木内一裕のレビュー一覧
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木内一裕すごい!隙がない!ラストまでほとんど完璧に面白い小説だった。矢能シリーズ4作目で登場人物も出揃って物語も深まってめちゃくちゃ完成度高まってるな。登場人物達のセリフの掛け合いがリズミカルで洗練されててめちゃくちゃカッコいい上に、今作では矢能の立ち回りシーンもあるし、栞との感情の触れ合いや矢能の心の揺れも沢山描写されててとにかく物語に厚みが出てた。虚勢を張ったおっさん達が出てくるだけの小説なのにな。掛け合いだけで1話構成してたビーバップを思い出すね。ラストで次三郎助けに行くとこも矢能が非情に徹しきれないとこが出てて最高に良くてもう星5。次三郎救出編も書いてほしい。路駐のためだけに呼ばれてる
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Posted by ブクログ
〈杉浦小麦〉25歳、新人女性弁護士。
こんな肩書きの主人公が活躍する話ですよ、と聞くとだいたいのイメージ像を思い浮かべることと思うが、想像の遥かに上をゆく魅力全開のキャラクターでありました。
兄の影響で小学四年から大学までレスリングに打ち込んで身体を鋼のような筋肉の塊に鍛え上げるも、怪我により競技引退。
その後は何かを取り戻すかのようにオシャレや恋にのめり込むがそうそう劇的に上手くいくこともなく、次は司法試験に挑戦する。恋よりも勉強。「偏差値Dランクの法学部を卒業してBランクの大学の法科大学院に進んだ。」(p46)。そして司法試験一発合格!ここまではまあわかる。
司法修習を終えたばかりで実 -
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木内一裕『ブラックガード』講談社文庫。
元ヤクザの探偵、矢能政男を主人公にしたハードボイルド探偵小説のシリーズ第5弾。
何も恐れるものが無いアウトロー探偵というのが良い。アウトローながら時折見せる優しさも非常に良い。その上、幾つものミステリーが仕掛けられたストーリーの面白さは流石である。そして今回も矢能が引き取った娘でやけに大人びた小学3年生の栞が何とも良い味を出している。
探偵の矢能の元に竹村弁護士を通じて、正岡道明という高齢の資産家から依頼が入る。サトウと名乗る男から正岡に2億円の価値のある商品を購入することを持ち掛けられたと言うのだ。購入の条件は矢能を探偵として雇うことだった。
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殺人事件のアリバイ作りのために別の場所で起きた傷害事件で有罪になろうとする被告を、無罪にしなければいけないお話
元レスリングのオリンピック選手候補で司法修習が終わったばかりの25歳の新人弁護士 杉浦小麦
諸事情により事務所に所属することができずにケータイ弁護士として開業したため、金銭的に苦しい
そのため、通常ではありえない成功報酬の相続人探しの依頼と並行して、国選弁護の案件を受任する
一日で公判が終わるような仲間内での障害事件のはずが、実は殺人事件のアリバイ工作に利用されている可能性を警察から知らされる
弁護士倫理、社会正義、自己保身の狭間で小麦が取った弁護方針とは?
帯には「警察、検察、 -
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木内一裕『小麦の法廷』講談社文庫。
元レスリングのオリンピック候補で25歳の新人弁護士・杉浦小麦を主人公にした法廷ミステリー。
小気味良いテンポでストーリーは展開し、変にぶれることもなく、気持ち良い。意外にもマジな法廷ミステリーだった。新人弁護士の杉浦小麦はガチガチの鉄板裁判で如何にして無罪を勝ち取ろうと言うのか。
少し惜しいのは幾つかの伏線を回収しないまま結末を迎えたこと。続編があるならば是非、そちらで取りこぼしの伏線を全て回収してもらいたいもの。
冒頭に描かれた非合法組織の人物と思われる男による3人の射殺事件は杉浦小麦の初めての刑事事件裁判と密接に関わっていく。もしかしたら小麦が別 -
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アイデンティティに響く
僕のアイデンティティに響くこの言葉。
わたしは不誠実な人間だろうか?時々そう思う。答えはいつもノーだ。わたしは誠実な人間だ。けれど正直な人間というわけではない。「ウソのつけない正直な人」とは対極の存在なのかも知れない。わたしは平然とウソをつく。だがそれは自分の利益のためや、相手を傷つけるためのものではない。それどころか、わたしのウソは相手をつかの間ハッピーにさせる。