開沼博のレビュー一覧
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ネタバレ○NHK(Eテレ)の番組『新世代が解く!ニッポンのジレンマ』の中から、2013年3月に放送された「僕らの復興論」と「僕らの地域活性化作戦」の2本を、放送の未公開部分を含めて再構成・書籍化されたもの。
○開沼博氏や古市憲寿氏など、1970年以降に生まれた論客(?)により、第1部は東日本大震災からの復興について、第2部は地方の活性化について、それぞれの見解を元に議論。
○第1部については、論客それぞれの立場から「復興」についての考え方、実情、今後について、建設的な議論がなされている。特に、「当事者」としての考え方については、大変興味深かった。この当事者意識については、第2部でも登場するため、本書の -
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ネタバレ○社会学者である開沼博氏の著作。
○現代日本社会の“裏側”を「漂白される(された)もの」とし、12の具体的な事例・ケースをもとに、様々な場所、時間で見られる、普通の日常生活に溶け込んだ「見えないもの」を明らかにしていくことで、日本社会の実像に迫るもの。社会学者の学術書というよりも、ルポライターによる実話本という印象。
○結局のところ、終章にあるとおり、「漂白される社会」とは、「見て見ぬふりをしてきたもの」があふれる社会であり、異端なものをそこに押し込むことによって、表面上は“キレイ”な社会であることを装っているものとのこと。
○私も、本書の12のケースが自分の身近で実際に起こっていることに全く -
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ホームレスがいても、そこに誰もいなかったように通り過ぎる人々、あってはならぬものを許容しない社会は、本来存在しているものを表向きなかったように見せる。 射幸性の高いパチスロ台が規制され、違法なバカラ店が摘発されても、人の射幸性をあおるビジネスは昨今コンプガチャという形で、子どものケータイゲームという表の世界で表面化して、問題となった。
豊かで自由な先進国であるという日本という建前とは別に直視してこなかった日本の貧困が今あきらかになってきている。ホームレスギャルなど今までそれを表現する言葉がなかった人々が生まれてくる背景には、それはあってはならぬものだったから。言語化されない・表面化しないこ -
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「何か」がおかしいのは分かっている。でも、その「何か」がよく分からないからもどかしい。売春島、偽装結婚、ホームレスギャル、シェアハウスに貧困ビジネス。自由で平和な現代日本の周縁に位置する「あってはならぬもの」たち。それらは今、かつて周縁が保持していた猥雑さを「漂白」され、その色を失いつつあるのだという。
著者は、『「フクシマ」論』でおなじみの社会学者・開沼博。私たちがふだん見て見ぬふりをしている闇の中で目を凝らし、現代社会の実像を描き出す。本書のベースとなったのは、ダイヤモンドオンラインでの連載でも好評を博した「闇の中の社会学」シリーズである。
◆明治以前から売春を生業とする島
その孤島で -
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東京大学の上野千鶴子さんのゼミに在先した卒業生が、ゼミで何を学び社会にどんな貢献をしてきたか(していくのか)をのびのびと語った一冊。情報の消費者ではなく、生産者になりなさいとの指導を受けてきた6名のゼミでの経験談やアカデミックな学び、気づきなど知ることができる。
『情報生産者になる』という書籍を上野千鶴子さんが出版しており、その姉妹本という位置付け。これを読んだだけでは情報生産者になれるわけではない。本書で語られる体験に近いものを、自ら経験することが近道なのだろう。問いを立て、その問いへの仮説を構築し、検証していくようなのだが、上野千鶴子さんのように厳しく論理の展開を推し進めてくれるような仕組 -
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事故当時その中枢にいた細野氏が、事故から10年たった今、改めてその現場の中心にいた人たちに問うと同時に、痛烈な問題意識のもと自己検証した一冊。
この本の素晴らしいところは、細野氏が極めて客観的に、当時の行いと本質を語っているところだ。
