あらすじ
自分以外、全員敵。
掟破りの裁判が始まる。
杉浦小麦、25歳。新人女性弁護士。
彼女にとっての初めての刑事裁判は、1日で公判が終わるような仲間内で起きた傷害事件。
被疑者との面会を終えて拘置所を出た小麦は、大勢のマスコミに囲まれてしまう。
「あなたは殺人犯のアリバイ作りに協力しているんですか!?」
--えっ! なに? どういうこと!?
彼女が引き受けた取るに足らない国選弁護の仕事は、やがて世間を震撼させる大事件へと変貌する。
敵は法律を知り尽くした悪党と、司法の穴。
それでも、私は、私の正義のために闘う。
捜査機関にはできなくて、弁護人にはできることは。
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Posted by ブクログ
〈杉浦小麦〉25歳、新人女性弁護士。
こんな肩書きの主人公が活躍する話ですよ、と聞くとだいたいのイメージ像を思い浮かべることと思うが、想像の遥かに上をゆく魅力全開のキャラクターでありました。
兄の影響で小学四年から大学までレスリングに打ち込んで身体を鋼のような筋肉の塊に鍛え上げるも、怪我により競技引退。
その後は何かを取り戻すかのようにオシャレや恋にのめり込むがそうそう劇的に上手くいくこともなく、次は司法試験に挑戦する。恋よりも勉強。「偏差値Dランクの法学部を卒業してBランクの大学の法科大学院に進んだ。」(p46)。そして司法試験一発合格!ここまではまあわかる。
司法修習を終えたばかりで実績も経験も事務所もなく身一つで司法の道を歩み出したばかりのヒヨッコにしては肝が据わり過ぎている。タバコをプカプカやりながら軽トラころがして天草を疾走する序盤のシーンで読者のハートをガッチリとロックアップ。仕事は上手くいかなかったが帰路に福岡空港のフードコートで「ビーフバター焼き」(p49)を食って一服して、東京駅で「賛否両論弁当」(同)を買って家に帰ってタバコふかして…と、悲壮とか焦燥とかとは全く無縁で、さながらどっしりと構えたウォーリアである。
で、わたしのような凡人だったら小麦がレスリングの技術を活かして敵に低空タックルの一発でもかますもんだと思い、今か今かとそんなシーンを待ち侘びた訳だが今の彼女のリングは法廷であるからしてそんな真似をするはずもなく、法律を使った白兵戦闘に持ち込む訳である。彼女の堂々たる法廷での交戦シーンは小気味良く心を叩く。
四面楚歌に陥りつつも闘争心ギラギラで、尚且つ金銭報酬だって欲しいものは欲しい正直さを併せ持った真っ直ぐな小麦の姿にすっかり虜。読み終えてみて、てっきり既にシリーズ化されているとばかり思っていたのでこれは是非とも続編刊行に期待したいところであります。
装丁の小麦と思しき女性の見事なまでの‘小麦感’が素晴らしい。さすが小説の作者かつ漫画家でもあり自ら装画を描かれた木内先生。うーん脚がマッシヴだね。
1刷
2024.11.17
Posted by ブクログ
新米弁護士 小麦の活躍ぶりがとても面白い。
有罪をあっさり認める被告人、無罪にするには!水掛論とヒントを得 第4章へ「小麦の戦い」
ミッチーが何かやらかしそうでヒヤヒヤしましたが良いキャラです。100%信用は出来ないけどね
最後までワクワクしながら読めました。
Posted by ブクログ
まず、表紙に惹かれた。
そして木内一裕さんの小説。きうちさんといえば
『ビー・バップ・ハイスクール。』
まさか同じ人だったとは!。
新人弁護士、小麦が初めて持った刑事裁判。
1日で終わるはずの内輪の傷害事件が
世間の注目を集める裁判に発展してしまい
孤立無援状態。
でも小麦の心のツッコミや冷静に切り替える頭の良さ
、どうやってこの難局を乗り越えるかと思ってたら、、、
これ、絶対シリーズ化してほしい。
Posted by ブクログ
これは面白かった!
