柄谷行人のレビュー一覧

  • トランスクリティーク カントとマルクス

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    柄谷行人による、カントの超越論的な方法からマルクスを解釈し、マルクスの思考の実践性をカントに依拠しつつ明らかにしようとする試み、と言える。彼らのテキストに即しつつ、教条的解釈では見出し得ないような、ある意味でカントもマルクスも意図していなかったような思想をそこから引き出し、それを説得的に展開している。

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    2012年05月25日
  • 日本精神分析

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    柄谷さん初めて読みました。エッセイや講演集なので奥行きはそれなりなんですが、ラディカルな話がたくさんあった。

    ・言語と国家(ネーションについて)
    ・日本精神分析(芥川や言語を題材に、ナショナリズムや対外性について)
    ・入れ札と籤引き(菊池寛の作品から、選挙制度について)
    ・市民通貨の小さな王国(谷崎潤一郎の小さな王国から、資本と経済の在り方について)

    の四章。

    心に残ったのは

     カナや文字は外来だし、今もそう認識されているが、ヨーロッパなどはキリスト教は外来でも自国のものとして染まっている。
    日本は借り物で構成されているのではなく、他国の文化に去勢されるのを拒否してきた。

     現在の選

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    2012年04月18日
  • 政治と思想 1960-2011

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     インタビュー形式で柄谷行人のエッセンスをわかりやすく語っています。読んだら「トランスクリティーク」や「世界史の構造」が分かったような気分になれるよ。そんな意味でお得。
     震災後のインタビューでは、特にデモの意味を再考し、その重要性を語っています。実践的な動きには心を揺さぶられたが、しかしそれがデモではちょっと共感できないよ、すいません。

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    2012年03月25日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    この本を読んで思ったこと
    共同体と国家の関係は太陽と北風 
    この本は民衆すべての対等な暮らしを目指した共和国を
    模索しているが
    社会の成立を物質性だけでとらえているようだ
    つまり対立で成り立つバランス性だけを意識して
    混乱と不安な世の中を解決しようといているらしい
    最も基本である相互信頼から起こる一体感によりハーモニー性を
    考慮していないようにみえる
    そのためだろうか共生社会の可能性を具体的に示してくれている

    宗教は人々に自律ではなく依存心を植え付けてきたわけだし
    国家的なシステムと支え合って今現在も民衆を翻弄している
    自律することで裏打ちされた自由と対等な互助性を摘

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    2012年03月04日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    ネットワークの世界がソーシャル化されていくことで、国家、資本に対してどういう位置づけ・価値付けを行い、そして立ち向かうのか、ということを考えてみたくて読んでみるのだけれど、柄谷行人は、そこには言及しない。
    インターネットを知らないわけではないだろうし、その人類史的な動きに気づいていないはずもないだろうに、ネットワーク化された世界について具体的な指摘がないとは、どういうことだろう?
    マルクスやらカントやらプルードンやら、過去の積み上げや歴史的洞察については、僕なんていう者があれこれ批評するのもおこがましいくらいの突出した内容だが、なんだか過去からの積み上げ(のまとめ)だけに終始されたような読後感

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    2011年09月24日
  • 定本 日本近代文学の起源

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    現代からするとあたかも自然と存在していたかのような近代文学の事象に、豊富な引用とともに考察がなされている。文学の存在に何かしらの疑問を持っているなら読みごたえがあるだろう。

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    2011年06月27日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    [ 内容 ]
    「資本=ネーション=国家」という接合体に覆われた現在の世界からは、それを超えるための理念も想像力も失われてしまった。
    資本制とネーションと国家の起源をそれぞれ三つの基礎的な交換様式から解明し、その接合体から抜け出す方法を「世界共和国」への道すじの中に探ってゆく。
    二一世紀の世界を変える大胆な社会構想。

    [ 目次 ]
    序 資本=ネーション=国家について(理念と想像力なき時代 一九世紀から見た現在)第1部 交換様式(「生産」から「交換」へ 「交換」の今日的意味 ほか)
    第2部 世界帝国(共同体と国家 貨幣と市場 ほか)
    第3部 世界経済(国家 産業資本主義 ほか)
    第4部 世界共和

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    2010年06月30日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    柄谷行人が久しぶりに新著を出したと思ったら、岩波の新書版。しかも中を見ると「ですます」調。そんな人ではなかったはずでは...

    2001年の『トランスクリティーク』でまとめられた内容から基本的には進展はありません。なるほどあとがきで書いているように「『トランスクリティーク』は専門的すぎたので、普通の読者に理解できるものにしたい」 ということで書いたらしいので、それでいいのかもしれない。ただ、「普通の読者」をどのあたりに置いていたのかどうか不明ですが、その意図が成功したのかどうかは怪しいところです。まさか、ですます調にすると簡単に見えると思ったわけでないでしょうが、内容が変わっているわけではな

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    2009年12月26日
  • 世界共和国へ 資本=ネーション=国家を超えて

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    カントのいう統整的理念として大事な1冊。学問を志す者として理想を追うに当たってこれだけ過去を考察、再考できるのには憧れる。

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    2009年10月07日
  • 定本 日本近代文学の起源

