柄谷行人のレビュー一覧

  • 遊動論 柳田国男と山人

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    読書会で取り上げた國分功一郎「暇と退屈の倫理学」で、キーワードだった「遊動生活」。その後に、本書を目にし、タイトルに惹かれたのと、昨年「哲学のノーベル賞」と言われるバーグルエン賞を日本人で初めて受賞した柄谷行人さんの本も読んでみたかったので読んでみることに。期待していたこととは全く違う内容だったが、やはり日本人としては知っておきたい柳田國男という人物についてよく知れた。昭和の動乱の最中に、民俗学という分野をなぜ立ち上げたのか。それは日本という一国を深く知ることによって、共同自助の精神を見つけたかったから。そして遊動的な生活では蓄財が困難であるから、おのずと贈与的な分配が行われるなど、今にも役立

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    2025年11月24日
  • 畏怖する人間

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    読む、考える、本を読むというのはこういうことだ。批評や評論はこのように描いたらどうだ・・・。
    20代の柄谷行人が巨人に真正面から挑み、荒削りで衒いなく身をもって教える。

    柄谷が文学研究のとば口で人生を賭けて夏目漱石や江藤淳、小林秀雄や吉本隆明などの作品を思索する本質的で奔放な論考を取り纏めたものである。
    31歳で最初に出版した評論集は彼の思考の一里塚であることに違いはない。今でも読む者の心に迫る。

    古井由吉の「内向の世代」の評価は斬新で納得である、彼の作品を読んでみようという気になる。

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    2024年09月18日
  • 遊動論 柳田国男と山人

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    「付論」が、たまたまいま読み始めた、同じ著者の『世界史の構造』の最初の章とほぼ同じことが書かれていて興味深い。この本のあとがきを読むと、最初に付論から読むとよいかも、みたいなことが書いてあって、それせめてはしがきみたいなところに書いておいてほしかった、と思った。ま、『世界史の構造』との重複を考えてそうなってるのかもしれない。『世界史の構造』では抽象化されてわかりにくくなっているものが、この本では具体的なものに仮託されているので、副読本的に有効なのではないか。

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    2024年07月18日
  • 世界史の構造

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    生産形式ではなく交換形式を捉えることで浮かび上がる資本=ネーション=国家のボロメオの輪の史的発展を描く中盤までの議論はトランスクリティークの深化として納得させられる議論だと感じた。
    統制的理念として世界共和国へ向かう展望が述べられる後半部については消化不良感が残る。世界共和国の実現という国家連邦レベルの視点での発展とそこに生きる個々人の発展は果たしてつながりうるのだろうか?という疑問が最後まで拭いきれなかった。
    とはいえ、資本主義をより深く捉えるためには必読と言える本だと感じた。

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    2024年06月16日
  • 政治と思想 1960-2011

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    デモについて考えるために手に取ったが、他の話題含めてとてもわかりやすく、マルクス周辺の思想やアナーキズム、日本の新左翼運動などはじめて触れることに対してなるほどと思うことがたくさんあっ。

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    2024年05月23日
  • 定本 日本近代文学の起源

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    正直に言うと、ほとんどよく分からなかった。
    でもそれは私の背景知識と読解力の不足によるものだと思う。
    しかし、第5章「児童の発見」はよく理解できたし、非常に鋭い考察だった。
    「子供」という概念は,近代に生まれたモノであるという趣旨の論には胸を打たれた。ここだけで星4。

    また文学関連の知識を身につけた時に、他の章もきちんと読み直したい一冊だった。

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    2024年04月03日
  • 世界史の構造

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    歴史の本ですが、交換様式という構造で世界史の流れを捉えているのが、興味深い内容でした。歴史上の出来事を断片とせず、背景を様々に考察し、共通項として読み取れることを交換様式というフレームでまとめていくことの面白さ。物量ともに骨のある内容で、通読するのにある程度の時間を要しますが、年末年始という長い休みには良いものでした。

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    2024年01月05日
  • トランスクリティーク カントとマルクス