キャラクターの個性といい、立場といい、なんだか応援したくなる。
物語としては、さらっとしていて、読みやすいが、長年ミステリーを読み込んでいる人からしたら、物足りないかも。
かなりの数の方が、シリーズ化を希望しているのもうなずけます。
Posted by ブクログ
殺人事件のアリバイ作りのために別の場所で起きた傷害事件で有罪になろうとする被告を、無罪にしなければいけないお話
元レスリングのオリンピック選手候補で司法修習が終わったばかりの25歳の新人弁護士 杉浦小麦
諸事情により事務所に所属することができずにケータイ弁護士として開業したため、金銭的に苦しい
そのため、通常ではありえない成功報酬の相続人探しの依頼と並行して、国選弁護の案件を受任する
一日で公判が終わるような仲間内での障害事件のはずが、実は殺人事件のアリバイ工作に利用されている可能性を警察から知らされる
弁護士倫理、社会正義、自己保身の狭間で小麦が取った弁護方針とは?
帯には「警察、検察、裁判所、被告人まですべて敵」とある
ただ、敵とは言いつつも、皆腹に抱えた苦いものがあるので、極力味方になってくれるというまた変わった構図
気になった点がいくつか
こんな事件で裁判員裁判になる事ってあるのか?
あと、実際のところ、他の事件で有罪になったからといって、アリバイとして認められるものなのか?
殺人事件の方で弁護側がそれを証拠として主張したとしても
本当にそこにいたのか?という証明にはならないと思うんだけど……
結末としてはちょっとモヤるところがあるものの
小麦の取った方法はまぁ納得
明確な物的証拠がない場合、関係者の証言が重要視されるわけだけれども
水掛け論にするというのはありだな
ってか、親父さんだったらどうやってたんですかね?
そこも気になる
Posted by ブクログ
木内一裕『小麦の法廷』講談社文庫。
元レスリングのオリンピック候補で25歳の新人弁護士・杉浦小麦を主人公にした法廷ミステリー。
小気味良いテンポでストーリーは展開し、変にぶれることもなく、気持ち良い。意外にもマジな法廷ミステリーだった。新人弁護士の杉浦小麦はガチガチの鉄板裁判で如何にして無罪を勝ち取ろうと言うのか。
少し惜しいのは幾つかの伏線を回収しないまま結末を迎えたこと。続編があるならば是非、そちらで取りこぼしの伏線を全て回収してもらいたいもの。
冒頭に描かれた非合法組織の人物と思われる男による3人の射殺事件は杉浦小麦の初めての刑事事件裁判と密接に関わっていく。もしかしたら小麦が別に依頼された相続案件とも関わってくるのだろう。
杉浦小麦が国選弁護士として初めての刑事事件に挑む。被疑者も罪を認め、目撃者の証言もある1日で公判が終わると思われた仲間内の傷害事件だったが、警視庁の刑事から何とかして無罪にして欲しいと懇願される。刑事によると、その被疑者こそ冒頭に描かれた3人射殺事件の有力容疑者で、傷害事件は偽装アリバイ工作であると言うのだ。
定価748円
★★★★★
Posted by ブクログ
『自分以外は全員敵』
タイトルに惹かれ購入。
新米の杉浦 小麦が、初めて担当したのは最初は簡単なトラブルと思われていた。
しかし、その裏には、大きな謎が隠れていた。
警察、検察、裁判所、そして被告人までも、全て敵とは、すごい状況ですね。
『あなたは、殺人犯のアリバイ作りに協力しているんですか?』
言われなき非難に、小麦はどう戦うのか?
