木内一裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
〈杉浦小麦〉25歳、新人女性弁護士。
こんな肩書きの主人公が活躍する話ですよ、と聞くとだいたいのイメージ像を思い浮かべることと思うが、想像の遥かに上をゆく魅力全開のキャラクターでありました。
兄の影響で小学四年から大学までレスリングに打ち込んで身体を鋼のような筋肉の塊に鍛え上げるも、怪我により競技引退。
その後は何かを取り戻すかのようにオシャレや恋にのめり込むがそうそう劇的に上手くいくこともなく、次は司法試験に挑戦する。恋よりも勉強。「偏差値Dランクの法学部を卒業してBランクの大学の法科大学院に進んだ。」(p46)。そして司法試験一発合格!ここまではまあわかる。
司法修習を終えたばかりで実績も経験も事務所もなく身一つで司法の道を歩み出したばかりのヒヨッコにしては肝が据わり過ぎている。タバコをプカプカやりながら軽トラころがして天草を疾走する序盤のシーンで読者のハートをガッチリとロックアップ。仕事は上手くいかなかったが帰路に福岡空港のフードコートで「ビーフバター焼き」(p49)を食って一服して、東京駅で「賛否両論弁当」(同)を買って家に帰ってタバコふかして…と、悲壮とか焦燥とかとは全く無縁で、さながらどっしりと構えたウォーリアである。
で、わたしのような凡人だったら小麦がレスリングの技術を活かして敵に低空タックルの一発でもかますもんだと思い、今か今かとそんなシーンを待ち侘びた訳だが今の彼女のリングは法廷であるからしてそんな真似をするはずもなく、法律を使った白兵戦闘に持ち込む訳である。彼女の堂々たる法廷での交戦シーンは小気味良く心を叩く。
四面楚歌に陥りつつも闘争心ギラギラで、尚且つ金銭報酬だって欲しいものは欲しい正直さを併せ持った真っ直ぐな小麦の姿にすっかり虜。読み終えてみて、てっきり既にシリーズ化されているとばかり思っていたのでこれは是非とも続編刊行に期待したいところであります。
装丁の小麦と思しき女性の見事なまでの‘小麦感’が素晴らしい。さすが小説の作者かつ漫画家でもあり自ら装画を描かれた木内先生。うーん脚がマッシヴだね。
1刷
2024.11.17 -
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木内一裕『ブラックガード』講談社文庫。
元ヤクザの探偵、矢能政男を主人公にしたハードボイルド探偵小説のシリーズ第5弾。
何も恐れるものが無いアウトロー探偵というのが良い。アウトローながら時折見せる優しさも非常に良い。その上、幾つものミステリーが仕掛けられたストーリーの面白さは流石である。そして今回も矢能が引き取った娘でやけに大人びた小学3年生の栞が何とも良い味を出している。
探偵の矢能の元に竹村弁護士を通じて、正岡道明という高齢の資産家から依頼が入る。サトウと名乗る男から正岡に2億円の価値のある商品を購入することを持ち掛けられたと言うのだ。購入の条件は矢能を探偵として雇うことだった。
しかし、矢能が依頼を拒否するとサトウは正岡の19歳の孫の紗耶香を誘拐する。仕方なく、矢能は正岡の依頼を引き受け、サトウと2億円の取引に臨む。
サトウが手にする2億円の商品とは、ある人物のことだった。矢能はその人物の鑑定人として正岡の部下である田崎を伴い、サトウとの取引場所に向かった。そのある人物とは矢能がヤクザ時代に何度か顔を合わせたことのある寺西という男だった。取引は無事終わったかのように見えたのだが、田崎が突然、寺西を射殺する。
この先、何がどうなって、どうなるのか。
定価770円
★★★★★ -
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殺人事件のアリバイ作りのために別の場所で起きた傷害事件で有罪になろうとする被告を、無罪にしなければいけないお話
元レスリングのオリンピック選手候補で司法修習が終わったばかりの25歳の新人弁護士 杉浦小麦
諸事情により事務所に所属することができずにケータイ弁護士として開業したため、金銭的に苦しい
そのため、通常ではありえない成功報酬の相続人探しの依頼と並行して、国選弁護の案件を受任する
一日で公判が終わるような仲間内での障害事件のはずが、実は殺人事件のアリバイ工作に利用されている可能性を警察から知らされる
弁護士倫理、社会正義、自己保身の狭間で小麦が取った弁護方針とは?
帯には「警察、検察、裁判所、被告人まですべて敵」とある
ただ、敵とは言いつつも、皆腹に抱えた苦いものがあるので、極力味方になってくれるというまた変わった構図
気になった点がいくつか
こんな事件で裁判員裁判になる事ってあるのか?
あと、実際のところ、他の事件で有罪になったからといって、アリバイとして認められるものなのか?
殺人事件の方で弁護側がそれを証拠として主張したとしても
本当にそこにいたのか?という証明にはならないと思うんだけど……
結末としてはちょっとモヤるところがあるものの
小麦の取った方法はまぁ納得
明確な物的証拠がない場合、関係者の証言が重要視されるわけだけれども
水掛け論にするというのはありだな
ってか、親父さんだったらどうやってたんですかね?
