熊谷千寿のレビュー一覧
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キム・フィルビーら5人のケンブリッジ大学卒業生がソ連のスパイだったことが発覚し、英国は大打撃を受けた。だが彼らのほかに、もうひとり同時期に暗躍していたスパイがいたという。歴史学者のギャディスは親友の女性ジャーナリストからこの人物に関する本の共同執筆を提案されるが、その女性が急死し、彼は後を継いで調査を開始する。が、やがて国際情勢を左右する事実が明らかに! 巧妙に構築されたスパイ小説の力作。「二人の巨匠ジョン・ル・カレとグレアム・グリーンに比肩する作家だ」(ワシントン・ポスト)
強力なバックアップがあるとは言え、素人スパイの行動にはハラハラさせられた。 -
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ネタバレ最近では珍しい、冷戦期のスパイ、それに続く現在のイギリス諜報部(SIS)とソ連との確執をそれに巻き込まれていく作家でもある教授を中心に描く。
キム・フィルビーらケンブリッジの著名なスパイ以外に6人目がいた、という掴みが面白いし、その正体が中盤で分かってからもロシア大統領の秘密に話がスムースに移行して最後まで読める。ただ、実在の人物も多く会話中に登場するがエスピオナージュの世界に詳しくないと全くわからないのが残念だし、話が次々に動くのは良いが最後まで主人公の曖昧なキャラがドラマの流れを阻害している。あまりにも被害者として巻き込まれていく主人公の主観が長すぎてだれてしまうし、他の人物(彼女やSIS -
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物語終盤のスピード感あふれる展開には、思わず手に汗を握った。次に次に明らかになる事実と、複雑に作りこまれた複雑な罠、そしてそれを回避する手段。
刻一刻とリミットが近づく中、敵を打ち負かすことができるのかできないのか。終盤でも大どんでん返しの連続で、非常に面白かった。
上巻で散りばめられた数々の伏線が、徐々に関連付けられていく様は、ダ・ヴィンチ・コードや天使と悪魔にも見られるダン・ブラウンの腕の見せ所と言える。
情報化社会となった今でこそ取っ付き易い題材だが、これが15年も前に著された作品であることに、ダン・ブラウンの先見の明を見出だせると思う。
これだけ緻密に物語を練り込むには、相当な下調 -
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ダン・ブラウンのデヴュー作であるが、この時すでに読者を罠にかける手練手管は、完成している。暗号は紀元前から存在していた技術であるが、コンピュータというとてつもなく速く演算をする道具を手にして暗号は進化していくことになった。解析と進化のいたちごっこである。 NSA(国家安全保障局)は、スーパーコンピューターにて、全てのメールによる情報を解読し、平和を維持している。このことの善悪が本書のテーマである。すなわち、私文書のプライバシーはどこまで守られるべきか? 私文書のプライバシーは守られるべきと考え、NSAを去った一人の天才プログラマーが壮大なリベンジをNSAのプロジェクト責任者と彼のつくったスーパ