悩みに悩む小麦に救いの言葉をかけたのは、獄中の父であった...。
Posted by ブクログ
相変わらずスピード感あって一気に読めて楽しめた。ただやっぱなんか物足りない。木内一裕作品はスピード感と引き換えに人物をあまり掘り下げて描写しないから、単発のは物足りなく感じるな。なので矢能シリーズはそこを補ってて最高なんだな。ラストの法廷での展開は予想するヒントがなかなかに少なくてややアンフェアな印象。これは読めなかった、と言うよりは唐突だったかな。まあ面白かったし続編を予感させるので楽しみではある。
匿名
最初の麦の印象は、あまり世間を知らない、可愛い新人弁護士でしたが、煙草をスパスパ吸いながら車を運転してた辺りから、思ってた女の子とはちょっとズレてきて、後半は頭のキレる大胆で面白い女の子に変わってました。登場人物も味があるとゆうか、悪人達でさえ魅力を感じてしまいました。
Posted by ブクログ
法廷ものに興味があってちょうど良さそうなテーマだったので購入しました。文庫本の帯に「自分以外全員敵」とありましたが、まあそこまでは煽りすぎかなって感じです。木内さんの作品は初めて読みました。映画監督もやられていて、ハードボイルドものに強い方なのですね。藁の楯も同じ著者の作品とは知りませんでした。
主人公である新米弁護士・杉浦小麦のキャラクターは結構好きです。元アスリートのメンタルの強さと、地頭の良さで窮地を乗り切ったのはお見事。後半の解決編はもうちょっとひねりが欲しかったかなと思いつつ、サクサク読み進められたし星4にしました。
次はいま話題の法廷遊戯を読んでみようかと思います。
Posted by ブクログ
久しぶりに読み耽りました。
最近本を読めてなかった中で木内さんは必ず読みたいと思い、久しぶりの本屋で発見!
期待していた以上に面白く、少し読んだところで、一気に読むのは勿体無いって感じてしまいました。途中で一回読むのやめました。でも、ただただ、続きが読みたいって思わせてくれました。
みんな敵?ありそうなパターンの宣伝文句でしたけど、読んでみたら味方だらけ?味方になれないもどかしさも伝わって来ました。
続き、ぜひ出してください!待ってます!
Posted by ブクログ
自分以外、全員敵。
掟破りの裁判が始まる。
杉浦小麦、25歳。新人女性弁護士。
彼女にとっての初めての刑事裁判は、1日で公判が終わるような仲間内で起きた傷害事件。
被疑者との面会を終えて拘置所を出た小麦は、大勢のマスコミに囲まれてしまう。
「あなたは殺人犯のアリバイ作りに協力しているんですか!?」
--えっ! なに? どういうこと!?
彼女が引き受けた取るに足らない国選弁護の仕事は、やがて世間を震撼させる大事件へと変貌する。
敵は法律を知り尽くした悪党と、司法の穴。
それでも、私は、私の正義のために闘う。
捜査機関にはできなくて、弁護人にはできることは。
Posted by ブクログ
なんとなく表紙から中世ヨーロッパで小麦の値段の暴落をめぐり暴動が起きるみたいな話と勝手にイメージしてた(どんな話や?)けど、普通に現代日本のややミステリ寄り?の小説だった。読みやすいけど読み応えが足りねぇ〜
主人公の心の声がめっちゃ普通の人なところはだいぶ好き。
Posted by ブクログ
以前も楽しんだ作者さん
おおぶりの材料を分かり易く料理した軽快な
法廷ミステリで、八方ふさがりに見える状況
を存在感ありまくりの父親が、ポイントとな
る問題点をほぐす様が良いね(´・ω・`)
設定よく終わり方も好感が持てるので続編が
でると思う
Posted by ブクログ
新人弁護士の小麦が初めて担当したのは、仲間内の傷害事件。被疑者も罪を認めており簡単な事件かと思われたが、ある凶悪犯罪の隠れ蓑にされようとしていることが判明する。
間延びしない展開、一人一人のキャラクターが魅力的で一気読みでした。