熊谷千寿のレビュー一覧

  • IQ2

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    LAのゲットーを舞台に青年探偵「IQ」の活躍を、ブラックカルチャーのリアルな描写を交えて描き出した前作。これが、めちゃ楽しかったので、読み切った翌日に2作目の「IQ2」を買ってしまった。

    今作は、メキシコ系マフィアやチャイニーズマフィア、ルワンダ移民も登場し、前作よりもさらに登場人物が入り組んでいる。悪党どもが所属するコミュニティや彼らが背負っている文化的バックグラウンド、どうやってアガリを得ているかなどがしっかり描写され、そこに「多様性」を読み取れる仕組みになっている。「多様性」がテーマでありながら、「家族をどう築いていくか」の話でもある。それをテンポ良く切り取っていく手つきは、いまのアメ

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    2019年07月29日
  • IQ2

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    シリーズ第2弾。アイゼイアの兄の死亡事故の原因や兄の元恋人からの依頼と過去との繋がりが見えてくる今作。中国系ギャングが絡み命を狙われながらの調査。激しさを見せる展開とアイゼイアの推理、過去との対峙。人と深く付き合わず距離を置くなかで飼い犬のラフィンの存在がかわいくて和ませてくれる。過去と現在の間にあるわだかまり、不安、孤独、そういうものが少しずつ変化していく今作でラストには次作が早く読みたくなる場面もあったりと楽しみ。

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    2019年07月23日
  • IQ

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    面白かったけどミステリとして読むより、アクションとかサスペンスとかそういう要素の方が強いと思うのでそのつもりで読んだほうが楽しめるかも。

    作者はホームズが好きらしく、黒人のホームズというようなことがいわれてたけどホームズ感もそんななかったと思う。
    バスカヴィル家の犬を彷彿とするような場面もあったりはするし、主人公が頭が良くて腕っ節も強いという点ではホームズ感はあるけど性格は似てないとおもうので。

    でもそういうのは特に考えず読めば十分に面白かった。
    現在のラッパー殺しの事件と、過去のアイゼイアやアイゼイアの兄、ドッドソンにまつわる事件とが交互でえがかれる。
    スラングの多用やアクション要素もあ

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    2019年07月06日
  • IQ

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    過去に何かを抱えているらしき主人公の、その過去の何かが明かされていく章と現在進行形の事件が書かれる章が交互に出てくる。少しずついろいろ分かってくるので、読み終えた後にもう一度最初に戻って確認して納得する。
    コイツほんとに腹立つわーと思っていた「相棒」がいいとこを見せるラストが爽やか。お兄さんの敵討ちはどうなるのかなと思っていたらこれもラストに仕掛けがあって、続編が楽しみである。おもしろかった。

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    2019年05月12日
  • IQ

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    読みやすそうな表紙だけど、スラングや
    人種独自の感覚、場面の切り替わり方とか
    翻訳物初心者には少し読みづらいかもしれない。
    (読む価値はある)

    「低所得者と犯罪の多い地区のシャーロックホームズ」
    読む前はラッパーが絡むし、黒人なので勝手にラップを聴く明るめの探偵なのかと思い込んでいた。
    ジャズを聴くし、常にクール(冷静)
    観察眼も冴えるIQという名前の探偵が主人公

    事件はラッパーが殺し屋に狙われるよくある感じの設定なんだけど、命を狙ってくるのが「猛犬使いの殺し屋」ってのもなかなか面白かった。

    ただ場違いな環境に生まれた天才が活躍するって話ではなく、「何故、彼は探偵をしているのか?」がわ

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    2019年05月10日
  • IQ

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    貧困層で暮らしている超絶頭脳を持つ主人公が、自分の周りの世界を守るために推理・行動をしていく、という物語。

    過去と現代が交錯する物語である事に加え、登場人物がかなり多いこともあり集中して読まないとついていくのが大変ですが、その苦労に値する内容でした。過去の物語が進む中、主人公が何故この生活をしているか、という事がわかった瞬間、非常な切なさに包まれたのも事実。このため過去の章は読むのが割とつらかったです。

