【感想・ネタバレ】2034 米中戦争のレビュー

あらすじ

南シナ海で米空母打撃群壊滅

2034年3月南シナ海で、米海軍第七艦隊駆逐艦3隻が「航行の自由」作戦中、炎上する船籍不明のトロール船に遭遇。同じころホルムズ海峡で飛行中のF-35ステルス戦闘機が制御不能になり、イランに不時着しパイロットが捕虜に――偶然に見える二つの事件だったが、中国は捕虜の解放と引き換えにトロール船の返還を要求。アメリカが対応を協議中、南シナ海上の駆逐艦2隻が撃沈。さらにサイバー攻撃を受けアメリカ主要部が大停電に。急遽米軍は二個の空母打撃群を派遣するが、中国軍に壊滅され衝撃が走る…

原題:2034: A Novel of the Next World War

ロバート・ゲーツ、ジェームズ・マティス元国防長官絶賛!

南シナ海から中東そして台湾と移る米中対立にインド、ロシアやイランが絡み大国間の戦争へ。国益という「魔物」は戦争回避の思考をにぶらせ、誤算のスパイラルに陥る、これは単なる物語か? いや、日本も想定すべき最悪のシナリオだ
/香田洋二(元海上自衛隊自衛艦隊司令官)

果たして、この『2034 米中戦争』で示された、誤算がさらなる誤算を招くシナリオは、どれだけ起こる可能性があるのか――。読み終えたときに、おそらく多くの読者が考えるだろう。とくに小説に出てくる台湾有事が日本の安全保障にも関わってくるとなれば、なおさらだ。
/梶原みずほ(朝日新聞編集委員・テレビ朝日『報道ステーション』コメンテーター)

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Posted by ブクログ

小説でありながらリアリティ・臨場感が高すぎて非常に刺激的。震えながら読んだ。
米中お互いが戦争を避けたいと思いながらも、偶発的なきっかけから徐々に規模が大きくなり、報復合戦による原爆で都市が次々と消えていく様があまりにも恐ろしい。

人間の競争心や安全欲求というものが肥大して覇権競争となり、退くに退けない状況となっていく。そして組織である以上、命令されれば実行せざるを得ない。
不利になって更なる被害を受けるくらいであれば、味方の人命もためらわず消す。

ほんとに大事なのは何なのかをつくづく考えさせられる。
そしてこうした、不自由な選択の後に来る喜ばしからぬ結果、甚大な被害を出した上での共倒れのような誰も喜ばない結果を避けるために、先々までよくよくよく考えことの大事さや、最終的には論理ではなく心に従って行動を止める英断を出せる仕組みづくりや関係づくり、胆力の重要性を実感した。

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

ロシアのウクライナ侵攻やイスラエルのガザ侵攻などに見られるように、覇権主義や宗教観の違いから、世界はいつのまにか危い均衡のもと、一触即発のリスクを抱え込んできてしまった。核の脅威に対して通常兵器の延長でしか考えられない鈍感なリーダーが台頭してきている。そんな現代に警鐘を鳴らすリアリティに富む小説である。作り話と放置できない深刻さが感じられる。著者二人は米海軍の重鎮であった経験から、地政学的知識にも造詣の深さが伺える。この小説の発端は、米海軍が中国を牽制するため、南シナ海で「航行の自由作戦」を遂行中に不審船の炎上に遭遇する。同じ頃、中東のホルムズ海峡で米国のステルス戦闘機が制御不能になり、イランで捕虜として捕らわれる。この二つの事件は繋がり、米中の思惑が時々刻々と絡み合い、衝突リスクが増してくる。戦術核や戦略核へ発展していくのか、ロシアやイランはどう絡んでいくのか、予断を許さない状況は先へ先へと読み急がせる。この前段部分で説明は終えるが、スケール感の大きさ、緊迫感の凄さに圧倒されるが、登場人物の私生活まで踏み込んだ内面を通して、読者の視点も公だけでなく個のあり方として考えさせられる深いテーマと感じた。

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

CSISのウォーゲームのような米中戦争のシュミレーション
戦闘経過は違うものの、戦争の結果と戦後の世界秩序の変化については、CSISのレポートに似ているのではないか?
本書は2034だが、2027までに起こりうると言われている現在、私達は何に備えておけばいいのだろうか?
トランプ政権からの流れが、先の大戦前の状況と似てるところがあるのが気になる

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2023年01月25日

Posted by ブクログ

どこかの国が「核使用のハードルを下げる」ことを検討する現代、不要で偶発な衝突から同じようなシナリオが現実でも起こりうるかもしれない。

と、思うとフィクションではないような
危機感をもって読めた作品でした。

しかし面白い!
どうかずっとフィクションでありますように!

