赤神諒のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
大河ドラマと合わせて読みました。
歴史は勝者が作るとはよく聞く話ですが、正史はそうなのだろうなとつくづく思います。そして、それだけではなく、歴史とは解釈なのだなと深く思います。特に歴史小説を読んだ後には。そして、このようなアンソロジーを読むと、一編ごとに少しずつ変わっていく(あるいは観点を変えていく、ずれていく)解釈が実に面白いものです。
一冊の長編を読み通すのも面白いのですが、これはある観点からの物語を深くしていくことだと思います。アンソロジーには多観点から読み解いていく、そして、一編ずつを積み重ねて一冊の流れを読み解いていく楽しみがあります。
私は背表紙に「高田崇文ほか」とあったので購入し -
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先々月、山形の天童に行った際に将棋記念館で将棋の歴史を知り、中将棋に出てくる酔象を知った直後、本作に出会ったので非常に興奮した状況で物語に入った。『麒麟がくる』でも少ししか出てこないが魅力的だった山崎吉家が主人公とあって非常に期待は高かった。
感想は小説としての完成度が高いのは分かるがあまり楽しめなかった、没頭できなかった。原因は2つ。
1つは小説の全体の軸がブレブレに感じられたところ。初めの方、ページが進まなかった理由は戦国時代を舞台としていながらも日常の場面が多く、静かに物語が進んでいったからだった。これは『大友二階崩れ』でも同じ作者の小説の特徴であり、そこにあまり文句はない。ただ後半 -
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ネタバレ「義」と「愛」で乱世を乗り越えることはできるのか?
大友二階崩れという九州の雄・大友家の内紛を題材に本テーマを描く。最後の吉弘家の改易沙汰にクライマックスを迎えるものの、物語自体に起伏はなく、鑑理と鑑広の人となりの描写がほとんどを占める。義を重んじる武士は大好きだが、鑑理の義は少しずれており、泣き虫で後悔ばかりのこの優男をどうしても好きになれなかった。「義」と「愛」は長い目で見れば「信用」や「同情」を生むものとして必要なものなのだろうが、やはり極論過ぎる感じがして、少しモヤモヤした結末だった。
ただ、赤神諒氏の書く文章、特に本作の動物や植物の情景描写はとても好きになった。P133「いく枚か -
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決戦シリーズ第7弾。今回の舞台は「長篠の戦い」。
主戦場が設楽原だったということでタイトルになってます。鉄砲三段撃ちで有名なあの戦いです。
武田側は信玄ありきだったのだなぁ、と改めて感じました。偉大な先代の影響から、勝頼も宿老たちも逃げられなかったのだなぁ、と。信玄の遺産で勝ち続け、この戦いで使いつくしてしまったわけか。
そこから前を向く「ならば決戦を」。
少しでも残そうとする「くれないの言」。
敗北から這い上がろうとする話は、涙を憶えます。その後の武田の顛末を知っているだけに。
「表裏比興の者」は、伊東潤の「天地雷動」との相似として面白いです。真田昌輝と釣閑齋の作戦は似たものだけど、導き -
購入済み
前作までは面白かったんだがなあ
半ばほどで読み進めるのが苦痛になってしまいました。このサカリのついた忍者たちはなんなの。非情な忍びの世界にあって、命を賭したお役目の最中でさえ愛だの恋だの緊迫感のかけらもありません。バックグラウンドとして挟まる史実パートが唯一の救いです。こっから面白くなるのかなあ。
読了後
ちょっと思い違いをしていました。この作品は忍者を題材にした歴史小説(もしくは時代小説)ではなくて、歴史エンターテイメント小説です。ちょっとピンとこない年代にわかりやすく言うと、山田風太郎から脈々と受け継がれる忍者小説の流れで、いわゆる「伝奇小説」にあたります。突飛なしかけが沢山あって、構えていないと面食らうことにな