熊谷千寿のレビュー一覧
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2015年になって、ダン・ブラウンの初期の作品、ようやく読む機会ができました。まず原題はDigital Fortressにもかかわらず邦題はパズル・パレスとなっていますが、この変更は必要だったのかと疑問に思いました。デジタル・フォートレスとそのままにしてくれた方が内容と合致している気がします。また私はすでに彼の他の主要作品は読んでいたためか、正直、他作品と比べるとあまり強い印象は受けませんでした。ただテーマ的にはかなり時代を先取りしていてそこはさすがですね。米国国家機密の漏洩が現実のものとなっている今に読むと、リアリテイを感じることができました。インパクトはあまりなかったですが、一気に読めます。
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ネタバレフィクションであり、サイバーに関して極端になんでもできすぎることになっていることに違和感は感じるものの(台湾侵攻の容易さとか中国の行動にち密さと杜撰さが混在していること等、違和感があることをあげつらえばきりがないが、フィクションなのでそこを難詰めすることに意味はない)、米中の対立においてどのような事態が生起しうるのかの頭の体操としては楽しめた。
一番興味深く印象深かったのがインドの行動。
米中の対立に、中立の立場で両者に軍事介入するという行動。
これが実際に行われるのかどうかは全くわからないが、国際社会において存在感を示すという意味で、軍事力の非常に効果的な使用法であり、米中戦争(厳密には戦争ではない。散発的な武力の応酬というべきか。)の中で、一番の果実を得るのがインドであると描くのは、フィクションではあるものの著者の慧眼と感じた。
翻って日本について考えてみた場合、米国との同盟との名の下に、完全に欧米に追従する形の行動をとって、本当に国際社会において存在感を示せるのか。
何もせず、米国、そして日本が国際社会の中で相対的に国力が低下していく中で、国土や経済的な権益を確保していけるのか。
戦争は望ましくないものの、(ウクライナを見ても明らかなように)結局のところ軍事力がなければ国を守れない現実を目の前にして、いかにして今後軍事と経済のバランスを考えなければならないかということを改めて感じさせれた(本書そのものの内容からは大幅に脱線しているが)。 -
Posted by ブクログ
数字でつかむと、世間で言われていることと異なる面も見えてくる。文中で紹介されているものの個別のトピックを追うよりも、物事の考察の段取りの参考として。
◯窒素肥料
・世界のアンモニア生産量:1億5000万トン
・世界の植物に必要とさせる窒素の約半分を提供
・主に大気中の窒素、天然ガスからのメタンで製造
・窒素肥料の製造、流通、施肥の過程で世界の温室効果ガス総排出量の約1%を排出
・施肥した肥料の半分以上の窒素が作物に利用されず環境中に漏出
→施肥効率の向上、食品ロス、肉食をほどほどに抑える必要
◯食品ロス
・全世界で生産・採取された食料の少なくとも3分の1は廃棄(根菜・果物・野菜の40-50%、魚の35%、穀物の30%、油糧種子・肉・乳製品の20%)
・廃棄される食料の生産過程で世界の温室効果ガス総排出量の約10%を排出 -
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エネルギー研究の専門家である著者が、身の回りの様々な話題に関する数字を取り上げ、異なる視点や視座から分析することで、表面的に見ただけではわからない真実を明らかにする一冊。
著者は世界経済や環境、社会問題やイノベーションなど多様な話題にまつわる数値データを提示し、それらをどのように見るかによって我々が認識すべき事実が時に誤解に基づくものであることを、多くの事例を基に説明するが、例えば類似の書籍であるハンス・ロスリングの「ファクトフルネス」のように我々が数値を見て誤解するメカニズムを類型として整理するわけではなく、またスティーブン・ピンカーの「21世紀の啓蒙」のように、科学的思考を信頼すべきというような全編に通底する明確なテーマがあるわけでもない。
それもそのはずで、本書はもともと専門誌に短編コラムとして連載された内容をまとめたものであり、最初から書籍として出版する予定はなかったという。なので、項目の一つ一つは簡潔で読みやすくまとめられているものの、それぞれが話題として興味深いというレベルに留まり、一冊の書籍としての読み応えという点では前述の2冊とは趣を異にしている。とはいえ、著者の主張には頷く点も多く、特に最先端の技術動向に踊らされることなく、もっと身近にある単純な解決法に目を向けるべきという意見は説得力があり、また親日家でもある著者の時に厳しく、時に模範として取り上げる日本の事例も興味深い。 -
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寿命の遺伝率は高くない。せいぜい15~30%。
数字はうそをつかないが、受け止め方はそれぞれ。
スペイン領だった地域はカトリックが多い。幸福度が高い。
メガシティは増加している。今後もますます増加する。特にアジアで。
日本の1990年と2020年を比べれば、人口減の中国の将来がどうなるかわかる。
インド、中国では男児の割合が高い。女児を選別的に中絶している。
第一次世界大戦中のイノベーションは、アンモニアの合成=爆薬、肥料の合成。ハーバー・ボッシュ法。
地中海式食事法は衰退して、肉類、ビール、ファストフードが増えている。
フランスでも赤ワインの消費量は減っている。
クロマグロは現時点では養殖は1%しか成功していない。