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    しっとりとして、選び抜かれた的確な言葉で主張を論証していく論文として、その美しさ、端整さに恐れおののく。

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    2018年10月14日
  • 倫理21

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    「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱え」

     あぁ難しかった。集中しないと内容が把握できなかった。大変だったけど、なんとなくわかった気がする。でも、結論がなぜ資本主義の批判になったのかはわからなかった。
    存在(ザイン)・・・いかにあるか
    当為(ゾルレン)・・・いかにあるべきか

    すべての悩みはこの間で揺れ動く中にあるんだけども、当為なくしては何事も始まらない。こういったべき論は煙たがれるのが普通だけど、これがないと人にはなれない。カントが言うゾルレンは道徳的な「善」ではなくて、「自由であるべき」という倫理の話。
     たとえば、幸せになるために結婚する。極論かもしれないけれど、

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    2009年10月04日
  • 倫理21

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    ひょっこり読み始めたんですが、なかなかおもしろかったです。というか、本書の中で検討されている「自由」と「責任」の話、私自身も何となく考えていたところだったので、いろいろと言葉を与えてもらった感じです。「自由には自己責任が伴う」とか「自由を確保するためにみんなで自重しよう」とか、そういうおバカなことを言う人が未だにときどきいたりするんですけど、そのテの人たちにはとりあえずこの本を薦めたいですね。自由論に関する手ごろな本を探していたんですけど、本書はなかなかよく問題点を整理できている気がします。さるところで「大学一年生におすすめ」みたいなコメントを見かけましたが、確かにそれくらい読みやすい本です。

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    2009年10月04日
  • 意味という病

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     むちゃくちゃおもしろかったんだけど、これについて語る言葉を持っていないので困る。とりあえず他の著作も読んでみようと思った。「批評」そのものを食わず嫌いしていたんだけど、これはちょっと失敗だった。まさかこんなにおもしろいなんて思いもしなかった。

     馬鹿な感想を洩らすと、知識としては知っていたけど、古井由吉が褒められている文章を読んで、なんか嬉しくなった。まったく鼻持ちならないファン意識やなぁと自分でも思う。

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    2009年10月04日
  • 坂口安吾と中上健次

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    あちらこちら、記憶にあるようなないような。
    この版はまとめ版なので、なんだかなつかしいような気もしたという意味で。

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    2009年10月04日
  • 世界史の構造

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    いや、難しすぎて序文であきらめ、ChatGPT に話を聞く。どうやら世界はC型の資本主義が限界に達して D型に移行していくという仮説。人が手段ではなく、目的となる社会。そうなるといいね。そうあるべきなのだろうね。

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    2025年10月13日
  • 日本近代文学の起源 原本

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    ネタバレ

    朝日新聞の本人の連載記事で参考としてあげられていた本である。文学史ではないのでとりとめのない項目がまとめられている。風景の発見、内面の発見、告白という制度、児童の発見、構成力についてである。こうした項目で過去の文学作品が分析されている。

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    2025年07月19日
  • 定本 日本近代文学の起源

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     風景や内面など、今では当たり前だと思いがちな要素は、実は明治時代以降の制度や明治20年前後に発生した言文一致運動によって誕生したと著者は指摘する。言文一致に関しては、語尾と主語の関係、「彼」、「彼女」、「私」という表現の役割を本書では語られている。また武士の支えであった「武士道」の理念が封建制において有効であったこと、明治の没落士族とキリスト教の関係についての面白い指摘をする。いずれにせよ、昔から存在した思われるもののなかに、実はある時代を境に制度化されたものだと著者は読者に教える。

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    2024年08月16日
  • 世界史の実験

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    本書は、著者の創造性溢れる柳田邦男論とでもいおうか。第一部では彼の著作「実験の史学」を引き合いに考察を進める。歴史は実験できるのか?という問いに対し、自然実験も自然が実験をするのではなく、実際は人間による比較分析であることを挙げ、柳田の郷土研究はまさにこの視点に立脚していると説く。新渡戸稲造や藤村藤村にまつわる話が興味深い。第二部は「山人から見る世界史」とあるが、柳田邦男についてのアラカルトな試論か。著書名並びに第一部と第二部の関連性がいまいちピンとこないものの、内容そのものは興味深い。

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    2023年08月20日
  • 力と交換様式

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    呪力(A)、権力( B)、資本の力(C)が結合した資本=ネーション=国家を揚棄する力(D)が、必ず到来する
    ・・・一冊約400ページを読んでみた(私にとっての)結論が、表紙の内側に記載されていたことばそのまんま、の本でした。

    去年くらいから、けっこうまじめに、遠からず、資本主義の次のシステム?社会?が到来する時代を自ら経験することになるのだろうなぁ、、、と考えていて、次にきたるものを考えるヒントになるかも!?と手にしたのだけれど、、、
    うーん、私の読解力では、上記キャッチフレーズ?以上の深まりはなかった。
    ただ、遠からず資本主義の次の時代が到来する、という思いは、深まりました。

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    2023年08月18日
  • 力と交換様式

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    交換様式Aの高次元での回復であるDをキーワードに、時間や地理を横断しスケールの大きい考察が繰り広げられる。
    予備知識として欠落している所もあるので、中々消化するのに苦労した。

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    2023年07月23日