熊谷千寿のレビュー一覧
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ネタバレいま、ウクライナで『戦争』が起きていますが、これはそれよりも先の話。
ここで描かれているほど、ICT機能においてアメリカが中国に劣勢になるという事は、ちょっと考えにくいのではないかと思いますが、アメリカと中国が何かしらの事柄で衝突するという事はありうる話だと思います。そういう意味で、これは現実の話ともいえるのではないかと。いまから12年先の話ですからね。
それと、思いの外インドが力をつけているのも興味深いですね。これも、現実としてありうる話ですね。インドの経済成長の著しいです。ウクライナでの『戦争』で、中国と同じく独自の立場をとっているのは、その自信の表れなのかもしれません。逆に言うと、ア -
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少し前に一世を風靡した「FACTFULNESS」を想起させる本書は、そのタイトルが示すとおり数値に重きを置いている。と言っても、「ほら数字がこういってるんだからこれが真実だ」という乱暴なものではない。むしろ、世の中にある数値というものはいかに恣意性に溢れているかを暴き、多角的に数値を見よと啓蒙しているのが本書だ。
一方で、帯にあるような「衝撃の事実」を詳らかにするという性質のものではない。そういったものを期待してしまうと肩透かしを食らう可能性がある。むしろ、我々が銀の弾丸をイノベーションに求めフィージビリティの低い投資を行っていることに一石を投じるような主張が通奏低音のように流れている。著者の -
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暗黒街で育った少年が指令を受けて、長い旅へ。
若者たちだけで車に乗り、殺人のために…
ロサンゼルスの一角で、毎夜ひたすら仕事場の見張りをするイースト。
15歳ながら地道に責任を果たし、ボスには信用されている。
地域のボスはイーストの叔父で、父のいない兄弟らをそれとなく気にかけていてくれる後ろ盾でもあった。
頼りにならない母親は、弟のタイの方を気に入っている。ところがこのタイは13歳で既に殺し屋。ギャング以外に生きる道が見いだせないような地区で、怖いもの知らずな存在だった。
ある日突然、異変が起きて、イーストらはあわただしく街を出ることになる。
裁判の証人となる裏切り者を出廷前に殺せというの -
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ネタバレスクラップ場で兄のマーカスを轢いた車両を発見したアイゼイアは、事故は偶然ではなく明らかな殺意をもって計画された殺人だったと確信し、執念深く調査を再開した。そんなとき、かつてマーカスの恋人だったサリタから「妹を救ってほしい」と依頼される。昔からサリタに密かな片想いをしていたアイゼイアは張り切り、フィアンセの出産を間近に控えたドッドソンを再び相棒に誘って、サリタの妹ジャニーンがいるラスベガスへ向かう。だが、それはカジノの高利貸しと中国系マフィアとメキシコ系ギャングの三つ巴に足を突っ込んでいくことを意味していた。〈IQ〉シリーズ第2作。
前作のクールなアイゼイアから一転、今回のアイゼイアはコンプ -
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ネタバレLAのロングビーチで探偵を営むアイゼイア・クィンターベイは、頭文字をとって“IQ”と通称されるほどのキレ者。とある事情でまとまった金が必要になったIQは、かつて同居していた腐れ縁のドッドソンと共に、〈ラッパーを襲う巨大ピットブル事件〉の謎を追うことに。18歳のときに目の前で兄を亡くし天涯孤独になったIQは、ドッドソンの誘いで“悪さ”に手を出し、取り返しのつかない事件の加害者になってしまった過去を持つ。罪を犯した2005年と、償いのため街の人びとの悩みを解決しようと奔走する2013年のエピソードが同時進行し、IQという探偵が生まれたわけを解き明かす、ポップな探偵シリーズ第1作。
「現代アメリ -
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「新しい私立探偵」というふれこみで読んだ前作がおもしろかったので読んだんだけど、うーん……。
主人公アイゼイアの印象が薄かったような。
メキシコ系、中国系、アフリカ系のギャングの話が絡み合って(アフリカ系の話はあまり知らなかったので興味深かったんだけど)、わけわからないうちに進んでいったような。
そして、なんだか、すべての結末が想像とは違っていて、なんとなく腑に落ちない、というか……。
アイゼイアの兄マーカスが轢き殺された理由は、なにかすごい陰謀があったり、だれかを守ったりしたから、ということでなくて。
そのマーカスの恋人で、アイゼイアのあこがれの女性サリタはそこまですばらしい人っていうわけ -
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四人の少年が旅する話といえば、すぐ思いつくのはスティーヴン・キングの『スタンド・バイ・ミー』。この小説も四人の少年の旅の話から始まりますが、雰囲気は全く違います。
所属する組織の命令で、裁判の証人になる男の殺害を命じられたイースト。組織のボスはイーストの他に三人の少年を指名。イーストたち4人は、2000マイル先の標的の元まで車で行くことになるのですが……
文体と話の展開がなかなかに特徴的。ハードボイルドらしさを漂わせる文体は、感情を極力排し淡々と物語を前に進めていく印象。物語自体の雰囲気が暗いことに加えてこの文体がより、作品全体に漂う夜の中を歩んでいく感じを、表現していると思います。
そ -
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ネタバレタイトルに惹かれて購入しました。原題ならば手に取らなかったかも。
幼い頃から犯罪組織の一員としてキャリアを積んだ少年らが、証人殺しの命令を受けて2000マイルの旅路に出る。
その最中で主人公イーストは、自分が築き上げてきた自信や、辛うじて捨てていなかった清らかさや絆も捨て去らなければならないような体験をする。
物語終盤になり、過去に犯罪組織の見張りで叩き込まれた規律と忍耐力が、ペイントボール場のオーナーの信頼を得る良い武器となり、多くの人から小さな信頼を積み重ねるように得ていく。そのささやかな成功体験が誰のものでも無い自分自信の考えを見つけ出すきっかけとなる。
読み易くテンポも良いため、長さを -
Posted by ブクログ
2016年発表作。内外で高い評価を得ており、犯罪小説/ロードノベル/少年の成長物語と、様々な読み方ができる作品だ。全編を覆う青灰色のトーン、凍てついた冬を背景とする寂寞とした空気感。筆致はシャープで映像的。主人公の心の揺れを表象する内省的な情景描写も巧い。動と静のバランス、光と影の均衡が、広大なアメリカの乾いた大地と相俟って、強いコントラストとなって魅了する。
15歳のイーストは、ロサンゼルスの裏町にある麻薬斡旋所の見張り番を務めていたが、警察の強制捜査によって居場所を失う。犯罪組織のボスであり、イーストのおじでもあるフィンが少年を呼び出し、或る仕事を命じる。組織幹部の裁判で証人となった裏切