熊谷千寿のレビュー一覧

  • 東の果て、夜へ
    クライムノヴェル。ストーリ自体は奇をてらったものではない。バイオレンスなだけに終わらず主人公への何らかの共感があるとよかったが今作はそうではなかった。全編を流れる緊迫感は読みごたえがあったがラストは好みではないかな。
  • IQ
    いきなり視点人物が変わるので、ちょっと読みづらかった。最近のアメリカミステリでは、男主人公が頭がよく才能にも恵まれ、性格もいいのに、運命の悪戯で裏社会で生きざるを得ないという設定が多い。本作『用心棒』『東の果て、夜へ』とか。流行りなのか。シリーズものとして先が楽しみなのは、兄の死の謎を残している本作...続きを読む
  • IQ
    ロサンゼルスに住む黒人青年のアイゼイアは"IQ"と呼ばれる探偵だ。
    ある事情から大金が必要になったら彼は腐れ縁の相棒の口利きで大物ラッパーから仕事を請け負うことに。
    だがそれは「謎の巨犬を使う殺し屋を探し出せ!」という異様なものだった。
    奇妙な事件の謎を全力で追うIQ。
    そんな彼が探偵として生きる契...続きを読む
  • IQ
    分かりやすく惹かれる序盤に過去と現在、別角度からの交差する視点。無駄のない展開に、簡潔な最後の一撃。
    小気味良く続きも気になる佳作。

    そうそう、続編への引きってこういうのでいいんだよと頷きたくなる繋ぎも見事
  • 東の果て、夜へ
    前半の半人前悪党の少年たちがいざこざを起こしながらだらだらと東に向かっていくくだりは個人的には退屈でなかなかページが進まなかった。
    終盤のイーストの再生物語には惹きつけられ、また、予想していなかった結末までの展開には驚き、なるほど全体としてみると悪くはないと思った。
  • IQ
    コントラストが眩しい小説。

    現在と過去。
    IQとドットソン。
    論理と感情。

    最高にクールでかっこいいIQ。
    いかがわしいが憎めない男、ドットソン。
    この二人の関係を軸に過去と未来で物語が疾走する。

    現在をラップにノッてクールに論理的に描き、過去は人間としての成長を情感豊かに描き出す。
    論理的に...続きを読む
  • IQ
    IQと呼ばれる主人公のキャラクターがとても良い。彼の武器は知性に基づく徹底した観察力。でもどこか、脆さと悲しさを感じさせるところが一つアクセントとなっている。ただ個人的にストリートギャングの物語が苦手であること、他の方が買っている場面の展開の速さに私はついていけなかったことで星3つ。それでも続編が出...続きを読む
  • IQ
    現代のシャーロックなんて帯に書いてるけど、ギャング小説にミステリが加わってるという印象。確かにミステリ部分は楽しめたけど、好みでは無い。もう少しユーモアが欲しい。軽快さが欲しい。陽気さが欲しい。
  • パズル・パレス(上)
    デビュー作とあって勢いがいいが表現方法が露骨というか、いかにも思わせぶりで疲れる。でも面白い。続きが気になる。
  • パズル・パレス(下)
    思わせぶりな表現が多く、先に先にと気が急く。けれど視点がころころ変わるその切替の早さがテンポよく、一気に読ませる。本筋からズレる感想だが、原爆投下に対してアメリカ国民がどう考えているのか間接的に窺えた。
  • 東の果て、夜へ
    イーストとタイが10代であることをつい忘れてしまう。アメリカは本当に州を超えると、全く違うんだな。ペリーと出会ってからは、成長物語と言うより、解説にある通り、イーストの少年時代の、或いは子供としてのやり直しというのがしっくりきた。まあ、大人に利用されているという点では、フィンと同じなんだけど。ロード...続きを読む
  • ケンブリッジ・シックス
    予想以上の面白さ。ストーリーはネタバレするので割愛するか現代のイギリスのロシア史専門家がとあることでイギリス諜報機関が秘匿するロシアな関する秘密を解明することになるが、その過程で当時の関係者が一人また一人と暗殺されていく、迫り来る輪の恐怖か物語終盤のスリリングかつスピード感あるストーリー展開になり、...続きを読む
  • 東の果て、夜へ
    このミス2018 海外3位。
    4人の少年が暗殺の命令を受けて旅に出る。
    クライムノベルというより一人の少年の成長物語の感じのほうが強い。
    ただかなり読み進めるのに苦労した。
  • 東の果て、夜へ
    文字や文章がバンの車窓から見える景色のように通り過ぎていく。後には虚ろな空間しか広がらない。ページをめくる指が重い。読み進めば進むほど望まない方向へ話がどんどん進んでいく…。イーストがかわいそうでならない。先が見えて来ない…。
  • 東の果て、夜へ
    最初から危うい感じの4人組。予想どうりトラブルの連続。だんだん追い詰められていく感じで苦しくなり、なかなか読み進められない。
    後半の穏やかな時の流れがよかったが、こんな生活はいつまでも続くわけがなく、やはり旅立ち。
    新しい名前で生きていくイーストに、頑張ってと言いたい。
    それにしても老成した男の子で...続きを読む
  • 東の果て、夜へ
    序盤はどんな話なんだろうと思いつつ読んでいましたが、読み進めるうちにロードノベル的な面白さに引きこまれていき、後半は一気に読んでしまいました。
    テイストが好みが分かれる作品かもしれませんが、登場人物それぞれの個性と、舞台となる場所がどんどん変わって行くところは個人的にはとても楽しめました。
  • 東の果て、夜へ
    原題は<DODGERS>。言うまでもなく有名なメジャー・リーグのチーム名で、旅に出る少年たちが来ているユニフォーム・シャツに由来する。ドジャースがブルックリンに本拠地を置いていた時代、ブルックリンの住人は行き交う路面電車をかわしながら街を往来しなければならなかった。そこから、ブルックリン地区の人々を...続きを読む
  • パズル・パレス(下)
    事情があって下巻から読んだからかもしれないけど、ストーリーが出来上がりすぎてて真の暗号に関するプログラム取り扱いの問題を取り上げているとはいえないような未熟さがあった。しかし、時代背景を考えると、その時代にこれほどの構想の積み上げはすごいのかもしれない。
    一方で、この手の小説は時代背景を強烈に意識す...続きを読む
  • パズル・パレス(下)
    また恋オチ…壮大なスケールなんだけど、ネットの話だからどこか卑小さが感じられ、もっと言うと、その道に明るくない自分には何が何だか。ただ、副館長、しつこし。これが処女作というのには驚き。これが原点か。様々な専門知識で必死にくらいつこうとする読者を煙に巻きながらも、しっかりと伏線をこしらえ、意外な側面か...続きを読む
  • 無法海域掃討作戦
    イギリスSAS、スペツナズ、IRAにグルカ兵と出身を異にする傭兵部隊の活躍譚。今回は、MI6に半ば嵌められるようにして、ソマリアの海賊掃討作戦に従事することになる。プロットや世界の情勢分析に深みがあるわけではなく、ただ、ただ荒くれ共の果てしない闘いが描写される。