三津田信三のレビュー一覧
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三津田信三の「冬城言耶」シリーズの第四作目にあたる短編集。正確にいうと、短編が三本に、中長編(表題作)が一本。
正直にいうと、前作(特に衝撃度がハンパない第一作=厭魅の如き憑くもの)ほどの迫力も、背筋の凍る怖さもない。・・・といっても面白くないわけではなく、これはこれで良くできているし、そこそこ面白いのよ。
ただ、この本を読んではっきり明確に、このシリーズの構成要素&どこがおもしろいのか、が見えてきました。そう言う意味では収穫は大きかった。
1、こわ~い怪異にはページ数が要る。
身の毛もよだつようなホラー要素を十分に描写するには、つまり作品世界の情緒を引き出すにはかなりのページを割く必要がある -
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刀城言耶シリーズの初の短編集。今までだと「天魔の如き」が唯一の短編でしたが、今回は短編集。といっても最後の表題作は中編くらいのボリュームですが。
読んでみて・・表題作はなかなかに面白かったです。これまでと比べてそれほど遜色のない出来というか。
ただあとの「短編」は正直ちょっと物足りない感じがしました。もともとが「その土地に根付く言い伝え」なんかを丹念に積み上げて雰囲気づくりをした上での事件、という流れが強いシリーズなのでそういう雰囲気を十分に作れないまま「こんな事件があって、真相はこれです」というさっぱりしすぎた印象が強い。ちょっと短編のボリュームではきついのかもしれないなあ、と。 -
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弦矢俊一郎シリーズの3作目です。
角川ホラー文庫ということですが、
特に怖いということはありません。
怖さで言うと当事者目線で話が進む前作の方が上だと思います。
女性の体の一部を除いて焼くという猟奇殺人が続けて起こり、
ネット上の犯行声明文から、
どうやら「六蠱の躯」という呪法が目的らしいと分かります。
この呪法は女性の各部位を寄せ集めて理想の女性を作り出すというもの。
じゃあ誰がどういう基準で被害者女性を選び出すのか、
という犯人探しになるのですが。
俊一郎の祖母ちゃんも言ってますが、
こういう犯人探しは警察の機動力しかないので、
死相学探偵の特技があんまり活きてこないです。
「愛染様」と -
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弦矢俊一郎シリーズの2作目。
ある理由から城北大学の2年生から編入してきた転子(てんこ)。
前の年に起こった事件(事故?)を知らされないまま、
「百怪倶楽部」に入部することになり、
「四隅の間」の儀式の参加メンバーとなってしまいます。
その儀式の最中に第一の犠牲者が・・・。
密室で起こった不可解な死は、
事故なのか呪いなのか。
残りの参加メンバーは遅ればせながら気が付きます。
軽はずみに地下室で儀式をするべきではなかったのでは、と。
もちろん私だったら誘われたって絶対御免です。
前作よりもミステリーとホラーが違和感無く同居できてる気がします。
前半には探偵役の俊一郎がまったく出てくること無く -
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前半部分は、入埜転子の目線で話が進みます。
“百怪倶楽部”の夏休み中の特別企画として
“四隅の間”という儀式を寮の地下で執り行う事になったのだが
儀式のクライマックスで女性部員が急死する。
その後、部長が転落死をしたり、部員が怪現象に襲われたため、
俊一郎のところに依頼が来る。半分過ぎてからの登場です。
寮で調査を始めた俊一郎に早速黒い影が・・・
ここら辺までは大盛り上がりだったんだけど、事件解決が
あまりにもあっさりしていたので物足りない感じがしました。
ネコの僕にゃんがすご過ぎる。っていうか欲しい。
前の事件の黒幕が関係してきそうな気配だから
続きを読みます。 -
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弦矢俊一郎シリーズの1作目。
探偵物はもともと好物で、
死相学という聞き慣れない単語にまず食い付きました。
ホラー文庫に入ってますが怖くなかったです。
スプラッタもありません。
ホラーとミステリーの融合という触れ込みでしたが、
感想としてはホラーもミステリーも物足りなかったです。
今回、主役の若き探偵弦矢俊一郎は事務所を開設したばかり、
何事も手探り状態でスタイルが確立していない所為か、
推理というより右往左往していて最後に思い付いたという感じでした。
背後に人の思惑があると分かってしまうと、
得体の知れない怖さというものが無くなり、
怪異現象なら何でも有りなので、
推理は主に動機に関してとい