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     カントとマルクスの思想を横断的に批判、すなわちトランスクリティークに読み込むことで、資本主義社会を乗り越える、言い換えれば、アソシエーションを実現するためにはどうすればいいのかを考察する。
     『資本論』を宇野弘蔵の解釈をもとに、資本主義社会は、恐慌や革命が自壊することなく、あたかも永続するかのように続くと著者は見なす。そのため、現状の資本主義を変えるためには、流通過程に注目するべきだと説く。そこで、対抗ガンのような運動を作り出すことで、資本制経済を打破できると仮説する。
     ちなみに、この運動は、消費者としての労働者が、非資本的な生産(消費協同組合、代替通貨)、労働力を売らない、資本制生産物を

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    2023年10月13日
  • 新版 漱石論集成

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    めちゃくちゃおもしろい。
    柄谷行人の仕事ってNAMとかやってるのしか知らなかったけど、もともと文芸批評で世に出たわけで、本来はこっちがメインなんだよな。

    しかし、柄谷行人をしても、『三四郎』での美禰子の恋愛の対象は三四郎という解釈になるのが不思議。どう読んだってそうじゃないだろうと思うのだけど、それが多数説だというのからよくわからない。

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    2023年08月31日
  • 内省と遡行

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    21
    43
    79
    94
    105
    118 形式主義
    123
    148
    155 フッサール 生活世界
    158
    170
    193
    198
    220
    293 ☆

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    2023年08月09日
  • 倫理21

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    スピノザ〜カントとたまたま最近の読書が繋がった。「他者を手段とするのみならず、目的として扱え」、円地文子『食卓のない家』の父親(連合赤軍の父としての責任とは?)、天皇の戦争責任、ヤスパースの四段階の戦争責任、共産党の非転向など、現代の諸問題を足がかりに、責任とはなにか、倫理的であるとはどういうことかを考える。

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    2023年04月24日
  • 世界史の構造

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    交換様式のあり方から社会の形を紐解いていく。なるほどこうやって世界を見ていく方法があったんだと。世界が一致団結するために何が出来るのか、どのようなスタイルを取っていくのか、この本を通じて考えたい。まだまだ読み込みが足りないので、関連図書をめぐってまた読み直そう。

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    2023年03月17日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    柄谷によれば、マルクス革命論の欠陥は国家主義にではなく、むしろ「国家は資本主義の終焉によりおのずから揚棄されるだろう」という楽観的な“アナキズム”にこそある。マルクスは貨幣のみならず国家も共同体間に生まれることを看過していた。対他的に主権を確立する相対性が国家に自立性を与える。ゆえに一国内に完結する「下から」の革命は頓挫せざるをえない、と言う。そこで柄谷は、世界帝国から世界経済への移行過程において形成された(資本=)ネーション=ステートを超克しうる理念として、カントの言う「世界共和国」を持ち出す。それは諸国家を「上から」抑制する原理であり、その「統整的理念」は我々をして「自由」と「平等」を両立

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    2021年10月05日
  • 日本近代文学の起源 原本

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    書きたい人のためのミステリ入門で照会されており読んでみた。文学批評など普段読まないが、知っている作品について新しい視点を得られたと思う。

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    2021年05月19日
  • 世界史の構造

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    ある世代にとっての知識人の典型例が吉本隆明であるように、2000年代に人文社会科学を専攻した私のような世代にとってはの典型例は柄谷行人なのではないかと思っている。本書は2010年に出版された柄谷行人の大仕事であり、『日本近代文学の起源』に並ぶ氏の代表作であろう。

    2006年に出版された『世界共和国へ』では、近代社会が、資本=ネーション=国家の三位一体により強固な構成体になっていることを指摘した。本書ではその理論をさらに推し進める。その理論の中心となるのは、マルクスの思想を”生産”ではなく、実際に価値が生まれる”交換”に着目(どんな生産物も、それが交換されなければそこに価値は生じず、むしろ廃棄

