熊谷千寿のレビュー一覧
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LAのゲットーを舞台に青年探偵「IQ」の活躍を、ブラックカルチャーのリアルな描写を交えて描き出した前作。これが、めちゃ楽しかったので、読み切った翌日に2作目の「IQ2」を買ってしまった。
今作は、メキシコ系マフィアやチャイニーズマフィア、ルワンダ移民も登場し、前作よりもさらに登場人物が入り組んでいる。悪党どもが所属するコミュニティや彼らが背負っている文化的バックグラウンド、どうやってアガリを得ているかなどがしっかり描写され、そこに「多様性」を読み取れる仕組みになっている。「多様性」がテーマでありながら、「家族をどう築いていくか」の話でもある。それをテンポ良く切り取っていく手つきは、いまのアメ -
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面白かったけどミステリとして読むより、アクションとかサスペンスとかそういう要素の方が強いと思うのでそのつもりで読んだほうが楽しめるかも。
作者はホームズが好きらしく、黒人のホームズというようなことがいわれてたけどホームズ感もそんななかったと思う。
バスカヴィル家の犬を彷彿とするような場面もあったりはするし、主人公が頭が良くて腕っ節も強いという点ではホームズ感はあるけど性格は似てないとおもうので。
でもそういうのは特に考えず読めば十分に面白かった。
現在のラッパー殺しの事件と、過去のアイゼイアやアイゼイアの兄、ドッドソンにまつわる事件とが交互でえがかれる。
スラングの多用やアクション要素もあ -
Posted by ブクログ
読みやすそうな表紙だけど、スラングや
人種独自の感覚、場面の切り替わり方とか
翻訳物初心者には少し読みづらいかもしれない。
(読む価値はある)
「低所得者と犯罪の多い地区のシャーロックホームズ」
読む前はラッパーが絡むし、黒人なので勝手にラップを聴く明るめの探偵なのかと思い込んでいた。
ジャズを聴くし、常にクール(冷静)
観察眼も冴えるIQという名前の探偵が主人公
事件はラッパーが殺し屋に狙われるよくある感じの設定なんだけど、命を狙ってくるのが「猛犬使いの殺し屋」ってのもなかなか面白かった。
ただ場違いな環境に生まれた天才が活躍するって話ではなく、「何故、彼は探偵をしているのか?」がわ -
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貧困層で暮らしている超絶頭脳を持つ主人公が、自分の周りの世界を守るために推理・行動をしていく、という物語。
過去と現代が交錯する物語である事に加え、登場人物がかなり多いこともあり集中して読まないとついていくのが大変ですが、その苦労に値する内容でした。過去の物語が進む中、主人公が何故この生活をしているか、という事がわかった瞬間、非常な切なさに包まれたのも事実。このため過去の章は読むのが割とつらかったです。
ただ主人公と推理力と行動力がずば抜けているため、読んでいて非常に爽快でもありました。一方、推理小説成分が思ったより多くないため、濃厚な推理小説を読みたい人からすると肩透かしを受けるのも事実 -
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各方面で絶賛されているとおり、クライムノヴェルでロードノヴェルでかつ、少年の成長モノで、意外な展開が新鮮な感じだった。
状況についても、登場人物それぞれについても、もっと書き込めそうなのに最小限の情報しか書かないで想像させる、といった感じで、全体的にハードボイルドな、無駄を極力省いたタイトな文章。饒舌な語り好きなわたしとしては、もっともっと書き込んでくれてもよかったかなあと。なんでローティーンの主人公と弟がこういう人間になったのか、とかもっと詳細に読みたかったような。。。
とにかくハードな状況なのでけっこう読むのがつらかった。いつ「成長モノ」っぽさが出てくるのかと待っていたら、ラスト三分の一く -
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読み出してしばらくはなかなか流れに乗れず、最後まで読めないかもと思った。ロサンゼルスの暗黒街で育った少年が、人を殺すよう指示されて仲間と共に西へ向かう。その道行の始まりからまもなく、最初のトラブルが起きるあたりで、俄然話に引きつけられ、あとは息を詰めて成り行きを見守ることとなった。
文章に独特のクセがあり、好みが分かれるだろうが、危うさに満ち、崩壊の予感を抱かせながら進む物語に、この文体はぴったりはまっている。少年の孤独がひたひたと胸に迫ってくる。ドラッグ売買の見張りをすること以外、何も教えられたことのない少年が、ギリギリの所で保っている倫理観は、何に根ざすものなのか。深い余韻を残す一冊だと -
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ネタバレハードボイルトとはいえ、渋いおじ様が主人公ではなく、ハイティーンの少年、それも黒人の男(の子?)が主人公という異色作。
ロスの犯罪エリアで生きる少年たちに下された指令は、組織の審理に不利な判定を下すであろう判事の殺害。少年4人は車に乗り、はるか東の果てへ向かう…。
少年4人のロードムービータッチの小説(ロードノベル)でありながらも、常にメンバーの不協和音が奏でられ、暴力と10代の無軌道な行動がせめぎあい、徐々に悪夢を帯びていくクライムノベルでもある
やがて、単純なストーリーの様であったクライムノベルが、実は少年の自立と再出発の物語と変わる。
どこまでも孤独ながらそれを当然のこととして受け -
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キム・フィルビー、アンソニーブランド、ガイ・バージェス、ドナルド・
マクリーン、ジョン・ケアンクロス。イギリスの名門・ケンブリッジ
大学に在籍した5人は、卒業後、外務省やMI5などに職を得た。
イギリス政府の為に働くのは表の顔。実は大学在学中にソ連の
情報機関にリクルートされ、祖国とその同盟国の情報をソ連に
流していた。
1950年代に彼らのスパイ活動が露見すると、イギリスには大きな
衝撃が走った。と、ここまでは実際にあった出来事。
後に「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれるようになる5人に劣らぬ
スパイ活動をしていた第6の男がいたというのが本書の導入部。
主人公は財政厳しい歴史学者のギ