ネレ・ノイハウスのレビュー一覧
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ネタバレオリヴァー(主席警部)とピア(警部)のバディー。事件捜査の中で関係が進展し親密感が増していくのがいい。事件現場に残された「16145」は何を意味しているのだろうか。
1945年から2007年というスパンの壮大な推理小説。
登場人物の名前、関係性、家系、何度も何度も前に戻って確認した。沢山の登場人物の作品、読みこなすのに努力が必要だったが、それを上回るわくわく感があった。満足だ。
小説のキモはこのあたり。
P.443
「聖書に「汝殺すなかれ」と書いてあることは知っています」アウグステがまた口を開いた。
彼女の声は今にも酒え入りそうだった。「でもその聖書には「目には目を、歯には歯を」とも書かれて -
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ネタバレ登場人物が多い上に人間会計が複雑、更にそれぞれがあだ名で呼びあったり、作中作小説は仮名処理されてて、誰が誰だかわからなくなる。
しかも、みんな嘘ついてて、ルービックキューブかってくらい事件の構図が目まぐるしく入れ替わり、その度に容疑者候補順位が次々シャッフルされる。
これを最後に収束させられる技量半端ない。
ピアがため息混じりに「これは最低の事件よ。嘘と巻き添え被害だらけ」というのも頷ける。
そんな中、ゼヴェリン・フェルテンのキャラが最高。未だかつてここまで強烈な噛ませ犬がいただろうか。
終盤で特殊応力を発揮するし、ニコラのお気に入りになってるし、レギュラ入りを予感させますね。 -
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ネタバレオリヴァ―とピアシリーズの第10作。
オリヴァーの私生活はこんな酷いことになってたんだっけ?
上手く行っていたような気がしたのだが、
ピアに言わせれば、いつも同じタイプ、
不安定さを抱えるキャリアウーマンタイプに惹かれるオリヴァーが悪いのだが。
元妻のコージマが癌になり末娘と一緒に住んでいるが、
妻の娘が悲惨な事件を目撃したトラウマからか意地悪三昧。
オリヴァーひとりなら、自業自得で終わりだが、
娘を巻き込むのは親としてどうかと思う。
別居すると聞いて「ようやく?」と言いたくなるピアの気持ちがよくわかる。
さらには、家を出た後に元実家のお城を改装したホテルに泊まり込み、
敷地内の家に安い家賃 -
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ドイツ人の名前に馴染みがないので、登場人物の名前は覚えにくいし、間柄や話題によって呼び方が変わるので、ちょっと前のページに戻って確認したりしながら読みました。
元貴族の名前には、フルネームの中にそれと分かる呼称が入っているとか、ドイツ社会の中の警官の立ち位置がちょっと分からない(例えば、取り調べにきた刑事に侮蔑、見下すような眼差しを向けるといった表現があるけれど、日本では警官に対してそういった感情は起きにくいと考える)といったこともあるけど、物欲や見栄や嫉妬というたぶん全世界共通の、ドロドロな人間模様の中でおこる殺人。
面白かったです。 -
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刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、9作目。
ドイツの警察小説です。
前作でオリヴァーの子供時代からの人間関係に絡む事件が起き、疲れ果てたオリヴァーは制度にある長期休暇を取りました。
オリヴァーは警察ではリーダーで人柄も見た目もなかなかいい男だが、やや女運が悪く振り回されがち。
とはいえ、ここへ来て落ち着いたよう(笑)
ピアは(何年も前になりますが)元夫と別居してこの地で農場を買い、警察の仕事に復帰、今では資格も先輩のオリヴァーと同等の主席警部に。お似合いの相手クリストフと再婚もしています。
さて、オリヴァーが復帰しての新たな事件。
とある邸宅の主人が亡くなっているのが見つかった。
さらに、犬 -
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シリーズベスト級。孤児を受け入れていたラインフェラート家の年老いたテオが死んだ。調べると犬のケージからラップフィルムに包まれた遺体が3体。テオが連続殺人鬼なのか?
すごく時間がかかった。しかしその甲斐あり。
登場人物の多さ、被疑者の多さ。それを正当化するどんでん返しアンドどんでん返し。素晴らしい。
※自分用ネタバレ
犯人は、孤児院で育ち、子供を捨てた母親を憎み、テレビで子供を捨てたことを話した母親を連続して殺した。刑事ピアの妹キムも実はレイプされた子を、親友の産婦人科医を通して、不妊のカップルにあげてしまっていた。そのため犯人に狙われた。 -
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ネタバレオリヴァ―とピアシリーズの第9作。
新聞配達人が発見した老人の遺体。
大きなお屋敷は、以前里子を多く引き取っていた。
死にかけていた犬のゲージの中から白骨が発見され、
母の日に起こっていた連続殺人へと広がっていく。
もう一つのお話として、実の母親を捜している女性の話が
重なってくるが、まさかそれがピアの妹のことだとは思わなかった。
二人とも無事助かって良かった。
ショックだったのは、ピアが白樺農場を売ったこと。
あんなに楽しそうに馬の世話をしていたのに、
馬も犬も亡くなってしまったのもショックだった。
五十歳を目前にして、夫が住んでいた家を買い戻し、
街に戻ってきた。
新しい生活になじん -
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待ちに待ったネレ・ノイハウスの新作。
事件の原因などの陰湿な導入は、作者らしさに磨きがかかり、綿密だった!
冒頭と挿入のエピソードの惑わせ方が良かった。信じてる読み手を本当に惑わせてくれる。
シリーズを読んだ人なら、本作の深い湿度の事件の発端が、映像として今までの作品以上に脳内に表れるのではないでしょうか?
取材力というか、編集者さんの力というか、今のテクニカルな手法も絡めてつつ、問題提起を書く作者のメッセージが作者らしく力強い。これは過去No.1。導入と表現とロジックの妙が生きている。
オリヴァーでは無く、今回の主人公はピア、そして強くならざるを得ない女性達だから、最後はあんなにハリウッド的 -
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オリヴァー&ピアのシリーズも8作目。
重厚な部分と、生き生きと親しみやすい部分を兼ね備えたシリーズです。
前作「生者と死者に告ぐ」はミステリとして枠組みがユニークで、スピーディな展開と感じました。
今作は、オリヴァーの過去に関わる、シリーズ中でも重要な作品です。
こういう展開になることを見据えて書かれていたシリーズだったのだなあと認識を新たにしました。
オリヴァーは、主席警部。
長身で男前の、性格もなかなかいい方の50代。
少し年下のピアは部下で、相方、金髪で明るい性格。恋人というわけではないのですが、夫婦よりも一緒にいる時間が長いほどでもあり、信頼し合う間柄です。
キャンプ場でトレーラーが -
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オリヴァー&ピアのシリーズ、第7作。
ドイツのミステリです。
オリヴァーは主席警部で捜査のリーダー。ピアは恋人ではなく、仕事上のパートナーです。
散歩中の女性がライフルで遠くから射殺される事件が起きた。
ピアは夫と休暇旅行に行くはずだったが、人手不足の時期に難事件が起きたのを案じて取りやめる。
次々に射殺事件が起きるが、被害者は誰も恨まれるような人柄ではなかった。
捜査は難航するが…?
思いがけない事件の描写がシャープで、ミステリとして興味を引く内容。
オリヴァーは離婚後、幼い末娘を可愛がって、ようやくだいぶ落ち着いた暮らしに。ただし、今の交際相手とはどうも仲が深まらないので別れを考えてい