冒頭と挿入のエピソードの惑わせ方が良かった。信じてる読み手を本当に惑わせてくれる。
    シリーズを読んだ人なら、本作の深い湿度の事件の発端が、映像として今までの作品以上に脳内に表れるのではないでしょうか?
    取材力というか、編集者さんの力というか、今のテクニカルな手法も絡めてつつ、問題提起を書く作者のメッセージが作者らしく力強い。これは過去No.1。導入と表現とロジックの妙が生きている。
    オリヴァーでは無く、今回の主人公はピア、そして強くならざるを得ない女性達だから、最後はあんなにハリウッド的

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    2021年11月17日
  • 森の中に埋めた

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    オリヴァー&ピアのシリーズも8作目。
    重厚な部分と、生き生きと親しみやすい部分を兼ね備えたシリーズです。
    前作「生者と死者に告ぐ」はミステリとして枠組みがユニークで、スピーディな展開と感じました。
    今作は、オリヴァーの過去に関わる、シリーズ中でも重要な作品です。
    こういう展開になることを見据えて書かれていたシリーズだったのだなあと認識を新たにしました。

    オリヴァーは、主席警部。
    長身で男前の、性格もなかなかいい方の50代。
    少し年下のピアは部下で、相方、金髪で明るい性格。恋人というわけではないのですが、夫婦よりも一緒にいる時間が長いほどでもあり、信頼し合う間柄です。
    キャンプ場でトレーラーが

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    2021年10月13日
  • 穢れた風

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    新刊「森の中に埋めた」も読んだ後で、本作を読んだ。シリーズの中でずば抜けて面白かった!
    二転三転される伏線や、途中のモノローグが結びつく気持ち良さが格段にあった。ロジックが合わさる様で、でも交錯しない見せ方が面白かった。
    完璧な悪者も完璧な聖人も居ない。
    人間ドラマに溢れたミステリー。
    スッキリ解決するミステリーを好む人には向かないかも知れない。
    オリヴァーしっかりしてなさ過ぎも面白かった。

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    2021年09月09日
  • 森の中に埋めた

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    ネレ・ノイハウスは初めて。
    マジめっちゃ面白かった!
    犯人が読み終わる間際まで分からない展開がたまらない。読み終えるのが勿体なく感じた。
    文章もキャラも、そして作者が伝えたいメッセージも濃く深くて良かった。
    良いミステリー、というよりホント良い本に出会えた読書時間だった。

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    2021年08月13日
  • 生者と死者に告ぐ

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    オリヴァー&ピアのシリーズ、第7作。
    ドイツのミステリです。

    オリヴァーは主席警部で捜査のリーダー。ピアは恋人ではなく、仕事上のパートナーです。
    散歩中の女性がライフルで遠くから射殺される事件が起きた。
    ピアは夫と休暇旅行に行くはずだったが、人手不足の時期に難事件が起きたのを案じて取りやめる。
    次々に射殺事件が起きるが、被害者は誰も恨まれるような人柄ではなかった。
    捜査は難航するが…?
    思いがけない事件の描写がシャープで、ミステリとして興味を引く内容。

    オリヴァーは離婚後、幼い末娘を可愛がって、ようやくだいぶ落ち着いた暮らしに。ただし、今の交際相手とはどうも仲が深まらないので別れを考えてい

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    2021年04月16日