私たちはあの時何があって、何が行われ、何が行われなかったのかを知るべきであるし、風評被害という人災がいかにして生み出されたかを知るべきである。
そしてその上できちんと見つめ直し、考えるべきである。
まだまだ課題の多い原発事故の処理、それには政治の力がもちろん必要。細野氏のこれからの行動に期待しつつ、私たちもまた、忘れることなく真実を見る目を養わななくてはならない -
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東日本の震災、そして原発事故後の福島のことを、
そのままのかたちで伝えてくれる本でした。
そのままのかたちの福島を知らないひとは、
きっと本書を手に取っていない福島県外のひとの
ほぼすべてでしょう。
ぼくは原発事故の問題は福島だけの問題じゃなくて、
日本の問題なのではないか、と大きく捉えてきたふしがあって、
いろいろと放射線や原発関連の本を手に取ってきました。
つまり、自分の問題としても福島の問題をとらえていた。
けれども、やはりそこに住まう人々とはかなり温度差があります。
こっちで勝手に想像している日常や気持ちなどが、
事実とはまったくの正反対を向いていたりもする。
データを用いながら -
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まさに知られざる実体
売春島は関西に夜になるとひっそり現れる
昼は観光、夜も花火に力を入れているが、昔を捨てきれない
移動キャバクラと称して女性二人組でフリーで行っている貧困層もいる
シェアハウスの実態はインテリでもクリエィティブでも無く、主に貧困層が住んでいる
生活保護を受けるべき人が実際に受給出来ている割合は日本はたった18%
デリヘルの次は援デリ(援交デリバリー)が主流
闇バカラ、闇スロット、野球賭博は今でも絶えない
脱法ドラッグ、脱法ハーブ、合法ドラッグ、合法ハーブ、どちらも安心安全なものでは無い
新左翼「過激派」は今もクリーンなNPOなどを傘に存在している
偽装結婚 -
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この人めっちゃ怒ってます。
実地で動く研究者としてすごく真っ当な苛立ちだとは思うんだけども、もう最後の「ありがた迷惑12ヶ条」とか直球すぎて正直戸惑ってしまうがな。
まぁ、それはさておいても、必要な、というか状況を大きくつかむために押さえておくべき内容を具体的な数字とともに追っていて、その正確性についての保障にページを割くよりも、どこでどう間違ってしまいがちだったか、に力点をおいて俗説という物の怪を折伏しようとしてくれております。
印象的だったのは「不幸中の幸いを生み出すために」という項目は、特にこの段階にあって要求されるべき視点だろうと思います。 -
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大地震、原発事故から時間が経過し、人々の意識がどのような変化をしてきたのか、また、現在はどうなのか。
マスコミ・ジャーナリズムの捉え方、そして、情報消費者へ与える影響。
要は、情報を提供する方も、受ける方も、あまりにもステレオタイプ化されてしまっているということを筆者は述べようとしている。
復興、人口、農業、漁業・林業、二次・三次産業、雇用・労働、家族・子どもというカテゴリーに分け、データに基づき、きちんと福島を分析している。
災害により生じた数値なのか、日本経済社会の長期的傾向により生じたものなのか、についても述べている。
「はじめての福島学」丁寧な語り口でした。 -
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Posted by ブクログ
確かに福島の現状を知るためには今現在の正しい数字という物を理解しておかなければならないと思うが、今だにそれを理解しようとしない人たちもいる。それはそれで難しい問題なのだが数字はきっちりと出していかなければならないだろう。
その点この本は、公平的な立場から福島という地を立ち直そうとする努力がうかがえる。これから福島に対してひとこと申したい立場の人は最低限でも著者の25の数字は理解しておかなければならないだろう。下記に記しておく。
また、地震がなかったとしても自分が本当に福島という地を理解していなかったという事が身に染みて分かった。新しい地方再生の方法も合わせて考え直してみたい。
統