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    2021年04月04日
  • 畏怖する人間

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    柄谷行人 「畏怖する人間 」

    夏目漱石の存在論的な恐れ(内側から見た私)を抽出し、その系譜として 小林秀雄、吉本隆明、江藤淳らの思想的到達点をたどる構成。夏目漱石から吉本隆明への系譜はわかりやすかった。


    意識と自然(漱石試論1)
    漱石小説の二重構造を指摘し、漱石の存在論的な恐れ から漱石の内的世界を論じている


    意識と自然とは
    *意識=自分に始まり自分に終わる=自分=社会
    *自然=当然あるべき世界〜社会の規範と背立する=存在しないもの
    *自然と人間の関係〜人間は「自然」を抑圧し、無視して生きるが、それによって自らを荒廃させるほかない

    漱石は人間の心理が見えすぎる自意識の持ち主だったた

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    2020年11月20日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    柄谷行人 「世界共和国へ」 資本、ネーション、国家の原理を解明しつつ、資本=ネーション=国家 を超える道筋として、世界共和国を提示した本

    著者の結論「各国が軍事的主権を国際連合に譲渡し、国際連合を強化、再編成する〜日本の憲法9条は軍事的主権を国際連合に譲渡したもの」 諸国家を上から封じ込めることによってのみ、分断を免れる

    マルクス「資本論」
    アンダーソン「想像の共同体」
    チョムスキーの国家形態
    により 資本、ネーション、国家の原理を解明し
    カント「永遠平和のために」により世界共和国の必要性を提示している


    名言「国家の自立性は戦争において示される〜戦争は長期的な戦略によって用意されたもの

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    2020年11月16日
  • 哲学の起源

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    本書と問題関心が共有される『世界史の構造』は、社会構成体の歴史を「交換様式」から見る企てであった。
    互酬的=相互扶助的関係(交換様式A)を高次元で回復しようとする交換様式Dについて、著者は思索する。これまでそれは普遍宗教の形で現れてきた。しかし、それは祭司・神官の支配に帰してしまい、宗教は国家に回収されてしまう。それ以外に現れた事例を、著者はイオニアの政治と思想に見出し、その意味合いを本書で論じていく。

    キーワードは、イソノミア(無支配)である。それは理念であると同時に、著者によれば、イオニアで実現したものであり、植民者たちがそれまでの氏族・部族的な伝統を一度切断し、それまでの拘束や特権を放

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    2020年06月22日
  • 戦後思想の到達点 柄谷行人、自身を語る 見田宗介、自身を語る

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    「戦後思想のエッセンス」というシリーズを創刊するに当たり、第0号として、柄谷行人、見田宗介を取り上げたのが本書である。同シリーズは、一冊につき一人の戦後の思想家を取り上げて、後続の世代の書き手たちがその思想家について論じるというスタイルを取る予定だが、ここでは編者である大澤真幸が戦後思想の代表者としての二人にインタビューをする形を取っている。

    インタビュー形式は、ことに聞き手が、対象の思考圏に嵌っていて(決して悪いことではない)、対抗的な異論を差し挟む余地が少ないときには、ことさら当たり障りのないものになりがちだ。至極、当たり前のことを言ったような気がするが、本書もそういった状況でのインタビ

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    2020年02月12日
  • 柄谷行人浅田彰全対話

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    批評家の柄谷行人(1941-)と浅田彰(1957-)により各種の媒体にて行われた対談六編。学生時代に別の書籍で読んだ対談もいくつか含まれているが、当時はカントもマルクスも未だあまり読んでいなかったので、そのときの理解は甚だ怪しい(今も決して十分に読めているわけではない)。先日読んだばかりのマルクス『経済学批判』の議論を思い返しながら本書を読むことで、却ってマルクスの議論について理解を深めることができた部分もある。

    □ 《形而上学》批判

    二人とも、一貫して「体系の《外部》を実体的に措定し、それを体系の内部に組み込んでおくことで成立している、当の体系」(例えば、疎外論、オリエンタリズム、「大き

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    2019年12月10日