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2024年12月21日

Posted by ブクログ

米海兵隊の特殊部隊に従軍していたアッカーマンとNATOの最高司令官も務めた元米海軍大将スタヴリディス提督が書いた米中戦争のシミュレーション。

戦争という国家間の危機においても、当たり前だけれどそこには判断、実行を重ねる個人がいて、その積み重ねが結果につながるのだと改めて感じた。
各登場人物の背景や考え立場が表現されていて、少しずつ思惑のボタンがかけちがうことでエスカレートしていくさまがリアルで、恐ろしくて、興味深かった。

国家間の歴史、関係性や地理、ホワイトハウスの高官や米海軍での役職などの分掌を理解して読むと、より面白さを感じられる気がする。

これからは国防においてはサイバー能力がいかに重要かということについても理解が進んだ。
日本の外務省が中国のサイバー攻撃を受け大規模な情報漏洩を起こしていたとのニュースを目にしたばかり(しかも米政府から警告までもらっている)で不安は募る
今後もサイバーセキュリティの観点でもニュースにアンテナをはろう

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2024年02月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いま、ウクライナで『戦争』が起きていますが、これはそれよりも先の話。

ここで描かれているほど、ICT機能においてアメリカが中国に劣勢になるという事は、ちょっと考えにくいのではないかと思いますが、アメリカと中国が何かしらの事柄で衝突するという事はありうる話だと思います。そういう意味で、これは現実の話ともいえるのではないかと。いまから12年先の話ですからね。

それと、思いの外インドが力をつけているのも興味深いですね。これも、現実としてありうる話ですね。インドの経済成長の著しいです。ウクライナでの『戦争』で、中国と同じく独自の立場をとっているのは、その自信の表れなのかもしれません。逆に言うと、アメリカの威信の低下を示しているとも言えますが。

核兵器を使うと、たとえそれが戦略核ではなくて戦術核だとしても、未来は無いんですよねぇ。

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2022年04月18日

Posted by ブクログ

サイバー攻撃がどういうものなのか、臨場感を持って伝わってきた。物理的な武力で勝ってれば良いというものではない。なるほど。

あと日本の影の薄さもなんだかリアル。西側陣営の小国の1つみたいな描かれ方、というか事実そうなんだろうな。

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2022年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作者は本書は警告の物語だとインタビューで答えているけれど、そのとおり、戦争は誰もが避けたいと思っていても、気づいたら後戻りできない地点に来ていて、始まってしまう、という怖さを感じた。我々は戦争を起こさないための弛まぬ努力をし続けなくてはならない。
もう一つの示唆はテクノロジーの重要性と、プランBいやBどころかCやDまで持っておくことの重要性。最新のテクノロジーを開発し活用していくことが安全保障には重要だし、他方でそれに頼り切ってしまうことは危険。

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2022年01月27日

Posted by ブクログ

米中戦争が近未来で起こるとしたというシミュレーションとして読みました。
作者の一人は米国海軍の重鎮で、小説という形にしたのは、警告の物語として強く記憶に残ると思ったからと述べている。
米中双方の偉い人達は相手の取るであろう行為を推測できるので、結果として全面戦争の抑止力が働くはずという核抑止力の論理は簡単に破られる。「目には目を」というポピュリズムに押される政権は、全面核戦争へエスカレートする道を簡単に選んでしまいそうです。ポピュリズムに負けない、やられてもやり返さない理性的な政権を選ぶ必要あります。ことし選ばれる新米大統領は大丈夫でしょうか?
通常兵器の戦争での負け戦が戦術核を使う理由になるという本ストーリーは現在進んでいる戦闘を考えると畏怖を感じる。ロシアもイスラエルの政権も、通常兵器で大敗したら、民衆の目を戦術核を使ってきそうです。攻撃の応酬のエスカレートを止める手段が、本小説のようにあるとは思えない。背筋が寒くなります。

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2024年08月06日

Posted by ブクログ

近未来に米中が戦争となる仮想戦記。

中国、イラン、ロシアが絡みアメリカが中国との戦争に引きずり込まれる。

米中戦争となれば、影響必至の日本について本書ではほぼスルー。
日本不在で物語は進む。

まぁ、実際米中で戦争になれば日本なんて両国にとってはあまり関係ないことは予想の範囲内。

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2023年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フィクションであり、サイバーに関して極端になんでもできすぎることになっていることに違和感は感じるものの(台湾侵攻の容易さとか中国の行動にち密さと杜撰さが混在していること等、違和感があることをあげつらえばきりがないが、フィクションなのでそこを難詰めすることに意味はない)、米中の対立においてどのような事態が生起しうるのかの頭の体操としては楽しめた。

一番興味深く印象深かったのがインドの行動。
米中の対立に、中立の立場で両者に軍事介入するという行動。
これが実際に行われるのかどうかは全くわからないが、国際社会において存在感を示すという意味で、軍事力の非常に効果的な使用法であり、米中戦争(厳密には戦争ではない。散発的な武力の応酬というべきか。)の中で、一番の果実を得るのがインドであると描くのは、フィクションではあるものの著者の慧眼と感じた。

翻って日本について考えてみた場合、米国との同盟との名の下に、完全に欧米に追従する形の行動をとって、本当に国際社会において存在感を示せるのか。

何もせず、米国、そして日本が国際社会の中で相対的に国力が低下していく中で、国土や経済的な権益を確保していけるのか。

戦争は望ましくないものの、(ウクライナを見ても明らかなように)結局のところ軍事力がなければ国を守れない現実を目の前にして、いかにして今後軍事と経済のバランスを考えなければならないかということを改めて感じさせれた(本書そのものの内容からは大幅に脱線しているが)。

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2022年05月01日

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