岩瀬成子のレビュー一覧

  • わたしのあのこ あのこのわたし

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    秋はお母さんと二人暮らし。お父さんの「道夫くん」とは時々会う。ある日、友だちのモッチの家に、道夫くんからもらったレコードを持って行き、一緒に聞いていたら、弟の新くんがレコードに傷をつけてしまう。秋はモッチに怒ってしまうが…。
    子どもたちの鋭い観察眼、柔らかい心、前に向かう力…さりげなく力強い物語。

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    2021年03月26日
  • もうひとつの曲がり角

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    岩瀬成子さん、好きなのだけど、子どもの心情を描くのが上手すぎて、辛くなってしまうことも度々ある。
    これは『マルの背中』や『ぼくが弟にしたこと』みたいに、明らかに問題のある家庭の話ではないのだが、どこにでもある普通の家庭の息苦しさが伝わってくる。
    第1子が中学生になる時期に、賃貸マンションから一戸建て(中古をリフォーム)に引っ越した家族。父は通勤時間が長くなり、母はパート、家事育児、近くに住む老父の世話と、ゆとりのない生活。中古ではあるが新居の手入れもある。中学生の息子と、小五の娘は思春期となり、親の言うことを聞かなくなる。こういう家庭は日本中どこにでもあり、戦争中の外国の家庭や貧困、DVに悩む

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    2019年11月17日
  • もうひとつの曲がり角

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    英語教室になんとなく行きたくない朋は、近くの路地に入ってみた。細い路地を進むと、不思議なお話を朗読しているおばあさんに出会い、庭に招き入れられる。次の週、同じ道に入ったはずなのに、道の様子が違い、少し昔風の服を着た女の子と出会う。
    現在と過去を行き来しながら、「したいこと、したくないこと」を考えるようになる朋。すぐ隣にある不思議と子どもの成長を自然に描き出す秀作です。

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    2019年11月11日
  • マルの背中

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    パートだけで子育てや家事に専念してきた主婦が、突然の離婚。特に資格もなく、いままでのような生活費を得ることかどんなに難しいか…。

    仕事が決まらない不安と苛立ちからか、「死のうか」と娘に言ってしまう母。

    その一言から、不安と小さな怒りと夏休みを過ごすことになる安澄。

    でも、ナゾの店のおじさんに頼まれ、猫のマルの面倒を見ることになる。お店に来るお客たちから、マルの背中の丸い模様をさわると、願いが叶うと言われている。

    安澄には、マルがいてくれた、あの夏休み。
    離れ離れになってしまった弟、理央。理央には、ゾゾがいた。

    母がコンビニのパートの後、帰ってこない日がある。
    もしかしたら、自分だけ死

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    2018年02月25日
  • オール・マイ・ラヴィング

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    ビートルズが好きなので気になったのが読むきっかけでしたが、どんどん昭和の時代にタイムスリップしていきました。
    小さな文房具屋と店番のおばあさん、和食主体の献立、こたつとテレビ、水商売の女性が放つ独特の雰囲気などなど、とにかく昭和が目の前に迫ってくるのです。年代は違うけれど、同じ昭和生まれとして懐かしくなりました。
    ビートルズに関する喜久子の思いが行間からあふれ出てきます。体の中に何らかの変化が起きていて、その表現がなんともいえず良かったです。自分もビートルズを聞き出したころ、こんな反応があったなーとあらためて思い出しました。
    作品全体に、少女のビートルズへの思いが詰まっていて、多感な少女期なら

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    2018年01月08日
  • ちょっとおんぶ

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    夜、目が覚めたわたしが庭に出てみると、小さなくまの子がでてきて、「ちょっと おんぶ」っていうから、おんぶしてあげた。すると、「おうちにかえりたい」「おうちってどこ」「あっち」…くまの子をおんぶして、夜の森を歩いていくと…。ちょっぴり不思議なことがおこって、ちょっぴりほんわかするおはなし。

