ネレ・ノイハウスのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ドイツのミステリ、刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、6作目の刊行。
主席警部のオリヴァーとピアは恋人ではなく同僚で、仕事で認めあっている関係です。
オリヴァーは離婚後やっと落ち着き、幼い末娘に愛を注ぐ日々。
前作「穢れた風」まではどうなることかと思わされたけど、まずはよかった、よかった。
川で少女の変死体が発見され、不審な事実が判明。
一方、人気女性キャスターが拉致されます。
さらに、事件が‥
少女虐待を暗示する描写が挿入され、誰のことなのか、過去のことなのか、救出が間に合うのか‥はらはら。
絡み合う事件がしだいに大きな姿を見せ始めるのです。
登場人物が多い中で、すべてを失った男がひっそりと生きながら仲間を助けたりしているのが印象的でした。
ピアは恋人とは安定した関係ですが~
年上の彼には大きくなった娘がいて、孫までいる。
その孫が勝手に送り込まれてきて、ピアは慣れない世話をするはめに。
4歳児リリーに振り回され、太ってると言われたり、「じいじの相手ならばあば?」と言われたり。
これが次第に馴染んで来るのが微笑ましい。
ついには母性愛が高まっていくのです。
ピアの出番が多めで、お金持ちの友人の家に行ったり、いつもより豪華な面も。
ドレスアップしている時に現場に駆けつけると、同僚に感心されたり。
ピアは金髪でかなりの美人なのだが、やや豊満な体型らしい?
農場に住んでいるから働きやすい服装で、仕事のときも実用本位のスタイルなんでしょうね。
第一作では30代後半でしたが、6年経って40代なかば近い?
子供もいないのに、ばあばはないよねー。
最後はドイツのお母さんだね、と呼ばれます(笑)
女性たちが大活躍、充実した読み応えでした☆ -
Posted by ブクログ
ちょっと前に民放テレビで映画「カメラを止めるな」が放送されたとき、冒頭に出演者が出てきて、予告をしていたんですが、「冒頭何分までは、よく分らないかもしれないけど、我慢してみれば、後半は必ず面白くなります。」という趣旨の発言をしていたのが気になりました。カメラではなく、視るのを止めるな、という訴え。
確かに前半に伏線が一杯張ってあって、分かりにくかったり不自然だったりして、それが後半で回収されていくのが面白さの映画なので、後半まで視てもらわないと、な映画ではありますが、しかし作り手自ら「我慢」って、という違和感。そう、youtubeをはじめとした動画を見慣れた世代は、だらだら退屈な部分はすっ飛ばして、ハイライト、オチだけ見るというのが普通の感覚で、それができないテレビのリアルタイム放送はまさに、「我慢」でしかないんだなと改めて思いました。
さて、本書、巻頭の表に載ってるだけで、40人近くの登場人物が出てくる上に、次々と場面転換してく複雑な構成。群集劇というか、ホテルグランド方式というか、全ての伏線がある一つのイベント会場に集約していくこの気持ちよさは先の動画視聴スタイルでは決して味わえません。たまにはじっくり時間をかけて、「我慢して」、そういう体験をしてみるのも良いのでは。 -
Posted by ブクログ
ドイツミステリーの女王による、オリヴァー&ピア刑事のシリーズももう6作目。川で少女の遺体が見つかった。凄まじい暴行の跡があった。身元がなかなか分からない。肺にあったのは塩素で消毒された水なので、川で溺死したのではない・・・人気ドキュメント番組のキャスター、ハンナ・ヘルツマンは、大きなネタを掴んだ。極秘裏に取材を進めていくと、とんでもないことが分かってきた。しかし・・・ピアの友人エマは、シングルマザーとその子供のための協会「太陽の子協会」の創始者の息子と結婚し、義父、義母と共に暮らしている。しかし、夫は家庭を顧みず・・・トレーラーハウスで暮らす貧しい男は、裏で弁護士のような仕事をしている・・・それらが並行して描かれるが、後で一点に集約されていく。
うーむ。さすがネレ・ノイハウス。面白過ぎる。(どうでもいいことだけれど、ネレって、礼という字に似てるな)
おぞましい事件の裏にあるおぞましい真実。作者のあとがきによると、現実の世界でもあることらしい。その話がメインにあるのだけれど、サイドストーリーも素晴らしい。感じの悪い刑事だったフランク(どの話が忘れた)がなぜそうなったのか、本作で分かる。
個人的には、偽弁護士のようなことをする男と、ロードキングス(バイク乗りたちの犯罪集団)の元幹部の話が非常に興味深かった。 -
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刑事オリヴァー&ピアのシリーズ5作目。
オリヴァーは主席警部で、ピアは同僚です。
これでやっと順番通りの刊行になる?
