森薫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
19世紀まだ階級社会が根強く残る英国の、ある貴族とメイドのラブロマンス。
素晴らしかった! !何度読んでもあまりの世界観の完成度に引き込まれる。
森さんのメイド愛が炸裂してて、メイドがシーツをパリッと広げる仕事の描写やドレスの裾がふんわりなびくシーンとか、もう素敵すぎ☆
イギリスの田舎風景、社交界、万博などの背景も繊細で緻密。当時の音が現代まで聴こえてきそうです。
全体を通してセリフが少ないけど、その分コマ割りがとても丁寧でキャラの心情がよく出てるな~と思う。
ただ最後はちょっぴり残念かな…。
8巻から外伝という形にしたのは狙ってなのか、連載の経験不足か??グランドフィナーレであれも良かったけど、ジョーンズ氏(父)とエマの関係だったり、結婚後の生活をもっと深く読みたかった。 -
Posted by ブクログ
身分の違いを乗り越えての恋。まさにがちがちの恋愛物。
10巻もかかったわりに話の展開のテンポはゆったりとしていて,むしろほとんど事件らしい事件は起きない。(誘拐事件以外)
さらにこの登場人物が今後きっと活躍するだろうという予想がことごとく外れていくのも特徴だ。それだけ一人ひとりの人物が描かれているというべきなのか。
それだけに8~10巻の外伝は楽しめた。
エマ自体の魅力は薄いのに,周辺の人物がみな魅力的な人物というのはなんなんだろう。作家の実力のなせる業であろうか。
モブシーンなど,かつての萩尾望都を彷彿とさせてくれた。
気になる作家が増えた。 -
Posted by ブクログ
19世紀、ヴィクトリア朝末期、英国。貴族社会の末期、一般市民にも知や財の栄が見え始めた頃。
ジェントリ階級の跡取り息子が、幼少時の家庭教師の家を訪ねた際、メイドと出会い、身分違いの恋に落ちる。
彼らの恋愛を描いているようで、実は。
彼らが相思相愛の前提で、運命の障害=保守的で身分社会の英国の「世界観」を描いた作品です。
古典小説や文学小説では王道の粗筋でありながら、「漫画」というツールで「生きたヴィクトリア朝」の空気を描いています。
当時の職業、上流階級、市民の暮らし、施設、風習、道具、衣装。
丁寧な息遣いが聞こえてくる、叙情豊かな描写は、映画よりもリアリティが伝わります。
メイドのエマと、商家の長男ウィリアムの恋の結末まで7巻。
そのあと、本編を飾った脇役の「その前」「その後」を描く番外編が3巻(8〜10巻に該当)。
個人的には、後半が流れに流されすぎであった本編よりも、(ここが☆一つマイナス)
その後の結末を含む短編で描いた番外編が秀逸で好きです。
エマの主、未亡人ケリーの夫が生きていた頃。
ウィリアムに恋した可憐な令嬢エレノアの、一人の女性としての自立心の芽生え。
ドイツ移民で商家のメルダース一家の日常。当時の芸術の裏舞台や日常。
温かい庶民の生まれ・優秀で自立する働く女性のさきがけなどなど、メイドの同僚立ちの日常。
個人的に一番好きな、ウィリアムの弟アーサーの学校生活など。
登場人物という言葉の枠にとらわれず、生き生きと・はたまた時代に立ち向かって生きる、当時のでも人々のぬくもりが伝わります。
エマという女性に関しても、ただのシンデレラストーリーではありません。
「見目麗しい女性が、貴族の目にとまった」のではなく
「聡明で機知にあふれる不幸な生まれの女性が幸せをつかむ」話なのです。
エマが美人にカウントされているので分かりにくいのですが、エマの外見の美醜は、問題ではありません。(美人度だけの話なら、エレノアやアデーレやアルマも目を引く美人です。)
本来なら「才媛」に値する女性が孤児の生まれだった。
しかし、その顔立ちやたたずまいには彼女の聡明さがにじみ出ていた。
それを家庭教師ケリーに出会い・見込まれ、住み込みでメイドとして教育される。
(※孤児をメイドとして教育するのはまず不可能というのが一般論)
その後、物語の上でメイド→侍女→レディ→奥方…と、
当時の身分社会のキャリアを下から上へ、順番に網羅していった様は漫画ならでは。
この過程は、新しい主人のメルダース夫人の戯れによるもので、その描写も面白いのです。
クラシックな英国が好きという方であれば、老若男女問わず楽しめる作品だと思います。 -
Posted by ブクログ
最終巻。ヴィクトリア朝のイギリスの貴族社会を舞台にした漫画。作者がこの時代やメイドさんが大好きなのがよーくわかる。メイド好きといっても、単なるメイド萌えとは一味も二味も違う。背景や小道具の描き込みがすごい!英国万博の様子を描いた巻もあったのだが、どれだけ資料をあたったのだろうという細かい描写。でも、背景小道具だけでなく、脇役まできっちりキャラが立ってて、それぞれかわいらしいとこがあったり、ちょっと意地悪だったり、よく描かれてる。特に子供がかっわいい!私が英文科卒で、イギリス文学好きなのもあって、何度も読んで、眺めたい本。まー、メイドがご主人様と結婚して幸せになれんのかなあ?と考えると夢物語な部分は多々あるんだけど、ファンタジーとして読めばいいかなっと。個人的には本編もおもしろいけど、9巻10巻の番外編に作者の好みが色濃く反映されていて面白かった。