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    2017年09月26日
  • くもり ときどき 晴レル

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    6編の個別の作品から構成された短編集。主人公はいずれも小学生。自分が小学生の頃は、何を感じて生きていたのだろうかと、ふと頭をよぎった。昭和のにおいを強く感じるのは、ぼくだけだろうか?小学生の日常を淡々と描いた作品集ですが、心に響くものがある。

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    2014年09月24日
  • くもり ときどき 晴レル

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    14/04/06

    6つの短編集。
    こどもって多感で、世界をまっすぐに見るよね、と。そしてそれは、おとなにはもう見えない世界だよね、と。
    おとなが思う以上に、こどもはこどもじゃないんだよ。


    P150-
    「おれら、いつまでも子どもをやってられないんだよ」

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    2014年04月06日
  • わたし、わかんない

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    桜林直子さんの、「つまり、“生きづらい”ってなんなのさ?」と併行して読んでいるのだけど、
    まさに、中とセンくんが、
    「社会に合わせられない生きづらさと、社会にあわせられるがゆえの生きづらさ」の例だなと思って、納得してしまった。
    私は後者だけど、同じものさしで相手の辛さをわかったつもりになってはいけないなと思った。

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    2025年08月08日
  • 100万分の1回のねこ

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    有名作家たちが絵本「100万回生きたねこ」をオマージュして紡ぐ短編集。

    我が子に読み聞かせようと久しぶりにこの絵本を開いてみると、生きること死ぬこと、愛…
    ずいぶん哲学的な絵本だった。

    名作絵本のエッセンスを受け取った作家たち独自の視点で描かれる短編集だなんて、パワーの総量がとんでもない。
    お気に入りは、江國香織さんかな。町田康の相変わらず意味不明な世界観も好きでした。

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    2025年08月08日
  • ぼくのねこ ポー

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    ぼくが猫を自分で飼いたい気持ちと友達の猫かもしれないという不安が描かれている作品。自分の経験にもあるような、経験と重ねて読みやすい。
    厚い本だが文字も少なく、大人なら5分ほどで読める。

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    2025年07月24日
  • ぼくのねこ ポー

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    ネタバレ

    家に帰る道で猫を見つけたとおる。ポーと名付けてかわいがっていた。そんな中転校生の森くんが、飼っていた猫が、引っ越し早々にいなくなったことを知り、ポーが森くんが探しているトムではないかと疑い始める‥。

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    2025年06月12日
  • ぼくのねこ ポー

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    2025年課題図書(小学校低学年の部)と言うことで読みました。

    学校の帰り道、人懐っこいねこを見つけ、どうしても家に連れて帰りたくなったぼくは、お母さんに「ダンボール箱に閉じ込められていた」と嘘をついて、家で飼ってもらうことになった。ポーと名前を付けて楽しい毎日が続くはずが、転校生の森くんの飼い猫トムが引越してきた日の夜に行方不明になったと聞いてから、胸がザワザワし続けて...
    ポーがトムだったら、森くんに返さないといけない不安から、森くんを避けるようになってしまい...
    少年の心の葛藤が、よく描かれていると思いました。

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    2025年06月12日
  • ぼくのねこ ポー

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    子どもの頃に猫を拾って帰ったのを思い出した。
    家族に反対され飼うことはできなかった。あの猫のやしゃごあたりが、今、どこかで元気に暮らしていてくれたならいいなあ。
    拾った猫を飼うことになり名前までつけたら、愛着はどれほどのものか。その猫を手放すなんて、到底考えられない。でも、その猫が帰ってくることを待ち望んでいる人がいるかもしれない。
    心の葛藤と戦いそれを乗り越えた時、本当の愛が見える。だれでも。

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    2025年06月06日
  • わたし、わかんない