とはいえ、4作目を読んだのがだいぶ前なので~刑事たちの人間関係を思い出すのにしばらくかかりましたよ。
風力発電建設会社で、妙な事件が起きます。
ドイツでは、原子力に頼らない再生可能エネルギーの開発が盛んになっているそう。
彼らの住む州には、フランクフルトを含む都市部と風光明媚な郊外の両方があり、風力発電はまだ盛んではないとのこと。
メルヘン街道もあるそうですから、景観破壊になっては困りますよね。
オリヴァーの父親は伯爵で、地元の名士。
事件に関係する老いた農場主は、古い知り合いです。
この農場が美しいところなのですが、風力発電会社が用地買収しようとし、一方では反対派が集結して騒動になっていました。
反対派というのも、一枚看板ではありません。
市民運動家、恋人だから応援する女性、女性に憧れる少年、事情を抱えた人物‥
個性豊かで人間臭い描写は、この作家が得意とするところですね。
しかも、事件には背景があり、スケールを大きくしていく‥!?
4作目で、チームのメンバーにも変動があったのですね。
オリヴァーは妻に去られ、まだ動揺が激しく捜査に集中できないでいます。
しかも、ある出会いから、また振り回されることに?
あらまー‥
ピアのほうはオリヴァーの代わりに自然とリーダー格になり、充実した日々。
ところが仕事に熱中しすぎて、今度はせっかく上手くいっていたパートナーと?
おっと‥
しかも、最後に爆弾発言が?!
読みごたえのあるこのシリーズ、本国では8作目まで刊行されているそうですから~
続きも楽しみに待っております☆ -
Posted by ブクログ
刑事オリヴァー&ピアのシリーズ、日本での刊行は4冊目。
主席警部のオリヴァーと警部のピアは恋人ではなく同僚で、仕事で認めあっている関係です。
時系列としては「悪女は自殺しない」に次ぐ2作目に当たり、1作目はどちらかというとオリヴァー編だったのが、こちらはピア編といったところ。
1作目のほうがシンプルで、こちらのほうが筆が乗っている気がします。
ドイツでは2冊同時に私家版で発表、それが大きな出版社に認められたという作家デビューなのですね。
ピアは、まだ最初の夫と別居中。
その夫ヘニングは高名な法医学者で、オリヴァーとも友人でした。
大事件があると、ヘニングはまたこちらへ来ることにもなります。
動物園という意外な場所で、切断された死体が見つかった事件。
高校教師で積極的な環境保護活動家のパウリーは、動物園にも反対していました。
この男、生徒の一部には慕われているのだが、各方面に抗議したり何かと噛み付いていたため、容疑者はてんこ盛り。
地元で反目し合う実情が明らかになりつつ、事態はどんどん混迷の度を深めていきます。
怪しい人物が多いだけに、謎解きを楽しもうと思えば楽しめるかな。
若い子たちがえらい目に合うのがちょっと気の毒になってきますが。
事件に無関係ってわけでもない。
どう関係しているのかというと‥おっとそこまでは。
いや、ややこしくて書ききれないけど(笑)
それよりも、ピアがもてもてなのがややユーモラスに描かれるので、女性には楽しいんじゃないかな。
尊敬する年上の人と若くして結婚してしまったピアは、仕事しか頭にない夫との生活に耐えられなくなったよう。
家を出て農場を買い、自分らしい生き方を模索していました。
そこへ、感じのいい中年男性クリストフと、すごい美形の若者ルーカスが登場。
さて?
揺れ動くピアの心がどうなったかは、もう翻訳されている作品でわかりますけどね。
書き込まれていて、なかなか読み応えのあるシリーズです☆ -
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第一印象。分厚い!