ブロイラーは飼料、時間の点で効率がいい。寿命は7週未満。胸肉を大きくさせられている。
ワインの消費量は減って、ノンアルコールが増えている。
日本の健康は、腹八文目から。
牛乳は、ほどほどに飲むのであれば万人にとって優れた食品。
地球は牛の惑星。牛と人間が多い。
人新生といえるかは、まだわからない。完新生はまだ始まったばかりだから。
2層窓ガラスを3層窓ガラスに変えればエネルギー消費量を減らせる。
ガスタービンの効率は40%を超える程度だが、蒸気タービンを組み合わせれば60%を超える。不安定な電源を補うのに最適。
原子力の拡大はインドと中国くらいで、減少傾向。
風力発電機を作るには化石燃料が必要。
太陽光は進んでいるように見えても、水力発電に追い付いていない。
太陽光発電住宅は、最大で1月は80%不足し、6月は65%余る。
リチウムイオン電池の蓄電容量は、揚水発電所にかなわない。
電気料金は、昔に比べて相対的には安くなっているが再生可能エネルギーのために、ここ数年は上昇している。
T型フォードは、2.5か月分の給料程度で買えた。今は10か月分になる。シェアは57%に達した。ビートルのほうが総生産台数は多い。
EVの市場予測は甘い。充電を化石燃料で賄うのはナンセンス。
ディーゼルエンジンのほうが15~20%ガソリンより効率がいい。燃料のエネルギー密度が高い。圧縮比が高いので完全燃焼する。
水素自動車、リニアモーターカー、核融合エネルギーはまだ実績がない。高速増殖炉は失敗に終わった。
サマータイムは省エネにはならない。 -
Posted by ブクログ
「数字」には年月日や%(割合)や金額や各種の測定値などがあり、示し方も絶対値や相対値や複数の値の合算値や平均値といろいろあります。
最近は"量的"に理解しなければいけない問題が、思想や感情が優先した"質的"な問題として扱われがちで、現実とはかけ離れた誤解を生みやすいようです。
本書は「数字」を通じて世の中の色々なことを考察したエッセイです。
説得力を持たせるためには適量の信頼できる数字を入れるのが効果的ということをふまえて書かれています。
各5ページ程で71個のトピックスがあるのですが、新書でもいいくらいのサラッと読める内容でした。
ただ、「これで終わり?」感が残ってしまったので、トピックスは半分でいいから、もう一段掘り下げて「へえ~」と思わせて欲しかったな。
本書で学ぶべきことは、「あとがき」にうまく書いてあったと思うのでかみ砕いて紹介しておきます。
---ここから---
数字は嘘をつかないかも知れないが、では、数字はどんな真実を伝えてくれるのだろう?
かなり信頼が置けるどころか、申し分ない程正確なものであろうと、数字は多角的な視点から見なければならない。
絶対的な価値を評価するには、相対比や比較比という視点が必要だ。
杓子定規に作成されたランキングは、参考になるどころか、かえって誤解を生じさせる。
いきすぎた正確性にこだわって正当性を欠くくらいなら、だいたいの近似を求める方がいい。
常に疑いを持ち、用心して問いかける姿勢も確かに必要だが、現代社会において複雑にからみあう現実を数量化する努力もまた欠かせない。
とらえにくい現実をしっかりと把握するためには、そして入手しうる最高の情報に基づいて行動すべきであるのなら、物事を数字であらわす努力を続けていかねばならないし、これに代わる手立てはない。
---ここまで---
私も世界の幸福度ランキングなどを見て一喜一憂したりするが、この「幸福度」の根拠は極めて曖昧ですよね。
確かに "国民の心身の健康を正確にとらえる指標" があれば信頼度は多少増すでしょうが「幸福度?」と言えるのかは分かりません。
数字は事実を示していますが、解釈のしかたや都合のいい部分だけの引用によって、事実をねじ曲げることにも一役かっています。
日本国民は長年「原子力発電はコストが安くクリーンなエネルギーだ」に騙されてきました。
事故があって初めて原発の安全確保に必要なコストや、今後何万年も続く使用済み核燃料廃棄(保管)のコストも計上していないこと国民はようやく知りました。
今は「(大量の化石燃料を使用して作られる)電気自動車は環境にやさしい」には多くの国民が騙されているのではないでしょうか。
航空機は車より安全か?はよく死亡率で比較されますが、コロナとインフルエンザはどちらが脅威かも死亡率で比較されるでしょう。
正しく比較するには、判断に使うデータの信頼度を上げることが必要です。
コロナに関するデータは現時点では十分に精査されていないので今は比較されても信用しませんけど。
(比較以前にコロナのせい?でインフルエンザが激減した理由も知りたいですが、、)
最近個人的に気になっているのが、デジタルデータ量の爆発的な増加です。
通信環境だけでも5Gだ6Gだと新技術の話題は尽きませんし、個人で使う外部記憶装置もT(テラ)Bの時代になっています。
2020年世界の人口が80億として、一人あたり1.7MB/秒のデータが生成されているそうです。
写真1枚5MBとして、1日10枚撮れば50MB。
日本で1億人がそうしているとして、1日50億MB。
1TBのHDが、1日5000台分必要になる計算。
1.7MB/秒のデータとは、102MB/分、6120MB/時、146880MB/日≒150GB/日。
これは1日10枚写真を撮った場合の3000倍になるので、一人1日3万枚の写真を撮るのに等しい程の量です。
1日のうち、10時間を写真撮影に使うなら、1時間で3000枚、1分間で50枚撮る量になります。
写真1枚5MBなら、1.7MB/秒のデータとは、3秒に1枚の写真を撮り続ける量とイメージしてもいいでしょう。
この量を凄いと感じるか、大したことないと感じるかは人それぞれでしょうが、現在はこんな世界になっているということです。