あらすじ
応仁の乱末期、若き甲賀忍・三郎兵衛は細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭い独りで生還する。10年後、足利第九代将軍義尚が、六角家征伐のため大軍を率いて湖南に陣を敷いた。三郎兵衛改め新蔵人は復仇のため、異父妹のお喬らと夜襲をかけるが、将軍に深手を負わせるにとどまる。手練れの武士に強烈な反撃を受けたためだ。新蔵人はお喬の目の前で爆死。お喬はその死を受け入れられず復讐を誓う!
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Posted by ブクログ
赤神諒『神遊の城』講談社文庫。
忍者エンタメ歴史小説。
神遊観という忍術の秘密が後半に明かされる。三雲新蔵人と藤林半四郎という希代の忍術の使い手が混迷極まる物語をさらに複雑にしている。
応仁の乱末期、若き甲賀忍の望月三郎兵衛は、細川京兆家当主暗殺のため京の今出川屋敷に潜入するが、返り討ちに遭い、行動を共にした相思相愛のくノ一であるお詮を失う。
10年後、三雲新蔵人に名を改めた三郎兵衛は復仇のため、2万の軍勢を率いる足利第九代将軍義尚の湖南の鈎に陣に異父妹のくノ一のお喬らと夜襲を掛ける。
夜襲は失敗し、藤林半四郎という手練れの武士に強烈な反撃を受けた新蔵人は朋輩を逃がすため、お喬の目の前で爆死する。
新蔵人に恋心を抱いていたお喬は、その死を受け入れられず復讐を誓うのだが……
本体価格780円(古本110円)
★★★★
Posted by ブクログ
いわゆる「分身の術」の分身が意識を持ち始めるという話。そこにそれぞれの「物語」が生まれてくる。
伏線や人物の設定、話の展開も面白く、違和感なく展開・回収されていく。
読みながら感じたのは、人は自らの経験や思考パターンなどから、己自信を縛ってしまっているのではないかということ。本作の中で言えば、「過去」や「自分は影だから」という思い。それはそのまま自分自身にも当てはまる。未来はこれから自分次第でどれだけでも変えられるのに。
前向きに、希望を持って生きていこうと思わせてくれた一冊であった。
前作までは面白かったんだがなあ
半ばほどで読み進めるのが苦痛になってしまいました。このサカリのついた忍者たちはなんなの。非情な忍びの世界にあって、命を賭したお役目の最中でさえ愛だの恋だの緊迫感のかけらもありません。バックグラウンドとして挟まる史実パートが唯一の救いです。こっから面白くなるのかなあ。
読了後
ちょっと思い違いをしていました。この作品は忍者を題材にした歴史小説(もしくは時代小説)ではなくて、歴史エンターテイメント小説です。ちょっとピンとこない年代にわかりやすく言うと、山田風太郎から脈々と受け継がれる忍者小説の流れで、いわゆる「伝奇小説」にあたります。突飛なしかけが沢山あって、構えていないと面食らうことになりますが、小説としての出来は悪くありません。