風力発電所の建設計画をめぐり、建設を推進したい施設建設会社と、自然保護を名目として建設反対を訴える市民団体との争いを軸にストーリーは展開する。
風力発電ならばクリーンエネルギーとして環境にも優しいと考えがちだが、巨大な風車を数多く建てなくてはならないから、やっぱり木々を倒し、土地を均して環境を変えなくてはならない。市民団体もその点を突く。さらには自然の立地としても風車を回すほどの風が常時吹くほどの見込みはない。それではなぜそこに建設しようとするのか。その裏に見え隠れするのは補助金やファンドから流れ込む潤沢な資金の影。大金が動くところに人は群がる。そして事件は起こる…
刑事オリバヴァーとピアが活躍するシリーズの第5弾とのこと。
やたらめったら登場人物が多いので最初は戸惑った。でも邦訳がとても簡潔でわかりやすいので、外国文学を読んでいる感じは受けなかった。シリーズを読んでいる人には難なく物語の世界に入り込めるだろう。
他の方のレビューを読んでいるとオリヴァーは当初は優秀でかっこ良くて頼りになるボスタイプとして活躍していたようだが、この巻から読むと、ファム・ファタールに弄ばれる間抜けな男にしか見えない。主に活躍するのも、犯人の見当をつけるのも、部下である女性のビアだ。女性の活躍が少ないとかファンからの苦情でもあったのか? オリヴァーのダメダメぶりは、凡人の自分には共感できる部分も多いが、第1作のからのファンはどう思うのか心配だ。
読み終えて振り返って考えると、犯人があの人だということは筋道としてとても納得いくのだが、読んでいる途中では全然気づかなかった。騙された。でも心地よく騙された。
これは第1作からぜひ読んでみたい。
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Posted by ブクログ
ネタバレ次々と登場する人物、錯綜する人間関係、交互に入れ替わるオリヴァーとピアの視点、そして頻発する事件…、一気読みできた。
ただ、丁寧な登場人物一覧に助けられるものの、やはりドイツ語の名前は覚えにくい!しかも親子で登場が多いし。
しかし、次々と容疑者を繰り出しながらも最後まで犯人を絞らせない展開の速さは見事で、前作より進歩している。
確かこの作者は立て続けに(自主出版で)発表しているのにこのレベルというのはスゴイ。
今作では環境破壊と汚職という骨太なテーマもあるし、一方でオリヴァーやピアの家族や過去に触れて横糸ともなるドラマもしっかり描かれホント盛り沢山な一作だった。 -
Posted by ブクログ
オリヴァー&ピアコンビの二作目。
短い単元ごとに時系と視点が変わる独特の物語進行。
「深い疵」を読まなければ、手に取らなかったかもしれない本。タイトルだけで敬遠しない方がいい。
ところ変われど人が死に物語がはじまり、犯人が判明し帰結するのだが、わかっていながらもこの作者のミステリーに心底ハマってしまうのは、物語に手加減をしないリアリティなのかもしれない。不幸はどこまでいっても不幸なのが現実だし、憎悪は負の連鎖を招き、人間はどこまでも欲深く、恐ろしい。そしてそれを詳らかにする側の警察でさえ、ただ一人の、「人」なのだと気付かされる。そのリアリティは人の繊細で複雑な側面を観察し徹底的に描くからなのかもしれない。
とにかく、愛すべき主人公オリヴァー&ピア次作の翻訳がとても待ち遠しくなる作品。 -
Posted by ブクログ
「怪物とたたかう者は、そのとき自分が怪物にならないよう用心するがいい。長いあいだ奈落をのぞいていると、奈落のほうもお前をのぞき込む」は、ニーチェの『善悪の彼岸』の有名な一節である。
自身は正義を行っている。だから悪事を行ったものを責めてもよい。彼らは責められるべきだし、何をされてもいいはずだ。究極は、そのような思いにまで至ってしまう。しかし、一方で、法によらない裁きを行えば、自身が犯罪者になってしまう。それは、一つの犯罪者を葬ることになっても、罪を罰していることにはならない。
理屈では皆わかっているが、いざ当事者となれば、理性が飛ぶ。道具まで差し出されれば、つい引き金を引きたくなる。この怪物を殺せるのは私だけだ。しかし、今その怪物を葬ろうとしている自分もまた、第三者からすれば、怪物に見えているのではないか。
オリバーとピアは、警察にまで入り込んでいた制裁組織に対応しつつも、真犯人を探し続ける。ピアは母親の認知症が進み、仕事との両立に悩み、ある決断をする。新メンバーも加入して、本シリーズはこれからも続きそうだ。