あらすじ
きっかけは、謎の資産家からの依頼だった。
2億円の価値ある商品。
購入の条件はただ一つ。
最も危険な探偵を雇うこと。
小学三年生の娘と二人暮らしの私立探偵・矢能。久しぶりの仕事は「2億円の商品取引」の交渉人。
だが、なぜ彼が選ばれたのかは明かされなかった。
そして、取引現場で目的不明の殺人が起きる。
立て続けに起きる誘拐と殺人。
次々に現れる新たな依頼人と行方不明者。
シリーズ史上、最も難解な事件の幕が上がる。
元ヤクザの探偵×掟破りのミステリー
「なにが起こっているんです?」「俺にもわからん」
「矢能シリーズ」第5作!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
探偵の主人公が、依頼を受けて、それを遂行する。
ただ、この探偵はただ者ではない。主人公の魅力的な人物像と、個性的な協力者たち。謎多き依頼から、数珠繋ぎに訪れる波乱の展開に、一気に読み込んでしまう。
Posted by ブクログ
木内一裕『ブラックガード』講談社文庫。
元ヤクザの探偵、矢能政男を主人公にしたハードボイルド探偵小説のシリーズ第5弾。
何も恐れるものが無いアウトロー探偵というのが良い。アウトローながら時折見せる優しさも非常に良い。その上、幾つものミステリーが仕掛けられたストーリーの面白さは流石である。そして今回も矢能が引き取った娘でやけに大人びた小学3年生の栞が何とも良い味を出している。
探偵の矢能の元に竹村弁護士を通じて、正岡道明という高齢の資産家から依頼が入る。サトウと名乗る男から正岡に2億円の価値のある商品を購入することを持ち掛けられたと言うのだ。購入の条件は矢能を探偵として雇うことだった。
しかし、矢能が依頼を拒否するとサトウは正岡の19歳の孫の紗耶香を誘拐する。仕方なく、矢能は正岡の依頼を引き受け、サトウと2億円の取引に臨む。
サトウが手にする2億円の商品とは、ある人物のことだった。矢能はその人物の鑑定人として正岡の部下である田崎を伴い、サトウとの取引場所に向かった。そのある人物とは矢能がヤクザ時代に何度か顔を合わせたことのある寺西という男だった。取引は無事終わったかのように見えたのだが、田崎が突然、寺西を射殺する。
この先、何がどうなって、どうなるのか。
定価770円
★★★★★
Posted by ブクログ
矢能シリーズ5作目。もはや洗練された完成度すらある。本当に隙がない。今回は今後を予感させるサトウって謎の新キャラが出てきていい味を出してる。木内一裕の他の作品の主人公か?って思わせるくらいの印象。いつもながら栞も情報屋も工藤ちゃんも篠木も次三郎も最高だし、篠木なんて少しずつ頼れるようになってるあたりも読者はすごく楽しめる。登場人物の掛け合いは本当に最高だしテンポ良くて一気に読めるしとても良い。次も楽しみ。
Posted by ブクログ
矢能探偵シリーズは面白いと思う。シリーズ5作目の本書も色々と捻ったストーリーの展開が小気味いい。
ただ、後半で田崎の視点と村井の視点で書かれた「何があったのか」の解き明かしは何だかネタバレのショートカットをされた感じで、出来れば違和感のあるピースをひとつひとつ繋げていって真相を炙り出していくヒリヒリした文章を読みたかったところです。
サトウや正岡一族、またどこかで矢能と絡んできそうで楽しみです。