そこも気になる -
Posted by ブクログ
木内一裕『小麦の法廷』講談社文庫。
元レスリングのオリンピック候補で25歳の新人弁護士・杉浦小麦を主人公にした法廷ミステリー。
小気味良いテンポでストーリーは展開し、変にぶれることもなく、気持ち良い。意外にもマジな法廷ミステリーだった。新人弁護士の杉浦小麦はガチガチの鉄板裁判で如何にして無罪を勝ち取ろうと言うのか。
少し惜しいのは幾つかの伏線を回収しないまま結末を迎えたこと。続編があるならば是非、そちらで取りこぼしの伏線を全て回収してもらいたいもの。
冒頭に描かれた非合法組織の人物と思われる男による3人の射殺事件は杉浦小麦の初めての刑事事件裁判と密接に関わっていく。もしかしたら小麦が別に依頼された相続案件とも関わってくるのだろう。
杉浦小麦が国選弁護士として初めての刑事事件に挑む。被疑者も罪を認め、目撃者の証言もある1日で公判が終わると思われた仲間内の傷害事件だったが、警視庁の刑事から何とかして無罪にして欲しいと懇願される。刑事によると、その被疑者こそ冒頭に描かれた3人射殺事件の有力容疑者で、傷害事件は偽装アリバイ工作であると言うのだ。
定価748円
★★★★★ -
購入済み
アイデンティティに響く
僕のアイデンティティに響くこの言葉。
わたしは不誠実な人間だろうか?時々そう思う。答えはいつもノーだ。わたしは誠実な人間だ。けれど正直な人間というわけではない。「ウソのつけない正直な人」とは対極の存在なのかも知れない。わたしは平然とウソをつく。だがそれは自分の利益のためや、相手を傷つけるためのものではない。それどころか、わたしのウソは相手をつかの間ハッピーにさせる。 -
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ネタバレ水の中の犬
アウト&アウト
に続いて、こちらを読んでみた。
めちゃおもろい。1日で読んじゃったよ。
最後の解説にあるように、木内さんの本は、
①スピード感ありまくり
②読みやすい
③映像を思い描くことができる
まさに解説の方のおっしゃるとおり!
そして私的には真底悪い奴は、いないと思った。
悪いのかもしれないけど、なんだろう?
憎めないなぁと。
敵の皆さんも何気に可愛かったり(笑)
あとドド子のあだ名の由来が納得ぅ。
山田ジローの本名を知ったときの麒一の突っ込み
「韻を踏んでんの?ラッパーかよ」
に、めちゃウケたぁ。
みんな生きてるから続編希望するけど、これ2010年とかの本だから、もう続編は、ないんかしら?
ドラマはないけど、映画にするなら主役は菅田将暉かなぁ。いや、もっと若い子かな。
ま、映画化もないか… -
Posted by ブクログ
ネタバレ「水の中の犬」と一緒に購入
「水の中の犬」がめちゃくちゃ面白かったから、ソッコー読みました。
前作で亡くなった探偵の後を、前作でめちゃくちゃカッコいかった矢能が継いでるという続編
ちゃんと栞ちゃんも預かったまま、面倒をみてる。
探偵業の話だけど、完全に極道でメチャクチャするなぁ矢能(笑)
第二章は数馬側の気持ちが分かり、切なくて良い。
矢能のファンだったはずの私が、数馬の応援をしてしまう。
第三章の終わりで、自分が悪の側にいることを数馬が気づいて矢能に仕事として依頼するとこは、もうウルウルもん。(←実際は泣いてないけど)
でも第三章で感動した分、ラストのドタバタは、ちょっとコメディっぽくて、若干萎えたかなぁ。
まぁ戸籍上も栞の親となるとか、ハッピーエンドで良かったけど。
続編ないんかなぁ。もっと矢能の話を読みたいっ!
と思ったら、あるんやん「ドッグレース」!
買いに行きますっ!
「アウト&アウト」は、映画化されてエンケン主役だったらしいけど…
もっと若めの配役で「水の中の犬」からはじまるドラマにしてほしい。まぁ、今のご時世、無理かぁ?
数馬役は、横浜流星でよろしくです。
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Posted by ブクログ
木内一裕『飛べないカラス』講談社文庫。
冒頭から漫画か映画ようなスピーディな展開が連続するハードボイルド風エンターテイメント小説。
なかなか面白い。スピーディな展開の中で次々とミステリーがうねりを見せる。そして、未来を感じさせるような感動の結末。3拍子も4拍子も揃った快作である。
主人公は元売れない役者の服役囚。主人公の加能健太郎は父親の工場を受け継いだが、経理担当に口座から1億円を持ち逃げされ、さらには経理担当を捕まえたところ、持病の心臓病が悪化し、目の前で亡くなる。
納得のしようがない監禁傷害致死の罪で4年間服役した加能がシャバに戻ると、かつて付き合いのあった映画監督から不倫相手との間に産まれた娘の捜索を依頼されるが……
定価748円
★★★★★