岩瀬成子のレビュー一覧
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時々児童書も読んでみるのだけれど、私はもう大人になってしまったんだな、と少しさみしく思うことが多い。でも時々、大人になった今だからシンプルな日本語が響く、宝物みたいと感じる本に出会うことがある。
小学生の、秋ちゃんとモッチ、二人の女の子の話。少しだけ配慮が足らなくて、(小学生だしね)秋のレコードに傷をつけてしまったモッチ。明らかに言い過ぎた秋。(大切なものだったんだもんね)
二人の心のモヤモヤを、小学生が理解できる、やさしい言葉で紡いでいく。大人になると、モヤモヤする、と一言で終わらせて、時間も余裕もないからすぐに次の案件だ。
どちらかというと私はモッチみたいに、言わなきゃ言わなきゃと思いながらタイミングを逃してしまう方なので、秋ちゃんサイドの言葉が刺さった。『心の中で思っているだけじゃ気持ちは伝わらないと思うので、手紙を書くことにしました』
秋ちゃんの両親も良かった。『人の心は一色じゃないからね。あの人はこうだ、といえるほどだれかの心を知ることはできないだろう』『ほんとうの気持ちなんてあるのかな。あるときにはこういう面があり、べつのときにはべつの心になる。だから、あの人はこうだ、と決めつけることはできないと思うんだ』
秋ちゃんも、なかなか言葉にならないモッチの思い、背景を想像するようになった。来年の道夫くんの誕生日に、秋ちゃんは何を思うだろうか?レコードの雑音はもう気にならなかった。心は一色じゃないんだなあ。 -
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そう、これだよ。
言葉にならない思いとか、今この現実はすべてうそで固められた感じ。
こういうことを深く考えたくなくて、もやもやという言葉で済ませていたり、考えないようにしたりしていた。
岩瀬さんはそういう思いをしっかり表現されているし、その思いとゆっくりでいいからちゃんと向き合い続けることを描いているんだと思った。
そして、中ちゃんと母の会話がすごくいい。お母さんがすべてを包みこんでくれて中ちゃんが安心する。
最後に中ちゃんが自分で決めて一歩進むことができて、本当によい終わりでよかった。
実は途中で挫折しそうだった。課題図書だからというなかば任務で読み進めた。挫折しそうだったのは、ちゃんと言葉にならなくても向き合うことから逃げている自分の表れだな。今は全部読んでよかったと思っている。
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2025年度 読書感想文課題図書 低学年
つうがくろのとちゅうにネコがいた。なんどもいた。あめがふってきたのにそこにいる。かえるところがないのかな。つれてかえって、おかあさんにはこにはいってすてられていたとうそをついた。かってもいいって!おなじころ、てんこうせいがきたんだよ。ひっこしのときにネコがにげたんだって。ぼくはドキリとした。
ネコを飼ったことがなくても主人公に感情移入しながら読める良いお話でした。お母さんにも、転校生にも嘘をついてしまい、どうやらネコは彼の家のネコのようで、うそをついたことと、ネコを手放すこと両方に苦しみます。さあ、彼はどうするのでしょうか。
総ルビ、79ページ。全見開きに挿絵あり。少し読めるようになれば1年生でも大丈夫です。読んであげても20分かからないと思います。 -
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土曜日だったし、夜中に一気読みしちゃった。
4年生くらいから読めるもので、こういう静かな、内面に深く深く潜り込んでいくような物語は貴重。多くの子が読みたがるような「楽しい」お話ではないけれど、この物語が必要な子はきっといる。
この小学四年生の女の子「貝」と同じように、所在なさに孤独を抱いていたり、言いたいことを飲み込んでばかりの自分が嫌になったり、友達と同じ子を好きになってしまって悩んだりする子はいるだろう。この物語は、そんな子たちに寄り添ってくれるはず。
「ひとりかもしれない」と寂しさを感じながらも、新しい父親や友達との関係をゆっくりと紡いでいく主人公に、そっと勇気をもらえるような作品だった。 -
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ネタバレ
『そのぬくもりは消えない』
『マルの背中』
どちらも大好きだったけど、
これはまたすごく面白い!!