    ただ主人公と推理力と行動力がずば抜けているため、読んでいて非常に爽快でもありました。一方、推理小説成分が思ったより多くないため、濃厚な推理小説を読みたい人からすると肩透かしを受けるのも事実

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    2019年05月09日
  • IQ

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    過去と現在が交差し、徐々に主人公の背景が見えてくる。
    はよ縁切れよって、思いながら読んでたが・・
    最後ちょっと分かりませんでした・
    この作者は日系じゃないなー。

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    2019年04月09日
  • 東の果て、夜へ

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    原題「ドジャース」。LA(西南)からウィスコンシン州(北東)に車で移動する。飛行機、カードは使えません。組織の仕事で人殺しにいくので、身元が割れるような行動はできません。黒人青年少年四人が集めれ、ボロい車を運転し現金払いの設定で計画は始まるが、はい、うまくいかないですよ。むしろそうなるように計画されてたんです。もう自分は金稼いでいるし、一人前だと思ってたけど井の中の蛙だったってことに気付かない位に「子ども」だったってことに気付いてしまった。人間として肉厚に、器をでかくしないとな、ニガー。

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    2019年04月04日
  • IQ

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    ヒップホップカルチャーやギャング抗争など黒人文化圏の背景にしている点が自分にはとても刺激的。時間軸を交差させながら明らかになる黒人青年探偵IQの心の傷と強くあらんとしクールにならなければならなかった様がいい。チャンドラーのクールネスとエルロイの描くクライムノベルの暗黒街の有様がこの物語に読書感の中で重なった。自分にとって日本でこれを描くなら井上三太のトーキョートライブになると個人的に思ってる。

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    2019年03月16日
  • IQ

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    ハードボイルドなストイックさ
    作者は自分の理想を描いてみせた。

    同じ理想を持った自分は、それを読んで、少し救われた。
    毎日の新鮮さに気づくことが出来た。
    ありがとうの思いとして、これからも読み続けたい。

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    2019年02月05日
  • IQ

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    黒人が主人公の探偵役,障害児の少年を面倒見ながら生きている.腐れ縁のドッドソンと危ない橋を渡りながら,金のために引き受けた仕事でなんども死にそうになる.IQと異名をとるほどに冴えた頭脳,レーサーのような運転技術など才能溢れるアイゼイアが,挟み込まれる過去の話でだんだんくっきりとしてきて,どんどん魅力が増してくる.ストーリーも面白かったが人物も良かった.

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    2019年01月23日
  • IQ

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    話の展開が早く、読みやすい。情報量が多くて、しかし登場人物の多様さと現実感のバランスが良くて受け入れやすい。結末はとても呆気なかったけれど、アイゼイアとドッドソンの掛け合い、許せないこと、受け入れ、利用し、理解すること、それら一つ一つの過程を見ているのはとても楽しかった。過ちは消えないけれど、後悔を受け止めたアイゼイアの姿をまた見たいです。続編も待っています。

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    2019年01月15日
  • パズル・パレス(上)

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    ダン・ブラウン処女作。
    ダン・ブラウンの中で一番読みにくかった。ネットセキュリティー、機密情報、個人情報など現在のネット犯罪にまつわる内容だが、複雑で話の中に集中する事が難しい。もう一度読み返したら、もっと理解が出来るかもしれない。ラストはワクワクした。

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    2018年08月08日
  • 東の果て、夜へ

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    麻薬販売所(もちろん違法)で見張り役のイーストは、仲間4人(イーストの異父兄弟のタイ)と共に判事を殺害する旅に出る。車での長距離移動であり、道中は4人の間で様々な事件が起きる。無事に予定していた殺人は完遂するが、物語の真相はそこではなかった。