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    小4の中は、両親が別居した為、今はハハと2人暮らし。
    隣りに住んでいる一つ上のセンくんと学校へ行くけれど、本当は行きたくない。
    いやだ、いやだと思うからなのか学校はつまらない。
    いろんなこと考えているけどわからないことは、わからないと言うからみんなに笑われる。

    わからないことの多い中だけどちゃんとハハと話をするし、チチとも話をする。
    ハハに悩みを言う特丸さんとの会話も聞く。
    センくんと助けたお爺さんの息子の話も聞く。
    大人の話を聞くことで、自分なりに何をしたいかを考えていくのだろう。
    大人になってもわからないことはたくさんある。
    それをわからないと言えるのか、わからないまま放ったらかしにする

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    2025年05月26日
  • もうひとつの曲がり角

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    兄が中学入学と同時に新しい家に引っ越すことになり、わたしも5年生の新学期から小学校を転校した。
    わたしは、英会話スクールに通い始めたが、思い違いをしていたのか、聞いていなかったのか、ドアの前に「お休み」の貼り紙が…

    同じ道を通って帰るよりちょっと脇道に入ってみたら「喫茶ダンサー」の看板がある庭の奥で、おばあさんが朗読していて…。
    そのうちに英会話をさぼってまた聴きに行こうと…。

    その道の塀の上でみっちゃんという女の子に出会い、何度か彼女とも会うようになる。


    行きたいところへは行けなくて、行こうと思っていないところに行ってしまう、という不思議さ。

    これが何なのか…。
    わかったときにファ

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    2025年05月26日
  • マルの背中

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    表紙の絵は可愛らしいが、内容は児童書のわりにちょっと重め。

    離婚した母と暮らす亜澄は、何度か転校を繰り返した夏休みにアパートの近くの駄菓子屋で飼っている白猫のマルを預かることになる。

    母と2人の生活にマルが加わり、寂しさも少しマシになるけれど、やっぱり母親がバイトを掛け持ちしたりだとか、夜遅くに帰ってきてお酒呑んでるとかは無い方がいい。
    何度も職を変わったり、「死のうか。」なんて言わないでほしい。

    小3なのに母親のことばかり考えてるのはどうなんだろう…。

    マルといっしょにいた数日は友だちのように話し相手になったんだろうな。

    マルはどこから来たの…は、自分はここではないところから来たけ

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    2025年05月25日
  • ぼくのねこ ポー

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    2025年度 課題図書(低学年)
    ぼく(主人公)がネコを保護することを通して、友達(他者)の心情を慮ることを学ぶという内容。(ネコのお世話を通じて成長する的な内容かと思っていたけど、違った)
    低学年なら自分の気持ちにいっぱいな時期なので、いろんな立場の人の思いがあることに気付くのにはちょうどいいのかな。
    それより松成さんのイラストがかわいい。ふんわりした色合いの中でも、ネコのはっきりした目力が描かれていて印象的!

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    2025年04月27日
  • 100万分の1回のねこ

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     ご存知の通り、『100万回生きたねこ』(1977)は、佐野洋子さんの絵本です。最後に主人公の猫が死ぬのに、心からよかったーと思える、不思議でとっても深いお話でした。少し哲学的で、大人の方が響くかもしれませんね。本書は、この名著に捧げる13名の錚々たる作家諸氏のアンソロジーです。

     最近読んだ町田康さん、谷川俊太郎さんも書かれていて…、あ、谷川さんは佐野洋子さんと(短期間)ご結婚されていたんですね。また書き下ろしの広瀬弦さんは佐野洋子さんの息子さん!
     なんと不思議な巡り合わせです。当然ながら、全編とも名作絵本への愛と敬意が根底にあり、様々な視点で読ませてくれました。

     各話の冒頭には、作

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    2024年12月02日
  • わたしのあのこ あのこのわたし

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    意地悪になっちゃう感じ、友達に苛立っちゃう感じが、すごくリアルに蘇る。
    大きなことが起きるわけではないのに、心に残るお話。

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    2024年11月10日