柄谷行人のレビュー一覧
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柄谷さん初めて読みました。エッセイや講演集なので奥行きはそれなりなんですが、ラディカルな話がたくさんあった。
・言語と国家(ネーションについて)
・日本精神分析(芥川や言語を題材に、ナショナリズムや対外性について)
・入れ札と籤引き(菊池寛の作品から、選挙制度について)
・市民通貨の小さな王国(谷崎潤一郎の小さな王国から、資本と経済の在り方について)
の四章。
心に残ったのは
カナや文字は外来だし、今もそう認識されているが、ヨーロッパなどはキリスト教は外来でも自国のものとして染まっている。
日本は借り物で構成されているのではなく、他国の文化に去勢されるのを拒否してきた。
現在の選 -
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この本を読んで思ったこと
共同体と国家の関係は太陽と北風
この本は民衆すべての対等な暮らしを目指した共和国を
模索しているが
社会の成立を物質性だけでとらえているようだ
つまり対立で成り立つバランス性だけを意識して
混乱と不安な世の中を解決しようといているらしい
最も基本である相互信頼から起こる一体感によりハーモニー性を
考慮していないようにみえる
そのためだろうか共生社会の可能性を具体的に示してくれている
宗教は人々に自律ではなく依存心を植え付けてきたわけだし
国家的なシステムと支え合って今現在も民衆を翻弄している
自律することで裏打ちされた自由と対等な互助性を摘 -
Posted by ブクログ
ネットワークの世界がソーシャル化されていくことで、国家、資本に対してどういう位置づけ・価値付けを行い、そして立ち向かうのか、ということを考えてみたくて読んでみるのだけれど、柄谷行人は、そこには言及しない。
インターネットを知らないわけではないだろうし、その人類史的な動きに気づいていないはずもないだろうに、ネットワーク化された世界について具体的な指摘がないとは、どういうことだろう?
マルクスやらカントやらプルードンやら、過去の積み上げや歴史的洞察については、僕なんていう者があれこれ批評するのもおこがましいくらいの突出した内容だが、なんだか過去からの積み上げ(のまとめ)だけに終始されたような読後感 -
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[ 内容 ]
「資本=ネーション=国家」という接合体に覆われた現在の世界からは、それを超えるための理念も想像力も失われてしまった。
資本制とネーションと国家の起源をそれぞれ三つの基礎的な交換様式から解明し、その接合体から抜け出す方法を「世界共和国」への道すじの中に探ってゆく。
二一世紀の世界を変える大胆な社会構想。
[ 目次 ]
序 資本=ネーション=国家について(理念と想像力なき時代 一九世紀から見た現在)第1部 交換様式(「生産」から「交換」へ 「交換」の今日的意味 ほか)
第2部 世界帝国(共同体と国家 貨幣と市場 ほか)
第3部 世界経済(国家 産業資本主義 ほか)
第4部 世界共和 -
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柄谷行人が久しぶりに新著を出したと思ったら、岩波の新書版。しかも中を見ると「ですます」調。そんな人ではなかったはずでは...
2001年の『トランスクリティーク』でまとめられた内容から基本的には進展はありません。なるほどあとがきで書いているように「『トランスクリティーク』は専門的すぎたので、普通の読者に理解できるものにしたい」 ということで書いたらしいので、それでいいのかもしれない。ただ、「普通の読者」をどのあたりに置いていたのかどうか不明ですが、その意図が成功したのかどうかは怪しいところです。まさか、ですます調にすると簡単に見えると思ったわけでないでしょうが、内容が変わっているわけではな -
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「他者を手段としてのみならず同時に目的として扱え」
あぁ難しかった。集中しないと内容が把握できなかった。大変だったけど、なんとなくわかった気がする。でも、結論がなぜ資本主義の批判になったのかはわからなかった。
存在(ザイン)・・・いかにあるか
当為(ゾルレン)・・・いかにあるべきか
すべての悩みはこの間で揺れ動く中にあるんだけども、当為なくしては何事も始まらない。こういったべき論は煙たがれるのが普通だけど、これがないと人にはなれない。カントが言うゾルレンは道徳的な「善」ではなくて、「自由であるべき」という倫理の話。
たとえば、幸せになるために結婚する。極論かもしれないけれど、 -
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ひょっこり読み始めたんですが、なかなかおもしろかったです。というか、本書の中で検討されている「自由」と「責任」の話、私自身も何となく考えていたところだったので、いろいろと言葉を与えてもらった感じです。「自由には自己責任が伴う」とか「自由を確保するためにみんなで自重しよう」とか、そういうおバカなことを言う人が未だにときどきいたりするんですけど、そのテの人たちにはとりあえずこの本を薦めたいですね。自由論に関する手ごろな本を探していたんですけど、本書はなかなかよく問題点を整理できている気がします。さるところで「大学一年生におすすめ」みたいなコメントを見かけましたが、確かにそれくらい読みやすい本です。
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呪力(A)、権力( B)、資本の力(C)が結合した資本=ネーション=国家を揚棄する力(D)が、必ず到来する
・・・一冊約400ページを読んでみた(私にとっての)結論が、表紙の内側に記載されていたことばそのまんま、の本でした。
去年くらいから、けっこうまじめに、遠からず、資本主義の次のシステム?社会?が到来する時代を自ら経験することになるのだろうなぁ、、、と考えていて、次にきたるものを考えるヒントになるかも!?と手にしたのだけれど、、、
うーん、私の読解力では、上記キャッチフレーズ?以上の深まりはなかった。
ただ、遠からず資本主義の次の時代が到来する、という思いは、深まりました。