    本書の最後の方でその真相が明らかになったとき、単純に読者が驚くだけではなく、これまでのイーストの行動がフラッシュバックし、そんな物語だったのかと、二度驚くことになる。物語の構成が良いのだろう、とても楽しめた。

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    2018年05月01日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    黒人少年の成長物語...
    主人公イースト、やっぱまだ少年だけあってタフガイではない。タフガイであることを期待してまうんやけど、実際は弟のタイの方がタフガイ。でもイースト、いいやつ。
    オハイオでの生活がもっと長く続けばよかったのに。

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    2018年02月21日
  • 東の果て、夜へ

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    各方面で絶賛されているとおり、クライムノヴェルでロードノヴェルでかつ、少年の成長モノで、意外な展開が新鮮な感じだった。
    状況についても、登場人物それぞれについても、もっと書き込めそうなのに最小限の情報しか書かないで想像させる、といった感じで、全体的にハードボイルドな、無駄を極力省いたタイトな文章。饒舌な語り好きなわたしとしては、もっともっと書き込んでくれてもよかったかなあと。なんでローティーンの主人公と弟がこういう人間になったのか、とかもっと詳細に読みたかったような。。。
    とにかくハードな状況なのでけっこう読むのがつらかった。いつ「成長モノ」っぽさが出てくるのかと待っていたら、ラスト三分の一く

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    2018年02月01日
  • 東の果て、夜へ

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    読み出してしばらくはなかなか流れに乗れず、最後まで読めないかもと思った。ロサンゼルスの暗黒街で育った少年が、人を殺すよう指示されて仲間と共に西へ向かう。その道行の始まりからまもなく、最初のトラブルが起きるあたりで、俄然話に引きつけられ、あとは息を詰めて成り行きを見守ることとなった。

    文章に独特のクセがあり、好みが分かれるだろうが、危うさに満ち、崩壊の予感を抱かせながら進む物語に、この文体はぴったりはまっている。少年の孤独がひたひたと胸に迫ってくる。ドラッグ売買の見張りをすること以外、何も教えられたことのない少年が、ギリギリの所で保っている倫理観は、何に根ざすものなのか。深い余韻を残す一冊だと

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    2018年01月20日
  • 東の果て、夜へ

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    1話1話、そして登場人物のバックグラウンドも細かに丁寧に紹介しながら長ーいドラマとしてテレビで見てみたい。

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    2018年01月08日
  • 東の果て、夜へ

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    ネタバレ

    ハードボイルトとはいえ、渋いおじ様が主人公ではなく、ハイティーンの少年、それも黒人の男(の子?)が主人公という異色作。

    ロスの犯罪エリアで生きる少年たちに下された指令は、組織の審理に不利な判定を下すであろう判事の殺害。少年4人は車に乗り、はるか東の果てへ向かう…。

    少年4人のロードムービータッチの小説(ロードノベル)でありながらも、常にメンバーの不協和音が奏でられ、暴力と10代の無軌道な行動がせめぎあい、徐々に悪夢を帯びていくクライムノベルでもある

    やがて、単純なストーリーの様であったクライムノベルが、実は少年の自立と再出発の物語と変わる。
    どこまでも孤独ながらそれを当然のこととして受け

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    2017年11月20日
  • ケンブリッジ・シックス

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    キム・フィルビー、アンソニーブランド、ガイ・バージェス、ドナルド・
    マクリーン、ジョン・ケアンクロス。イギリスの名門・ケンブリッジ
    大学に在籍した5人は、卒業後、外務省やMI5などに職を得た。

    イギリス政府の為に働くのは表の顔。実は大学在学中にソ連の
    情報機関にリクルートされ、祖国とその同盟国の情報をソ連に
    流していた。

    1950年代に彼らのスパイ活動が露見すると、イギリスには大きな
    衝撃が走った。と、ここまでは実際にあった出来事。

    後に「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれるようになる5人に劣らぬ
    スパイ活動をしていた第6の男がいたというのが本書の導入部。

    主人公は財政厳しい歴史学者のギ

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    2017年08月19日