あらすじ
14歳の少女とビートルズの物語。
「オール・マイ・ラヴィング」とビートルズは歌う。
聴いていると、だんだんわたしは内側からわたしではなくなっていく。外側にくっついているいろいろなものを振り落として、わたしは半分わたしではなくなる。ビートルズに染まったわたしとなる。
《最初から最後まで、この本のあちこちからビートルズがこぼれてくる。ほんとうにこぼれてくる。本を閉じても、まだ聞こえる》――(江國香織・評)
ビートルズ日本武道館公演――50年前の「あの時代」を等身大の少女の目で見つめた感動の少女小説。夜行列車で、ビートルズ日本公演を観るために家出して東京へ向かう少女の姿に、思わず目頭が潤む。
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Posted by ブクログ
主人公はもちろんのこと、
出てくるキャラクターも濃く表現されている。
フィクションに在りがちな希望や奇跡で物語られることなく、現実なストーリーに安心した
素敵な作品。
Posted by ブクログ
何が起こるわけではないのに、ずっと読んでいたくなる本。
ビートルズがすきな女の子の日々の生活、1日1日の日記以上の心の動きを見せてもらっている感覚。
家族と喧嘩もする、友達とも気まずくなる、一丁前でちょっとオマセな恋の気持ちをいったりきたりする。
なんてことのない毎日を過ごしているわけだけど、ビートルズを前にすると彼女の心の動きは半ページにも渡って高鳴っていて、何かを強く信じたり好きなったり、そして何でもやってやれるって力強くなったり、、こういう気持ちこそ尊いんだよな、と思う。
時代描写がビートルズ来日の昭和時代ということもあり、自分というより、自分の親世代はこんな感じで毎日過ごしていたのかなと想像して微笑ましくもなった。
いい本読んだなあと思えて、うれしかった。
_φ(・_・
・大丈夫、と尋ねると、ありがとうと返事をした。
Posted by ブクログ
ビートルズが好きなので気になったのが読むきっかけでしたが、どんどん昭和の時代にタイムスリップしていきました。
小さな文房具屋と店番のおばあさん、和食主体の献立、こたつとテレビ、水商売の女性が放つ独特の雰囲気などなど、とにかく昭和が目の前に迫ってくるのです。年代は違うけれど、同じ昭和生まれとして懐かしくなりました。
ビートルズに関する喜久子の思いが行間からあふれ出てきます。体の中に何らかの変化が起きていて、その表現がなんともいえず良かったです。自分もビートルズを聞き出したころ、こんな反応があったなーとあらためて思い出しました。
作品全体に、少女のビートルズへの思いが詰まっていて、多感な少女期ならではのみずみずしさ、純粋さに切なくなりました。大人になった喜久子はビートルズを聴いてどう感じるのでしょうか? その時々でビートルズの曲が喜久子に寄り添っていることと思えます。自分もそうだから。