岩瀬成子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレいきなりタイトルを裏切るけど、僕の猫ではないのです。
連れ帰ってしまった猫への愛情。
実はその猫を探している転校生との友情。
“捨てられていた”と親に嘘をついてしまったことへの罪悪感。
返さないといけない、返したくないの間で生まれる、後ろめたさ。
転校生を拒絶した自分への嫌悪。
友達が探しているのが、どうか違う猫でありますように!という、小さくも強い願い。
まだ低学年であろう主人公の心の中が、色んな気持ちでいっぱいいっぱいになっているのが切ない。いやこれ大人でも心ぐちゃぐちゃになる体験。
でも猫の気持ちを最優先に考えたら、やるべきことは1つだけだったことに、ちゃんと気づく。転校生の家に走り出すところで、もう涙止められなかった -
Posted by ブクログ
この本、とても良かったです。幼い頃に大切にできる動物に出会えること、その感性が生まれること、備わっていることは、他に代わりきかない幸せだと思います。
見つけて自分の猫にしたポーは、転校してきたクラスメイトの猫のトムかもしれない。
主人公の男の子の心の揺れ動きが伝わってきます。
松成真理子さんのやわらかい絵が物語全体を包み込んでくれます。主人公の男の子にエールを送りつつ、大丈夫だよと語りかけるようでした。
多くの子に読んで欲しい一冊ですし、可能な限りコンパニオンアニマルと接する、生活する経験を沢山の子にさせてあげられるといいなと思います。私も幼少期にそんな経験があったら、きっと性格も人生ももっと違っていたと思うから。動物は親にできないことも教えてくれるし、ダメな親に育てられても、動物がいてくれればその子の人生をかなり修正できると思います。 -
Posted by ブクログ
漢字 小学校低学年レベル
フリガナ あり(全ての漢字に)
文字の大きさ 大
長さ 中くらい(79ページ)文字大きめ
出版年 2024年
内容 近所で拾って買い始めた猫が、転校生の森君の「いなくなった」飼い猫ではないかと気づいた主人公が、葛藤しつつも、猫を返すまでの物語。2025年読書感想文コンクール課題図書。
感想 幼い子どもの一人称視点(その比較的狭い視点と、近視眼的なものの考え方)が上手く描かれていて、まるで自分が子どもそのものになったように入り込める。主人公は「ポーの気持ち」を慮って猫を返す。できれば森君の気持ちも慮れるようになれたらよかった、と一読後には思ったが、幼い子どもらしいといえばらしい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレチチとハハは別居した。
チチは生まれ育った王子島に帰って喫茶店を開くことにし、ハハは童話作家の仕事を続けながらも、新聞記者として働き始めた。
となりに住んでいるセンくんは一つ年上の五年生で、毎朝一緒に登校する。学校は行きたくない。たくさん考えて考えて、考えた先に出てきた「わたし、わかんないです」を言うと、先生は困った顔をするしみんなはわかんないちゃんって言う。
装画:酒井駒子
表紙の女の子、主人公中(ナカ)ちゃんの絵の雰囲気からか、このお話を読んでいる間ずっと、ジトっとして薄暗いイメージを持ち続けていました。
お父さんとお母さんが別居するということは、主人公にとってとても大きな事件なはずなのに、そのことについては大きくは触れられず日常が続いていく、その中で小さな、事件と言えるかどうかも分からない、もしかしたら大きな事件になり得るかもしれないことが日常の延長上に起こったり、学校に馴染めないでいる居心地の悪さが描かれたり、読んでいてなんだか得体の知れない物が背後に蠢いているような気持ちになりました。
学校の先生にとって主人公は賢いけれど困った子。先生が期待する言葉を言えない子、きっと先生からすると言ってくれそうに思えるから当てるのだろうなと思いました。でもそう一筋縄ではいかない主人公を持て余してしまっている最中に思えました。
その子が、浮いた存在になってしまう初期の状態が描かれているなと感じました。
残り数ページだけどこれどうなっちゃうの?どういうエンディングを迎えるの?と半ばサスペンスやホラーでも読んでいるようなハラハラした気持ちで読んでいたところ、あっさりスッと幕が引かれて驚きました。ここで終わり??と。でも、ずっと、わかんないって思い続けてきた主人公が一つの大きな決断をしたことで、ほんの少しだけホッとしました。この子の行く末は「わかんない」けれど、小さな身体でぐるぐると考え巡らせていることを根気よく聞いて共感してくれる人が現れるといいなと思いました。