ちょっと不思議な女の子、不思議な物語なら、
駒子さんの繊細な表紙がすーっとそこに連れていってくれるんですよねぇ。
お兄ちゃんの中学進学に合わせて、市の東側のちいさなマンションから、西側の中古住宅に引っ越してきた朋の家族。ママは新しい家、新しい職場、一人暮らしのおじいちゃんのお世話にとにかく忙しい。
朋はママの勧めで英会話スクールに通うことになる。
いつものように土曜日の午後、英会話スクールに行ってみると、その日は塾はお休みだった。
なあんだ。と、家に帰る前に寄り道をしてみる。
英会話スクールと郵便局とのあいだにある道の先、
その曲がり角を曲がると…
喫茶ダンサーと、庭先で朗読をしてくれるオワリさん。
その不思議な魅力と、英会話スクールでの違和感に、
また次の週も英会話をサボって曲がり角を曲がってしまう…。
ふしぎな曲がり角で出会う、もう1人の少女みっちゃん。
同じ英会話スクールに通う同級生の麦野さん。
朋も、どうやらお兄ちゃんも、学校には馴染めていないよう。
お兄ちゃんは、野球部を、朋は英会話をやめたいという気持ちをそれぞれの方法でママにぶつけていく。
朋はママを傷つけたくないけど、お兄ちゃんはすっかり反抗期。大人になってしまった。
パパとママの夫婦喧嘩も、この家に引っ越してから増えてしまった。
子どもたちの声に耳を貸そうとするけれど、空回りするママの姿にはイライラさせられる。
パパの家庭での在り方もとてもリアルだ。
そのリアルさと、少女の心の味方である曲がり角の世界と、岩瀬成子さんのお好きな、タイムファンタジーの世界になんともうまく誘われてしまうのです。
そしてあっという間に読み終えて、ビックリしてしまう。。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
谷川俊太郎、江國香織、川上弘美、角田光代らによる、佐野洋子『100万回生きたねこ』への、13人の作家によるトリビュート短篇集
江國香織「生きる気まんまんだった女の子の話」
岩瀬成子「竹」
くどうなおこ「インタビューあんたねこ」
井上荒野「ある古本屋の妻の話」
角田光代「おかあさんのところにやってきた猫」
町田康「百万円もらった男」
今江祥智「三月十三日の夜」
唯野未歩子「あにいもうと」
山田詠美「100万回殺したいハニー、スウィート ダーリン」
綿矢りさ「黒ねこ」
川上弘美「幕間」
広瀬弦「博士とねこ」
谷川俊太郎「虎白カップル譚」
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佐野洋子「100万回生きたねこ」を読んだ作家・詩人たちによるトリビュート集。
惹かれる作品(江國香織、井上荒野、町田康、今江祥智、川上弘美など)もあれば、そう感じない作品もある。一体どうやってあの「100万回生きたねこ」からこのような作品が生まれたのか、一読ではわからないものもある。「ねこ」がまったく登場しない作品もある。「100万回生きたねこ」というテーマがありながら、内容に一貫性はなく、トリビュート集らしい幅広さがある。
「ねこ」が登場しないので、これは「100万回生きたねこ」とは関係ない作品だ、というレビューもあったけれど、僕はそうは思わない。「100万回生きたねこ」はけっして「ねこ」だけの話ではない、と思っているから。また「100万回生きたねこ」を読んだ人は本書を読まないほうがいい、というレビューもあった。確かに「100万回生きたねこ」の読後感の感動からほど遠い作品も収まっているので、そのレビューにもある意味では賛成できる。ただ「100万回生きたねこ」を読んだことによって、こんなにも幅広いリアクションが誕生した、ということも事実なので、僕は「100万回生きたねこ」を読んだ人にこそ本書を読んでほしい、と思ったりもしている。「ああ、読んで失敗した」と思われても責任は取れないけれど。