岩瀬成子のレビュー一覧
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岩瀬成子さん、好きなのだけど、子どもの心情を描くのが上手すぎて、辛くなってしまうことも度々ある。
これは『マルの背中』や『ぼくが弟にしたこと』みたいに、明らかに問題のある家庭の話ではないのだが、どこにでもある普通の家庭の息苦しさが伝わってくる。
第1子が中学生になる時期に、賃貸マンションから一戸建て(中古をリフォーム)に引っ越した家族。父は通勤時間が長くなり、母はパート、家事育児、近くに住む老父の世話と、ゆとりのない生活。中古ではあるが新居の手入れもある。中学生の息子と、小五の娘は思春期となり、親の言うことを聞かなくなる。こういう家庭は日本中どこにでもあり、戦争中の外国の家庭や貧困、DVに悩む -
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パートだけで子育てや家事に専念してきた主婦が、突然の離婚。特に資格もなく、いままでのような生活費を得ることかどんなに難しいか…。
仕事が決まらない不安と苛立ちからか、「死のうか」と娘に言ってしまう母。
その一言から、不安と小さな怒りと夏休みを過ごすことになる安澄。
でも、ナゾの店のおじさんに頼まれ、猫のマルの面倒を見ることになる。お店に来るお客たちから、マルの背中の丸い模様をさわると、願いが叶うと言われている。
安澄には、マルがいてくれた、あの夏休み。
離れ離れになってしまった弟、理央。理央には、ゾゾがいた。
母がコンビニのパートの後、帰ってこない日がある。
もしかしたら、自分だけ死 -
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ビートルズが好きなので気になったのが読むきっかけでしたが、どんどん昭和の時代にタイムスリップしていきました。
小さな文房具屋と店番のおばあさん、和食主体の献立、こたつとテレビ、水商売の女性が放つ独特の雰囲気などなど、とにかく昭和が目の前に迫ってくるのです。年代は違うけれど、同じ昭和生まれとして懐かしくなりました。
ビートルズに関する喜久子の思いが行間からあふれ出てきます。体の中に何らかの変化が起きていて、その表現がなんともいえず良かったです。自分もビートルズを聞き出したころ、こんな反応があったなーとあらためて思い出しました。
作品全体に、少女のビートルズへの思いが詰まっていて、多感な少女期なら -
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小4の中は、両親が別居した為、今はハハと2人暮らし。
隣りに住んでいる一つ上のセンくんと学校へ行くけれど、本当は行きたくない。
いやだ、いやだと思うからなのか学校はつまらない。
いろんなこと考えているけどわからないことは、わからないと言うからみんなに笑われる。
わからないことの多い中だけどちゃんとハハと話をするし、チチとも話をする。
ハハに悩みを言う特丸さんとの会話も聞く。
センくんと助けたお爺さんの息子の話も聞く。
大人の話を聞くことで、自分なりに何をしたいかを考えていくのだろう。
大人になってもわからないことはたくさんある。
それをわからないと言えるのか、わからないまま放ったらかしにする -
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兄が中学入学と同時に新しい家に引っ越すことになり、わたしも5年生の新学期から小学校を転校した。
わたしは、英会話スクールに通い始めたが、思い違いをしていたのか、聞いていなかったのか、ドアの前に「お休み」の貼り紙が…
同じ道を通って帰るよりちょっと脇道に入ってみたら「喫茶ダンサー」の看板がある庭の奥で、おばあさんが朗読していて…。
そのうちに英会話をさぼってまた聴きに行こうと…。
その道の塀の上でみっちゃんという女の子に出会い、何度か彼女とも会うようになる。
行きたいところへは行けなくて、行こうと思っていないところに行ってしまう、という不思議さ。
これが何なのか…。
わかったときにファ -
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表紙の絵は可愛らしいが、内容は児童書のわりにちょっと重め。
離婚した母と暮らす亜澄は、何度か転校を繰り返した夏休みにアパートの近くの駄菓子屋で飼っている白猫のマルを預かることになる。
母と2人の生活にマルが加わり、寂しさも少しマシになるけれど、やっぱり母親がバイトを掛け持ちしたりだとか、夜遅くに帰ってきてお酒呑んでるとかは無い方がいい。
何度も職を変わったり、「死のうか。」なんて言わないでほしい。
小3なのに母親のことばかり考えてるのはどうなんだろう…。
マルといっしょにいた数日は友だちのように話し相手になったんだろうな。
マルはどこから来たの…は、自分はここではないところから来たけ -
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ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。
最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。
各話の冒頭には、作