巻末、作者の別の本ですが江國香織さんがコメントされていて、確かに江國香織さんが好きそうな文章だと妙に納得してしまいました。
決して好みの文章や内容ではないけれど、なぜか読んでしまうし、読後頭に残ってしまうお話でした。
好みではないというか、没入してしまい、この仄暗さに引き摺られてしまいそうだから苦手なのだろうなと思います。
そして何より苦手だなと思う所以は、このお話は小学生中学年の女の子が主人公ですが、大人に向けて描かれているような感覚になるからです。これについては、作者の本を読むのが初めてなので、他の作品も読んだ上でもう一度考えたいと思います。
追記:初めてではなかったです、同時期に『ぼくのねこポー』を読んでいました。二作読み比べて、やはりこちらは若干大人向けに書かれているようにも思えましたし、こういうお話を好んで読む、江國香織さんの子どもの頃のような小学四年生の女の子もいるかもしれない、そこへ向けて描かれたようにも思えました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何が起こるわけではないのに、ずっと読んでいたくなる本。
ビートルズがすきな女の子の日々の生活、1日1日の日記以上の心の動きを見せてもらっている感覚。
家族と喧嘩もする、友達とも気まずくなる、一丁前でちょっとオマセな恋の気持ちをいったりきたりする。
なんてことのない毎日を過ごしているわけだけど、ビートルズを前にすると彼女の心の動きは半ページにも渡って高鳴っていて、何かを強く信じたり好きなったり、そして何でもやってやれるって力強くなったり、、こういう気持ちこそ尊いんだよな、と思う。
時代描写がビートルズ来日の昭和時代ということもあり、自分というより、自分の親世代はこんな感じで毎日過ごしていたのかなと想像して微笑ましくもなった。
いい本読んだなあと思えて、うれしかった。
_φ(・_・
・大丈夫、と尋ねると、ありがとうと返事をした。
-
Posted by ブクログ
そでの部分には、右(始まり)曽良秋(ソラアキ)がモツチに書いた手紙が書かれている。
「わたし、持沢さん友だちになりたいな、と思ってます。」そでの左(終わり)には、持沢香衣(もちざわかい)からの返事がある。「『友だちになってください』と書いていました。その気持ちはいまも同じです。
R6年度の小5年の教科書掲載本。舞台は小学校で主人公2人は5年生。アキは4年生で転校して5年生でモツチと同じくクラスになって静かなモツチに惹かれて、ゴールデンウィーク明けにそでの手紙を渡した。
アキが道夫くんから貰ったビートルズのドーナツ盤をもっちの父親の部屋のレコードプレイヤーで聞いていた。そこにモツチの弟の新くんがやって来て、レコードに傷を付けて仕舞う。アキはその日、何でも持っているモツチにモヤモヤしてしまう。
アキは結婚式場で働くお母さんとアパートの2人暮らし。お母さんはお父さんの道夫くんとは結婚していない。時々アキは道夫くんに会いに行く。
モツチはお父さん、お母さん、弟の新くんの4人暮らし。お母さんは翻訳の仕事を家でしていて、アキが遊びに行くと手作りのマフィンを焼いてくれる。
アキとモツチが交互に語る形で物語は進行していく。(フォントが違うので分かり易い)アキは植物が好きで一人でも平気。モツチは家の三角の庭にあるヤブツバキの下に置いてあるガーデンチェアに座って道を眺めるのが好き。
レコードの傷を許せないアキはモツチと距離が出来てしまうがー。
表紙のデザイン、心情を綴る感じ、児童書というよりもYAの印象。 -
Posted by ブクログ
貝ちゃんは小学生。
ママとパパは離婚して、そして新しいお父さん・幸介さんとママと3人で暮らすようになった。
ママと幸介さんは引っ越ししようと言っていて、しかし貝ちゃんはクラスメイトと離れたくないから転校したくない。でもそれが言えない。
保育園から一緒の高広くんと話したいのに話せない。
クラスメイトの世里ちゃんに高広くんのことが好きと打ち明けられて、モヤモヤする気持ちがあるのに何も言い出せない。
モヤモヤする日々に、今はもういないパパとの思い出を振り返る貝ちゃん。
そんな貝ちゃんだったけど、よぉく周りを見渡せば、少しずつだけど自分の言いたいことを言えるようになってみれば。
もうひとりじゃないかもしれない。
貝ちゃんの気持ちを追いながら、読んでいるこちらもなんだか前向きになれるお話でした。